今日は2022年の2月10日ですが、庭やガレージの屋根に積もる
雪をリビングの窓から眺めながら、この文章を書き始めました。
お昼過ぎと夕方に、向かいにお住まいのKさんと一緒に、自宅
前の道路の雪かきをしましたが……。
雪が降らなければ、昨日レビューをアップした『悪魔と永遠』のリ
ピート観劇の予定でしたが、泣く泣くキャンセルの連絡をさせて
いただきました。
(チケットを依頼した砂田桃子さん、本当にごめんなさい。)
……ということで、今回は、科目等履修生としての日芸(日大藝
術学部)での2021年度の勉学内容について、簡単な報告をさせ
ていただきます。
いつも多くの皆さまから励ましの言葉をいただいていますので、
ささやかな恩返しの意を込めての報告です。
よろしければ、お読みくださいませ。
(ただし、今回は「その1」までです。)
※ 学生さんがよくこんなパフォーマンスを披露してくれる日芸
キャンパスに、2020年度からは足を運べないことが、本当に残
念です。
【では、まず、受講科目の成績全般について】
下の画像をご覧ください。
先日、日芸の教務課から郵送されてきた(簡易的な)成績通知
の写しです。
※ なお、色彩加工をしていますが……。
※ ちなみに、日芸の評価規則等によれば、
S=90~100点
A=80~89点
となっています。
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「テレビ史Ⅰ」・「テレビ史Ⅱ」と「放送広告論Ⅰ」・「放送広告論Ⅱ」
は共にセットで履修する科目ですが、これら4科目はS評価で、「舞
踊学」はA評価でした。
まあ、率直に申し上げますと、「舞踊学」は超難解な科目でしたので、
A評価をいただけたことは望外の喜びです(^_^)。
【次に、個々の科目に関する特記事項についてですが…】
[テレビ史Ⅰ・テレビ史Ⅱ]
・日芸OBで、某民放局でアナウンサー職を長年務めたM先生の講義
は滑舌も抜群で、まさに明快な内容でした。
・わが国のテレビ史を草創期から現在まで丁寧に概説する(その際
の先生の自作年表&レジュメが非常にわかりやすかった)→同時に
各時代の映像素材をセレクトして見せる→ほぼ毎回実施する小テス
トと、折にふれて課すレポートで学生の理解度を確認する……という
のが、授業全15回の流れでした。
・M先生の丁寧な解説付きで見た多数の映像素材のなかでは、次の
二つが特に印象に残りました。
一つは、2014年の8月12日にフジテレビで放送された「8・12 日航機墜
落30回目の夏 生存者が今明かす”32分間の闘い”」という番組です。
この番組の視聴後に課されたレポートのなかで、私は、
*********************************
(前略)
ドキュメンタリードラマという形を取っているが、この番組は実質的には
「調査報道」番組と言っていいと思う。
(中略)
マスメディアの性格上、刹那刹那の話題を素早く報道する必要性を否定
するつもりは全くない。しかし、それはこともすれば、事件や事故が起きる
とわ~っと駆けつけて荒っぽい報道を成し、視聴者や読者の興味が薄れ
れば潮が引くように撤退してしまう……という報道姿勢の横行とも、リンク
しているわけである。
そういう意味では、この番組は、真のジャーナリズム精神に満ちた(広義
の)「調査報道」番組であると感じた次第である。
(後略)
*********************************
というようなことを書きましたが……。
いずれにせよ、テレビジャーナリズムといったものの本質について、深く考
察させてくれた番組でした。
【参照】
<「8・12 日航機墜落30回目の夏 生存者が今明かす”32分間の闘い”」に関するフジテレビの説明サイト>
二つ目としては、1996年の4月30日にTBSで放送された「視聴者の皆様へ」
という磯崎洋三社長(当時)による謝罪番組と、「証言~坂本弁護士テープ
問題から6年半~」という検証番組です。
これは言うまでもなく、オウム真理教問題に関する報道過程において、TBS
が、取材協力者である坂本弁護士のインタビュー映像を、取材協力者と対
立する相手(オウム真理教幹部)に無断で見せ、この行為が、オウム真理
教団による坂本弁護士一家殺害の遠因となったのでは……という問題に
関する、TBS自身の謝罪番組、検証番組でした。
筑紫哲也氏に「TBSは今日、死んだに等しいと思います」と語らせた、いわ
ば報道機関としての大汚点を残したこの問題を、3時間33分に渡って真摯
に検証した姿勢自体には、TBSの良心を感じました。
(もちろん、だからといって、TBSの責任が免罪されるわけではありません
が……。)
・惜しむらくは、限られた講義回数のなかでは、今後のテレビというメディア
の行方……等々についてまでは語られなかったことです。
(レジュメでは少し触れられましたが……。)
まあ、こういった点については、「自分でさらに勉強してみなさい!」という
ことでしょう(^_-)-☆。
※ 日芸東棟のこのスペースで、空き時間によく予習をしてました。
[放送広告論Ⅰ・放送広告論Ⅱ]
・日芸OBで、大手広告会社でCM制作の最前線で活躍されたH先生
が担当するこの科目については、大変興味深い内容でしたので、今
までも何度か報告させていただきました。
・そこで今回は、「1980年代を代表する傑作CM」として有名な<JR東
海・エクスプレスシリーズ>がYouTubeにも上がってましたので、深津
絵里さんの若き頃の映像と共に、まずはご覧になってみてください。
そして、このCMから33年ぶりに、深津絵里さんは同じくJR東海のCM
に出演されました(下の動画)。
2022年になってから流れているこのCMをご覧になった方も多いと思い
ますが、次に、こちらのCMもご覧になってみてください。
二つの動画をご覧になって、どんな感想を持ちましたか?
「深津絵里さんの透明感は30年経っても変わっていない…」とか、「キュ
ンキュンさせたり、コロナ渦において激変した人間関係をしみじみと描い
ている…」というような感想を、お持ちの方が多いのではないでしょうか。
H先生の講義を聴くまでは、私もそうでしたが……。
もちろん、それも的確かつ穏当なコメントかと思いますが、でも所詮、情
緒的、表層的なコメントの域を越えませんよね。
では、H先生は、上の「X'mas Express」等の80年代の一連のJR東海の
CMを、どんなふうに講義されたのでしょうか?
私の書いたレポートを元に紹介してみますね。
*********************************
(前略)
バブル期に流されたJR東海のこのシリーズのCM群は、記憶に深く残
っている。ただ、そうはいっても、深津絵里さんや牧瀬里穂さんの切な
くて可愛らしい演技と、山下達郎の名曲「クリスマス・イブ」が醸し出す
胸キュン(これは死語かな…)シチュエーションを「いいな~」と感じた
程度の表層的な好感度に過ぎなかったが……。
しかし今回、H先生の解説を拝聴して、目から鱗がバキバキ落ちまくっ
た視点は、ズバリ、<民営化=顧客の創造、価値の創造を行うこと>
という説明箇所であった。
(中略)
特に、<新幹線は単なる運輸交通手段ではない>→<人と人が出会
う街と街を結ぶコミュニケーションメディアである>という価値の転換
(新しい価値の創造)を可視化するCMを制作して世間に広くわかりや
すく知らしめ、ひいては新生JR東海という企業のブランドイメージを高
め、かつ、売り上げ増にもつなげる……という一連のプロセスの明快
さは、まさに蒙を啓かれた思いであった。
いわば、CM制作という行為の社会的なレゾンデートルを、しっかりと
把握できたと言っても過言ではない。
(後略)
*********************************
(なお、念のため申し添えますが、H先生はこの「X'mas Express」の
CMをひとつの例として解説されましたが、2022年放送の上のCMに
ついては講義では触れていません。)
したがって、H先生の説明を参考にして、深津絵里さんの2022年放送
のCMを私なりに分析すると、
<コロナ渦でオンライン会議、リモート会議が全面的に普及した>→
<もちろんそれは避けられないことではあるが、やはり face-to-face
の会議等の良さとメリットもあると思う>→<そのためには、今再び、
「新幹線=人と人が出会う街と街を結ぶコミュニケーションメディアで
ある」という「価値」を見直してほしい!>
という「構造」が、このCMの本質だと思うのです。
(下線は私が付しました。)
で、この「構造」を表現するための最も情緒的な演出が、見送られて
ソーシャルディスタンスが確保された時にお互いが交わす「マスクを
外しての挨拶」と、そのシーンに被る「会うって、特別だったんだ。」
のコピーである……ということですよね(*^_^*)。
(同じく下線は私が付しました。)
H先生の講義のおかげで、CMを見る視点が、わずかながらではあり
ますが、深化した感じです。
……ということで、だいぶ長くなりましたが、「勉学報告~その1~」は、
以上です。
もう一科目の「舞踊学」に関しましては、「~その2~」に譲ります。
そんな人はおそらくいないと思いますが(苦笑)、ここまで読んでいただ
いた方には、心から感謝申し上げます。
【参考】
[日芸での勉学に関する過去の記事一覧]
○ 2019年度
○ 2020年度
<後期授業(オンライン授業)がスタートして約一ヶ月が経過しました>
○ 2021年度
<「放送広告論」の発展学習;「広告」=「CM」だけではない……というお話です>
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