2021年エリザベート王妃国際音楽コンクール(ピアノ部門) 1次予選 第5日 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

ベルギーのブリュッセルで開催されている、2021年エリザベート王妃国際音楽コンクールのピアノ部門(公式サイトはこちら)。

5月7日は、1次予選の第5日。

ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。

ちなみに、2021年エリザベート王妃国際音楽コンクール(ピアノ部門)についてのこれまでの記事はこちら。

 

2020年エリザベート王妃国際音楽コンクール(ピアノ部門) 出場者発表

2020年エリザベート王妃国際音楽コンクール(ピアノ部門)が中止もしくは延期

1次予選 第1日

1次予選 第2日

1次予選 第3日

1次予選 第4日

 

 

 

 

 

以下、使用されたピアノはいずれもマーネである。

 

 

46. Changyong SHIN (Korea, 1994-)

 

WOLFGANG AMADEUS MOZART: Allegro (Sonata n. 18 in D major KV 576)

OLIVIER MESSIAEN: Etude de rythme n. 1 "Ile de feu I"

FRANZ LISZT: Etude d'exécution transcendante n. 10

ENRIQUE GRANADOS: Los requiebros

 

くっきりと明瞭な音作りによる、明るいモーツァルトやグラナドス。

リストも良いが、Jinhyung PARK、務川慧悟、Junhyung KIM、Hyuk LEEと凄演を聴いてきた贅沢な耳には、わずかにおとなしいか。

 

 

23. Peter KLIMO (United States of America, 1990-)

 

JOSEPH HAYDN: Allegro moderato (Sonata in A flat major Hob. XVI:46)

FRANZ LISZT: Etude d'exécution transcendante n. 12 "Chasse-neige"

BÉLA BARTÓK: 3 Burlesques Sz. 47

 

アーティキュレーションが重く、ハイドンなど音運びがやや鈍重。

リストやバルトークではその重さが奏功しているが、歌心にやや乏しく、かといってテクニック面でも光る物を感じるほどではない。

 

 

27. Rafael KYRYCHENKO (Portugal, 1996-)

 

LUDWIG VAN BEETHOVEN: Grave (Sonata n. 8 in C minor op. 13)

SERGEY RACHMANINOV: Etude-tableau in E flat minor op. 39/5

OLIVIER MESSIAEN: Etude de rythme n. 1 "Ile de feu I"

ALEKSANDR SKRYABIN: Sonata n. 4 in F sharp major op. 30

 

ラフマニノフ、第2日のIlia PAPOIANに負けず劣らず情熱的。

ベートーヴェンやスクリャービンもパワフルかつ適度に制御されており、テクニック的にも(最高度とは言わないが)なかなかのもの。

 

 

39. Kyoungsun PARK (Korea, 1992-)

 

OLIVIER MESSIAEN: Etude de rythme n. 1 "Ile de feu I"

JOSEPH HAYDN: Allegro con brio (Sonata in G major Hob. XVI:27)

CARL CZERNY: Variations on a Theme by Rode op. 33

 

なかなかに渋い選曲だが、力強いメシアン、明るいハイドン、ロマンティックなチェルニーと、各曲の魅力をしっかり引き出す表現力がある。

急速な変奏でもかなり安定したタッチを聴かせる。

 

 

06. Jonathan FOURNEL (France, 1993-)

 

WOLFGANG AMADEUS MOZART: Molto allegro (Sonata n. 14 in C minor KV 457)

FRYDERYK CHOPIN: Etude in G flat major op. 10/5

SERGEY RACHMANINOV: Etude-tableau in D major op. 39/9

FRYDERYK CHOPIN: Scherzo n. 3 in C sharp minor op. 39

 

フランスらしい端正な美音を持ち、前半2曲はよく合っているが、重量級の後半2曲はあまり彼に合わない選曲だったか。

とはいえ、スケルツォ第3番の中間部など天国的に美しく、次もまた聴いてみたく感じた。

 

 

18. Hyelim KIM (Korea, 1996-)

 

SERGEY RACHMANINOV: Etude-tableau in A minor op. 39/6

WOLFGANG AMADEUS MOZART: Allegro maestoso (Sonata n. 8 in A minor KV 310)

MAURICE RAVEL: Alborada del gracioso

FRANZ LISZT: Etude d'exécution transcendante n. 10

 

全体的に曲想の変化に乏しく、地味な印象を受けてしまう。

決して下手なわけではなく、ラヴェルの同音連打やダブルグリッサンドも悪くないし、リストもしっかり弾けてはいるのだが。

 

 

24. Kaito KOBAYASHI (Japan, 1995-)

 

JOSEPH HAYDN: Allegro (Sonate in G major Hob. XVI:6)

FRYDERYK CHOPIN: Etude in B minor op. 25/10

SERGEY RACHMANINOV: Etude-tableau in E flat minor op. 33/3(6)

ALEKSANDR SKRYABIN: Preludes n. 1, 2, 3, 6, 9, 10, 11, 14 (24 Preludes op. 11)

 

歌に溢れたハイドン、詩的な雰囲気を持つスクリャービンが美しい。

ただ、エチュード2曲は彼の持ち味を最大限に活かす曲とは言い難いか(エチュードは必須なので仕方ないが)。

 

 

17. Honggi KIM (Korea, 1991-)

 

JOSEPH HAYDN: Allegro (Sonata in E flat major Hob. XVI:52)

FRYDERYK CHOPIN: Etude in E flat major op. 10/11

GYÖRGY LIGETI: Etude n. 6 "Automne à Varsovie"

FRANZ LISZT: Hungarian Rhapsody n. 13 in A minor

 

優美かつ華やかな名人芸の持ち味で、それでいて決して大味にならず、あくまで高度な洗練を保っている(特にリストが圧巻)。

エチュード2曲も、単なる練習曲としてでない音楽的な表現が聴ける。

 

 

 

 

 

そんなわけで、第5日の演奏者のうち、私がセミファイナルに進んでほしいと思うのは

 

39. Kyoungsun PARK (Korea, 1992-)

06. Jonathan FOURNEL (France, 1993-)

17. Honggi KIM (Korea, 1991-)

 

あたりである。

次点で、

 

46. Changyong SHIN (Korea, 1994-)

27. Rafael KYRYCHENKO (Portugal, 1996-)

24. Kaito KOBAYASHI (Japan, 1995-)

 

あたりか。

 

 

 

 

 

ところで、これまで過去大会同様セミファイナリストが24人だと思って、そのつもりでセミファイナルに進んでほしい人を選んできた。

しかし、確認してみたところ、なんと今大会は新型コロナウイルス感染症対策のため、セミファイナリストは12人のみとのこと。

普段から半減ということで、さらに厳しい闘いとなる。

 

 

まだ最終日を残すけれど、とりあえず第1~5日でセミファイナルに進んでほしい人を12人選ぶとすると、とても迷うが

 

第1日

30. Daumants LIEPINS (Latvia, 1994-)

 

第2日

44. Kazuya SAITO (Japan, 1990-)

36. Kyle ORTH (United States of America, 1990-)

55. Se-Hyeong YOO (Korea, 1990-)

40. Youngho PARK (Korea, 1993-)

 

第3日

03. Nathan BEN-YEHUDA (United States of America, 1994-)

45. Tomoki SAKATA (Japan, 1993-)

34. Keigo MUKAWA (Japan, 1993-)

43. Sergei REDKIN (Russian Federation, 1991-)

 

第4日

28. Hyuk LEE (Korea, 2000-)

 

第5日

06. Jonathan FOURNEL (France, 1993-)

17. Honggi KIM (Korea, 1991-)

 

あたりになるか。

 

 

次回(5月8日)は1次予選の第6日。

1次予選の最終日である。

いったい誰が予選通過するのか、目が離せない。

 

 


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