ベルギーのブリュッセルで開催されている、2021年エリザベート王妃国際音楽コンクールのピアノ部門(公式サイトはこちら)。
5月7日は、1次予選の第5日。
ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。
ちなみに、2021年エリザベート王妃国際音楽コンクール(ピアノ部門)についてのこれまでの記事はこちら。
(2020年エリザベート王妃国際音楽コンクール(ピアノ部門) 出場者発表)
(2020年エリザベート王妃国際音楽コンクール(ピアノ部門)が中止もしくは延期)
以下、使用されたピアノはいずれもマーネである。
46. Changyong SHIN (Korea, 1994-)
WOLFGANG AMADEUS MOZART: Allegro (Sonata n. 18 in D major KV 576)
OLIVIER MESSIAEN: Etude de rythme n. 1 "Ile de feu I"
FRANZ LISZT: Etude d'exécution transcendante n. 10
ENRIQUE GRANADOS: Los requiebros
くっきりと明瞭な音作りによる、明るいモーツァルトやグラナドス。
リストも良いが、Jinhyung PARK、務川慧悟、Junhyung KIM、Hyuk LEEと凄演を聴いてきた贅沢な耳には、わずかにおとなしいか。
23. Peter KLIMO (United States of America, 1990-)
JOSEPH HAYDN: Allegro moderato (Sonata in A flat major Hob. XVI:46)
FRANZ LISZT: Etude d'exécution transcendante n. 12 "Chasse-neige"
BÉLA BARTÓK: 3 Burlesques Sz. 47
アーティキュレーションが重く、ハイドンなど音運びがやや鈍重。
リストやバルトークではその重さが奏功しているが、歌心にやや乏しく、かといってテクニック面でも光る物を感じるほどではない。
27. Rafael KYRYCHENKO (Portugal, 1996-)
LUDWIG VAN BEETHOVEN: Grave (Sonata n. 8 in C minor op. 13)
SERGEY RACHMANINOV: Etude-tableau in E flat minor op. 39/5
OLIVIER MESSIAEN: Etude de rythme n. 1 "Ile de feu I"
ALEKSANDR SKRYABIN: Sonata n. 4 in F sharp major op. 30
ラフマニノフ、第2日のIlia PAPOIANに負けず劣らず情熱的。
ベートーヴェンやスクリャービンもパワフルかつ適度に制御されており、テクニック的にも(最高度とは言わないが)なかなかのもの。
39. Kyoungsun PARK (Korea, 1992-)
OLIVIER MESSIAEN: Etude de rythme n. 1 "Ile de feu I"
JOSEPH HAYDN: Allegro con brio (Sonata in G major Hob. XVI:27)
CARL CZERNY: Variations on a Theme by Rode op. 33
なかなかに渋い選曲だが、力強いメシアン、明るいハイドン、ロマンティックなチェルニーと、各曲の魅力をしっかり引き出す表現力がある。
急速な変奏でもかなり安定したタッチを聴かせる。
06. Jonathan FOURNEL (France, 1993-)
WOLFGANG AMADEUS MOZART: Molto allegro (Sonata n. 14 in C minor KV 457)
FRYDERYK CHOPIN: Etude in G flat major op. 10/5
SERGEY RACHMANINOV: Etude-tableau in D major op. 39/9
FRYDERYK CHOPIN: Scherzo n. 3 in C sharp minor op. 39
フランスらしい端正な美音を持ち、前半2曲はよく合っているが、重量級の後半2曲はあまり彼に合わない選曲だったか。
とはいえ、スケルツォ第3番の中間部など天国的に美しく、次もまた聴いてみたく感じた。
18. Hyelim KIM (Korea, 1996-)
SERGEY RACHMANINOV: Etude-tableau in A minor op. 39/6
WOLFGANG AMADEUS MOZART: Allegro maestoso (Sonata n. 8 in A minor KV 310)
MAURICE RAVEL: Alborada del gracioso
FRANZ LISZT: Etude d'exécution transcendante n. 10
全体的に曲想の変化に乏しく、地味な印象を受けてしまう。
決して下手なわけではなく、ラヴェルの同音連打やダブルグリッサンドも悪くないし、リストもしっかり弾けてはいるのだが。
24. Kaito KOBAYASHI (Japan, 1995-)
JOSEPH HAYDN: Allegro (Sonate in G major Hob. XVI:6)
FRYDERYK CHOPIN: Etude in B minor op. 25/10
SERGEY RACHMANINOV: Etude-tableau in E flat minor op. 33/3(6)
ALEKSANDR SKRYABIN: Preludes n. 1, 2, 3, 6, 9, 10, 11, 14 (24 Preludes op. 11)
歌に溢れたハイドン、詩的な雰囲気を持つスクリャービンが美しい。
ただ、エチュード2曲は彼の持ち味を最大限に活かす曲とは言い難いか(エチュードは必須なので仕方ないが)。
17. Honggi KIM (Korea, 1991-)
JOSEPH HAYDN: Allegro (Sonata in E flat major Hob. XVI:52)
FRYDERYK CHOPIN: Etude in E flat major op. 10/11
GYÖRGY LIGETI: Etude n. 6 "Automne à Varsovie"
FRANZ LISZT: Hungarian Rhapsody n. 13 in A minor
優美かつ華やかな名人芸の持ち味で、それでいて決して大味にならず、あくまで高度な洗練を保っている(特にリストが圧巻)。
エチュード2曲も、単なる練習曲としてでない音楽的な表現が聴ける。
そんなわけで、第5日の演奏者のうち、私がセミファイナルに進んでほしいと思うのは
39. Kyoungsun PARK (Korea, 1992-)
06. Jonathan FOURNEL (France, 1993-)
17. Honggi KIM (Korea, 1991-)
あたりである。
次点で、
46. Changyong SHIN (Korea, 1994-)
27. Rafael KYRYCHENKO (Portugal, 1996-)
24. Kaito KOBAYASHI (Japan, 1995-)
あたりか。
ところで、これまで過去大会同様セミファイナリストが24人だと思って、そのつもりでセミファイナルに進んでほしい人を選んできた。
しかし、確認してみたところ、なんと今大会は新型コロナウイルス感染症対策のため、セミファイナリストは12人のみとのこと。
普段から半減ということで、さらに厳しい闘いとなる。
まだ最終日を残すけれど、とりあえず第1~5日でセミファイナルに進んでほしい人を12人選ぶとすると、とても迷うが
第1日
30. Daumants LIEPINS (Latvia, 1994-)
第2日
44. Kazuya SAITO (Japan, 1990-)
36. Kyle ORTH (United States of America, 1990-)
55. Se-Hyeong YOO (Korea, 1990-)
40. Youngho PARK (Korea, 1993-)
第3日
03. Nathan BEN-YEHUDA (United States of America, 1994-)
45. Tomoki SAKATA (Japan, 1993-)
34. Keigo MUKAWA (Japan, 1993-)
43. Sergei REDKIN (Russian Federation, 1991-)
第4日
28. Hyuk LEE (Korea, 2000-)
第5日
06. Jonathan FOURNEL (France, 1993-)
17. Honggi KIM (Korea, 1991-)
あたりになるか。
次回(5月8日)は1次予選の第6日。
1次予選の最終日である。
いったい誰が予選通過するのか、目が離せない。
↑ ブログランキングに参加しています。もしよろしければ、クリックお願いいたします。