ブレインフォグとサインバルタ
ブレインフォグは、近年では新型コロナ感染症の後遺症として語られるようになったが、ずっと以前から精神科の患者さんの訴えに稀にあるものだった。
ブレインフォグはおそらく単体の疾患ではなく、1つの症状である。たとえて言うなら、不安感とか、恐怖感などの感覚である。
精神科の初診患者では、ブレインフォグのみが主訴のことはまずなく、それ以外の症状も伴っている。ブレインフォグを実感したとき、多分、患者さんは脳神経外科か神経内科に受診する。精神科に初診したとしたら、本人がどこで診てもらうと良いのかよくわからなかったか、逆に脳神経外科や神経内科に受診したものの原因が見つからず、精神科受診を勧められたケースである。
ブレインフォグは一度は頭部CTやMRIに異常がないか精査すべきで、脳神経外科から紹介された際は画像診断は終わっているわけで精神科医は対応しやすい。その意味で、ブレインフォグの実感があったら、まず脳神経外科か神経内科など身体科受診を優先した方が良いと思う。
脳に器質的異常所見がないブレインフォグは、精神科に受診した場合、病歴を聴いて、抗うつ剤を試みることが多い。感覚的にはサインバルタは良い印象である。あるいはアモキサンなど積極的なタイプの抗うつ剤が良いことが多い。逆に眠さが出るタイプの鎮静的抗うつ剤は効かないことが遥かに多い。
重要な点は、ブレインフォグは、うつ病や統合失調症の症状ではなく、器質的な背景を持つ症状に見えることである。つまり内因性疾患の症状というには違和感がある。
ブレインフォグは完治しなかった人を未だ知らないので、ほとんどのケースで器質的っぽいと言いながら、きっと脳への重大なダメージに由来する所見ではないのだろう。
今さらながら書くが、このブログでの「器質性」という用語は正しく使われておらず、ASDやADHDのように器質性疾患と診断基準で見なされていないものも、どうみても器質的背景による疾患なので器質性疾患に包括している。また古典的ヒステリーもこのブログ的には器質性疾患である。厳密なICDで言う器質性疾患は、1桁ではF0(2桁ではF00からF09)の疾患群である。
F00 アルツハイマー<Alzheimer>病の認知症
F00.0 アルツハイマー<Alzheimer>病の認知症,早発性
F00.1 アルツハイマー<Alzheimer>病の認知症,晩発性
F00.2 アルツハイマー<Alzheimer>病の認知症,非定型又は混合型
F00.9 アルツハイマー<Alzheimer>病の認知症,詳細不明
F01 血管性認知症
F01.0 急性発症の血管性認知症
F01.1 多発梗塞性認知症
F01.2 皮質下血管性認知症
F01.3 皮質及び皮質下混合性血管性認知症
F01.8 その他の血管性認知症
F01.9 血管性認知症,詳細不明
F02 他に分類されるその他の疾患の認知症
F02.0 ピック<Pick>病の認知症
F02.1 クロイツフェルト・ヤコブ<Creutzfeldt-Jakob>病の認知症
F02.2 ハンチントン<Huntington>病の認知症
F02.3 パーキンソン<Parkinson>病の認知症
F02.4 ヒト免疫不全ウイルス[HIV]病の認知症
F02.8 他に分類されるその他の明示された疾患の認知症
F03 詳細不明の認知症
F04 器質性健忘症候群,アルコールその他の精神作用物質によらないもの
F05 せん妄,アルコールその他の精神作用物質によらないもの
F05.0 せん妄,認知症に重ならないもの
F05.1 せん妄,認知症に重なったもの
F05.8 その他のせん妄
F05.9 せん妄,詳細不明
F06 脳の損傷及び機能不全並びに身体疾患によるその他の精神障害
F06.0 器質性幻覚症
F06.1 器質性緊張病性障害
F06.2 器質性妄想性[統合失調症様]障害
F06.3 器質性気分[感情]障害
F06.4 器質性不安障害
F06.5 器質性解離性障害
F06.6 器質性情緒不安定性[無力性]障害
F06.7 軽症認知障害
F06.8 脳の損傷及び機能不全並びに身体疾患によるその他の明示された精神障害
F06.9 脳の損傷及び機能不全並びに身体疾患による詳細不明の精神障害
F07 脳の疾患,損傷及び機能不全による人格及び行動の障害
F07.0 器質性人格障害
F07.1 脳炎後症候群
F07.2 脳振とう<盪>後症候群
F07.8 脳の疾患,損傷及び機能不全によるその他の器質性の人格及び行動の障害
F07.9 脳の疾患,損傷及び機能不全による器質性の人格及び行動の障害,詳細不明
F09 詳細不明の器質性又は症状性精神障害
さて、ブレインフォグという症状は季節性に出現するものがある。例えば春先に数週間必ず出るというような人。この正体は単にうつ病ではなく、「春眠暁を覚えず」の重篤な病型と考えている。躁うつ病の症状のことは時々ある。
したがって抗うつ剤に限らず、脳に活を入れるタイプの向精神薬が良い。現在、発売中止されているが、アモキサンは良い選択肢だど思う。またサインバルタも鎮静系でないので悪くない選択である。また、「眠くなるタイプの抗うつ剤は良くない」という臨床感覚は、「春眠暁を覚えず」の重篤な病型という感覚と矛盾がない。
この季節性のブレインフォグの患者さんは、見事なほどサインバルタですっかり軽快したが、この薬が万人に良いというわけではない。ADHDであれば、コンサータやストラテラ(アトモキセチン)も期待できる。いろいろな薬が合わない忍容性の低い人は、その人がASDやADHDないしそのグレーゾーンであることを暗示している。
また、向精神薬のごく少量投与も一定の期待値がある治療法である。具体的には、レキサルティの極少量などである。人によると、レキサルティの0.5㎎の4分の1錠ですら多すぎるということもあり得る。他の向精神薬として、エビリファイ、ジプレキサ(オランザピン)、リスパダール、リーマス、カタプレスの極少量も可能性がある。
リーマスは1日1㎎程度を処方する。どのようにしたら、リーマスを1㎎処方できるのか?と思うかもしれないが、リーマスの100㎎か200㎎の錠剤を粉剤し乳糖に混合し分包すると、やや不正確になるが問題ないだろう。そもそも1mgだけリーマスを処方するのに、不正確という表現はないと思う。
リーマス1㎎というと笑うかもしれないが、実際、子供などに処方すると症状が変化するので驚くことがある。ある子供は不穏状態で何度も警察に保護され家族を困らせていたが、リーマス1㎎で次第に落ち着き、今は何も服用せず高校に進学している。
リーマス1㎎は横道にそれてしまったが、本題のブレインフォグには極めて期待値が低いと思う。その理由は、子供と大人では影響の大きさが異なるからである。(極少量投与という視点でついでに記載)
リスパダールのような鎮静的な薬がブレインフォグに逆説的に有効なことがある理由だが、基本、全ての抗精神病薬は極少量では賦活的に作用するという定石から来ている。エビリファイはある程度の用量までドパミンライクだが、極少量の抗精神病薬はドパミンライクに振舞うことから効果を発現するのであろう。
ブレインフォグに対するドパミンライクの視点から、ビシフロールも試みる価値がある向精神薬だと思う。
ブレインフォグに嵌っている患者さんは、たまにリエゾンの現場で診ることがある。総合病院でも今回記載した向精神薬はけっこう揃っているため、可能な限り想像力を働かせて、試行錯誤すべきだ。
実は、この薬の試行錯誤も脳機能の復活に治療的に働いているのである。その意味でも、同じ薬のまま変更もせず手をこまねいているのは最悪な治療手法だと思う。
以下の記事にも今回の内容と関係する部分が出てくる。サッカーで言う「単調なパス回し」とか「玉離れの良さ」などと呼ばれるものである。
参考
しげ旅を見て思うこと
YouTubeの「しげ旅」をよく観ている。彼は新型コロナパンデミックの終わり頃から、全世界と言って良いほど多くの国々を長期間かけて旅している。彼は独身の旅のユーチューバーで、もし嫁さんがいたら、行かせてもらえない国々も多そうである。上は彼がアルゼンチンの美しい山に登った動画。
しげさんは荷物を極力少なくし、衣類もあまり持って行かない。汚れた衣類は現地のコインランドリーでよく洗濯している。おそらくスーツケースは使わずカバンだけで移動しているため、航空機で荷物を預けることもなく、ロストバゲージのリスクはかなり低い。かなり低いと書いたのは、たまに機内の上の収納に置いていて盗まれることがあるからである。機内に持ち込む鞄には貴重品が多いので、狙われるのである。
しげさんは、お酒が好きでかなり飲める方である。彼が動画で美味しそうにビールを飲むため、観ている僕もビールが増えてしまい反省した。彼は食事に合わせて赤ワイン、白ワインもよく飲んでいる。また海外では1杯のワインの量が多いこともよくあるが、結構残さず飲んでいる。それも何杯も。
彼は、ビジネクラスの機内でもかなりの量を飲んでいるが、普通、飛行中の機内で彼ほどは飲めない。僕は気圧の関係なのか、機内で飲酒して死にそうになったことがあり、いくら高級な酒が無料と言ってもほぼ飲まない。
機内でなぜあのように過剰に酒に弱くなるのかだが、気圧が低く、中耳から内耳の調子が普通の状態ではないからではと思う。機内の酒にやられた時、シートに座ってられず、床に伏せた、というか、立ち上がれない状態になったのである。僕は死にはしなかったが、そのパターンで死亡する人もいるらしい。
なお余談だが、車も含め乗り物のシートで最も座り心地が優れるのは、飛行機のレカロシートだと思う。昔のビジネスクラスのシートは、広い分、重量の分散がうまく行っておらず、エコノミークラスの方が普通の座り方だとむしろ座り心地が良かった。最近のビジネスクラスのシートは改善されている。以下は、昨年、RECAROが破産したニュース。しかし航空機のRECAROのシートがなくなるわけではないらしい。
しげさんは髭を剃らず伸ばしていて、アジアでも中近東の人のように見えるが、あれは襲われないための仕様にしているんだと思う。インドに行っても、南米に行っても、中近東に行っても現地の人に見える。
彼は動画編集を時に1日かけてやっているが、アフレコが優れていて、観やすくわかりやすいものになっている。他のユーチューバーの動画よりずっと面白いのである。
また、普通の人が行かないような治安の悪い国々も入国し観光している。これらに国々は潜在的死亡リスクもあるので、しげ旅の動画は体を張って作られていると言って良い。
彼の動画は、実際にその国に旅行したような感覚になるのが良い。それでも、僕がしげ旅を見た感想は、「世界にはいかに行く価値がない国が多いことか!」というものである。
しげさんの目を通して世界を観る限り、これは行ってみたいと思う国が少ない。稀と言って良い。僕は平均的な医師に比べ海外旅行をしている方に入るが、それでも同じ国ばかり行っているので、行ったことがある国はあまり多くはない。
しかし、ぜひ行くべきと思える国は、しげ旅を見る限り滅多にないのである。
一番上に挙げた動画はアルゼンチンの朝焼けで燃えるような赤い山が見られるが、行くまでに大怪我をするリスクも低くはなく、危険性を考慮すると行く価値がない。写真や動画だけで十分である。
盗み、殺人事件の多さなど治安が悪い。
食べるものが不衛生。
この2つのどちらかがある国が実に多い。
最近、パキスタンやイスラエルにも行っていたのには驚いた。
イースター島では野良犬に追いかけられ噛まれると言うトラブルに見舞われている。
野良犬は日本ではあまり見ないが、アジアの国々では路上に普通に転がっている。
しげさんは凄い人だよ。34〜35歳くらい。千葉県出身。慶應大学卒業。
高度な寛解の話
読者の皆さん、あけましておめでとうございます。
今年も無理しない程度にぼちぼちブログを更新していく予定です。新年からシリアスな話題を書きたくないので、今日は「寛解」の話にしました。思いつくまま書いていくので、ややまとまりないかもしれません。
医学分野で寛解という用語は、わりあい精神科で使われていて、他の科ではあまり使用されないと思っていた。例えば精神科では、統合失調症に罹患していて治療が順調で、高度なレベルで就労できているような人は「寛解している」という評価をされる。この場合、たいていのケース、ほとんど99%以上、抗精神病薬を服薬している。統合失調症の場合、治癒という用語は使用されず寛解といわれる。
もし服薬せず長い期間(少なくとも5年以上)、再発もせず、平均的な会社員と同じレベルの仕事ができていたとしたら、「統合失調症だったかどうか怪しい」と、診断が間違っていたという解釈になりやすい。つまり、その人はもともと統合失調症ではなかったのである。
近年、とはいえここ20年くらいだが、いったん「統合失調症」の診断がつき、その後、本人が通院と服薬を中止して、ほぼ健康な人と同様な生活、仕事ができているケースもみられるようになった。これはベースが例えば発達障害ないしグレーゾーンで、一時的に「統合失調症」類似の破綻が見られ、操作的に「統合失調症」と診断されたためである。このケースは将来的に服薬が不要になる経過もありうる。ここで言う操作的という意味だが、ICDやDSMの診断基準を満たしていたことを言っている。
発達障害をベースに不安障害、うつ状態、双極性障害、あるいは統合失調症に似た病型を呈する場合、発達障害の程度が軽ければ軽いほど、このような病態が重く見えることは重要だと思う。つまりこのような視点では、グレーゾーンは決して軽くはないのである。
重い発達障害の人は人生の早期に、一般的な子供のような成育にならないため(施設に入るなど)、かえって旧来の精神疾患を呈するチャンスが減少する。平均的な学校教育や社会に出る機会がないからである。
発達障害が絡む精神疾患は、基本、発達障害が軽い人あるいはグレーゾーン(高校大学まで特に問題なく卒業できたようなレベル)の人の方が、社会に出てストレスにさらされ重いレベルの精神疾患(特に精神病レベル)に罹患する経過が多い。
現代的には、元々、発達障害だったとしても若い年代で一時、統合失調症と区別がつかない幻覚妄想や情意の減弱を呈し、服薬していても長期的に情意の減弱が明確であれば、統合失調症の診断で問題ないと思う。これは個々の障害や精神疾患のボリュームの問題で、先に指摘したように、発達障害が軽ければ軽いほど、これらの精神病のリスクが大きくなるのなら、理論的にも辻褄は合う。それでもなお、いったん発達障害が明確(3歳児検診で既に指摘されていたなど)な人は、精神病的破綻をしても経過に違和感があるのは確かである。
発達障害+統合失調症の診断の人は「服薬が必要かどうか」は重要だと思う。薬を減薬したり中止したときに必ず幻覚妄想が惹起する人は、診断は「統合失調症」で良いと思われる。実はこの考え方には個人的に不満もあるのだが、ほとんどの精神科医はそう考えていると思うので、それに沿っている。
一応、今日のタイトルは、この辺りまでが前置きである。
ここ数年で他科にも高度な寛解という用語が使われていることを知った。例えば、白血病で服薬はしているが、健康な人と変わらない状態に至った人は「高度な寛解」と呼ばれる。興味深いのは、精神科では「高度な寛解」という評価はほとんどされないことだと思う。驚いたのは、このような人を入院させていて、新型コロナクラスター時に新型コロナに罹患し、中核病院の血液内科主治医にどのように対処したら良いのか問い合わせたところ、普通の人と同じ対応で問題ないと言われたことである。
白血病は病型にもよると思うが、服薬することで、ここまでの寛解が実現できることは実に素晴らしいことである。今の時代なら、夏目雅子も亡くなることはなかったであろう。
精神科の「寛解」という用語は、神経症やうつ病では使われず、もっぱら「統合失調症」の病状の評価として使われる。双極性障害でも「寛解」を使ってもよいと思うが、経過が独特なので使われないことが多い。少なくとも僕は使ったことがない。統合失調症での寛解という評価は幅が広く、精神科医においてもかなり差がある印象である。
僕は統合失調症で服薬していて、発症前の仕事(例えば銀行員、接客が多い営業職)に就けなくなっても、他のもう少しストレスが少ない通常業務を休むことなく続けられているレベルまで寛解としている。もしA型事業所までしかできない病状であれば、寛解と言うには厳しいという評価である。たまにA型ないしB型事業所すら無理で、自宅で引きこもっていて、再入院がないだけで寛解という精神科医もいるが、これは寛解の範囲が広すぎると思う。
実は、この僕の寛解の解釈は範囲が広すぎるという指摘を受けたことがある。指摘した精神科医は僕の先輩にあたるが、彼によると、統合失調症には「寛解」そのものがないんだそうである。
つまり上の例では、銀行員に戻れる人は寛解なのであろう。
内科、ここでは白血病だが、高度な寛解は「銀行員に戻れる」レベルを言っており、まさしくその通りなので、内科の寛解と統合失調症の寛解には少し乖離があると感じた。視点を変えると、統合失調症のは寛解すらないというのは、寛解をほぼ「高度な寛解」という意味で使っていると思われる。それなら、統合失調症には寛解などないことになる。寛解したら、それは誤診である。
最近、他科の疾患で「高度な寛解」という評価を時々聴くようになった。例えば、悪性黒色腫の診断を受け、余命3か月といわれ、実は最近確立されたエビデンスがあるウルトラCの治療法があり、万人に合うわけではないが、その人にはフィットし順調にいって寛解しているなどである。しかしコロナ前だったら死亡していたらしい。
癌などと診断されると、普通の人はショックを受けて正常な判断が難しくなる。そのダメージを受けた心につけこまれ、民間療法などに頼り死期を早める経過を良くみかける。一般に西洋医学の保険診療で実施される癌の治療は「標準治療」といわれるが、これは英語のstandardから来ている。日本語的には中程度と錯覚するが、エビデンス的にはベストな治療法である。
特にお金持ちが、民間療法に頼り大金をかけて結局、死期を早めるのはいくつか理由があるが、1つは抗がん剤治療が、死にたいほどきついことや、髪が抜けるなどの大きな副作用から来ている。また芸能人や事業家などお金持ちは「標準治療」より、お金をかけさえすれば、もっと良い治療があるのでは?と錯覚することもあると思う。「標準治療」は日本語的に錯覚しやすく、その結果、詐欺師を儲けさせたり、社会に大切な人が早く亡くなる原因の1つになっているので、日本語訳を「最適治療」(仮)くらいに変更した方が良いと思う。
そういえば、アップルのスティーブ・ジョブズは癌の治療で民間療法に頼り、死期を早めた。このような人物が56歳で亡くなるのは非常に惜しい。膵臓がんだったので、もう打つ手がなかったかもしれないが、早期の時点で西洋医学の治療を決断していれば、アメリカはお金さえかければ、世界最高の医療が受けられる国なので、56歳で亡くなることはなかった。民間医療の別の問題点は、重要な時期の治療チャンスを失うことも大きい。
癌治療の話で重要な点は、癌は自然治癒がありうることだと思う。統合失調症は自然治癒がまずないのと大きな違いである。僕は自然治癒した人を診たことが未だない。癌の場合、例えば「この祈りの水を飲めば治る」といわれて、ごく稀に実際に治癒する人がいるのである。これが民間療法に流れる原因の1つだと思う。
上の記事では統合失調症の人の癌の罹患率ついて記載しているが、癌は老化の要素も多く、現在社会のように向精神薬が発達し統合失調症の人でも80歳以上まで生きる人が増えてくると、自然と癌で亡くなる比率は増える。しかしながら、癌に罹患してからの経過は少し異なっていて、癌になってからの生存期間が遥かに長い。
ある患者さんは肺癌になり余命を言われて、さすがに本人も暗い表情をしていたが、医師が考えていたほど進行が早くなく、本人も長期間仕事をしないことに耐えられず、呆れてまた仕事に戻った(A型事業所)。それからさらに時間が経ち抗がん剤治療を受けながら仕事もしつつ亡くなった。彼の場合、抗がん剤治療の際の倦怠感や副作用もなくはなかったが、軽いもので一般の人と違っていたと思う。
彼を見る限り、統合失調症の人は癌になったからと言って、一般の人より悩まないので、時に治癒したり、進行が止まったり、長生きすると言う話は、あまり正しくはない印象である。
彼は100%、肺癌の意味を理解していた。そして標準治療を受けていたのである。一応、ついでに書いておくが、日本のように安価な医療費で癌の標準治療を受けられる国は、世界中でもあまり多くはない。
統合失調症の人の癌に対する強度な耐久力は、たぶん内因性の要因が大きいと思われるが、どのようなメカニズムになっているのか研究する価値が十分にある。
癌の自然治癒の謎の1つは、実は統合失調症の中にあると思う。
参考
2008年の古い記事
2024年大晦日(フラワーカンパニーズの深夜高速)
上はフラワーカンパニーズの「深夜高速」。
深夜高速は多くのミュージシャンにカバーされている名曲である。
しかしフラワーカンパニーズは、大晦日の紅白に出たことがおそらくない。有名どころで紅白に出たことがないミュージシャンとして、スピッツ、B'z、ワンオクくらいが思いつく。B'zは海外在住なのもありそうだが、ワンオクとかはタトゥーなどが良くないのかもしれない。
フラカンの深夜高速は十分に紅白に出場できる楽曲の質を持ち合わせている。曲も良いが、歌詞が特に良い。毎年出てくる古参や若い良く知らないミュージシャンを出すくらいなら、フラカンを出してやれよと思う。
今日の大晦日はホテルに宿泊予定だったが、今ホテルで寛いでいる。年末、インフルエンザが非常に流行っていて自宅で過ごす方がよかったかもしれない。
昨日、火曜日は今年の銀行の最終日だったので、久々に記帳と貸金庫の中を確かめに出かけた。そういえば、数か月前に平日の休日のお昼頃に銀行に行ったところ、なんと昼休み時間で入り口が閉まっていた。ATMは使えるが、平日の夕方と何も変わりがなかったのである。銀行も、遂に働き方改革で普通に昼休みを取るようになったのかと思った。ずっと長い期間、昼間に銀行が休みになることも知らなかったのである。
最近、三菱UFJ銀行で貸金庫の中のものが盗まれるという驚愕するような事件が起こった。しかし、貸金庫には仕様が何種類かあり、この銀行の場合、広い空間に他人の多くの貸金庫も見える仕様になっている。僕が借りている貸金庫は、1人くらいしか入れない小さな部屋に入り、カードとパスワードを入れることで、電動で引き出されて机の上に自分の金庫が出てくるようになっている。そこで鍵で開けて金庫を開く仕様である。これだと三菱UFJ銀行より安全度はマシには見える。
今回の事件で、スペアキーを封筒に入れて割り印するという儀式が挙げられているが、僕はどうもそういうことをした記憶がない。貸金庫はそこまで大きさがなく、例えば普通借りるサイズだと高さがないのでおそらく1億など現金では入らない。昔、たまたま帯の100万円を入れていたことがあるが、数年入れておいた後、意味がないような気がして普通に預金した。
貸金庫は27歳の頃から借りているが、賃貸料は銀行とサイズにより異なる。どのようなものを入れているかと言えば、マンションの権利証、嫁さんの宝石の鑑定書、使っていない宝石、時計のギャラなどである。医師免許証は表彰状のサイズで僕が借りている貸金庫には入らない。折り曲げれば可能だが、そんなことしたくない。
一般的サイズの貸金庫は大金を入れるには小さすぎるため、どうしてもそのようなものになる。
海外旅行に出かける直前、念のため高級時計を入れたことがあった。高さ的に外箱、内箱を入れるのは無理である。本体およびギャラを入れるくらいだが、よく考えると電動で動いてくるわけで、やっている時、帯磁するリスクがあるのでは?と思った。貸金庫は、物を入れるのも面倒だし、再び持ち出すのも面倒である。従って何年も中を見ないなんて人はザラにいると思う。
このようなことを考えるに、三菱UFJ銀行の貸金庫盗難事件は、大きなサイズの貸金庫に大金が入っていたか、金の延べ棒やパテックフィリップなどの高級時計がギャラごと盗まれて現金化されたくらいだと思う。
その際、注意したいのは現金は匿名性が高いが、金の延べ棒や高級時計は盗まれた後、売却したら名前が記帳されて追えるので、匿名性がそこまでないこと。時間が経っても警察の捜査で詳細がわかる可能性がある。
ニュースでは、犯人の女性は、盗んだ金品を投資に使っていて、儲かったら元に戻そうとして盗んだ人や金額をメモしていたという情報も流れている。だったら、金の延べ棒はともかく、パテックフィリップなどの特別な高級時計は買い戻せないため、足がつかない現金が大きな部分を占めていたような気もする。本人がメモしていたからこそ、おそらく具体的に10数億という数字がでてきたのであろう。
上の動画は、ある放送作家の人が貸金庫に1000万円入れていて盗難に遭い、最終的に銀行内で盗んだ人が判明し、銀行が放送作家に1000万に色をつけて返却し、謝罪したという顛末である。これは5年前にあった事件で、警察沙汰にもなっておらず、詳細は闇の中である。しかも、この銀行は三菱UFJではないらしい。
また、梅宮アンナがテレビで言っていたが、父である梅宮辰夫さんが亡くなった時、貸金庫を開けたところ、空だったと言う。この話はもう本人が亡くなっているので証明などできないが、怪しい事件である。
Yahooのサイトでは、80万円ほど貸金庫に入れていてなくなったが、警察にも当の銀行にも相手にしてもらえないという質問が出ていた。貸金庫は中のものがなくなった際に、入れていた証明が出来ないのが難しいところだと思う。
今は、トクリュウの事件が多くなっており、タンス預金もリスクが高い。しかし貸金庫も決して安全ではないのである。
僕は20年くらい前だが、地銀はもし口座のお金がハッキングされた時、グズグズこちらの不注意を言って支払わないリスクあると思い、三菱UFJとみずほ銀行に口座を開いた。昔の都市銀行なら、地銀よりマシと思ったからである。また倒産のリスクも多少は違うと思ったのもある。
しかし地方では都市銀行は数がない上に立地が悪いので便利が悪い。まず、駐車場に苦労するのである。だいたい銀行にいくまで駐車して500mは歩く。したがって記帳もろくにせず、全然使わないのである。都市銀行は地方だとメインにはなりえない。今は主に使っているのはネット銀行であるが、給与振り込みやカードの引き落としなど、メインと言える銀行は地銀のままである。都市銀行は使い辛いが、かと言って地銀に信頼は寄せられないというスタンスである。
このような感覚になった理由だが、友人が自己破産(厳密には任意整理)の時、地銀の銀行員がウシジマ君並みの心理的重圧というか、追い込みというか、暴言を吐いたことを聴いたからである。彼によると、キャッシング業者以上に厳しい暴言を浴びせる地銀が普通にあるらしい。銀行は紳士的に見えても、決してそうではないという微妙な信頼感なのである。
銀行は預金もハッキングリスクがあるし、貸金庫もそれなりにリスクがある。タンス貯金もトクリュウや火災があると大変である。
日本人の職業意識や誠実さは、長い期間の不景気で徐々に低下していて、変な犯罪が増えるばかりだと思う。
この記事で今年は終わりです。読者の皆さん、良いお年を。
仔猫のスリーショット
仔猫のスリーショットが撮れたのでアップする。この3匹は、ちょっと前まで人を恐れていたが、今はそんなことはなく避妊手術も受けていた。ある程度体重が増えないと避妊手術ができないらしい。
一番後ろにいる仔猫は最も体が小さく、若く見えた。
この3匹はまだ体が小さい。仔猫とまでは言えないかもだが、十分に若いネコたちである。走る時は猛スピードで走る。
この仔猫たちがこの場所に来て、餌付けされて地域猫になり、避妊手術まで受けていたのは、ちょっとネコ模様だと思う。全てではないが、明らかに一部は捨てネコである。この3匹は年齢というか月齢が異なっているように見える。
後ろにいるぶちネコは、まだ腹の手術痕が生々しかった。ぶちネコは左耳がカットされていたので、メスネコである。
参考
例えばこう言う話。