• 09 Oct
    • 同時死亡の推定

      民法第32条の2数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後に、なお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。数人が死亡し、その死亡時期の先後が分明でないことが、要件とされます。この場合、同一の危難である必要はなく、異なる土地で、別々の危難により死亡した場合でも、適用されます。また、一方の死亡時刻が分明であっても、他方が不分明で、前後が定まらない場合でも、よいとされています。効果は、数人が共同の危難により死亡した場合など、死亡の前後が不分明なときは、同時に死亡したと推定されることです。推定ですから、年齢・体力・死体発見場所・法医学的推定などを、判断資料とする反対立証により覆せます。しかし、わずかの差が大きな影響を及ぼすので、同時死亡の推定を破るためには、充分明確な反証を必要とします。同時死亡というのは、死亡の前後を区別せず、死亡者相互の相続を認めないという事です。父と子が、同時死亡すれば、お互いに相続しません。つまり、父から子、子から父への各相続は生じません。ただし、子に孫がいた場合は、父の遺産は、孫に代襲相続されます。同時死亡の推定による相続がなされた後に、死亡の先後が明らかとなり、推定が覆されたときには、真の相続人による相続回復請求権が、行使されることになります。また、保険金や損害賠償金が支払われていた場合には、すでに給付を受けている者に対して、不当利得返還請求権が行使されることになります。

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  • 08 Oct
    • 失踪の宣告の取消し(その3)

      失踪の宣告が取り消された場合、身分関係はどうなるのでしょうか。たとえば、夫の失踪宣告後、妻が、姻族関係終了届および復氏届を提出した後、夫が復帰し失踪宣告が取り消されたときは、妻が再婚前であれば、婚姻は回復するでしょう。問題となるのは、残留配偶者が再婚している場合です。①再婚当事者双方が善意であれば、前婚は復活しないと解するのが、通説および実務の取扱いです。②再婚当事者の一方、または双方が悪意であるときが、問題です。通説の考えは、再婚当事者のいずれか一方でも悪意であれば、失踪宣告取消しにより、前婚が復活して重婚状態を生じると解します。そして、後婚につき取消原因、前婚につき離婚原因になる、といっています。失踪宣告によって財産を得た者は、取消しで権利を失います。ただし、現に利益を受けている限度においてのみ、財産を返還する義務を負います。ここにいう財産取得者とは、失踪宣告を直接の原因として財産権を取得した者です。つまり相続人・生命保険金受取人・受遺者などを、いいます。ところで、この場合の財産返還義務者は、善意の利得者に限られるのか、悪意者でもよいのか問題です。通説は、悪意者への適用を排除しています。なぜなら、失踪宣告の誤りを知りながら財産を相続した者が、現存利益の返還で許されるのは、失踪宣告を信じた者の保護という制度趣旨に反するので、善意者に限っているのです。なお、財産取得者が、即時取得・時効などの要件をみたすときは、失踪宣告の取消しがあっても、その財産取得には影響がないとするのが、通説・判例です。

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  • 07 Oct
    • 失踪の宣告の取消し(その2)

      失踪宣告の取消しは、家庭裁判所の審判により行います。この点、失踪宣告が、審判により行われるのと同様です。なお、失踪宣告を取り消す審判、および失踪宣告取消し請求を却下する審判に対しては、即時抗告をすることができます。失踪宣告取消しの結果、失踪宣告の効果として生じた、身分上・財産上の変動は、なかったものとされます。したがって、婚姻は解消されず、相続も開始しなかったものとされ、移動した財貨は、もとに戻されることになります。しかし、これでは宣告を信じた者に、思わぬ損害を与えることになるため、民法は、二つの例外を規定しています。その一は、「取消しは、失踪の宣告後、その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない」(第32条1項)との、善意の行為そのものの効力維持です。その二は、「現に利益を受けている限度においてのみ、その財産を返還する義務を負う」(同条2項)との、返還すべき財産の範囲に関する特則です。善意の行為の有効性維持に関して、「善意」とは、失踪者が生存していること、あるいは宣告と異なる時期に死亡していることを、当該行為の時に知らないことです。財産関係に関して、たとえば、被宣告者の相続人が取得した相続財産を売却し、それが転々譲渡されたとしましょう。通説・判例は、取引両当事者が善意の場合に限り、その行為の有効性を認めています。したがって、この場合、被宣告者は、相続人・譲受人・転得者いずれかに、悪意者がいる場合には、財産を取り戻すことができます。    

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  • 05 Oct
    • 失踪の宣告の取消し(その1)

      民法第32条①.失踪者が生存すること、又は前条に規定する時と異なる時に、死亡したことの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。②.失踪の宣告によって財産を得た者は、その取消しによって権利を失う。ただし、現に利益を受けている限度においてのみ、その財産を返還する義務を負う。失踪宣告取消しの要件は、二つあります。第一の要件は、①.失踪宣告を受けた者が、生存していること。または②.死亡とみなされる時に、死亡したものでないことの証明が、必要です。要件の②に関しては、法文上は、異時死亡の証明のあった時に限っています。しかし、生死不分明期間中のある時点に生存していたことが、証明された場合をも含むと解すべきかと思います。というのは、生存の証明があった場合には、本人または利害関係人の申立てに基づき、この時点から別に、期間を起算することになるからです。この場合、前宣告の取消しがなされて、宣告前の状態に復帰させ、しかる後に、再び失踪宣告がなされることになります。失踪宣告取消しの、,第二の要件は、本人または利害関係人の請求があることです。ここでの利害関係人とは、第30条の失踪宣告の申立人である利害関係人よりも、幾分広く解釈されています。すなわち、失踪宣告の取消しに、利害関係を有するすべての者を含むと、解されています。

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  • 28 May
    • 失踪の宣告の効力

      民法第31条前条第1項の規定により、失踪の宣告を受けた者は、同項の期間が満了した時に、同条第2項の規定により、失踪の宣告を受けた者は、その危難が去った時に、死亡したものとみなす。失踪宣告により、不在者は、法律上死亡した者として取り扱われますが、宣告に必要な失踪期間(普通失踪では7年、特別失踪では1年)が、経過したからといって、死亡が事実上のものになるわけではありません。普通失踪は、失踪期間満了時、特別失踪は、危難終止時が、死亡の時期と規定されています。失踪宣告によって、不在者は死亡したものとみなされます。死亡が推定(認定死亡)されるのとは異なり、死亡していないことを立証しても、死亡効果は、くつがえされません。失踪宣告取消しの宣告を受けないと、死亡効果は否定できません。死亡とみなされることの効果は、最後の居住地における財産・身分関係にケリをつけて、相続を開始させ、婚姻を解消させることです。したがって、被宣告者の権利能力を奪うものではなく、他所で(偽名で)身分・財産関係を、形成することは可能です。婚姻関係は、失踪宣告とともに、当然解消されるものと解釈されています。夫の失踪期間中、妻の産んだ子が、夫の嫡出子として届け出られているときは、夫を父としてなされた記載は、抹消されるべきです。失踪宣告の効果として、相続が開始します。死亡時期が、宣告時以前にさかのぼるため、期間満了時あるいは危難終止時と宣告時の時間的隔たりを、原因として問題が生じます。例えば、不在者の債権者が、失踪期間満了後、宣告前に、不在者の財産に強制執行した場合です。この場合、宣告により不在者は、期間満了時にさかのぼって死亡したとみなされ、相続が開始するため、先の強制執行は、第三者の財産に対してなした執行として、無効とされます。

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  • 24 May
    • 失踪の宣告(その4)

      検察官による失踪宣告の請求については規定がありません(この点、不在者と異なります)。利害関係人が請求していないのに、国家が死亡の効果を強要するのでは、不在者の帰来を待っている利害関係人、特に親族に不利益になるであろうとの、考慮に基づきます。利害関係人の請求に基づき、家庭裁判所は、実体的要件の具備を調査したうえで、公示催告の手続きをとります。普通失踪の場合は6ヶ月以上、特別失踪の場合は2ヶ月以上の公示催告期間を、設けます。さらに情報の収集に努めても、不在者の生存が確認できなかったとき、公示催告期間の経過とともに、失踪宣告の審判を行います。この審判は、法文によれば「失踪の宣告をすることができる」と、規定されていますが、裁判所に自由裁量権があるわけではなく、要件がととのっている限り、宣告を要すとの意味であると、解されています。これに関して、たとえば多額の負債を抱え、高額の生命保険に加入しており、遭難の状況にも不審な点があるため、偽装の可能性がありとして、「特別失踪」の申立てが却下された、事案があります(名古屋家裁決定平成元年)。この場合、さらに不在者の生死不明が7年以上継続した後、「普通失踪」が申し立てられた場合、家庭裁判所は、失踪宣告について、実体的および手続的要件が充足される以上、死亡の確信がなくても、自由な裁量権はなく、必ず失踪宣告をしなければなりません。失踪宣告の審判に対しては、本人または利害関係人は、即時抗告をする事ができます。また、申立てを却下する審判に対しては、申立人から、即時抗告をする事ができます。

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    • 失踪の宣告(その3)

      失踪宣告の請求をなしうる利害関係人に、次のような事例があります。それは、交通事故の加害者が、この事故で死亡した被害者の相続人(被害者の母親で、10年前に家出して以来行方不明中)の、財産管理人より提起された損害賠償請求訴訟の係争中のことです。加害者は、利害関係人として、この母親の失踪宣告を家庭裁判所に請求し、これに基づいて損害賠償請求訴訟における原告(母親)の、当事者能力・適格を否定して、訴えの却下を求めた事案でした。裁判所は、民法30条の、失踪宣告をなしうる利害関係人とは、法律上正当な利害を有する者を指称します。それゆえに、失踪宣告の効果を、他の訴訟事件の証拠資料にしようという単なる事実上の利害関係を有するにすぎない者は、含まないと解すべきである旨を、傍論として述べつつ、被告の主張を斥けました(横浜地裁判例昭和45年)。しかし、逆に家庭裁判所では、同申立てによる失踪宣告が認められ、さらに同審判の即時抗告を受けた抗告審も、次のように述べました。すなわち、失踪宣告が行われれば、被害者の死亡より2年余前に、その母親である不在者が死亡していたものとみなされます。それにより、損害賠償義務そのものが発生しなくなるますから、交通事故の加害者も、失踪宣告の申立てをなすにつき、民法第30条1項にいうところの利害関係人であるといわざるをえない、と判断しました(東京高裁決定昭和46年)。

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  • 23 May
    • 失踪の宣告(その2)

      失踪宣告は、婚姻を解消させ、相続を開始させるという、一律で強力な対世的効力をもつものです。したがって、請求者は、単なる利害関係人というだけでは足りず、相当に重大な法律上の利害関係を有する者と解すべきです。利害関係人の範囲には、配偶者、法定相続人、親権者、不在者の管理人などがあげられますが、そのほか法人や未帰還者に関する特別措置法による厚生労働大臣も、含まれます。法定相続関係のない親族は、利害関係人ではありません。債権者・債務者そのほか取引の相手方は、不在者の管理人を相手方として、債権の取立て・債務の弁済ができるので、一般には利害関係があるとはいえません。不在者の死亡によって消滅する債務を有する者、すなわち、終身定期金債務者、恩給債務者たる国などは、利害関係を有すると解されています。これに関する事例として、次のようなものがあります。不在者Aの妻Bが、同棲した者Cとの間にできた子を、A・Bの子として届け出、やがてAとの虚偽の協議離婚をし、Cとの婚姻届を出しました。Cは、子を自分の籍に入れるため、その前提としてAの失踪宣告請求の本訴を提起しました。この場合、Cが利害関係者と認められるかが問題となりましたが、裁判所は、Cは事実上の利害関係を有するけれども、法律上の利害関係を有しないと判断しました(大審院判例昭和7年)。

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  • 22 May
    • 失踪の宣告(その1)

      民法第30条1.不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。2.戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者、その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後、又はその他の危難が去った後1年間明らかでないときも、前項と同様とする。失踪宣告をなしうるためには、生死不明、つまり生存の証明も死亡の証明も、ともに立たない状態が一定期間継続することを要します。この請求そのものも、一定の失踪期間経過後でなければ、申請することができません。失踪には、普通失踪と特別失踪の二種があります。普通失踪の失踪期間は、不在者が管理人を置いたか否かの区別に関係なく、一律に7年です。起算時は、最後に不在者の生存が確認された時(最後の音信時など)です。特別失踪は、戦争・天災・事故などに遭遇して、生死不明となっているものの、認定死亡として処理するだけの状況に無い場合で、失踪期間は1年です。起算時は、戦争の止んだ時、船舶の沈没、航空機の墜落時、その他危難の去った時です。なお、危難の去った時の、正確な時間が不明の場合には、最後に港を出た時、無線連絡の途絶えた時などの、事故の近似時点とされています。特別失踪にいう「その他の危難」は、船舶の沈没・地震・火災などの「一般的事変」に限らず、海水浴、渓流釣りなどの「個人的遭難」も、含まれるという判断が定着して、緩やかに解釈されています(仙台高裁決定昭和62年、福岡高裁決定平成8年など)。

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  • 21 May
    • 不在者の管理人の担保提供及び報酬

      民法第29条1.家庭裁判所は、管理人に財産の管理及び返還について、相当の担保を立てさせることができる。2.家庭裁判所は、管理人と不在者との関係その他の事情により、不在者の財産の中から、相当な報酬を、管理人に与えることができる。不在者の管理人が、不在者の財産を、毀損・消費するおそれがある場合があります。また、管理終了に際し、計算をして返還をすべき義務があるのに、これをしないおそれのある場合も、考えられます。このような場合に、不在者ならびに利害関係人に損害を与えないよう、こうした損害を、あらかじめ保証する目的で、管理人に担保提供義務を課したのです。この担保提供義務は、家庭裁判所が選任した管理人のみならず、不在者の置いた委任管理人についても、生じると解されています。担保を提供させるべきか否か、担保の種類(抵当権設定・保証人設置・有価証券の供託など)および数量は、家庭裁判所が適当と認めるところによります。また、家庭裁判所は、担保の増減・変更・免除を、命じることもできます。管理人には、つねに報酬を与えなければならないものではありません。委任においては、むしろ無償が原則とされています(民法第648条1項)。しかし、不在者の管理人の義務は、加重されているので、家庭裁判所の判断で、報酬を与えることもできます。報酬の多寡は、管理の難易・不在者ならびに管理人の資産状況などを考慮して、家庭裁判所が相当と認めるところによります。管理人が、親族である場合など、報酬が不要とされることも多いでしょう。報酬を受けない場合でも、支出した費用や損害があれば、管理人には、それぞれ費用償還請求権、損害賠償請求権の行使が認められます。

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  • 19 May
    • 不在者の管理人の権限

      民法第28条管理人は、第103条に規定する権限を越える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。不在者の生死が明らかでない場合において、その管理人が不在者が定めた権限を越える行為を必要とするときも、同様とする。裁判所の選任した管理人は、一種の法定代理人であるが、代理人は、権限の定めがない場合は、103条の権限のみ有するのが原則です。しかし、財産管理の必要上、財産の売却・変形など、権限外の行為を必要とする場合が生じ得ます。このために裁判所の許可を得て、管理人は、権限外の行為をなすことができるものとしました。不在者が権限を定めて置いた管理人にも、権限外の行為を必要とするときがあります。この場合に、不在者が生死不明であると、管理人は、不在者の意思を確認し得ません。そのため家庭裁判所の許可を得て、権限外の行為をなすことができるようにしました。許可の要否が問題となる権限の範囲ですが、第103条に定める保存行為(建物の修繕、時効の中断)や、不在者の債権の支払命令の申請、訴訟代理人の選任、控訴・上告、応訴も、家庭裁判所の許可を要しません。相続放棄ですが、債務超過の場合には許可を得て、相続放棄ができます。遺産分割協議についても、許可を得て行いうるものとされていますが、実務上は、詳細な条項を明示して、家庭裁判所の許可を得ているようです。不在者の残留財産の売却処分は、許可を要しますが、とりわけ不動産については、売却の必要性、売却価額など厳しく審査されています。訴えの提起、訴えの取下げ、和解、調停も、許可が必要です。なお、権限外行為の許可申立てを却下する審判に対して、即時抗告は認められていません(大阪高裁判例昭和46年)。

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  • 07 May
    • 管理人の職務

      民法第27条1.前二条の規定により、家庭裁判所が選任した管理人は、その管理すべき財産の目録を作成しなければならない。この場合において、その費用は、不在者の財産の中から支弁する。2.不在者の生死が明らかでない場合において、利害関係人又は検察官の請求があるときは、家庭裁判所は、不在者が置いた管理人にも、前項の目録の作成を命ずることができる。3.前二項に定めるもののほか、家庭裁判所は、管理人に対し、不在者の財産の保存に必要と認める処分を命ずることができる。家庭裁判所から選任されると、その管理人は、不在者の財産の上に法定の管理権をもつが、不在者との関係においては、法定の委任関係が成立します。したがって、一方において、管理人の権限については、委任の規定(民法644.646.647.650条)が、準用されます。が、他方において、管理人は、家庭裁判所の監督に服するわけで、この監督の必要上、管理人の職務を規定したのが、本条です。財産管理は、数年にわたって行われるのが通常ですから、その間、財産が毀損・消費されては、なりません。そこで、管理状況がはっきりわかるように、その前提として、管理人に財産目録作成義務を課したのです。財産目録作成義務のほか、家庭裁判所は、管理人に、不在者の財産状況を報告させたり、管理計算を命じたりすることができます。管理人は、不在者の財産を、現状のまま維持するために置かれたものであるから、原則として保存行為のみに、その権限を限るべきです。民法は、保存に必要な処分について、家庭裁判所の積極的で広範な介入を、認めています。

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    • 管理人の改任

      民法第26条不在者が管理人を置いた場合において、その不在者の生死が明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、管理人を改任することができる。不在者の置いた管理人がいるときは、その者に不在者の財産を管理させるのが適当です。というのは、管理人は、不在者の信任を得て管理を委任されたのだからです。それにもかかわらず、本条においては、委任管理人を改任できると規定しています。これは、生死不明の不在者は、管理人に対して、十分な監督をなしえないからです。つまりは、管理が失当となる可能性があるためで、不在者のために、家庭裁判所が後見的立場から介入するものです。不在者のための後見的措置とはいえ、その生死がわからない以上、実際には、結局間接的ながら、不在者の財産の相続人ならびに債権者等のためにも、機能することになるでしょう。委任管理人の改任には、利害関係人または検察官の請求を、必要とします。家庭裁判所が、職権で改任することはできません。なお、家庭裁判所は、これを改任せずに監督することも可能です(民法第27条2項・28条)。なお、不在者の、財産の管理に関する処分の審判事件の管轄は、不在者の従来の住所地又は居住地を管轄する家庭裁判所の、管轄に属すると規定されています(家事事件手続法第145条)。

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  • 04 Apr
    • 不在者の財産の管理

      民法第25条①.従来の住所又は居所を去った者が、その財産の管理人を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について、必要な処分を命ずることができる。本人の不在中に、管理人の権限が消滅したときも、同様とする。②.前項の規定による命令後、本人が管理人を置いたときは、家庭裁判所は、その管理人、利害関係人又は検察官の請求により、その命令を取り消さなければならない。住所を去ったまま、容易に、そこに帰ってくる見込みのない者を、不在者といいます。不在者の生存が予測される場合はもとより、その生死が不明の場合でも、死亡の扱いを受けない限り、生存するものと推定し、不在者の放置した財産を管理することが、さしあたり必要になります。本条は、このための規定です。管理人は、不在者の利益を保護すべき立場にある人を、選ぶべきです。第三者として、司法書士や弁護士でも良いです。ただし、不在者財産につき、本人と利益相反する立場にある人を、選ぶべきではありません。家庭裁判所が選任した管理人は、法定代理人と解されています。家庭裁判所による管理人の改任は、いつでもでき、管理人の辞任も、いつでもできます。管理人の改任の申立や、選任の取消しの申立てを却下した、家庭裁判所の審判に対する不服申立ては、許されていません(東京高等裁判所決定昭和60年)。不在者財産管理の申立てのできる者は、利害関係人ならびに検察官です。検察官を加えたのは、公益に関係があるからです。利害関係人とは、不在者の債権者や相続資格者を言います。単なる友人や、隣人は入らないとするのが、通説です。

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  • 03 Apr
    • 仮住所

      民法第24条ある行為について、仮住所を選定したときは、その行為に関しては、その仮住所を住所とみなす。住所 ・ 居所とは別に、法律関係の当事者は、一定の取引行為について、その便宜のため、一定の場所を仮の住所として選定し、そこを、当該取引について、住所の代用とすることができます。このような場所を、仮住所といいます。当該の取引行為に関する限りは、住所とみなされ、住所におけると同様の法的効果が、仮住所たる場所に、与えられます。たとえば、徳島に住所をもつ商人が、埼玉でのある取引につき、埼玉のある司法書士事務所を、仮の住所と定める約束をした場合には、その取引に関しては、同事務所が、徳島の商人の住所としての効果を生じます。どこを仮住所に選ぶかは、当事者の自由であり、実際の居住事実や居住意思に関係なく、取引の便宜によって、任意に定めることができます。仮住所の選定は、法律行為です。したがって、未成年者が、法定代理人を介さずに選定した場合は、取り消すことのできる選定行為となります。その選定行為は、身分関係や、専属管轄の定めがある場合は別として、公序良俗に反しない限り、原則として、当事者間の契約によって選定し得ることになります。選定の効果として、当該取引行為に限り、仮住所が住所とみなされます。その結果、当該取引行為に関する限りは、住所について生ずべき民法上の効果が、すべて仮住所について生じます。ただし、不在 ・ 失踪の基準(第25条・30条)にはなりません。問題は、仮住所が、当該取引関係につき、住所ないし居所を排斥するか、競合するかです。これは、選定行為についての、法律行為解釈の問題です。そして、当事者の意思が不明な場合は、排斥すると解すべきです。そうでなければ、仮住所を別に定めた意味がないでしょう。通説は、そのように解しています。

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  • 01 Apr
    • 居所

      民法第23条①.住所がしれない場合には、居所を住所とみなす。②.日本に住所を有しない者は、その者が日本人又は外国人のいずれであるかを問わず、日本における居所を、その者の住所とみなす。ただし、準拠法を定める法律に従いその者の住所地法によるべき場合は、この限りでない。居所とは、人(自然人)が、多少の期間継続して居住してはいるが、土地との密着度が生活の本拠、すなわち住所といえる程度に達していない場所をいいます。居所は、他の場所に住所が存在すると否とに関係なく存在します。しかし、居所(擬制住所・代用住所)として、住所と同一の法的効果を付与されるのは、本条1項の「住所が知れない場合」と、本条2項本文の「日本に住所を有しない」場合に、限られます。「住所が知れない場合」とは、住所は存在するが、それがどこであるか不明な場合と、全然住所が存在しない場合です。なお、未成年子に対する親権者の監護教育という観点から、民法第821条は、「子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない」と、規定しています。本条2項の、「日本に住所を有しない者」という場合、普通なら、日本にも外国にも住所を有しない者と、外国に住所を有する者とを包含します。しかし、前者は、1項の「住所が知れない」者に含まれます。よって、ここでいう「日本に住所を有しない者」とは、外国に判明した住所を有するが、日本に住所を有しない者だけを指します。

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    • 住所(その2)

      住所、すなわち生活の本拠に関して、住所の個数の問題があります。つまり、自然人の民法上・民法外の全般的生活関係の本拠だけに限られる(単一説)のか、各個の特殊具体的生活関係ごとの各本拠も住所たりうる(複数説)のか、という問題です。現在社会においては、各人の生活圏の拡張と頻繁な場所的移動が、いちじるしい状況です。そして、各人の全般的な生活関係は複雑多様化し、各種の特殊具体的な生活関係に分裂し、多様化しています。そうであれば、各種の特殊具体的な生活関係・法律関係ごとに、法的にそれに最もふさわしく関連の深い相対的な場所的中心(本拠)を、住所と認めるべきです。よって、一人同時一住所に拘泥する理由はなく、複数説をとるべきかと思います。これが、通説的立場です。判例は、単一説・複数説のいずれをとっているか、明瞭ではありませんが、選挙法と住所に関して、有名な「茨城大学星嶺寮事件」(最高裁判所大法廷判決昭和29年)を、ご紹介します。これは、大学の学生寮寄宿生の選挙人名簿登録と住所に関し、寮生の住所は、寮の所在地にあるのか郷里にあるのか、が問題になった者です。①.およそ法令において、人の住所につき、法律上の効果を規定している場合、反対の解釈をなすべき特段の事由のない限り、その住所とは、各人の生活の本拠を指すものと解するのが、相当です。②.すなわち、民法上の住所(生活の本拠)は、原則として、すべての法令における住所に通用するから、公職選挙法上の選挙人名簿登録についての住所についても、同様です。③.茨城大学星嶺寮の寮生47名の生活の本拠は、いずれも、本件名簿調製期日まで3ヶ月間は、A村内の星嶺寮にあったものと解すべく、一時的に同所に、滞在または現存していたものと、いうことはできないのです。

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  • 28 Mar
    • 住所(その1)

      民法第22条各人の生活の本拠を、その者の住所とする。住所の成立・変更・廃止には、生活の本拠たる事実のほかに、生活の本拠とする意思(登録の届出・標札掲示・転居通知・開業通知など)を、要するかどうかの争いがあります。通説は、生活の本拠たる事実だけで足りる、との客観主義(事実主義)を、採っています。判例は、直接的には公職選挙法9条2項にいわゆる「住所」に関して、次のような判断を示しました(最高裁判所判決平成9年)。①.ここにいう住所とは、生活の本拠、すなわち、その者の生活に最も関係の深い一般的生活、全生活の中心を指すものです。②.一定の場所が、ある者の住所であるか否かは、客観的に生活の本拠たる実体を具備しているか否かにより決すべきもの、と解するのが相当です。③.そのため、ある者に、主観的に住所を移転させる意思があることのみをもって、直ちに住所の設定、喪失を生ずるものではありません。④.また、住所を移転させる目的で転居届がされ、住民基本台帳上に転出の記録がされたとしても、実際に生活の本拠を移転していなかったときは、住所を移転したものと扱うことは、できません。また、最高裁判所判決平成20年は、都市公園内に不法に設置されたテントを、起居の場所として、日常生活を送っている者について、社会通念上、テントの所在地が、客観的に生活の本拠としての実体を具備していると、みることはできないと判断しました。

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  • 27 Mar
    • 制限行為能力者の詐術(その2)

      制限行為能力者が、詐術を用いた場合ですが、被後見人は、詐術を用いることはありえないと思います。被後見人は、事理弁識能力を欠く常況にありますから、詐術を行いうる能力があるということは、疑問です。被後見人に関しての、判例もありません。被保佐人は、「準禁治産者」と、言われていた時代の判例が、あります。①.詐術が、保佐人の同意を得たことに関する場合も、民法第21条に該当し、詐術となります(大審院判決明治37年)。②.準禁治産者が、自己が無能力者でないこと、もしくは父より譲り受けた質屋営業に、資金を要するため借財する旨を告げるのは、詐術ではありません(大審院判決大正5年)。③.準禁治産者が、自己の能力者たることを述べ、もしくは他人の誤信を知りながら黙秘するのは、詐術ではありません(大審院判決大正6年)。④.準禁治産者が、自分は相当の資産信用を有するから、安心して取引せられたい旨を述べて、自己が取引の相手として、完全な資格を有することを信じしめた場合には、詐術にあたるとしています(大審院判決昭和8年)。ところで、行為能力者であることを信じさせるための、「詐術を用い」に関しては、詐術の結果相手方が誤信したことが必要であり、かつ詐術と相手方の誤信との間に、因果関係のあることを要します(大審院判決昭和2年)。本条の効果は、制限行為能力を理由として、制限行為能力者がなした法律行為を、取り消すことができないことです。制限行為能力者の行為は、はじめから有効となるのです。

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  • 15 Mar
    • 制限行為能力者の詐術(その1)

      民法第21条制限行為能力者が、行為能力者であることを信じさせるため、詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。本条は、制限行為能力者が、取引行為をなすにあたって詐術を用い、行為能力者として相手方を誤信させた場合に、そのような制限行為能力者まで、行為能力制度により保護する必要はないと考えられることより、取消権の排除を認めたものです。制限行為能力者の詐術が成立するためには、まず、故意能力者であることを信じさせるため、詐術を用いたことが必要となります。これは、制限行為能力者が、相手方に対し、行為能力者であるかのように信じさせる場合のみならず、制限行為能力者が、自分が制限行為能力者であることを隠さず、保護者(後見人、保佐人、補助者)の同意があるかのように信じさせる場合も、含みます(大審院判決明治37年)。しかし、制限行為能力者であることを、相手方が知った以上、相手方は、保護者に同意の有無につき、確認する義務があると解されているようです。本条にいう詐術は、相手方を、本人の行為能力について錯誤におちいらせるための、欺罔行為をいいます。この場合、未成年者については、その財産保護の見地から、単なる沈黙ないし、制限行為能力者たることを否定したていどでは、詐術にあたるとはいえず、かなりの積極性を要すると、解せられます(東京控訴院判決明治36年)。戸籍謄本や、法定代理人の同意書を偽造した場合のように、積極的術策を用いた場合は、当然に該当します。判例は、未成年者が、独立して営業をなすことを信じさせるために、商業帳簿などを示した場合に、詐術にあたるとしています(大審院判例大正2年)。

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