【検証】離婚後、児童扶養手当を貰いながら最も賢く働く方法

本ブログは、表等がございますので、PCでの閲覧をお勧めします。

 

 

 

子連れ離婚を検討(実践)中の皆様へ

 

・児童扶養手当ってそもそも何?

・児童扶養手当って年間いくらもらえるの?

・ひとり親でも児童扶養手当ってもらえない場合があると聞いたけど、、、、

・働きながら児童扶養手当をもらうには年いくらぐらいまでの収入でおさめておけば良いの?

 

そんな人に聞けないお悩みをお持ちでないですか?

 

離婚後の生活不安ですよね。

そのお悩みを本ブログで離婚マネーアドバイザーFP.Daikiが解決します。

 

 

【児童扶養手当】の基本知識

 

 


まずは基本知識をお伝えします。

始めに【児童扶養手当】とは、「離婚や死別等により児童を養育するひとり親等に対して支給されるもの」です。

 

A こんな人には支給されません。

①子供が請求者の配偶者(事実婚含む)に育てられている

②子供が児童福祉施設などに入所している

③子供が里親などに委託されている

④受給者や対象となる子供が日本に住んでいない

 

 

B 支給要件

18歳到達後最初の3/31以前の児童を扶養するひとり親が対象です。

対象となる子供は①~⑨のいずれかを満たす必要があります。

①父母が離婚している

②父または母が亡くなっている

③父または母が一定程度の障害状態にある

④父または母が生死不明である

⑤父または母から1年以上遺棄されている

⑥父または母が裁判所からDV保護命令を受けている

⑦父または母が1年以上拘禁されている

⑧婚姻によらず生まれた(未婚出産)

⑨父母がいるかいないか明らかでない

 

 

C 支給額

所得と児童の数に応じて金額に差があります。

支給額

一人目 45,500円(全額支給)10,180円〜45,490円(一部支給)

二人目 10,750円(全額支給)5,380円〜10,740円(一部支給)

三人目 6,450円(全額)3,230円~6,440円(一部支給)

※これ以外に地域差もありますので、ご注意ください。

 

(参考)一部支給の計算式

第1子 手当月額=45,490円【注1】 -[{(受給者の所得額-所得制限限度額)×0.0243007【注2】}]
第2子の場合、【注1】=10,740の値に、【注2】=0.0037483の値に置き換わります。
第3子の場合、同様に【注1】=6,440、【注2】=0.0022448の値に双方置き換え、計算します。
 

 

D 所得制限

児童の数に応じて年間所得の制限が設けられています。

全支給 87万円まで(1人)、125万円まで(2人)、163万まで(3人)、、、

一部支給 230万まで(1人)、268万円まで(2人)、306万まで(3人)、、、

 

 

ポイント1:実家同居の場合 → 世帯の一番高い所得者の所得で算定します

※実家同居でも、完全に家計が別なら別々に算定する場合有り。なお、お住まい(予定)の市区町村へ事前に必ず確認してください。

 

ポイント2児童扶養手当で審査する所得=所得(収入-必要経費)+養育費の8割-8万円(一律控除)-控除額

よって、養育費も所得認定されます。

 

ポイント3:児童扶養手当で審査する所得には、算定するあたり控除(経費)が7種(限定)認められています。

障害者控除(27万円)、特別障害者控除(40万円)、勤労学生控除(27万円)、配偶者特別控除(当該控除額)、雑損控除(当該控除額)、医療費控除(当該控除額)、小規模企業共済等掛金控除(当該控除額)。

○申請者が養育者(児童の母または父を除き、児童を養育する者)の場合、上記に加え、次の控除も認められます。
寡婦控除:27万円、ひとり親控除:35万円

 

 

 

 

 

【児童扶養手当】をもらいながら一体年いくらまで稼ぐと良いのか?

 

 

 

相談を受けていて、よく聞かれるのが、

「では、一体児童扶養手当をもらいながら年いくらまで稼ぐと良いのか?」というご質問です。

 

私のお答えは、いつも「がっつり稼げないなら、住民税非課税の限度まで働き、その利益を享受しながら、児童扶養手当をもらうのが良い!」とお答えしています。今回、具体に試算したものをお見せしながら、解説していきます。

 

まずは、

【住民税非課税のメリット】

1 JASSO給付型奨学金    ○住民税非課税世帯及びそれに準じる世帯が対象

2 子育て短期支援事業    ○住民税非課税なら無料

3 母子生活支援施設     ○住民税非課税なら無料

4 就学援助         ○住民税非課税なら対象

5 住民税非課税世帯の給付金 ○住民税非課税なら対象 

6 高額療養費の減額     ○住民税非課税なら優遇措置

 

など(※数多あるので一部です。)

 

つまり、住民税非課税でなくなるとこれらの恩恵をすべて失います

 

【参考:住民税非課税基準に関して】

 

住民税非課税1(地方税法) ※社会的弱者の救済を法で規定している。

法第24条の5 道府県は、次の各号のいずれかに該当する者に対しては、道府県民税の均等割及び所得割(第二号に該当する者にあつては、第五十条の二の規定により課する所得割(以下この款及び次款において「分離課税に係る所得割」という。)を除く。)を課することができない。ただし、この法律の施行地に住所を有しない者については、この限りでない。
一 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)の規定による生活扶助を受けている者
二 障害者、未成年者、寡婦又はひとり親(これらの者の前年の合計所得金額が百三十五万円を超える場合を除く。)

 

住民税非課税2(均等割非課税基準) ※均等割とは、非課税限度額を上回る者に定額の負担を求めるものであり、負担分任の性格を有する個人住民税の基礎的なものとして、課されています。いわゆるこの均等割が課からない者が非課税と呼ばれています。

→基準額算定( 35万円×(本人、同一生計配偶者及び扶養親族の合計数)+31万円 )以下の場合が均等割非課税

 

住民税非課税3(所得割非課税基準) ※所得割とは、所得に応じて課税される税金の割合を指します。住民税は、この所得割と均等割の2種で構成されています。よって、所得に応じて均等割はかかるが、所得割は課されない者がいらっしゃいます。一般的には所得割と均等割の双方が課され、納付しています。

→基準額算定( 35万円×(本人、同一生計配偶者及び扶養親族の合計数)+42万円 )以下の場合が所得割非課税

 

 

わずかにこの基準額を上回っただけで、前述の恩恵をすべて失うのは、大きな損失と言わざるを得ません。

 

 

次に具体に数値を見ていきましょう。(令和6年度児童扶養手当額)

 

 

(前提条件)

本人35歳

長男10歳

次男6歳

の3人世帯

養育費は月5万をもと配偶者からもらっています(予定)

実家に戻り、働きながらも児童扶養手当をもらう(いたい)

 

 

実家に戻り、働きながらも児童扶養手当をもらう(いたい)

子がまだ幼いので当面は、正社員でない働き方をするならば、、、、

 

※結果は、表をご覧ください。

 

「試算結果

ケース A全額支給限度(養育費無) B全額支給限度 C住民税非課税限度 D一部支給限度
1給与収入 1,859,000 1,370,000 2,040,000 3,370,000
2給与所得 1,219,200 820,000 1,348,000 2,277,600
3養育費 0 600,000 600,000 600,000
4算定所得
(児童扶養手当)
1,219,200 1,220,000 1,750,000 2,680,000
5算定控除
(児童扶養手当)
一律控除8万のみ 一律控除8万のみ 一律控除8万のみ 一律控除8万のみ
6一人目(月当たり) 45,500 45,500 33,340 10,740
7二人目(月当たり) 10,750 10,750 8,865 5,380
収入計【1+3+(6+7)*12】 2,534,000 2,645,000 3,146,460 4,163,440
8住民税 0 0 0 152,100
9所得税 19,800 0 26,400 73,800
10公的医療保険 93,060 68,244 105,468 173,712
11年金 164700 120,780 186,660 307,440
12IDECO積立 0 0 0 0
支出計【8+9+10+11+12】 277,560 189,024 318,528 707,052
収入計―支出計 2,256,440 2,455,976 2,827,932 3,456,388

 

※2024年3月時点の情報

注意1:住民税非課税は、前提条件で計算すると 35万×(本人、子1、子2)+31万=136万以下

135万の法規定と1万の差のため、135万の方で試算しています。

注意2:給与所得1,348,000円は、計算の便宜上135万として、同様に3,370,000円は228万として計算しています。

注意3:理想のケース以外は、児童扶養手当で審査する所得の計算について一律控除8万のみで計算しています。

注意4:年金、保険は大阪協会けんぽの令和6年度の算定表より算出しています。

注意5:税計算の控除額は、基礎控除とひとり親控除のみを適用しています。

注意6:収入は給与と児童扶養手当と養育費のみを適用しています。実際には児童手当などほかにもあることでしょう。

 

追伸)お住まい(予定)の児童扶養手当担当課へ一度必ずご相談されることをお勧めします。

 

想定ケースにおいて、表中Bの場合、児童扶養手当の全額支給を受けれる最大の給与支払額(額面)は、137万。これで令和6年度なら、一人目4万5500円、二人目1万750円の全額支給(月額)を得ます。

 

では、個人住民税非課税限度枠いっぱいまで働いた場合(=表中Cのケース)はどうなるでしょうか?

上記世帯の非課税限度額は、寡婦又はひとり親の場合、前年の合計所得金額が135万円以下の場合、非課税となります。よって、逆算すると給与収入額は、204万円。なお、養育費は月5万、想定ケースの世帯構成では所得制限限度額は125万です。

この場合、児童扶養手当はいくら減額されるのでしょうか?

 

 

○一人目

135万+48万―8万=175万

=4万5490円-{(175万円–125万円)×0.0243007}

=4万5490円-12,150円=3万3340円

 

○二人目

=1万740円-{(175万–125万円)×0.0037483}

=1万740円-1,874円=8,865円

計 12,150円+1,874円の14,024円減額(月)→16.9万減収(年)となります。

 

しかしながら、給与収入が全額支給時の137万から最大204万に増えており、実際の年収支は

(204―137=)67万―16.9万=50.1万増となります。

 

でも、他にも考慮すべきことがあります。

そう、収入が増えると税等他の費用も残念ながら増えてしまいます。

 

 

1医療保険 → 是非社会保険に入ってください。住民税非課税でも国民健康保険料は0円になることはありません。社保の方が給付も多く、世帯数が増えても扶養という制度で料金は変わりません。離婚後は経済的自立が必要であり、手っ取り早く社保完備の会社で正社員を目指しましょう。

※協会けんぽ(大阪)令和6年度 35歳=介護2号非該当

給与収入137万(月11万)→5,687円×12=68,244円

給与収入204万(月17万)→8,789円×12=105,468円

○37,224円支出増

 

 

2年金 1で社会保険に加入すると連動して厚生年金に加入します。(いまのところ)掛け金を支払うことで将来頂ける年金額が増加します。

給与収入137万(月11万)→10,065円×12=120,780円

給与収入204万(月17万)→15,555円×12=186,660円

○65,880円支出増

 

 

3(所得)税

給与収入137万から204万に増えた場合、住民税は非課税のままですが、所得税はかかってきます。年26,400円になります。

 

 

※1~3で(37,224円+65,880円+26,400円=)129,504円

児童扶養手当の一部支給停止額が年16.9万

給与の増が67万ですので、

結果、児童扶養手当の全部支給にこだわらないと(67万―16.9万―13万)=37.1万

つまり、住民税非課税の恩恵をこれまで通り受けながら、月3万ほど収入が増えることとなります。

 

 

※では、一部支給のギリギリまで働いた場合はどうなのか?

 

それも悪くはないと思います。

ただ、給与収入204万が337万となることで会社での時間的拘束・責任は大きく圧し掛かってくるでしょう。

また、給与の額面は133万増えているにもかかわらず、正直63万ほどの実質手取りとなり、半分以上国や自治体等にもっていかれます

 

全額支給時から比較して、住民税非課税限度まで働いた場合も同様に5割近く経費でもっていかれますが、住民税非課税という恩恵は残ります。(給与は、137万から204万へ67万へ最大増えます。同様に経費が19万から32万へ増え、実質増える収入は5.5割程度に留まります。)

 

せっかく苦労して稼いだお金の半分以上を税等の支出で持っていかれ、時間的拘束は増え、加えて、前述の住民税非課税の恩恵をすべて手放すのは、いかがなものでしょうか。

 

とは言え、悪いことばかりではありません。

おそらくこの給与額を頂くには正社員でしょうから、パート・アルバイトと違い、雇い止めなど簡単に職を失う恐れが減り、将来の不安感を少なからず減らすことができるでしょう。

ですので、この点からも「個人的には悪くない」と判断させて頂いた次第です。

 

 

 

FP.Daikiからの裏ワザ

 

 

ここで裏ワザを一つご紹介します。

児童扶養手当の算定には、控除(=個人的な必要経費)と認められるものがあります。

所得税が発生しているならば、所得税の年26,400円を減額し、さらに児童扶養手当の額を増額し、おまけに自身の将来の年金額を増やすために積立できるものがあります。

 

そうそれは、「小規模企業共済等掛金控除」。この控除には、IDECO(イデコ)が含まれて老います。IDECO(イデコ)は、個人型確定拠出年金のことで、自分自身の老後資金を自分で用意する私的年金制度のひとつです。掛け金額が全額控除と認められます。

 

商品はいろいろありますが、私のお勧めはやはりオルカン(eMAXIS Slim全世界株式)です。なんだかんだ言って世界経済は発展するという考えの下、全世界の株式に投資し、手数料もさほど高くなく、結果も残しており、人気商品です。

では、同様にお勧めの住民税非課税限度まで働いた場合に更にIDECOを適用したケースの試算結果を見ていきましょう。

 

(試算結果)お勧めの非課税限度枠まで働き、更にIDECO適用

ケース C住民税非課税限度 C2非課税限度+IDECO
1給与収入 2,040,000 2,040,000
2給与所得 1,348,000 1,348,000
3養育費 600,000 600,000
4算定所得
(児童扶養手当)
1,750,000 1,750,000
5算定控除
(児童扶養手当)
一律控除8万のみ 一律8万+12万円(月1万イデコ)
6一人目(月当たり) 33,340 36,255
7二人目(月当たり) 8,865 9,325
収入計【1+3+(6+7)*12】 3,146,460 3,186,960
8住民税 0 0
9所得税 26,400 20,300
10公的医療保険 105,468 105,468
11年金 186,660 186,660
12IDECO積立 0 120,000
支出計【8+9+10+11+12】 318,528 432,428
収入計―支出計 2,827,932 2,754,532

 

 

注意1 IDECOの積立は、月1万で試算しています。積み立ては月5千円から可能です。

注意2 あくまで金融商品ですので、リスクが伴います。ご自身の判断で行ってください。

 

 

年単位でみれば、12万積立をしているので、12万支出が増えるはずです。

しかなしながら、児童扶養手当の受取額が月単位(2,915円+460円)増え、所得税が(6,100円)減り、結果として(73,400円)の支出増に留まります。つまり、12万の金融商品を約7万程度で購入できます。

ただし、一つ注意点があります。IDECOは途中で解約できないので、60歳まで引き出すことができません。

よって、月1万までの支出にとどめておきましょう。

また、月の貯蓄は月額面の15%までが基本です。よって、年収約200万であれば、年30万(月であれば2万5千円程度)

これらを頭に入れながら、教育費の準備をしておきましょう。

 

 

 

まとめ

 

少し、話がそれましたが、検証数値から見ても、私のお勧めは、「児童扶養手当の全額支給よりも、一部支給の限度額ギリギリまで働くよりも、住民税非課税の範囲内で児童扶養手当の支給を受ける方がよい」でしょう。

 

 

最後に強いて優劣をつけるならば,,,,↓

順位は、①非課税限度枠まで ②一部支給限度枠まで ③全部支給 
真の一番は、『一部支給限度額を大幅(200万超)に超え、ガンガン稼ぐ=(完全な経済的自立)』です。

 

となります。

 

 

なお、児童扶養手当に関し、現在勉強会の準備をしています。

準備できましたら、また改めてお伝えしますね。

それまで待てないという貴方は、相談ご希望のメッセージを入れてください。


 

 

今回も、「離婚マネーアドバイザーFP.Daiki」のX(旧Twitter)(リンク有)の補足です。

月に一度は、お金の勉強に関する情報を更新予定です。

X(旧Twitter)、ブログ共にフォローいただけますと今後の励みになります。

 

 

 

【執筆者】離婚マネーアドバイザーFP.Daiki

・AFP

・社会保険労務士有資格者

・年金アドバイザー2級

・離婚カウンセラー

産後クライシスを乗り切れず、離婚。離婚を機に「同じ苦しみを味わう人を救いたい」という思いで再起。

現在は、家計診断・勉強会・個別サポートでお客様の離婚×お金の問題を二人三脚で解決しています。