射精後85分後に再度射精した精子を使用すると出産率が有意に向上する | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

 

射精の禁欲期間が短い方が不妊治療の臨床成績が良いとの報告が出ていますが、今回の論文では同一患者において4日間の禁欲期間と85分の禁欲期間でどちらが成績が良いかを調べている論文が今年の9月に掲載されいましたので紹介します。

85分の射精間隔と4日間の射精間隔を比較すると以下の通りの結果となりました。

良好胚盤胞率(24.79% versus 14.67%), 

使用可能な胚盤胞率(57.56% versus 48.44%), 

臨床妊娠率 (59.09% versus 47.37%),

着床率  (42.11% versus 32.35%) 

正児出産率(40.91% versus 31.58%) 

 

この研究から言えること

当院でも数日前(2日前)に射精する事を推奨してきましたが、この論文からだと朝自宅で射精をしてその85分後に院内で射精をすることが良いのかもしれません。

(実際に85分丁度で射精することは困難であり、数時間後で良いと思われます)

またこの研究は同一患者で検討しているためバイアスが入らないためかなり信憑性が高い結果だと言えます。今後可能な方に対しては勧めていきたいと思います。

Short-interval second ejaculation improves sperm quality, blastocyst formation in oligoasthenozoospermic males in ICSI cycles: a time-lapse sibling oocytes study

PUBLISHED 07 September 2023 DOI 10.3389/fendo.2023.1250663