ファーストタッチコントロールの罠 | 日本で活動中のサッカー監督のブログ

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バルセロナで修行してきましたが、2017年より日本で活動しております。

今回は前回に続いてファーストタッチコントロールの話です。

ファーストタッチコントロールについて味方、相手、その他試合状況を鑑みて次のプレーがしやすいようにボールをコントロールすることとお伝えしましたが正直にやりすぎると次のプレーを相手に予測されやすいということがあります。

例えば相手が自陣深く守備ブロックをしいてきて左SBのバックパスを左CBが受ける場面の話です。(下記図参照)
そのときに味方の右利きの左CBが右にボールを展開したいがために右にボールを置きすぎると相手はサイドチェンジを予想して守備のスライドを早めに行ってしまい(図でいうと赤の②の動きの部分)右CBがボールを受ける頃(図でいうと③の部分)には相手の守備ブロックが完成してしまいます。あるいは③のフェーズで相手の左ウイングがパサーである左CBの死角に隠れることで、味方の右SBへパスが通ると勘違いした左CBがパスをだしてしまいインターセプトされる危険もあります。




このケースについては縦方向にコントロールするのがよいかと思います。(下記図参照)
なぜなら縦方向にコントロールすることで相手選手は左ウイングへのグラウンダーの縦パス、あるいは左SBへのDFライン裏へのロングパスを警戒して守備ブロックをボールサイドにしぼらざるをえなくなります。(下記図でいうと②のフェイズ)
その後に左のインサイドで右CBへパスを出すとそこから相手は守備スライドを開始するので前図よりも守備ブロックの構築に遅れが生じて、綻びができやすい状態になります。



さらに補足すると④のフェーズでボールを受けた右CBが右SBに早くボールを送りたい意図で右にボールを置きすぎると先ほどと同じように相手に次の展開を予測されスライドを早めに行われてしまうので、ここでも少しでも相手の判断を迷わせるために縦方向にコントロールするのがよいと思います。

チャビ・エルナンデスや香川も右にパスを出したいと思っても、あえて右にボールを置かず、相手ゴールに向かってボールを置いた後、右足アウトか左足インサイドで右方向にボールを出します。つまりボールを出したい方向に体の向きをなるべく向けず相手にパスの出す方向を予測されないようにしてるということです。

この部分をCBが意識してプレーできてると味方に時間と空間を与える分、有効な攻撃になりやすいです。そういう意味で現代の攻撃の司令塔はもはやCBであると僕は思っています。