利息に関しては問題があります。利息を法定果実に含めることに関しては、争いのないところです。しかし、利息は元物とみられる特定の貨幣の収益ではなく、元本債権の収益なのであるから、厳格にいえば、民法上の法定果実にあたらないものと言わなければなりません。

 

けれども、これと本質を異にするものではないから、法定果実の分配に関する、民法第89条2項(法定果実はこれを収取する権利の存続期間に応じて、日割計算によりこれを取得する。)の規定を、これに類推適用するのは、差し支えないと言うべきでしょう。

 

なお、株主に対する会社の利益配当が株式の法定果実であるかが質権との関係で一時問題にされましたが、現在では立法上解決を見ています。

 

天然果実は元物より分離するときにこれを収取する権利を有する者に帰属します。天然果実は元物から分離しない限り、元物の一部として元物所有権の内容を成すものと考えられますし、その上、果実の産出に尽くした努力の多少を定めることも困難です。かつ、分割することが不適当なことが多いという理由に基づいています。

 

収取権者は、元物の所有者、善意占有者、地上権者、永小作権者、賃借権者、不動産質権者などですが、当事者の特約によって別に定めることは差し支えありません。

 

なお、未分離の天然果実は元物の一部であって独立のものではないが、これを独立の客体とした場合には、取得者に所有権の成立を認めることができます。

 

法定果実は、これを収取する権利の存続期間にしたがい、日割をもってこれを取得します。すなわち、賃貸家屋の所有者、消費貸借の債権者などに変更があった場合には、賃料や利息などは所有者や元本債権などの存続期間にしたがって、日割計算で分配する趣旨です。

 

この原則は、賃料や利息など年あるいは月をもって計算される場合にも適用されます。ただし、これと異なる特約あるいは慣習は有効です。