建築中の建物がいつから独立の不動産となるかは、建築中の建物についての権利の変動に際し、重要な問題を生じます。裁判例は、木材を組み立てて地上に定着させ屋根をふき上げただけでは、未だ法律上の建物とは言えないとしています。

 

しかし、建物はその使用の目的に応じて、構造を異にするのであるから、建物の目的からみて使用に適する構造部分を具備する程度になれば建物と言うことができ、完成以前でも登記ができます。

 

また、住宅用でないものは、屋根および囲壁ができれば、床や天井ができていなくても、建物とみることができるとしています。

 

建物が崩壊すれば、もはや不動産ではなくなります。したがって、建物の上に、抵当権が設定されていた場合は、その抵当権は消滅します。ただし、改築をしたり、場所を引き移しても、必ずしも建物の同一性を失わしめるものではありません。同一性を失うとすれば、従前の登記が効力を持たなくなり、その上の抵当権も消滅するから、その決定は慎重になすことを要します。

 

建物の構成部分と解せられる、ひさし・湯屋の洗い場の如きは、建物の一部であって独立のものをなすものではありません。

 

建物の戸数は、土地と異なり、登記簿によるのではなく、社会観念によって決せられます。したがって、登記簿上一戸の建物として一用紙に記載されていても、事実上分割して二戸の建物とすれば、二つの建物として、それぞれ所有権の客体となります。