第87条

① 物の所有者が、その者の常用に供するため、自己の所有に属する他のものをこれに附属させたときは、その付属させたものを従物とする。

 

② 従物は、主物の処分に従う。

 

民法は、個々の独立の物は処分の場合においても、それぞれ独立になされることを原則としています。しかし、母屋と物置、家屋と畳・建具、鞄と鍵などのように、二個の物の間に、客観的・経済的な主従結合関係があるとき、これを法律的運命においても、同一に取り扱い、その結合を破壊しないよう要請される場合が多いのです。

 

この要請に応じて、設けられたのが、主物・従物の制度であり、民法第87条は、これを規定したものです。

 

従物の意義については、本条第一項に規定されています。これを分説すれば、次のようになります。

 

まず、従物は、主物の常用に供せられることが必要です。社会観念上、継続して主物の効用を全うさせる動きをすると認められなければなりません。主物の効用を助けるためであっても、一時的に付加されるようなものは、従物とはなり得ません。

 

主物の常用に供せられるか否かは、一般取引上の観念によって定まるべき客観的標準に従って決めるべきで、附属させるものの意思はなんら影響を与えるものではないというべきでしょう。