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2018-01-12 00:14:01

少量でも驚くほど効果が出る話

テーマ:ジプレキサ

今回は少量でも驚くほど効果が出る話。

 

精神科医はある理由があって薬を処方し、しばらくしてすっかり改善しているように思う時、その薬を漸減ないし中止することがある。もはや、その薬は必要ではないのでは?と思う時だ。

 

高齢者で精神病状態が見られる時、ジプレキサを使うことがある。ジプレキサはいろいろと面倒見が良いうえ、リスパダールなどよりEPSが出にくいことなども選択される理由である。エビリファイの大量でも良いことがあるが、エビリファイは直線的に効く傾向があるのが難点。また、ジプレキサに比べ少量投与という処方がしにくいのもある。(エビリファイ少量投与は重い精神病状態に処方した際、賦活しかしないケースも多い。)

 

ある時、老年期の精神病状態にジプレキサを使ったところ、極めて良好な経過になった男性患者さんがいた。彼は家では奥さん追いかけ、鎌で切り付けようとしたほどの精神症状だったが、入院後、たったジプレキサ1.25㎎で著しく改善し寛解に近い状態になった。

 

ところが、これほどの衝撃的な経過だと家族は絶対一緒に住みたくないという話になる。高齢者だと年齢にもよるが、退院させるとしても施設くらいになることが多い。そのため施設の入所待ちで数か月入院継続することも稀ではないのである。

 

ある日、結構経過が良いし、バルプロ酸なども併用していたこともあり、病棟師長と相談しジプレキサを中止してみることにした。これはたった1.25㎎しか処方していないこともある。

 

ところが中止後、1週間以内に著しく悪化し、同じような暴力行為が出現しかなり若い男性患者さんと喧嘩になりそうになったのである。(具体的には寝ている男性をある重いもので殴りつけようとした)

 

これはジプレキサによる離脱といった考え方は間違っている。それは入院前とかたちこそ変わっているが(病棟には鎌などない)、実質的に同じ精神症状が再現しているからである。

 

その後、やはりジプレキサは必要だったか・・と判断し、すぐにジプレキサ1.25㎎を戻したところ、1週間以内に速やかに落ち着いたのである。

 

特に入院治療では、わずかな精神病薬でも服用しているかどうかで大違いという場面に遭遇する。

 

(後半に続く)

 

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2017-11-30 01:14:58

ジプレキサからシクレストに変更

テーマ:ジプレキサ

ジプレキサおよびシクレストを服用したことがない人、たとえば発病後まもない人にジプレキサないしシクレストを処方した際、受ける印象がかなり違う。

 

ジプレキサは錐体外路症状の副作用が少なく感じるが、シクレストはそうではなく、振戦や筋強剛などの副作用が意外に出る。

 

シクレストはMARTAmulti-acting receptor targeted antipsychotics)ではないみたいなのである。

 

そのようなことから、何らかの理由でジプレキサからシクレストに変更する際に、結構プレッシャーがかかる。

 

ジプレキサはなんだかんだ言ってよくわからない機序で精神病状態を改善しているのに対し、シクレストは一歩、正統派のメジャートランキライザーに近いからである。

 

しかし、その分うまくシクレストに変更できるなら、幻聴などがジプレキサより減るような期待感がある。

 

元々、ジプレキサを飲んでなお幻聴が残っている人は重いレベルの人である。普通は効かないなら他の抗精神病薬に変更すべきだが、それもかなわない人たち。相対的にまだジプレキサを服用していた方がマシといったレベルで、そうは効かないけど使わないともっと大変なことになるレベル。

 

そのくらいの人は、シクレストだともう1段階改善する可能性がある。しかし何らかの副作用が出ることで服薬してくれないかもしれない。

 

ジプレキサとシクレストはほぼ等価なので、ジプレキサを10㎎使っている人はシクレスト10㎎に変更する。なんとなくだがジプレキサからシクレストに変更すると、量にもよるが、ジプレキサの賦活作用が全くなくなるような感じもする。

 

ここから結論的なものになるが、全く服用したことがない人たちへのジプレキサとシクレストを処方した印象は異なるが、ジプレキサを長年飲んでいる人たちにシクレストを処方した際、あまり波乱が起こらず、この薬がジプレキサの延長上にあるのがわかる。(つまり同じMARTA

 

ある男性患者さんは長くジプレキサ10㎎を飲んでいたが、ある時、エビリファイ24㎎に切り替えた。ところが体重もあまり減らず、見かけ上、これといった変化がなかった。しかし悪化もなかったためそれでも良いかと思っていたが、そうでもなかかったのである。エビリファイで治療するとアルコールのセルフコントロールができない。ジプレキサだとできるのである。一見、逆のように見えるが、このあたりジプレキサが細かい仕事人なのがわかる。1年くらいでエビリファイに見切りをつけジプレキサに戻った。

 

しかしジプレキサの効き味が良いかというとそうでもなく、他の抗精神病薬よりマシといった程度である。シクレストの発売後、漸減漸増でシクレスト10㎎に切り替えた。これといった副作用もなく、見た感じもあまり変化がない。体重も全然減らない。しかし、シクレストに変更して以降、時々デイケアに参加できるようになった。また毎日散歩しているという。アルコールも1週間に1回しか飲まないらしい。これなら、シクレストに変更した甲斐があるといったところだ。

 

また、ある別の男性患者さんはジプレキサとアルコールのため次第にHbA1cが糖尿病域に達した。これは中止せざるを得ないケースである。ジプレキサの代替薬は今ならシクレストであるが、この患者に限ればうまくいかない可能性は低いと思った。長年、抗精神病薬を服用していたからである。(かつてセレネースやリスパダールを服用していたこともある。)

 

この男性はジプレキサは5㎎だけだったため、シクレスト5㎎に変更した。なんと、変更後1か月で5㎏体重が減少し、2か月で8㎏まで減らすことができた。あっという間に数か月でHbA1cが正常域まで戻ったのである。ただし、本人の食事の変更や散歩をすること、アルコールを週に1回に控えるなども貢献している。(彼は就労している)。

 

彼の言葉。

散歩が楽しい。なんだか気分が良い。眠りも良くなり無駄な夢をみなくなったです。

 

このような話を聴くと、シクレストも同じMARTAなのがわかる。シクレストは不思議な薬だと思う。

 

 

 

 

 

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2017-08-27 13:49:30

ジプレキサ経口剤の公知申請について

テーマ:ジプレキサ

 

たまに公知申請について紹介してほしいと言うアメブロメールが来ていた。今回、ジプレキサの経口剤が、「抗悪性腫瘍剤による消化器症状(悪心嘔吐など)」の効能効果の公知申請を行っても差しつかえないとされ、ここに資料をアップしている。

 

公知申請の公知とは、数学の「公理」のような意味合いがあり、既に海外で承認、使用実績、効果を証明する根拠の資料が手に入る状況にあり、従来行われていた臨床試験の全てないし一部をしなくても効能効果が承認されるといったものである。もちろん、レセプトでも査定されなくなる。

 

一般に抗がん剤など使用すると食欲が落ち、体重減少するのが一般的で、それはこれら薬物の悪心嘔吐が原因であることが多い。これまで内科医により、もドグマチールなどがこのような際に使われているのをリエゾンの場面で良くみていた。

 

ジプレキサは非定型抗精神病薬なので、内科医、外科医にはやや敷居が高い薬だと思われるが、リエゾンの場面で、臨床的には適応外処方で少量投与で従来も使われていたように思う。

 

これらの公知申請が行われることがあるのは、日本で本格的に臨床試験をするには時間がかかりすぎることも大きい。平均的に、海外で発売されて数年後に日本で承認されるパターンが多く、この時間差をドラッグラグと呼ぶ。

 

実際、エビリファイは大塚製薬の創薬だが、まず海外でアビリファイという商品名で発売された後、数年たち日本で承認されるという奇妙な段取りになっている。

 

 

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2016-06-24 18:50:53

ジプレキサのジェネリックの薬物動態のばらつきについて

テーマ:ジプレキサ
今日の記事はやや専門的だが、薬剤師ないし薬学部の学生さんにはすぐにわかる内容だと思う。

今回、ジプレキサのジェネリック(オランザピン錠)が発売されるが、各社ジェネリックの薬物動態にかなりばらつきがみられる。これは製剤の際、先発品の特許があるので全く同じ製法がとれないことや、賦形剤の相違も関係があるのかもしれない。

なお、賦形剤とは薬に混入される添加物である。これは錠剤の形状を安定させたり、服用しやすくするためのもので各社は全く同じものを使っていない。賦形剤の代表的なものはデンプンや乳糖などである。

先発品のジプレキサの薬物動態の各スコアは、錠とザイディスで微妙に異なる。ザイディスの方が、若干だがTmaxが遅れ、Cmaxが低くなっている。Tmaxは最高血中濃度到達時間、Cmaxは最高血中濃度のことである。しかしこの差異は僅かなので有意差はないと思われる。

以下は5㎎錠の先発品の資料である。

ジプレキサ錠
Tmax 3.4±1.0(hr)
Cmax 10.9±2.8(ng/mL)
AUC 259±72.0(ng・hr/mL)

ジプレキサザイディス
Tmax 3.8±1.1(hr)
Cmax 10.2±1.7(ng/mL)
AUC 260±58.7


ここまで薬の形状が異なるのに、この一致率は結構素晴らしいのではないかと。

ここで出てきたAUC(血中濃度-時間曲線下面積)とは、血中濃度×時間の値であり、いわゆる曲線を積分した値である。これは総合的なその薬物の作用の強さを表している。先発品に比べ血中濃度が高すぎるとAUCは高くなる。また血中からの薬物の消退が遅くなってもAUCは高くなる。

AUCは一緒に取る食物や薬物、あるいはタバコなどからも影響を受ける。

ジプレキサの5㎎錠およびザイディス5㎎錠は、服薬後3時間半くらいで血中濃度がピークになり、その際の最高血中濃度は、10~11ng/mLくらいということになる。

ジプレキサのジェネリックは、これら薬物動態のスコアが先発品とかなりかけ離れたものもある。ジェネリックのうちわかっているものだけここに挙げる。いずれも5㎎の資料である。

第一三共 
Cmax 8.49±1.95(ng/mL)
AUC 264.1±47.5(ng・hr/mL) 

Meiji Seikaファルマ
Cmax 10.8±2.3(ng/mL)
AUC  319.6±65.4(ng・hr/mL)

田辺三菱
Cmax  13.2±4.2(ng/mL)
AUC  215.0±44.6(ng・hr/mL)

ファイザー
Cmax  8.87±2.03(ng/mL)
AUC  293.7±76.6(ng・hr/mL)

杏林
Cmax  8.49±1.95(ng/mL)
AUC  264.1±47.5(ng・hr/mL)

共和薬品(アメル)
Cmax  7.55±1.61(ng/mL)
AUC  221.86±38.06(ng・hr/mL)

テバ製薬
Cmax  25.732±7.326(ng/mL)
AUC  595.587±173.831(ng・hr/mL)

日医工
Cmax  7.74±1.89(ng/mL)
AUC  265.73±47.5(ng・hr/mL)

東和薬品
Cmax  10.740±2.449(ng/mL)
AUC  247.6±33.3(ng・hr/mL)

高田製薬
Cmax  10.94±2.35(ng/mL)
AUC   278.95±67.15(ng・hr/mL)

ニプロ
Cmax  13.2±4.2(ng/mL)
AUC  215.0±44.6(ng・hr/mL)

大興製薬「JG」
Cmax   8.87±2.03(ng/mL)
AUC   293.7±75.6(ng・hr/mL)

大原薬品
Cmax  8.399±1.403(ng/mL)
AUC  243.1±48.3(ng・hr/mL)

上記以外のジェネックの資料は自分にはわからなかった。判明しているものだけ挙げている。個々の数値は有効数字が異なるものや、測定結果が間違っているか、測る基準が異なるのではないかと思われるもの(テバ製薬)もある。

これらをみると、ジプレキサのジェネリックの薬物動態のばらつきが大きすぎて、先発品と同じ薬とは言い難いジェネリックもあるように思われる。

青で色を付けたスコアは比較的先発品の値と近いものである。(感覚的なものだが)

先発品とほぼ同じ薬物動態を示すジェネリックを選択したいものだ。

また、薬物動態的に全く同じ薬を製造することは意外に難しいものだと思った。

参考
ジェネリックの都市伝説
考察、「ジェネリックの都市伝説」
ジェネリックの考え方
リスパダールとジェネリック、雑感
ロヒプノールとサイレースとフルニトラゼパム




2016-06-20 20:16:53

ジプレキサのジェネリックの適応

テーマ:ジプレキサ
先日、ジプレキサの後発品の話をアップした際に、オランザピンの適応は従来の先発品の適応と同じで、双極性障害にも処方できると記載している。

ところが、各社ジェネリックのパンフレットをみると、どれも適応は「統合失調症」のみになっている。

実際、ジェネリックのオランザピンの適応は統合失調症のみではないか?という質問も来ていた。

正しい適応は、ジェネリックは統合失調症と双極性障害いずれも処方可能である。

平成28年6月、ジェネリックのオランザピンは、「統合失調症」に加え「双極性障害における躁症状およびうつ症状の改善」の追加承認を受けている。

各社のパンフレットは、この適応追加が間に合わなかったため、「統合失調症」しか記載がないのである。(つまりパンフレットが誤り)

発売に間に合ったのはとてもよかったと思う。

参考
ジプレキサのジェネリックが著しく安価な理由
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