従物は、主物の処分に従います。これは、主物と従物が、法律的運命をともにすることを意味しています。ただし、当事者間に、別段の意思表示がある場合には、この限りではありません。

 

ここに主物の「処分」とは、広く主物に関して権利・義務の変動を生じさせる一切の法律行為を指します。債権行為であるか物権行為であるかを問いません。

 

したがって、売買・貸借がなされたときは、別段の意思表示がない限り、従物をも包含するとみられます。つまり、主物について、所有権譲渡・地上権設定があれば、従物についても、譲渡あるいは設定があったものとみられます。

 

ただ、質権設定のように、目的物の引渡しを要する法律行為においては、質権の効力が従物に及ぶか否かは、従物の引渡しの有無によって定まるのであって、本条二項の適用の余地はありません。

 

主物についての抵当権の効力は、設定当時の従物に及ぶが、設定後に付加された従物にも及ぶか否かについては、争いがあります。一部の学説はこれを否定していますが、多くの学説は、理由付けに相違こそあれ、これにも及ぶものと解しています。

 

主物についての物権的処分の効力が、従物にも及ぶとみられる場合に、その処分の対抗要件は原則として、主物の対抗要件によってすべてがカバーされるとみて差し支えありません。