土地の定着物も不動産とされています。土地の定着物とは、継続的に土地に固着し、しかも固着して使用されることが、その物の取引上の性質と認められるものを言います。

 

定着物のうち、最も代表的なものは建物です。その他、樹木、石垣・沓脱石の類い、さらには機械も、それが土地または建物に造りつけられたときは、定着物となります。

 

しかし、造り付けの程度は、具体的な場合に即して決しなければならず、工場内においてコンクリートの土台にボルトで固着させられた程度では定着物とは言えません。樹木は、一般に定着物ですが、仮植中のものは、定着物ではなく、動産です。

 

定着物はすべて不動産ですが、その不動産としての取り扱いには差異があります。その差異により、①石垣・沓脱石のように、土地の一部として土地の権利の変動に当然に従い、独立の不動産とは認められないもの、②建物のように、土地とは別個独立の不動産として扱われるもの、③樹木のように両者の中間に位するもの、の3種に分けることができます。

 

建物は、土地の定着物ですが、土地とは別に登記の制度が設けられ、独立の所有権の客体となります。したがって、建物はいかなる場合にも、その土地の上の所有権、その他の権利に吸収されることはありません。同一人が、土地とその上の建物を有する場合にも、土地と建物とは、別個の所有権の客体となります。