昨年後半から執筆陣全員が超多忙化して掲載が遅れました。

今回はKia**さんによる「ブリーフ特有現象」の第3部で、穿き上げたときに前開き部中央の二重部の両脇にある一重部が拡大する現象についてです(注1)。

これも、幼年時からブリーフ慣れ(?)した者は特に意識してこなかったポイントで、ブリーフが初体験でかつ現象観察力の優れた帰国子女kia***さんならではの視点でしょう(注2)。

(注1)Kia***さんによれば、この一重部の拡大についてはパート3まであり、「ブリーフ現象」の中核的ファクターの一つとのことです。ブリーフとはつくづく奥深い下着と思います!。

(注2)「大規模外れ、安定化、時として要手入れ修正・・」と言われてみれば、私をはじめ多くの方が「確かに覚えあり!」と思います。

以下kia***さんの本論
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4-3.ブリーフの前開き現象-3:一重部拡張による大規模外れ

(1)今回のテーマ

ブリーフに特有の前開き現象の第3部として、前開き二重部の両サイドにある一重部が拡張して、そこに保護部が“安置“され安定化してしまう現象が主題です。前回から時間が経ってしまったため、復習の意味も込めて、前回までに述べた前開き現象についても要約しつつ述べていきたいと思います。

(2)前開き現象の構成要素

すでに記したように、ブリーフを穿き上げると前開き一帯の形が大きく変わります。その変化を構成する要素は以下の3つです(図25)。
 
  ①補強縁取り線の左右接近(前々回)
  ②中央二重幅の縮小(前回)
  ③表裏開口部に近接する一重部の左右拡張(今回)

外れ現象①②③の③


図25 ブリーフ穿き上げたときの前開き二重部(ふたえ)の形状寸化(図21で今回のポイント部を着色)。前開中央の二重部(灰色)に隣接する一重部(薄オレンジ色)が、ブリーフの穿き上げとともに大きく左右に広がることに注意。

前回までに①「左右縁取り線の接近」②「二重部幅の縮小」について述べました。今回から
③「一重部の拡張」から発生する現象とその付随効果について記していきます。ここで起こることを一口で言えば、「大規模外れ現象とその安定化ならびに透け見え」です。率直に言って、体感や視覚にとっては切実な感覚が反映するテーマですが、客観的に述べていきたいと思います。今回はまず前半の外れ現象に焦点を当てます。

(3)一重部の拡張と大規模外れ現象

(3)-1 「一重部拡大」の4パターン

図26はブリーフを穿き上げたときに発生する「一重部の拡大現象」の代表的パターンです。AとBは②「二重部幅の縮小」との関連で前回取り上げたもので、Aはブリーフを穿き上げただけで生じる拡大、BはAに加えて開脚と閉脚の繰り返しで二重部下端の幅縮小が重なった状態です。

このAからは「保護・可動部の
二重部からの外れ(はみ出し)現象」が生じます。ブリーフ初心者にとってはこれだけでも「ン?」とか「え~っ、何これっ!!!」となりました(前回https://ameblo.jp/lin-baelder/entry-12814207065.html )。

今回のCとDは、
“前開き現象“のAやBがさらに進んで、一重部が大きく拡張した状態です。これはスポーツなどで大きな下肢の動作をしたときに発生するのを経験しました。この現象では、一重部は左右対称ではなく、向かって右側(C)か同左側(D)に偏って大きく拡張するのが特徴です(!)。

一重外れ-2

図26 ブリーフを穿き上げに伴う「一重部拡大」の代表パターン。AやBが切っ掛けとなってCやDへと拡張進展。左右対称ではなくて、どちらかに大きく偏って拡張するのが特徴。

(3)-2 大規模外れ現象(!)の概要

はこれまでのよりも格段に大きな(保護対象部の)外れ現象を引き起こします(図27)。しかもこの現象は、偏った一重部拡張自体をさらに助長・拡大して、大規模外れの状態を安定化させてしまいます。

なおこの大規模外れのCととは同じ現象に見えます。しかし、外れ状態の安定性や付随現象の引き起こし方にかなりの差があります。この差は前開きの構造を考えると、必然的なものと言えます。詳細については、次回以降に改めて述べたいと思います。
保護部外れ比較-1

図27 一重部拡張による外れ現象の4パターン。一重部の拡張で保護部(灰色楕円)が本来位置するはずの二重部(灰色)から部分的(AとB)ないしは全面的(CとD)に外れてしまう。CとDの大規模外れは安定度が高く、着用感や対運動順応性を損ねる


以上のような大規模事象(大袈裟ですが(笑))は、ブリーフ着用で足腰の大きく激しい動きを伴うスポーツ(テニスやサッカーなど)をしている際に、多くの方が経験したことがあると思います。

このような大規模外れを生じてしまうと、
着用上での違和感を覚えるし運動順応にも不都合なため、その場対応で修正したくなります。しかしAやBに対するような、無意識的なちょっとした腰部ひねりや臀部引き動作などではなかなか直りません。スポーツ着とブリーフのウエストを一緒に左右にずらし回したり、”外れ安定性”が頑固に時には手入れ修正を要したりします。

(3)-3 大規模拡張の起こり易さ(自己体験)

私の経験では、大規模拡張CやDの起こり易さは、そのブリーフの使用度で違っていました。つまり、新品状態に近いブリーフでは起こりにくいのですが、着用を重ねると起こり易くなりました。これは前開き構造の緩み・・・・・特に前開きの内側と外側の補強縁取り線(再掲18図のC)と二重部の生地(同図のA)が伸びて緩むからだと当時もすぐ気付きました。

こうしたことが自分の場合は着用開始から間もなく起こり始めた理由等についても次回以降に考察したいと思います(これも大袈裟ですが・・(笑))。



再掲図18

再掲図18 着用前後におけるブリーフ前開き(着色)部の形状変化


(4)大規模外れ現象に対する直感的視察

以下の参考図の比較を見ると、ブリーフの前あき構造内の一重部ではこの大規模現象が生じてしまうことが直感的に見て取れると思います。また
Slipではこうした現象の生じようがないことが分かります。


簡略版S-B比較

参考図 成人用(上側)ならびにジュニア用(下側)について米(英)日型のブリーフ(左側)と欧州型ブリーフ(右側:Slip)との比較。https://ameblo.jp/lin-baelder/entry-12797566387.html