(2021年エリザベート王妃国際音楽コンクール受賞者コンサート動画 その2 第1~3位) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

ベルギーのブリュッセルで開催された、2021年エリザベート王妃国際音楽コンクールのピアノ部門(公式サイトはこちら)。

その受賞者コンサート第2弾(第1~3位受賞者)の演奏動画がアップされた。

ちなみに、2021年エリザベート王妃国際音楽コンクール(ピアノ部門)についてのこれまでの記事はこちら。

 

2020年エリザベート王妃国際音楽コンクール(ピアノ部門) 出場者発表

2020年エリザベート王妃国際音楽コンクール(ピアノ部門)が中止もしくは延期

1次予選 第1日

1次予選 第2日

1次予選 第3日

1次予選 第4日

1次予選 第5日

1次予選 第6日

セミファイナル 第1日

セミファイナル 第2日

セミファイナル 第3日

セミファイナル 第4日

セミファイナル 第5日

セミファイナル 第6日

ファイナル 第1日

ファイナル 第2日

ファイナル 第3日

ファイナル 第4日

ファイナル 第5日

ファイナル 第6日

まとめ

2021年エリザベート王妃国際音楽コンクール受賞者コンサート動画 その1 第4~6位

 

 

 

 

 

動画はこちら(Closing concert piano 2021)

 

 

 

 

 

Queen Elisabeth Competition | Piano 2021, closing concert

2021.06.09

Centre for Fine Arts/Salle Henry Le Boeuf

 

CAMILLE SAINT-SAËNS: Concerto n. 5 in F major op. 103

00:43 Keigo MUKAWA, Japan, 3rd Prize

 

SERGEY PROKOFIEV: Concerto n. 2 in G minor op. 16

34:05 Sergei REDKIN, Russia, 2nd Prize

 

FRYDERYK CHOPIN: Concerto n. 2 in F minor op. 21

01:14:05 Jonathan FOURNEL, France, 1st Prize

 

Brussels Philharmonic, dir. Stéphane Denève

 

 

 

 

 

サン=サーンスのピアノ協奏曲第5番で私の好きな録音は

 

●ハフ(Pf) オラモ指揮 バーミンガム市響 2000年1月22-24日、9月6-8日セッション盤(CD

●亀井聖矢(Pf) 渡邊一正指揮 東京シティフィル 2019年8月22日ピティナ特級ライヴ(動画

●務川慧悟(Pf) J.Sirvend指揮 フランス国立管 2019年11月15日ロンティボーコンクールライヴ(動画

 

あたりである。

今回の務川慧悟は相変わらず美しく、これらの名演に並ぶ。

この曲はハフや亀井聖矢のように華麗なヴィルトゥオーゾ・ピースとして扱うことが多いように思うが、務川慧悟はより抒情的。

柔らかに差す陽光、美しくさざ波立つ湖面が思い浮かぶ、まるで印象派の絵画のような趣の演奏である。

終楽章終盤のオクターヴ左右交互トレモロなどあまり盛り上げずおとなしいけれど、華麗にしすぎないのが彼らしい。

 

 

プロコフィエフのピアノ協奏曲第2番で私の好きな録音は

 

●ヴィニツカヤ(Pf) G.ヴァルガ指揮 ベルリン・ドイツ響 2010年4月セッション盤(NMLApple MusicCD

●A.カントロフ(Pf) ラザレフ指揮 ロシア国立青年響 2021年3月15日モスクワライヴ(動画

●務川慧悟(Pf) H.ウルフ指揮 ベルギー国立管 2021年5月26日エリザベートコンクールライヴ(動画

 

あたりである。

ロシア風の分厚く情熱的なヴィニツカヤ、ロシア風とは異なるがとにかく熱いカントロフ、線の細い詩的な務川慧悟。

今回のSergei REDKINは、ロシア風はロシア風でもより近代的な、パワフルでありながらも冷静さを備えた演奏で、こういうのも面白い(個人的には上の3つのようなロマン的な解釈が好きだが)。

第2楽章はペダルが厚すぎて音の明瞭度がやや低いのと、彼ほどのテクニシャンにしてはタッチムラがあるけれど、終楽章は(やはりペダルは厚めだが)キレのあるテンポで弾き切っている。

 

 

ショパンのピアノ協奏曲第2番で私の好きな録音は

 

●ポリーニ(Pf) 井上道義指揮 シュトゥットガルト放送響 1973年頃ライヴ盤(CD

●小林愛実(Pf) プリマ・ヴィスタ弦楽四重奏団 2011年1月13日ショパンコンクール in Asiaライヴ盤(CD) ※弦楽四重奏伴奏版

 

あたりである。

また、実演で聴いた山本貴志も最高の名演で(その記事はこちら)、私にとってはこれら3つがこの曲の演奏の原点となっている。

今回のJonathan FOURNELも大変に美しく、上の名盤と同じくらい好きとは言わないまでも、次点で好きな内匠慧、牛田智大、チョ・ソンジン、三浦謙司あたり(その記事はこちら)には並ぶと言っていい。

1次予選でのスケルツォ第3番同様の天国的な美しさであり(その記事はこちら)、私の好きなショパン弾きたちのような“悲しみからの憧憬”とは違って明るいのだけれど、こういうショパンも大変良い(西欧のショパンといったところか)。

技巧面では不安定さもあるし、またところどころ素っ気ないのだけれど(終楽章終盤のアルペッジョ付き和音などぶっきらぼう)、それでも終楽章の経過句やコーダの右手の急速な三連符がきわめて繊細だったり、それを支える左手も歌えていたりと、かなりよく弾けている箇所も多く、そのギャップにやられてしまう。

彼はショパンコンクールにもエントリーしているのだが(その記事はこちら)、まぁまず棄権するだろうけれど、もしも出場してファイナルでこの曲を弾いたなら、まさかのショパン/エリザベートの二冠の偉業を達成してしまうかもしれない。

 

 


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