kyupinの日記 気が向けば更新

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kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)
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2019-02-17 18:05:18

Dolores O'Riordan(The Cranberries)

テーマ:音楽

 

 

 

上の楽曲は、アイルランドのロックバンドThe Cranberries(クランベリーズ)の代表曲、Zombie(ゾンビ)である。今回の記事は、このThe Cranberriesのヴォーカリスト、Dolores O'Riordan(ドロレス・オリオダン)の話。

 

アイルランドのミュージシャンというと日本ではU2、エンヤは知られているが、クランベリーズはあまり知られていない。また世界的に有名な楽曲が多くあるかというとそこまではないので、日本で知名度がないのはやむを得ない。クランベリーズは1989年に結成されたが、当初はこのバンド名ではなかった。結成当初、すぐにヴォーカルが脱退したため、メンバーは女性ヴォーカリストをオーディションしている。その時(1990年)に加入したのが、ドロレス・オリオダンであった。

 

ドロレス・オリオダンは1971年、アイルランドのリムリック州、Ballybrickenで生まれている。同胞9名中末子であった。敬虔なカトリックの家庭で、Dolores O'Riordanという名前も、Lady of the Seven Dolours(悲しみの聖母)に因んで母親が名付けた。彼女は子供の頃から教会の聖歌隊で歌うような子供だった。その後、高校時代は生徒会長をするほどであったが、音楽や楽曲制作に夢中になり、学校に行かなくなり中途退学している。2013年、彼女は8歳から4年間、性的虐待を受けたと告白している。その後、年長になってからも摂食障害やうつ病などを病んでいたようである。

 

最初に挙げたゾンビはIRAによるイギリスでの爆弾テロにより亡くなった2名の子供(及びその母親)にインスパイアされ、彼女が作った楽曲である。クランベリーズはちょうど1990年に彼女が加入し発足しているので、ちょうど平成の時代とかぶっている。平成でも特に1990年代は経済的な苦境もあり世界的にも暗い10年間だった。ゾンビはそれを象徴した楽曲と言える。なお、ここでいうゾンビとはもちろんIRAテロリストのことである。映像の中で彼女は全身に金箔を塗り、マリア様の象徴として歌っている。IRAテロの本質は宗教戦争であった。宗教的な争いは、残念ながら世界中で今も続いている。

 

 

彼女の歌声を聴くと、いつも中島みゆきを思い出すが、僕だけであろうか?

 

彼女はメゾソプラノ?の声質で、その低音域での声の繊維の太さというか響きが、ちょうど中島みゆきの低音域での唸りに似ている。声に厚みがあり、まるで楽器のような声質だと思う。中島みゆきの「中島みゆき節」は自然に聴けるが、ドロレス・オリオダンはちょっと違ったインパクトを受ける。これはドロレス・オリオダンの歌唱法がアイルランドのliltingの歌唱法に由来するのもあるのかもしれない。彼女は歌いながら時々踊っているが、それも彼女の歌唱法の一部である。色々な意味で彼女はアイルランドらしいミュージシャンなんだろう。

 

彼女は1994年(23歳)に、Duran Duranの元ツアーマネージャー、Don Burtonと結婚し3人の子供をもうけた。その後、彼女の義母が深刻な病気になり、また彼女自身も健康状態が良くなかったこともあり、2003年にクランベリーズは解散している(その後、2009年に再結成)。

 

彼女は次第に精神を病んでいき、2013年に自殺未遂するに至った。その際、彼女が双極性障害に罹患していることがアナウンスされた。その後、2014年に離婚。子供たちは当時住んでいた父親の元、カナダに残り、彼女はしばらくニューヨークのホテルに住んでいた。

 

 

 

2014年、彼女はニューヨーク発シャノン行の機内で大変な興奮状態に至り、客室乗務員に暴言、暴行を働き逮捕された。この際に、普通の精神状態なら到底言わないような暴言を発している(誰の税金であなたたちが生活できていると思ってんの!など)。

 

このマリア様は気性が激しいのだよ、といったところか。

 

この裁判では彼女が貧弱な精神状態であったことなどを考慮され、被害者への書面での謝罪をすること、6000ユーロ(約75万円)を支払うことで許された。その後、彼女の精神は更に深刻な状態となった。2017年5月、クランベリーズはヨーロッパツアーの後半を医学的な理由でキャンセルしている。

 

そして2018年1月15日、イギリス、ロンドンのホテルでバスタブで溺死しているのを発見されたのである。享年46歳。

 

彼女は亡くなる前に泥酔していたようで、血中から高濃度のアルコール(100mlあたり330mgのアルコール)が検出されたが、この濃度は呂律が回らないほどの泥酔で人によれば昏睡になりかねない濃度である。治療薬については治療域であった。つまり彼女は大量服薬で亡くなったわけではなく、アルコール過鎮静に関連した溺死であった。

 

彼女の死因(事故死)が発表された9日後、クランベリーズのメンバーはドロレス・オリオダンなしではクランベリーズは続けられないと発表していている(解散)

 

 

 

彼女のカトリック信仰も音楽活動に影響を与えた。例えば、2001, 2002, 2005, 2013バチカンのクリスマスコンサートで歌うなどである。上は彼女のAve Maria。

 

彼女のファンから、彼女の楽曲や歌声に癒されて人生が救われたなどのレターが良く来ていたらしい。だからこそ、彼女は音楽活動を続ける価値を見出していたのかもしれない。また惜しい人が亡くなったものだと思う。

 

参考

何かに必死になると、治ってしまう話

Red Hot Chili Peppers - Live at Slane Castle

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019-02-16 20:33:14

ロナセンの錠剤、包装変更について

テーマ:ロナセン

 

ロナセンも今年ジェネリックが発売されるようである(たぶん6月くらい)。今回、大日本住友製薬は錠剤および包装を変更したことをアナウンスしている。これは今回のジェネリック発売の際に、ロナセンのオーソライズドジェネリックを発売するための準備だと思われる。

 

大日本住友製薬はロナセンの先発品、ジェネリックの全く同じなものを併売することになる。薬価はもちろん異なるため、先発品を使う人がいるのか?といったところだと思う。

 

なお、ロナセンは非定型抗精神病薬の中でもすごく売れているほどではないので、ジェネリックメーカーが参入しても果たして採算が取れるのかあやしい。そのようなこともあり、ロナセンを発売するジェネリックメーカーはやや少ないのではないかと思う。せいぜい10社くらいか。

 

近年、いわゆる新しい向精神薬のジェネリックが次々に発売される時代になった。汎用される非定型抗精神病薬のジェネリックはほぼこれで出揃った感じである。

 

先発品とジェネリックの相違の苦情だが、セロクエル・クエチアピンのような柔らかい薬はあまり相違がわからないようでほとんど苦情を聴いたことがない。また相違が周囲もわからないことが多い。

 

エビリファイ・アリピプラゾールもピンポイント系なのでいかにも相違が出そうに見えるがそうではなく、きっとスポンジ構造で効果を及ぼすために、その差がわかりにくくなっているのかもしれない。少なくとも、自分の患者さんではセロクエルとエビリファイはいったんジェネリックに変更し、元に戻したことが1度もない。

 

それに比べ発売当初のリスペリドン(リスパダール)は酷かった。一部のジェネリック製品は効果が発揮できず、次々と精神病状態が悪化するありさまであった。実際、うちの県では院長が激怒し、いったんリスペリドンを先発品リスパダールに変更せざるを得ない病院が2~3病院あったほどである。

 

ところが、近年、リスペリドンを使っても全然、そのような悪化がない。不思議だ。リスパダールは血液脳関門を通過しにくいため、ちょっとの違いが脳内移行を大幅に減らし良くないのでは?と思ったものだ。

 

ジェネリックは発売されてみないと良し悪しがわからないが、少なくとも僕が精神科医になった頃よりは洗練されてきていると思う。当時のジェネリックは到底同等の効果とは思えない事件が良くあったからである。

 

参考

精神科のジェネリック医薬品の考え方

ジェネリックの都市伝説

近年、向精神薬のジェネリックが多く発売されていること

 

 

 

2019-02-12 23:40:05

冬の日のチャトラ

テーマ:動物(旅行以外)

 

ある冬の日の夕方、お散歩しているとチャトラがやってきた。

 

 

ちょっとピンボケなのが残念。この辺りのネコは慣れ方は色々で、このチャトラは半分くらい慣れている感じ。変な言い方だけど、そんな風なのである。

 

 

木の枝が気になるらしい。

わりと綺麗なネコだと思う。足には左右対称に縞がはいっているのに注意。

 

 

ネコおばさんがエサをいつもやっているためか、僕が来ても一応寄ってくる。

 

エサはやったことはないけどね。

2019-02-10 21:27:11

治療開始後、公務員を辞めた人がいないこと

テーマ:電撃療法(ECT)

ある日、公務員を退職し帰郷した患者さんを診ることがあった。その時、自分が初診後、精神疾患の治療が不調で結果的に公務員を退職に至った人が1名もいないことに気付いた。過去ログに「精神疾患の病状が悪い時に重大な決断はしない」という指導に触れたことがある。以下はその記事の抜粋。

 

僕は未だかつて、たぶん偶然もあるだろうが、離婚を勧めたことは1度もない。オーベンがそういう風に言っていたからとは必ずしも言えないが、そういう場面がほとんどなかったこともある。(実際、どうみても近い将来、離婚になりそうな家庭もある。例えばDVなど。)

結局は離婚をするかどうかは本人が決めることだが、精神症状が深く関しているような状況では、精神科医は少しモラトリアムを設け積極的には離婚を勧めるべきではないと考えている。

それは離婚に限らず、大学を退学すること、会社を退職することなども同様である。その重大さが本人はよくわかっていないからである。

 

そのようなことから、ブラックっぽい職場でもその患者さんの年齢にもよるが、退職の話はこちらからは提案しない。もし本人が聴いたなら、意見は言うが、曖昧な対応になることが多い。その理由は、こちらから見ても明らかにブラックな職場と、特定の人がいるためにその人にとればブラックということもあるからである。

 

ここで公務員を挙げたのは職種に価値があるという趣旨ではない。公務員には年齢制限があり、一度辞めてしまうと復帰できないことがある。一定期間の精神疾患の悪化のために、退職になってしまうのは非常に痛い。

 

実は公務員の年齢制限について憲法違反ではないかと最高裁まで争われたことがあった。その結果だが、年齢制限は違法とは判断されなかったのである。これは公務員のシステム上、バラバラの年代が入職すると育成を含め運営が難しいことや、若い世代の入職を阻むといったものもあるのだろう。例えば今40歳の人も、かつて年齢制限以下で公務員になる機会はあったこともある。公務員は大卒だと高卒の資格で入職できないなど、さまざまな点で特別だと思う。

 

これまで結構ギリギリなケースはあり、ある男性などは教師をしていて既に2年半も仕事ができなかった。その人は結局、入院せずに寛解に至り、今は普通に担任をしている他、スポーツクラブの顧問もしている。(公務員の治療期間リミットはだいたい3年半くらい)

 

その患者さんの家族が最も驚いたのは、さっと処方変更できたことであった。これを診ると、処方変更にも熟練と言うかコツがいるらしい(過去ログの通り)。

 

彼の場合、処方が硬直しており重い薬のまま身動きが取れないでいた。彼は転院しなかったなら、間違いなく退職していたと思う。今の処方の主剤は、なんとセロクエルで抗うつ剤はリフレックス15㎎だけである。

 

公務員は他の職業に比べ退職に至るまでの日数的な猶予がある。従って治療が多少迷走しても、なんとか退職に至らずに済む確率が高くなる。これはもちろん、いかなる疾患かが重要で、退職せずに仕事が継続できるかどうかは、うつ病と統合失調症では確率的な相違がある。

 

ということは、僕はこの何十年もの間、統合失調症のように重い内因性疾患に罹患し、かつ公務員の人は1名も治療しなかったのだろう。これは良く考えると不思議なことだ。

 

逆に患者さんが公務員試験を受験し晴れて公務員になったのは何度かある。たいてい遠方のことが多く、○○県○○市に合格したとか言うため紹介状を書いた。その少年は最初都内の大きな企業に入社したが、とんでもなく体育会系だったのでついていけなかったという。疾患としては典型的な適応障害で、合格してその市に転居した時は碌に服薬さえしていなかった。このようなケースは公務員受験も十分に可能である。

 

そういえば1名、まさにギリギリまで追い込まれた人がいた。彼はうつ病だが、いわゆる統合失調症的なものがないのに恐ろしく難治性だったのである。上司がやって来て、「もう復帰は難しいと思う」といった内容のことを話されたのでかなり時間的猶予もなかった。なぜ彼が自分のところにやってきたかと言うと、かなり先輩のクリニックにかかった際に紹介されたらしい。

 

彼を入院させ何クールかECTも実施した。彼は治療法について紹介すると、「ぜひECTをしてほしい」と言ったのである。しかし有効ではあったものの決定打にはならかった。彼は今も仕事を続けておりやがて退職の年齢である。当時、まだ小学生くらいだった娘さんはいずれも結婚しておりお孫さんもできたそうだ。彼は結局何が良くて退職を免れたのか、もう思い出せない。いずれにせよ、ECTは彼にとって変曲点以上のイベントだったと思う。

 

彼はおそらく初期の治療時の2回くらいしか入院していない。彼の処方は紆余曲折し、現在は抗うつ剤はサインバルタ40㎎(昔はアナフラニール)とパキシル25㎎を服薬している。この処方組み合わせは僕の患者さんには全然なくて、彼だけである。

 

彼の興味深いところは結構重かったのに今も眠剤は必要ないこと。また抗精神病薬も服薬していない。なお、この人は過去ログのこの記事に出てくる人ではないかと思うかもしれないが別人である。

 

一般の人が間違って理解していることの1つは、ECTが脳に有害ではないかと思っていることだと思う。ECTを行うと海馬の容積が増えることが知られている。

 

これは最近わかったことだが、海馬の容積が増えるのはECTによる2次的影響のようである。ECTの真の重要な作用は、脳内のネットワークアクティビティの正常化である。

 

 

2019-02-08 18:15:15

円形のOD錠が多い理由

テーマ:レメロン、リフレックス

リフレックス・レメロンのジェネリック(ミルタザピン)はOD錠も発売されているが、概ねOD錠の形状は円形である。その理由は、OD錠は楕円形だと弱くなるから。楕円形で不安定になると、自動分包機で破壊されやすくなる。

 

マグミットを口の中に入れると速やかに溶けだす舌触りがあるが、マグミットは特にODとは記載されていない。近年は特にOD錠と記載されていないが、口の中で溶けやすい錠剤が増えている。

 

なお、沢井製薬のミルタザピンは楕円形である。実際、沢井製薬のサイトをみると、「先発品と同じ形状の錠剤」と記載されている。(似ていることをアピールしている)

 

このジェネリックは特にODとは記載されていないが、OD的な動態を示すのではないかと思う。(実際に確認したわけではないが)

 

沢井製薬は表面が硬いOD錠を作れる技術があるからである。

 

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