ベルギーのブリュッセルで開催されている、2021年エリザベート王妃国際音楽コンクールのピアノ部門(公式サイトはこちら)。
5月14日は、セミファイナルの第5日。
ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。
ちなみに、2021年エリザベート王妃国際音楽コンクール(ピアノ部門)についてのこれまでの記事はこちら。
(2020年エリザベート王妃国際音楽コンクール(ピアノ部門) 出場者発表)
(2020年エリザベート王妃国際音楽コンクール(ピアノ部門)が中止もしくは延期)
以下、使用されたピアノはいずれもマーネである。
また、以下の協奏曲はいずれもフランク・ブラレイ指揮、ワロニー王立室内管弦楽団との共演である。
33. Aidan MIKDAD (The Netherlands, 2001-)
WOLFGANG AMADEUS MOZART: Concerto n. 17 in G major KV 453
PIERRE JODLOWSKI: Nocturne
ALEKSANDR SKRYABIN: Sonate-fantaisie n. 2 in G sharp minor op. 19
ALEKSANDR SKRYABIN: Nocturne pour la main gauche seule op. 9/2
FRANZ LISZT: Après une lecture du Dante
モーツァルト、西欧らしい音が曲に合ってはいるし、タッチもそれなりに安定しているが、他の巧者たちに比べるとムラがある(特にこの曲のポイントの一つであるトリルがしばしばきれいにはまらない)。
またテンポの安定感が悪くやや急ぎ気味で、古典派のしかも協奏曲においては痛い(オケと大きくずれずにうまく合わせてはいるが)。
ソロ曲も、速い曲はより速くといったスタンスで、1次の「悲愴」ソナタはなかなか鮮やかだったが、今回のスクリャービン第2楽章やリスト終盤は、極端な速さをペダルでごまかしているように聴こえる。
一方で、スクリャービン第1楽章やリスト冒頭のような緩徐な箇所も、音のコントロールは意外にいま一歩で、あまりサマになっていない。
48. Dmitry SIN (Russian Federation, 1994-)
WOLFGANG AMADEUS MOZART: Concerto n. 15 in B flat major KV 450
PIERRE JODLOWSKI: Nocturne
ROBERT SCHUMANN: Concert sans orchestre in F minor op. 14
ANATOLY LYADOV: Prelude op. 57/1
モーツァルト、上のAidan MIKDADに比べテンポに安定感があるが、代わりにミスが時折みられる。
特に終楽章はテンポが速い分、エピソード部の三度・六度・オクターヴの上行音階トレモロなど苦しそう。
ソロ曲も、弾けているがキレを感じるほどではない。
シューマン風というよりはホロヴィッツ風の、打撃的な硬い強音や濃厚なロマン性を用いたヴィルトゥオーゾ的アプローチであり、これはこれで面白いが、それだけにもっとインパクトのある音や驚異的な名人芸を期待してしまう(緩徐なリャードフでは味がよく出ているが)。
そんなわけで、第5日の演奏者のうち、私がファイナルに進んでほしいと思う人はいなかった。
次回(5月15日)はセミファイナルの第6日。
セミファイナルの最終日である。
大きな番狂わせは起こらないような気がするが、どうだろうか。
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