ブリーフの前開きが生む現象と感触について、引き続きkia***さんに解説頂きます。今回のテーマは、ブリーフを穿き上げたときに中央の二重部の幅が縮小する現象とその影響です。

前回の縁取りと並んで、小さい頃からブリーフに穿き慣れた者には思いがけない観点です。しかし、指摘されてみると「なるほど!」で、私なども動きの大きな運動や姿勢の変化で「アレッ!?」となって、その場でほとんど無意識的に対処していたことに思い当たります(笑:注1)。

(注1)ブリーフが初めての方にとっては、幼児期からブリーフ慣れした私達のような「何気対処」はむずかしいのかもしれません。

以下kia***さんの本論解説
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4-2.ブリーフ前開き現象-2:二重幅縮小で生じる“外れ”現象

(1)今回のテーマ
ブリーフ前開きの特有現象のpart-2で、今回は保護対象の部位が二重(ふたえ)部から外れて起こる現象についてです。

ブリーフを穿き上げると、図21の左から右へと前開きの形が変化します。その構成要素は図中に示した以下の三項目です。    
   ①補強縁取り線の左右接近
   ②中央二重幅の縮小
   ③表裏開口部に近接する一重部の左右拡張
 

着用前後の二重部縮小

図21 ブリーフ前開きを穿き上げたときの二重部(ふたえ:灰色着色部)の形状寸化


前回の(2)節ではまず①に着目して、この現象の詳細ともたらす感触について以下を記しました。
 (2)-1.前開き縁取り線の左右接近が生む感触
 (2)-2.縁取り線位置の安定性の影響
 (2)-3.Slipとの対比
(詳細は前回を参照下さい:
https://ameblo.jp/lin-baelder/entry-12803700657.html

今回は、図21で赤字で示した「②中央二重幅の縮小が引き起こす現象と感触」がテーマで、当時のことを現在の目で振り返りながら述べていきましょう。

(2) 二重幅の縮小による“外れ”現象とインパクト

(2)-1 穿き上げ後に狭まった二重部と保護部の関係
 
ブリーフ穿き上げの前後を図式化すると図22のようになります。前開き中央の灰色部は生地が二重(ふたえ)の領域です。中央部の点線楕円は「保護部ならびに運動中に前者が動くおよその領域」を代表させたもので、略称として「保護・可動域」とよぶことにします。

二重の着用前後-可動部付き

図22 前開き二重部の着用前と着用後の代表的状況。二重部中央の点線楕円は保護部とその可動域(保護・可動域)。

この図のように、ブリーフ穿き上げとともに①前開き左右の縁取り線が接近すると同時に、②二重部中央の幅がかなり縮小します。これによって、姿勢や運動状況に応じて、ともすると「左右接近した縁取り線」と「保護・可動域」がクロスします。

こうして主に①に起因してブリーフを初めて穿いて感じたのが、前回述べたような「ゴロゴロ感」とその「ズレ動き感」あるいは「位置の定まらない異物感」でした。

(2)-2 二重部外れ現象の諸相とインパクト

これに加えて生じるのが、『「②によって幅が縮小した二重部」から「保護・可動域」が外れ出てしまう現象』です。これは①と表裏の関係にありますが、ブリーフが初めての者には相当強いインパクトとなります(!)。

穿き上げと外れ現象

再掲図22 “外れ現象“の発生!

それは下着=Slipだった私にとっては、信じられない事態でした(大袈裟ですが(笑))。つまり、体育や部活等のスポーツで大きな腰部・脚部の運動や姿勢変化の際に、ふとした拍子で保護対象の一部やかなりの部分が二重生地部から外れて「ン?」となったり領域外れ現象)、“ロッド部”や“袋部”の一部が二重の間に挟み込まれたり潜り込んだり小規模はみ出し現象)したのです。

時にはさらに、前開きが開口気味となって、ロッドや袋部の一部がはみ出すような感じ(その時点で実見したわけではないのであくまでも感触からの推定です)を受けて、「え~っなにこれっ!!!?」となったりしました(大規模はみ出し現象)。

(2)-3 “外れ現象”のメカニズム

これらの前開き現象の原因はもちろん、ブリーフには前開きがあって、穿くと必然的に①と②が生じるためですが、当時感じたこともあわせて今の目で見直すと、もう少し詳しい(ややこしい(?))発生状況が見えてきます(注1)。  

(注1)前開きブリーフはある意味、他のタイプにはない奥深さのある下着と言えそうです(笑)。

つまりこの出来事には、図23のように、穿き上げ後の足(太股)が開いているか(左図)閉じているか(右図)で、二重部の幅と形がかなり変化することが密接に関係しています。運動時にはこの開脚(a)と閉脚(b)を頻繁に繰り返すことになるので、「幅縮小の二重部」と「保護・可動域」は不安定になり<1>相互に左右にズレ合いこすれ合う状況となります。
 
着用後の足開閉

図23 着用後の太股の開閉による二重部の幅と形の変化。二重部と保護・可動域との関係も変化。

運動時にはさらに、左右の足(太股)の前後踏み出しとその復元(逆方向)運動が重なってきます。この運動の過程で、穿き上げで幅が狭まくなった二重部ではその「閉まり強さ」が強まったり緩んだりします。こうして、開脚(a)と閉脚(b)の繰り返しで上記<1>の左右方向のズレ合い・こすれ合いに加えてさらに<2>の前開きに対して前後方向の動きで二重部の閉まり強さが緩むとき、先述の「保護・可動域の小規模~大規模はみ出し現象」が発生してしまうのです。

(3)Slipとの対比

図24は、紳士用およびジュニア用について、二重部の実際状況をブリーフとslipで比較対照したものです。ここで示した4例のSlipのブランド(メーカー)のお国もとは違っていますが、共通していずれの場合も着用後の二重部が安定的に十分な幅をもっています。このため、二重部と保護・可動域との関係が安定的で、大きく激しい運動をしていても「外れ現象」が本来的に起こらないことが見て取れると思います。


B-S大人子供用の二重部比較
図24 着用後の二重部の状況比較。上段は紳士用、下段はジュニア用。灰色表示部は二重部Slipのブランド(メーカー)の国別:紳士用slip1は仏、slip2はスイス、ジュニア用のslip1は独、slip2は伊。

次回以降、
「③表裏開口部に近接する一重部の左右拡張」が引き起こす現象と感触について述べ、引き続き、二重部外れ現象に影響する諸因子、周囲のブリーフ派の友人達が(多分)無意識にしていた対処法、また私自身がとった対応策等について記していく予定です。