今回(注1)は欧州からの帰国子女のkia***さんが「自分はslip派」とハッキリ自覚した最終段階の前編です。ブリーフ使用で「隠れslip派」を試行したkia***さんならではの視点で両者間の全体的な違いが述べられています。
 
英語では同じようにbriefsと表記される「国内でお馴染みのブリーフとslip(欧州型“ブリーフ“)の間にある数々の違い」が大変興味深いです(注2)。ボクサーやトランクスとの違いに比べて差は微妙に見えても、幼少期からのslip着用者にとっては、やはり前開きブリーフにはかなり「別物感」があるのでしょう(私自身、今はslip型メインなのでそれを感じられるようになりました)。
 
(注1)kia***さんと私が年末年始に超多忙となり、本記事掲載が大分遅れました。
(注2)slipとブリーフの比較詳細は、他の方々を交えてさらに検討予定です。

★本文中の引用リンクのURLを訂正しました。

以下kia***さんの本論 
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3. Slipと比べたブリーフの特徴と印象(毎日の両者比較)

3-1.形と着用感の相異概要(比較1)対策1への復帰と比較
 
(1)ボクサーやトランクスを利用した「隠れslip派策」の限界
 
Slipに対して「ビキニ指摘」があったことへの対処として、5月の連休明け頃から8月後半までは、校内・校外で着替えのあるケースではボクサーブリーフさらにトランクスを着用して行き、帰宅後にslipに穿き換える「隠れslip派」で対処しました。しかし、晩春~夏季の朝から夕方まで続く高温多湿は私にとっては初めての体験で、身体が順応できませんでした。そうして在校(含部活)時や校外行事の際に、「ボクサー(注3)ないしトランクス(注4)+ズボンの組合せで生じる湿気・熱気籠もり」が耐えられなくなりました。


(2)二つの対応策

当時の私に可能な対応案は、5月の連休頃まで行っていた①ブリーフ使用の隠れslip派に戻るか、それともいっそのこと覚悟の上で ②穿き分けと穿き換えをもう止めて公開slip派になってしまうかでした。

の根拠は、ブリーフがslipと形や機能性が似ていること、それに少数であってもブリーフ着用者が「ブリーフ派」として存在していたことです。またの根拠は、私の経緯(欧州からの帰国子女)が身近になった同級生・上級生達に十分知られたこと、また、在外時に育まれた感覚と国内感覚との間のバランス取りに私自身が慣れてきたことにあります。
 
実際には、まず8月末にに戻り、9月半ばからはを交えるとともにその比率を増して行き、体育祭終了後の10月半ばには全面的な「公開slip派」となりました。を交えるようになった背景には、体育祭の準備や練習で着替えが頻繁化となったこと、練習・運動時にブリーフやブリーフ型サポーターを着用する同級生や上級生(特にテニスやサッカー部員)が相当数いたことがあります。要するに、4月入学時点ほどにはslipでも目立たないし、もう皆に帰国子女と知られていたため、訊ねられても「サポーターじゃなくて欧州型ブリーフ」という返事で受け入れられ、それで済んでしまったのです。
 
(3)自然と両者を毎日比較

上記のからを交え、さらに全面移行へと向かう過程は、5月初め頃で止めていたブリーフとslipの比較を再開し、日を追って「自分にはやはりslipの方が良い」と確信して行く道程となりました。そうしたほぼ毎日の比較で、slipとブリーフの間には以下のようにかなりの違いがあることを実感しました。と同時に、その理由に関心が及ぶ切っ掛けになりました。なお下記のような種々の違いは子供用でも紳士用でもまったく同じです。
 
(3)-1全体感の違い

図11のように両者を重ねてみると違いがよく分かります。穿き込み深さが同じミッド・ライズであっても、足口のカットに大きな相異があります。slipは裾が太股の付け根ラインに沿ったノーマル・カットであるのに対して、ブリーフは付け根ラインよりもかなり下側に沿ったロー・レグガットになっています。
 

slip-briefs比較
図11.slipとブリーフの重ね比較。足口カットの詳細は以下を参照下さい:
 
このため、脇幅にも大きな違いがあり、ブリーフの脇幅はslipの約1.5~2倍も広くなっています。さらに、前開きの存在に関連して、ブリーフの股幅もslipに比べて1.5倍~2倍近くなっています。このため、ブリーフを穿いて両足を揃えると、股部の生地が折り返されて重なり、軽度ですが「ボクサーやトランクス着用の股間状態」になってしまいます。

https://ameblo.jp/lin-baelder/image-12712526892-15037990332.html


このような足口カットと脇幅の違いにから、バック側にもかなりの違いが生じます。図12に示したように、同じフルバックとされていても、ブリーフの裾はslipに比べてかなり下側に沿っていて、いわば「超フルバック」となっています。そのため、ローレグで余った生地がヒップ下端でたるんで皺になっています。こうした状況から、脇幅がやや短いことを除けば、ショート・ボクサーとほとんど変わらない背面姿になっています。なおslipの場合は、背面下方にこのような皺はまず生じません。

slip-briefs背面比較
 
図12.slip (S)とブリーフ (B)の背面比較。臀部下端の皺はブリーフのもの。脇幅がブリーフの約1/2(左図)と約2/3(右図)のslipと比較。
 
 以上のように、slipと比べてブリーフは腰部全域をより堅固に被覆する下着となっています。このことは、私がボクサーやトランクスに馴染めなかった要因(=ズボンを穿いたときの湿気・熱気籠もり)がブリーフにも多少ながらあることになります(注3)。また、スポーツなどで身体を大きく激しく動かすときに、slipよりも重厚なブリーフの足口や股間部がやや煩わしいと感じました。
 
Slipの場合は対照的に、ノーマルカットで裾、脇、股部さらに生地質が軽快で身体へのフィット性も良いので、激しいスポーツでも股間サポート性と運動追従性に優れていることを改めて実感しました。再掲5図の100%綿のS1でも、運動対応性はブリーフ(B1やB2タイプ)よりも格段に勝っています。とくにフィット性が必要なケースでは、5%スパンデックス混紡のS2を穿けば万全で、サポーターのような下着は不要でした(注4)。なおサイズの合ったslipでは、締め付け無しで心地良く快適なフィット性が得られます。


slip-ブリ履き替え

再掲5図 slipと「隠れslip対応」に使ったブリーフ。
S1(164サイズ)、S2(164サイズ)、B1(160サイズ)は実家に保存してあった新品。 S1とB1は綿100%、S2は綿95-スパンデックス5%。ブリーフはいずれも綿100%

次回は前開きを含めた使用感の比較、気付いた長所や短所、そうしてslip派を確信した最終判断について記そうと思います。

(注3)もちろん、ボクサーやトランクスとはレベルが違っていて、「この3種(ボクサー、ブリーフ、トランクス)からどれかを選べ」と言われれば私は悩むことなく即座にブリーフを選びます。
 
(注4)このような違いから、ブリーフ着用者の中にはスポーツのときはサポーターに穿き換える方がいるようですが、slip着用者のほとんどはそうせずに済ませています(欧州のプロサッカーやテニス等でも見かけられます)。