前回までに、国内で一般的なブリーフは前面部の形が欧州型ブリーフ(Slip)とは違っていて、穿き上げたときの前開きの形とその印象について説明頂きました(注1)。今回から、それが感触や穿き心地とどう関係するかを説明頂きます(注2)。

今回の内容にも、前開き型に慣れた者にとっては思い掛けない点が多く含まれています。その視点は、欧州型ブリーフ(Slip)を幼時から常用し、帰国して初めて国内型を穿き、さらに登校時(ブリーフ)と家庭内や校外活動時(slip)との穿き分けを経験した方ならではのものと思います。ブリーフとslipは同一カテゴリーとされていても、両者の違いは以外と大きく、穿き心地の細部にまで及んでいることに気付かされます。

その違いを生むブリーフ側の要因を、kia***さんは「前開き現象」と名付けていますが、言い得て妙と思います(注3)。前開き型を穿き慣れてきた皆様も、意識してみるとその現象に改めて気付いてなるほどと思われるでしょう。


注1)今回に先だってKiia***さんが整理した「目次」をご覧下さい。
注2)コロナ明けで超多忙化し、現況も同様のため、予定内容を分割してupしていきます。
注3)分析の視点や記述から「あるいは・・」と思って伺ったところ、専門は違いますが、同じく理工学分野に従事とのことで納得でした(同氏了解済みメモ)。

以下、kia***さんの本文

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4-1.ブリーフ前開き現象-1:出入口からの感触・・縁取りの左右接近とズレ動き

★今後のテーマ背景

(1)これまでの項目・内容と相互関係について整理した以下のノートをご覧下さい。https://ameblo.jp/lin-baelder/entry-12802521505.html
 
前回と(比較3)および前々回(比較4)で、国内で普通のブリーフと欧州型ブリーフ(Slip)では前面部の形が違うこと、前者を穿き上げると前開きの形が変化することを述べました。また、その変化後の前面部が与える印象にも触れました。以後の2~3回は、この「形状変化:前開き現象(注4)」が、肌着として最も大切な感触と穿き心地にどう影響するのか」について述べようと思います。

基本となるのは、(slipが普通であった)私が帰国後の経験の中で感じ、思い、考えたことになります。ただし、モデル的な要素分解や整理は12~13才の身には無理でしたから、現在の目で当時を振り返って整理し、まとめています。「slipにはないブリーフの前開きで発生する現象とそこから引き起こされる諸事象」と言うと大袈裟になりますが(笑)、対象となる事項はかなり多岐にわたると思います。

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注4)子供時代から理系諸現象に関心があり、周辺で起こる事柄も「○○現象」と勝手に名付けて呼んでいました。その流れで、初めて穿いたブリーフで体験した事柄も「ブリーフ現象」と名付けていました。例えば、「今日も体育や部活中にブリーフ現象が起こった・・・」といった調子です(笑)。しかし、当面採り上げる対象のほとんどは「前開きの存在」に起因しています。そこで、「ブリーフ現象」よりも絞り込んだ、「(ブリーフの)前開き現象」と呼ぶことにします。
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4 前開きが生むブリーフ特有の感触(前開き現象)
4-1.ブリーフの前開き現象-1:出入口からの感触・・縁取りの左右接近とズレ動き

この章では、「(Slipにはない)ブリーフ特有の構造」がどのような感触と穿き心地を自分にもたらし、それをどう感じ、受け取ったかについて述べます。その「特有の構造」として上げられるのは以下の2つです。

[1]前開き

[2]ローレグカットの裾(太股付け根や尻の下側まである裾)。
https://ameblo.jp/lin-baelder/entry-12720909528.html?frm=theme
(★リンク先を訂正しました。図11と図12から、欧州型ブリーフ(slip)と国内型ブリーフの形状差が、前面側とヒップ側の両方でハッキリすると思います)

まずは[1]による「前開き現象」を採り上げます。具体的には「前開き部が着用時に左右に広がって形状変化すること(下記記事参照)」から発生する諸事象」となります。
https://ameblo.jp/lin-baelder/entry-12750319274.html?frm=theme
https://ameblo.jp/lin-baelder/entry-12766038321.html?frm=theme

今回はその内の特に、「前開きの出口にある縁取り線の動き」がブリーフ初体験の者にどのような感触と穿き心地を与えたのかについて述べます。

(1)「ブリーフの前開き現象」とその構成要素
前回に述べたように、ブリーフを穿き上げると前開きの構造が左右に広がり、形が変化します。これをモデル的に図示したのが図18です



前開き着用前後モデル

図18 着用前後におけるブリーフ前開き(着色)部の形状変化。薄赤色は表側の生地、薄青色は内部側の生地。穿き上げるとと、①左(実線・表側開口部)右(点線・内側開口部)の縁取り線が互いに近づき、②その中央部が内側に湾曲して前開き二重部(薄赤・薄青の重複部)が狭まる。それと同時に、狭まった二重部の両脇にある一重部が左右に大きく広がる。

この図で左右の着用前後を比較すると、以下の変化要素①が同時に起こることが分かります。

①補強縁取り線の左右接近
 
左(実線・表側開口部)・右(点線・内側開口部)の補強縁取り線Cが湾曲しつつ互いに接近する。

②中央二重幅の縮小
中央部にある二重(ふたえ)の領域(薄赤と薄青の重複部)の幅が狭まり、その下側2/3の面積も減る。
 
③表裏開口部に近接する一重部の左右拡張
中央二重部が狭まる以上に、この両脇にある一重(ひとえ)の領域(薄赤と薄青の領域)が大きく広がる。

以下の再掲16図も合わせ見ると、①、②、③の実感が伝わるように思います。

ブリーフ着用前後-2

     再掲16図 ブリーフ前あき部の着用前と後の形状比較。      https://ameblo.jp/lin-baelder/entry-12750319274.html?frm=theme


以上①②③の変化は単独であるいは相互に連携して、「slipにはないブリーフ独特の感触」を生み出します。また、その程度と安定性は着用洗濯の繰り返しとともに変化していくことも当時経験しました。



(2)「ブリーフの前あき現象」がもたらす感触-1:縁取り線からの感触
(2)-1.前開き縁取り線の左右接近が生む感触

図19は穿き上げたときのブリーフ前開き形状被覆保持対象部(灰色楕円形で代表)との関係をモデル的に示しています。


briefs着用後被覆状況
 図19 穿き上げたブリーフの前開きと被覆保持部の状況モデル図。縁取り線の赤色部から特有の感触。
 
図から分かるように、ブリーフを穿き上げると、左右の縁取り線が、被覆保持した袋部の下側を直接あるいは内側生地越しに間接的に通過するようになります。

これは私にとって初めての経験で、図の赤色着色した帯域に「slipにはない“ゴロゴロ感”」とでもいう(謎の)感触を覚え、「へえ~、ブリーフってこんな感じなのか~!?」と思いました。

(2)-2.縁取り線位置の安定性の影響

この縁取り線による(ゴロゴロ)感触は新品と穿き慣れ品の両方で感じましたが、位置とその安定性に違いがありました。具体的には、新品に近いほど一定箇所で安定的なのですが、穿き込んだものでは複雑に変化しました。

つまり、穿き込みブリーフを洗濯乾燥後に穿くと、その直後の縁取り線位置はほぼ新品と同様でした。しかし、日常生活や校内活動で時間が経過して行くと、ともすると縁取り線(ゴロゴロ感触)の場所がズレ動くのを感じました。

着用後前開き状況簡易版

図19の再掲簡易版:着用後状況

その理由を当時なりに探ってみると、
1)前開きの使用で縁取りが段々伸びていく、
2)その伸びは洗濯乾燥すると縮んで、縁取りは新品長さ近くに戻る、
でも
3)着用後の生活活動や運動とともに1)の状態まで伸びて緩む、
といったことが原因と気付きました。

このような現象に加えてさらに、縁取り線の左右接近度やその内側の) (型の湾曲レベルによっては、縁取り線が被覆保持対象のロッド部を斜め横断するため、位置の定まらない異物感のようなものを覚えました。

以上の現象は、新品に近いものほど生じにくく、穿き込んで縁取り線が伸びて緩んだブリーフほどよく生じる傾向でした。とくに、下半身を大きく動かす日常動作やスポーツでよく起こり、テニスのような片足を大きく踏み出すようなときに顕著でした。

図20は実際の着用状況の例です。図18~19図と合わせ見ると、「(2)-1~2のブリーフ現象と感触・穿き心地への影響」について、具体的な感じを分かって頂けるように思います。

穿き上げ状況実例

図20 成人用(左)とジュニア用(右)ブリーフの着用状況例 (c.f.図19)。


(2)-3.Slipとの対比

図21はslipの穿き上げ状況モデルです。slipでは前開きとその縁取り線が存在しません。したがって、縁取り線移動、同位置の不安定化、そしてこれらに起因する感触が本来的に生じないことが了解できます。

逆にいえば、このようなslipに幼児期から慣れていた者にとって、ブリーフの「前あき現象」から来る上記(2)-1~2の感触は、物珍しさ、軽い驚き、それに一種の新鮮味(?)を覚えさせるものでした。


slipの着用後状況

図21 Slipの穿き上げ状況モデル(c.f.図19)。

次回は「前あき現象」のpart-2として、穿き上げ後の「②中央二重(ふたえ)幅の縮小」の影響について述べる予定です。