では、続いて、もう一つの履修科目である「ジャーナリズム論Ⅱ」の方の後期末レポート全文を、掲載させていただきます。
ちなみに、この「後期末レポート」は「後期末試験」に相当する重要なレポートですが、MAX1200字という字数制限がありましたので、(「放送概論Ⅱ」の最終レポートと比べたら)だいぶ短いです。
では、よろしかったら、ちょっとでも覗いてみてください。
(なお、レポートの合間に適宜、日芸のキャンパス画像等を挿入しています。)
※ この授業では、予習・復習に、大学の図書館をよく利用しました。
【「ジャーナリズム論Ⅱ」2022年度後期末レポート】
この講座では、ジャーナリズム、とくにそれが大規模な産業構造を内包するに至ったものである「マスコミ」が持つ問題点について考えてきました。なかでも、あなたがとくに重要だと思うものを挙げ、より良い報道/ジャーナリズムを実践していくために必要なことを論じてください。
本レポートのタイトル;「マスコミ」が「マスゴミ」と言われないために、今、取り組むべきこととは?
【はじめに】
まず、今回の課題に関する私自身の問題意識等について、次のように整理してみた。
①SNSの普及で誰もが情報等を世界中に発信できる現在だが、「報道」においては、私はまだ、マスメディアが主体となるマスコミュニケーションに結構期待している。
②しかし、かなり多くの人々がマスコミに対して、感情レベルも含めて不信感を持っている事も否めない。
③その不信感に対して、マスメディア側が立派な正論を唱えてもほとんど意味はなく、今こそ、できることから取り組むべきである。
以下、上記①~③の各項目を掘り下げていきたい。
【①;私がまだマスコミに期待している理由はというと……】
それはズバリ、報道の質という面で、やはりマスコミ報道に圧倒的に軍配が上がるからである。一般人制作の報道もどきYouTube動画に出る誤変換テロップの数々……等々には、心底辟易している。優秀なマンパワーを抱えるマスコミ報道の比ではない。
【②;では、なぜマスコミに不信感を持つ人々が多いのか?】
それはやはり、「メディアスクラム」等にも象徴されるマスコミ関係者の尊大な態度等を人々が感じるからであろう。一般人でもスマホひとつで情報発信ができる現在、「おまえらだけが何を偉そうに…」という感情的反発が起きることも否めない。
※ 前期の「ジャーナリズム論Ⅰ」の評価が、なぜか「A」から「S」に変更となりましたが……。
【③;では、今こそ、マスコミ関係者が取り組まねばならないこととは?】
(1)マスコミの報道に対して、Twitter等に謂われなき批判が書かれて炎上しても、ほとんどの場合、マスコミ側は黙殺している。専属班を設けてでも、マスコミサイドの反論を粘り強くSNSに発信し続けるべきである。
(2)「マスコミ版インティマシー・コーディネーター」を早急に養成して活用する等の手段を果断に実行すべきである。「インティマシー・コーディネーター」とは、映画制作等の現場において「性的シーンの撮影現場に立ち合い、撮影を円滑安全に進める役割を担っている」 (注1)専門職であり、「『良い映像が撮れればいい』って感覚」(注2) で突き進み、その結果、俳優(特に女優)に対する人権侵害が起こりかねない事態を防止するために、わが国でもやっと導入され始めた制度である (注3)。
マスコミ側が「表現の自由・報道の自由」等の崇高な意義を理路整然と主張することに、意味が全くないとは言わない。しかし、それでは、あたかも某左翼政党が自党の機関紙に立派な文章を書いて自己満足に浸っている状況と同レベルである。多くの人々は、「良い画が撮れれば強引な取材だって許される」という意識こそマスメディアの「思い上がり」であることを喝破しているのである。
今こそマスコミサイドは、取材される一般人の立場に寄り添うために、観念的な主張を声高に述べることよりも、「マスコミ版インティマシー・コーディネーター」制度等の実効性のあるシステムの実現を、まずは優先させるべきである(注4) 。
(注)
(1) シナリオ作家協会『シナリオ』2022年11月号p22。
(2) 同p25。なお、この記事は、インティマシー・コーディネーターの西山ももこ氏へのインタビュー記事で、引用したのは、もちろん西山氏の発言である。
(3) 最近では、映画のみならずフジテレビ系のドラマ『エルピス-希望、あるいは災い-』(2022年10-12月期放映)でも、インティマシー・コーディネーター制度が導入された。
(4) 注を除いた本文は、スペースを含めて1187字です。
なお、1200字以内では、本来のインティマシー・コーディネーターの任務等についても詳しくは紹介できませんでしたが、上記『シナリオ』誌は、2022年11月号と12月号の2回に渡って、西山氏へのロングインタビューを掲載していますので、よろしければご参照ください。
また、エンタメの世界におけるインティマシー・コーディネーター制度が直ちに「マスコミ版インティマシー・コーディネーター」に応用できるわけではないと思いますが、この制度が持つ
(a)「複数の視点で考える」(同p26)こと
(b)「マジョリティを増やして『遅れてるあなたやばいよ』と思わしていくしかないんだと。現場のみんなの常識が『あなたやばいね』となった時に、やばくないと思っている人がどんどん取り残されていくぐらい周りがアップデートしていくことが大事だと思いますね」(同p26)
という西山氏の指摘は、「マスコミ版インティマシー・コーディネーター」においても、共通事項かと考えます。
※ 学食の日替わり麺というメニュー。オール炭水化物という潔さ笑!
こちらの科目のレポートは、(上述しましたように)字数制限がありましたので、その指定された字数内で論旨を完結させることに、ちょっと苦労しました(^_^;)。
なお、担当のO(オー)先生からは、
・(レポートの)②以降で展開される、仮説および解決策の例は、建設的で価値あるものです。
・「インティマシー・コーディネーター」は可能性を感じます。
・いかにそのコーディネーターの透明性を確保するのか、という課題が同時に生じるものの、第三者の介在、すなわち権力を監視する報道機関を監視する立場の導入は、シンプルに記事の公正さを担保する上で効果的だと感じました。
・『シナリオ』22年11月号、ぜひ読もうと思います。
という講評をいただきました。
(もっと長い講評でしたので、その一部のみの抜粋ですが……。)
……ということで、肩、首筋、腰の痛み&眼の疲れと共に(苦笑)、全てのレポートを提出し終え、今は成績評価を待っているところです。
最後にもう一度書かせていただきますが、今年度も、たくさんの皆さまから励ましのお言葉をいただき、日芸での勉学を続けることができました。
心から感謝申し上げます。
「来年度は、映画学科の開講科目のなかで興味ある科目が残っているので履修しようかな~」なんてことを、考えていますが(^_-)-☆……。
では、引き続き、コロナ、インフルエンザ……等々には共に気をつけて参りましょう。
【参考】
[日芸での勉学に関する過去の記事一覧]
○ 2019年度
○ 2020年度
<後期授業(オンライン授業)がスタートして約一ヶ月が経過しました>
○ 2021年度
<「放送広告論」の発展学習;「広告」=「CM」だけではない……というお話です>
○ 2022年度
<日芸での2022年度前期勉学報告~その1(「放送概論Ⅰ」)~>
<前回の記事の補足;民放局のテレビ番組を視聴する際のコストについて等>
<日芸での2022年度前期勉学報告~その2(「ジャーナリズム論Ⅰ」)~>
<2022年度前期の「成績」が良い方に修正されました(^_-)-☆>
(ちなみにこの記事は、<2022年9月&10月の振り返り記事>内での報告です。)
<2022年度後期授業の「中間報告」~その1;「放送概論Ⅱ」~>
<2022年度後期授業の「中間報告」~その2;「ジャーナリズム論Ⅱ」~>
<2022年度最終報告~その1;「放送概論Ⅱ」の最終レポートを全文掲載しました>
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