主物についての処分の対抗要件は、主物の対抗要件によって従物にも及ぶとみられています。たとえば、建物の譲渡やそのうえの抵当権設定の効力が、従物たる畳・建具にも及ぶ場合には、建物の登記さえあれば、右従物についても対抗力を具備したというべきであります。

 

また、同様に土地についての抵当権の設定は、その土地の従物であった石燈篭および庭石にも及び、抵当権設定登記による対抗力は、右従物についても生ずることになります。

 

従物と言えども独立のものですから、当事者が、主物と切り離してこれだけ処分することも、もちろん可能です。従物のみを強制執行の対象となしうるかについては、説が分かれるが、これを否定する理由はないようです。

 

本条は、物に関する規定ですが、同様の関係は権利についても生じえます。たとえば、元本債権と利息債権の間とか、建物と敷地賃借権の間などです。このような場合には、本条の趣旨を類推適用すべきでしょう。判例もこの理を認めています。

 

判例をご紹介します。

石燈篭および取り外しのできる庭石などは宅地の従物である、とされました。

また、地下タンク、ノンスペース型計量機、洗車機などは、ガソリンスタンド用建物の従物である、とされました。