長毛種の体格の良いネコ
このネコはめちゃ暑い時期も、こんな風に長い毛を纏っていた。ようやく少しずつ涼しくなってきたが、やはりこのくらい毛があるので、本来、寒い地域のネコなのだろう。
なかなか高級感あるが、なぜかノラネコ。顔を見るとそう若くはない感じ。
真横からの姿。右耳がカットされておりオスネコである。このネコも地域猫。
日本の野良によくいるネコ、ぶちとか三毛猫はよく鳴く。これは鳴いてネコおばさんとかにアピールしないと餌がもらえないのもあるのかも、と思う。
しかし、家庭で飼われる外国産のネコはあまり鳴かないらしい。このネコはここ2年くらい見ているが、鳴いているのを見たことがない。
耳、尻尾も含めあらゆるところの毛がふさふさ。このネコはどう見ても外国産である。いかなる理由でノラネコになっているのかは不明。
これは後ろ姿。
精神科で先発品を希望する際、特別な料金の目安について
2024年10月1日から始まった「本人の嗜好で先発品を希望する際の特別な料金」の徴収額について、とても興味深い?ことになっているので、今回記事にすることにした。
ベンゾジアゼピン系眠剤、抗不安薬などは、現在、薬価も後発品価格もかなり安価になっており、差異の25%が1円前後になっているものが非常に多い。差異の25%が10円を超えることがほぼない。
先発品を希望しペナルティを消費税を含めて徴収される際に、保険点数計算になるので、大部分が1日1点、つまり10円に収束し、14日分薬を貰って140円+消費税、154円が非常に多くなる。30日分だと300円+消費税、330円となる。
例えば、ゾルピデムではなくマイスリーを希望したとしよう。差額の25%は4円なので、切り上げで1日10円となり、支払いはその日数分になる(+消費税)。ソラナックスだと1錠ということは稀だと思うが、1日数錠処方されても僅かなので、やはり1日10円である。(+消費税)
それ以外の例えば非定型抗精神病薬でさえ、1日10円になることが多い。つまりベンゾジアゼピンも非定型抗精神病薬も同じ1日10円に収束することが多いのである。しかし、ごく一部に例外がある。例えばジプレキサザイディス10㎎。
ジプレキサザイディス10㎎の薬価;203.8円
オランザピンOD10㎎最高値;63.3円
ジプレキサザイディスの薬価が200円を超えていて、なぜオランザピンOD10㎎がここまで安いかと言えば、多くの製薬会社が製造しており、競争原理も働いていることが挙げられる。その結果、その差額25%でも42.55円と差が大きい。これは点数では1日5点になり、つまり1日50円(プラス消費税)が徴収される(55円)。これは30日分処方を受けると、1650円となり、自立支援法を受けていても援助されずそのまま徴収される。
なお、ジプレキサザイディスは1日上限が20㎎までなので、20㎎処方だと差額25%が85.1円となり、点数で9点(90円)となる。更に消費税がかかるため、99円×30日で、ペナルティは2970円もかかることになる。この辺りの金額が精神科界のペナルティとしては上限ではないかと思われる。
実は、ジプレキサザイディスが必須でオランザピンODではダメという医師のチェックはかなり苦しい。ほとんどの人で、この2剤は大差ないからである。しかし薬物動態はジプレキサザイディスとオランザピンは相当異なっているようには見える。なぜ結果が概ね同じになるかと言うと、ジプレキサザイディスは、MARTAという特性も関係ありそうである。
この辺りがズブズブと前回の記事で記載しているのは、医師が必要性を認めるケースで、処方箋に、なぜ先発品が必須なのかその詳細の説明が必要ないことに尽きる。つまり、そこまで厳しく運用されてないため、ズブズブと表現したのである。
確かに医師によれば、必要性も乏しいのに、「必要性を認める」を連発する人もいそうである。特にジェネリック嫌いの医師は。
僕の患者さんでは、1名だけ、ジプレキサザイディスでは幻覚妄想がまとまるのだが、オランザピンでは賦活が強過ぎて幻覚妄想が悪化する人がいる。何度繰り返してもそうなので、生活保護ながら、ジプレキサザイディス20mgを処方しているが文句を言われたことはない。このような事例を見ると、ジプレキサザイディスとジェネリックのオランザピンが同等ではないのは明らかである。
現在比較的、医師の曖昧な「先発品の必要性」容認しているのは、きっと移行期間だからだろうと思う。近い将来、25%どころか満額差額を支払わせる時代が来るかもしれない。それだけ、国民医療費は切迫している。
僕は個人的に今回のルールは賛成の方である。その理由は、わずか150円の増額でもジェネリックに変更する人がいるし、医師もそれまで漫然と放置していた先発品をジェネリックに変更する意識付けになるからである。
うちの病院はデュロキセチンはあまり処方数がなく、サインバルタばかりであった。その理由は、デュロキセチンが発売された当時、納入が不安定でサインバルタのままにしておいた方が良かったからである。今回のルール変更で、今後、サインバルタからデュロキセチンに変更が進むのは間違いない。
ジプレキサザイディス以外に、1日10円を超えそうな薬にはエビリファイや新規抗てんかん薬が挙げられる。ジェネリックが出ているわけで、新規と言う言葉も変だけど。
前回の記事では、今回のルール変更で、ラミクタールからラモトリギンに変更は中毒疹が劇的に出ないか不安、といった内容を記載している。ところが、
ラミクタール100㎎の薬価;89.2円
ラモトリギン100㎎の最高値;75円
こんなに高価なジェネリック見たことないといったところ。ラミクタールとラモトリギンの薬価差が極めて小さい理由は、おそらくラミクタールはスティーブンス・ジョンソン症候群などの毒疹が出るリスクが他の薬より高いため、ジェネリックを製造する後発品の製薬会社が少なかったからと思われる。
先発品とジェネリック価格に差異が小さいと、古いベンゾジアセピンと同じような状況になる。
ラミクタールとラモトリギンは競争原理が働かず価格差が小さくなったのであろう。ラミクタール100㎎とラモトリギンの価格差の25%は3.55円でしかない。これは点数では1点(10円)になるので、30日分処方されても300円(+消費前)にしかならない。もし1日、400㎎ラミクタールを処方されている人では、価格差が14.2円になり、これは2点(20円)なので、30日処方なら600円(+消費税)である。
ベンゾジアゼピンの場合、一部の人に是非先発品にしてほしいと希望する人がおり、1日10円くらいなら、むしろその方が良いと言う人もいそうである。しかし、医師のジェネリック処方の意識が高まるので、将来的には今回のルール変更は医薬品の医療費削減に貢献するように思われる。
今回のルール変更で特筆すべきことは、従来、調剤薬局は支払いで1円単位のやり取りはなかったのだが、今はあること。140円に消費税が付くと154円になる。
つまり調剤薬局は1円玉も準備しておかないといけなくなったのであった。
参考
今回の記事には不正確な部分があり、以下の記事も参照してください。
本人の嗜好で先発品を希望する際の特別な料金について(2024年10月)
2024年10月1日から特別な理由もなく、先発品を希望する場合、後発品との差額の4分の1に当たる料金を別途徴収されるルールに変更されている。これは十分に周知されておらず、急に院外薬局で別料金を請求された時、びっくりする人もいるのではないかと思う。以下、その簡単な説明が記載されている。これはペナルティのごとき料金なので更に消費税も徴収されるようである。
以下は上記内容が記載された厚生労働省のホームページ。
この差額が生じる条件だが、医師が必要と認める場合は徴収されない。例えばてんかんの患者さんでジェネリックに変更した場合、血中濃度が変化して発作が起こるようなケースである。
てんかんの患者さんがこのルールのために後発品に変更し、その結果、長期間起きなかった発作が起こった場合、自動車免許もしばらく使えなくなるし、人によればそのために仕事もできなくなるので酷いことになる。特に地方では影響が大きい。
また、稀に抗精神病薬をジェネリックに変更した際、幻覚妄想が悪化する人が実際にいる。そのようなケースであれば医師が先発品継続の必要性を認めるため徴収されない。
複雑な点は、精神科では自立支援法による医療費の援助があることだと思う。今回のペナルティは、自立支援法外で行われるもので、月額の支払い上限が例えば2500円の人であっても、それを超えて徴収される。
更に複雑なのは、その徴収は保険点数で実施されることである。ある患者さんは、処方内に唯一先発品のリーマスが処方されていた。それも1日、200mg1錠だけで、おそらく先発品との1日の25%の差額は僅かだが、切り上げで1日1点となり、これは10円に相当するため、14日分でペナルティ徴収分が140円となった。これは安価なリーマス200mg1錠(先発品、13.5円、ジェネリック6円くらい)に比べると大きな金額だと思う。
今回の対象となる薬だが、市場でジェネリックが50%以上シェアがあり、むしろジェネリックを使う方が一般的になっている薬が対象となっている。元々、ジェネリックさえないコンサータなどは関係がない。またロキソニンはなぜか対象になっていない。
興味深いのは、生活保護の人のペナルティの扱いである。生活保護はジェネリック処方が義務付けられているので、徴収するケースはあり得ないと言う風に記載されている。以下の通り。
医師が先発品の必要性を認めるか、調剤薬局に在庫がない以外は先発品は処方できない。生活保護の患者さんの嗜好であれば許されないが、上記に挙げた血中濃度が不安定になりてんかん発作が起こるとか、ジェネリックだとアレルギーが生じるなどの特殊事例は、医師が必要と認めるケースなのでペナルティは徴収されないのである。
個人的に不思議に思うのは、現在のように、ジェネリックの供給が不安定で、出荷停止が相次いでいるタイミングでこのようなルール変更が実施されたことである。
調剤薬局に在庫がない時は、ペナルティは生じないルールである。と言うことは、同じ処方でもペナルティを徴収される日とそうでない日が生じうる。これは混乱を招くと思う。
また、医師が必要性を認めるケースも曖昧になると思うし、なんだかズブズブというか、患者さんへの説明やペナルティ金額の細かい計算など、現場の仕事も著しく増えるので、いったい意味あるのか?というルール変更だと思う。
そもそも、うちの病院では中毒疹を恐れて、院内処方ではラミクタールしか使っていない。従って院外でも躁うつ病の人は、ラモトリギンの人は少なくラミクタールが主体に処方されている。ところがラミクタールは高価な向精神薬なので、このルールのペナルティも比較的大きく、300mg〜400mgを突然ジェネリックに変更して、劇的にスティーブンス・ジョンソン症候群が生じたら大事件である。これだけは心配している。
なんとなくこの用量でも数年単位で長期間服薬している人は中毒疹は起こらないように思うし、増量中ならともかく、医師が先発品が必要と認めるほどではないと思う。
今回のペナルティは、現場の仕事も増やすし、医師の心配も増やすルール変更なのであった。
参考
上記の記事は不正確な部分があり以下の記事も参照してください。
ヒトは犬のように生きるより、ネコのように生きる方が良い?のかという話
ある曇りの日の夕方、家の塀の上にいるネコを見た。こちらを見下ろしている。曇りだけどやや逆光。
患者さんの話だが、夜寝ている時によく家ネコが起こすらしい。何度も起こされるので睡眠不足になると言う。なぜ起こすのか聴くと、夜中にネコが毛玉をよく吐く。それ以外に、単に甘えて起こすこともあると言う。
吐くのはともかく、寝ているご主人を起こすなんて、なんと言う自己中心的。犬とは大違いである。
ネコはよくツンデレと言われるが、これは甘えてきたかと思うと、急に知らんぷりするなど、ネコの習性を指している。ネコのマイペースで、よく言えば自由奔放な性格を言っている。
僕がいろいろなノラネコを観察している限り、全てのネコがツンデレと言うわけではなく、ツンデレ度には差がある。少なくとも、ネコは犬より過去のイベントに、さほど人生が影響されていないようには見える。
日本社会は人に合わせ、常に相対的な自分の位置関係を意識して生きて行かないといけない奇妙なストレス社会である。そうしないと自分が浮いてしまい、少なくとも周囲から良い評価は得られない。ネコのようにツンデレだと、マイナスに評価されやすいのである。
日本人は、常に周囲を意識し期待に応えていく方が、ストレスはあるけど、能力があると評価される。しかし自分自身の欲求には応えていない。だから実感として、幸せなのかと言うと、全然そうではないことも多い。
日本では、個性的な人は、没個性であることを強いられる社会である。
小学校時代は成績が良かったのに、中学校、高校と上がるにつれて成績が下がる子供がいる。これはずっと周囲、特に親の期待に応えてきたのに、それに応えられなくなった衝撃が大きい。
他の人の期待、評価を意識しすぎることが、その若者の不幸せ感にかなり影響している。
そのようなことを考えていくと、ネコの生き方は、そのまま日本社会で真似るわけにもいかないが、幸せ感を上げる努力目標的な生き方にも見える。
ネコの生き方は、過去のイベント、周囲の人の評価、期待とは無頓着な生き方だからである。
院内薬局と院外薬局の医薬品の在庫差について
現在、向精神薬に限らないが長期間、医薬品の供給不安定な状況が続いている。例えば、上の記事のレボトミンもそうである。未だにレボトミンは不足していて、25㎎が細々と入荷しているが今も5㎎や50㎎錠は納入できない。
近年はレボトミンがないと困るケースはかなり少ない。それでも長期入院患者さんには継続的に服薬している人がいる。抗幻覚妄想のために服薬している人は少なく、眠剤の補助剤として服用している人の方が多い。この目的だと25㎎があればなんとかなる。
なお、5㎎錠はかつて不安発作の際に処方することがあったが、近年はそのような処方が稀だし、今は5㎎が手に入らないのでできなくなっている。
近年、困ることの1つは、抗パーキンソン薬(ビペリデン、トリヘキシフェニジル)が不足していることである。主にその理由からヒベルナも不足している。以下のリンクを参照してほしい。
抗パーキンソン薬は定型抗精神病薬から非定型抗精神病薬処方が主になって以降、必要性はかなり減っているものの、非定型抗精神病薬でもパーキンソン症状が出る人がいるし、長期入院の人達の中には定型抗精神病薬がどうしても必要な人がいる。
現在でも抗パーキンソン薬が手に入らなくなると非常に困るのである。
ところで、院内薬局で非常に不足しているのに、院外薬局ではそうではないことがある。また、その逆もある。この理由は、向精神薬の卸の業者が異なると、向精神薬の手に入りやすさに差が生じるためである。
例えば最近、院内薬局に十分に在庫があるのに、院外薬局にさっぱり在庫がないことがあった。
しかし、院内薬局から院外薬局に融通することはできない。それは病院は小売業の資格?のようなものがないからである。簡単にいえば、精神科病院は向精神薬を院外薬局に売ることはできない。
大手のチェーン店のような院外薬局は、調剤だけでなく、色々なもの(コンビニのように)を販売している。これは小売業も生業にしているからで、このようなケースではチェーン店の院外薬局間で在庫を融通することができると思われる。
従って「院内薬局に在庫があるのに院外薬局にない」パターンより、その逆の「院外薬局に在庫があるのに院内薬局にない」パターンの方が起こりやすい。これは、院外薬局(チェーン店舗数)の規模にも影響する。
一応、単科精神科病院は向精神薬をスムーズに購入できるように、卸との付き合いがあるので、それまで購入して来た実績があれば比較的手に入れられることも多い。新規に購入しょうとすると難しいのである。また院内で処方頻度が低い薬は、在庫がなくならないので長期間不足しないと言うこともある。
そのような理由から、現在、院内薬局ではカタプレスは在庫があるが、院外薬局では処方できない。
このようなことは、患者さんからみると不思議に思うかもしれないので、今回記事としてアップしている。