今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。
ベルギーのブリュッセルで開催された、2021年エリザベート王妃国際音楽コンクールのピアノ部門(公式サイトはこちら)。
その受賞者コンサート第1弾(第4~6位受賞者)の演奏動画がアップされた。
ちなみに、2021年エリザベート王妃国際音楽コンクール(ピアノ部門)についてのこれまでの記事はこちら。
(2020年エリザベート王妃国際音楽コンクール(ピアノ部門) 出場者発表)
(2020年エリザベート王妃国際音楽コンクール(ピアノ部門)が中止もしくは延期)
Queen Elisabeth Competition | Piano 2021, laureates’ concert
2021.06.07
Queen Elisabeth Hall (Antwerp)
LUDWIG VAN BEETHOVEN: Concerto n. 5 in E flat major op. 73
00:51 Dmitry Sin, Russia, 6th Prize
SERGEY RACHMANINOV: Rhapsody on a theme by Paganini op. 43
39:41 Vitaly Starikov, Russia, 5th Prize
FRANZ LISZT: Concerto n. 1 in E flat major
01:04:44 Tomoki Sakata, Japan, 4th Prize
Antwerp Symphony Orchestra, dir. Jonathon Heyward
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」で私の好きな録音は
●ポリーニ(Pf) ベーム指揮 ウィーン・フィル 1978年5月セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube)
●ツィメルマン(Pf) バーンスタイン指揮 ウィーン・フィル 1989年9月ウィーンライヴ盤(NML/Apple Music/CD/YouTube)
●チョ・ソンジン(Pf) 大友直人指揮 東響 2009年11月21日浜コンライヴ盤(CD)
●アンスネス(Pf、指揮) マーラー・チェンバー・オーケストラ 2014年5月20、21日プラハライヴ盤(Apple Music/CD)
あたりである。
これらのきわめて安定した輝かしい演奏に比べると、今回のDmitry SINの演奏はやや不安定、不健康なイメージの演奏。
彼のそういった“陰”の音楽性は、ファイナルのラフマニノフにはよく合っていたが、“陽”の音楽である「皇帝」にはあまり合わない印象。
例によってミスも多い。
ラフマニノフのパガニーニ狂詩曲で私の好きな録音は
●ルガンスキー(Pf) オラモ指揮 バーミンガム市響 2004年6月セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube)
●古海行子(Pf) 岩村力指揮 日本フィル 2018年8月21日ピティナ特級ライヴ(動画)
あたりである。
これらの端正でキレのある演奏に比べると、今回のVitaly STARIKOVの演奏はややもっさりと重い演奏。
ファイナルのチャイコフスキーで聴かれた彼の広々とした明るい音色が、アイロニカルなこの曲ではあまり活きてこない印象。
ピアノソロで始まる華麗な第15変奏も、ペダルが深すぎてスケルツァンドな雰囲気が出ていない。
リストのピアノ協奏曲第1番で私の好きな録音は
●藤田真央(Pf) 大森大輝指揮 ヴィルトゥオーゾユースオーケストラ 2016年4月27日東京ライヴ(動画)
●古海行子(Pf) 大友直人指揮 瀬戸フィル 2018年3月24日高松コンクールライヴ(動画)
あたりである。
これらの軽やかで洗練されたキラキラ輝くような演奏に比べると、今回の阪田知樹の演奏はがっちりと強靭な演奏。
キラキラ感はあまりないが、このほうがリストらしいと言えばそうかもしれず、また技巧的には上の2人にも劣らない安定感があり、同じくらい好きとは言わないまでも、次点で好きなディヌ・リパッティ、リチャード・ファレル、マルタ・アルゲリッチ、ヘルベルト・シュフあたりには並ぶかもしれない。
終楽章終盤、プラルトリラー風音型がオクターヴ跳躍する箇所でテンポが落ちるのはやや勢いをそぐが、その分アルゲリッチのようにぐしゃっと塊になってしまわず明瞭に分離して聴こえるのは良い(なお上の2人はテンポが落ちずに明瞭度も保たれている)。
全体に、良い演奏だがどちらかというとファイナルのブラームスのようなどしっとした意味深い曲のほうが彼には合っている印象。
第2弾(第1~3位受賞者)も楽しみである。
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