【2026】扶養制度パフェークトマスター:税と社会保険の違い(離婚後の自立対策へ向けて)
扶養制度パーフェクトマスター税と社会保険の違いを理解し、離婚後の自立戦略へつなげる※はじめに本ブログの初稿は、2025年6月です。【スマホからの閲覧は、図表が見にくくなりますので、PCからの閲覧をお勧めします】はじめに「扶養って何?」「税の扶養と社会保険の扶養ってどう違うの?」「扶養から外れると何が起きるの?」こうした疑問を抱える方は非常に多いです。特に、離婚を検討している方・調停中の方・離婚後の生活設計を考えたい方 にとって、扶養制度の理解は避けて通れません。それでは、目次に沿い、説明していきます。(目次)1 税の扶養制度(配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除)2 社会保険の扶養制度3 双方利益を享受するには4 自立へ向けての準備(配偶者に頼らない生き方を目指して)なお、「離婚したら扶養はどうなる?」という実務的な話は、こちらの記事で詳しく解説しています。→「離婚後の保険証」必要な手続きの注意点から保険料の節約方法まで1 税の扶養制度税の扶養制度とは、「税金を計算する際に、個人的な必要経費として認められる仕組み」とイメージすると理解しやすいです。控除が増える=課税所得が減る=税金が安くなるという流れです。税の扶養は次の3種類。•配偶者控除•配偶者特別控除•扶養控除(親・子など)以下、それぞれを解説します。【1 配偶者控除】 適用要件•法律上の配偶者(事実婚・内縁は不可)•生計を一にしている•納税者本人の所得が1,000万円以下•配偶者の所得が58万円以下•配偶者が専従者でない(よくある質問)Q1.「生計を一にする」とは?→国税庁の通達(所基通2-47)では次のように定義されています。•同居は必須ではない•仕送り、生活費負担があれば別居でもOK•同居している場合は、独立した生活でない限り「生計同一」と扱うQ2. 生計同一と生計維持は同じ?→違います。•生計同一:税の概念(年収要件なし)•生計維持:年金・健康保険の概念(年収要件あり)範囲としては生計同一 > 生計維持となります。Q3 事業専従者って何のこと?→税では、個人事業主の仕事に専念している親族の給与を経費扱いにできる制度があります。この一定の要件を満たす方を専従者と呼びます。専従の制度で税的恩恵を受けるのであれば、制度上更に配偶者控除のダブルの恩恵は受けられないようになっています。【2 配偶者特別控除】配偶者控除が使えない場合でも、配偶者の所得が 58万円超〜133万円未満 であれば適用されます。(要件)•納税者本人の所得1,000万円以下•配偶者の所得58〜133万円•生計同一•法律上の配偶者•専従者でない控除額は「納税者本人の所得 × 配偶者の所得 」の組み合わせで決まります。※会社によっては、配偶者控除の方が「扶養手当」が出る場合があります。→ 所得が年58万円超えそうなら、勤務先の給与規定を必ず確認しましょう。下の控除額表を見るにあたり3つの解説1 そもそも所得とは、、、 所得=収入―経費 所得税・住民税は、この所得金額をベースに税額を計算します。2 合計所得とは、、、 税は収入の内容等に応じ、日本では所得を10種に分けています。参考:所得の種類と課税方法|国税庁その合計額を合計所得とイメージすると良いでしょう(厳密には繰越控除の適用などがあり、差が生じる場合があります。)3 給与収入と給与所得の違い、、、 サラリーマンの場合、経費は特定支出控除を除き、認められていません。とは言え、自営業者の営業所得等経費が認められているのにサラリーマンの給与は認めないのは、公平性に欠きます。そのため、国が勝手に経費を計算し、一律に適用してくれています。これを給与所得控除と呼び、給与所得は次の計算式で算定されます。給与所得=給与収入―給与所得控除(参考)配偶者控除額表次は、【3 扶養控除】(要件)•配偶者以外の親族•生計同一•所得58万円以下•専従者でない控除額のイメージ•16〜18歳、23〜69歳:一般扶養 → 38万円(所)、33万円(住)•19〜22歳:特定扶養 → 63万円(所)、45万円(住) ※2026年から特定扶養親族特別控除有り•70歳以上:老人扶養 → 同居58万円(所)、別居48万円(所)、同居45万(住)、別居38万(住)扶養控除の控除額は次の表のとおりです。※特定扶養親族特別控除 2026年度から適用 特定親族の合計所得金額 特別控除額 特定扶養親族の収入が給与だけの場合 58万超 85万以下 63万 45万 123万超 150万以下 85万超 90万以下 61万 45万 150万超 155万以下 90万超 95万以下 51万 45万 155万超 160万以下 95万超 100万以下 41万 41万 160万超 165万以下 100万超 105万以下 31万 31万 165万超 170万以下 105万超 110万以下 21万 21万 170万超 175万以下 110万超 115万以下 11万 11万 175万超 180万以下 115万超 120万以下 6万 6万 180万超 185万以下 120万超 123万以下 3万 3万 185万超 188万以下 3 社会保険の扶養制度社会保険の扶養は、保険料を払わずに医療・年金の給付を受けられる制度 です。ただし、要件を満たさなくなると即アウト。扶養から外れた瞬間、国保+国民年金の保険料が発生します。社会保険の加入要件(2024年10月〜)• 従業員51人以上の企業• 週20時間以上 • 賃金が月額8.8万円以上(←2026年10月撤廃)• 雇用見込み2ヶ月以上• 学生は原則対象外(例外あり)扶養に入るための3要件1.生計同一 同居義務有り;三親等内の親族 配偶者の父母 配偶者の子 同居義務無し:直系尊属 配偶者 子 孫 兄弟姉妹2.収入要件(年収130万円未満) ※60歳以上・障害者は180万円未満 ※かつ、被保険者の年収の1/2未満3.後期高齢者医療の対象外※注意事項※税と保険で収入算定の考え方が違います。次の図表をご覧ください。(税と社会保険の違い)税 → 所得ベース社会保険 → 収入ベース(広く認定)この違いが「扶養の壁」を複雑にしています。3 双方利益を享受するには結論、より厳しい方の要件を満たす必要があります。配偶者・子ともに共通するのは次の3点。•法律上の親族である•生計同一•年間所得58万円以下つまり、ネックは「年間合計所得58万円」ここに尽きます。4 自立へ向けての準備(配偶者に頼らない生き方を目指して)4 離婚後の自立に向けた収入戦略離婚は、事前に多くの準備をした方が有利な方へ進めることができます。特に、婚姻中にパート勤務だった方は注意が必要。扶養から外れると 国民健康保険 国民年金 住民税 所得税これらが一気にのしかかります。ケース例(仮想夫婦)妻:時給1,200円 × 月75時間(年108万円)夫:年収400万円、扶養手当1万円あり妻が離婚資金を貯めるために勤務時間を増やした場合の手取り変化を検証。〇結果(個人ベース) 月約1.2倍勤務(税扶養限度額近くまで働く)→ 24万円増えても +約5万円 (ただし、130万未満で社会保険が配偶者の扶養のままでOKなら+24万そのままget!) 月約1.6倍勤務(社会保険第2の壁まで)→ 72万円増えても +約47万円 月2倍勤務 → 108万円増えても +約76万円理由:社会保険の扶養を外れると保険料・税金が一気に増えるため(参考)試算表 項目 A9万(月額) B11万(月額) B15万(月額) B18万(月額) 1給与収入 1,080,000 1,320,000 1,800,000 2,160,000 2給与所得 340,000 580,000 1,060,000 1,420,000 3扶養手当(会社から) 有 有 0 0 4所得税(年) 0 0 0 3,600 5住民税(年) 0 0 0 6,200 6社会保険料(年) 0 66,852 91,164 109,404 7年金保険料(年) 0 120,780 159,300 197,640 8支出計【4+5+6+7】 0 187,632 250,464 316,844 9収入1―支出計8 1,080,000 1,132,368 1,549,536 1,843,156 配偶者控除の適用 〇 〇 × × 配偶者特別控除の適用 × × 〇 × 収入増額金額(Aの月9万と比較) ー 240,000 720,000 1,080,000 支出増額金額(Aの月9万と比較) ー 187,632 250,464 316,844 月労働時間増(Aの@1200×月75hと比較) ー 16.7 50.00 75.00 実質増額分(Aの月9万と比較) ー 52,368 469,536 763,156 〇結果(世帯ベース) 月1.2倍勤務 → 世帯の増加は 約5万円(パート勤務者分の増がそのまま反映) 月1.6倍勤務 → 約33万円(パート勤務者分の増 約46万なのに、、、) 月2倍勤務 → 約63万円(パート勤務者分の増 約76万なのに、、、)夫の扶養手当が消えることも影響します。詳細は、次の表をご参照ください。 項目 A9万(月額)主 B11万(月額)主 B15万(月額)主 B18万(月額)主 1給与収入 4,000,000 4,000,000 3,880,000 3,880,000 2給与所得 2,760,000 2,760,000 2,664,000 2,664,000 3扶養手当(会社から) 120,000 120,000 0 0 4所得税(年) 67,200 67,200 59,150 59,150 5住民税(年) 143,400 143,400 169,300 169,300 6社会保険料(年) 207,043 207,043 207,043 207,043 7年金保険料(年) 373,320 373,320 373,320 373,320 8支出計【4+5+6+7】 790,963 790,963 808,813 808,813 9収入1―支出計8 3,209,037 3,209,037 3,071,187 3,071,187 収入減額金額(Aの月9万と比較) ー 0 -137,850 -137,850 支出増額金額(Aの月9万と比較) ー 0 17,850 17,850 実質減額分(Aの月9万と比較) ー 0 137,850 137,850 項目 A9万(月額) B11万(月額) B15万(月額) B18万(月額) Ⅰ世帯手取見込 4,289,037 4,341,405 4,620,723 4,914,343 Ⅱ世帯額面(扶養手当付) 5,200,000 5,320,000 5,680,000 6,040,000 Ⅲ年間実質増額(妻増+夫減) ー 52,368 331,686 625,306 Ⅳ労働時間増/月(Aの@1200×月75hと比較) ー 16.6 50.0 75.0 5 結びに■ 結論2024~2026年の一連の税制改正により、扶養まわりの判断基準は次のように整理できます。1.所得税大幅な改正があり、実質的に減税方向。→ フルタイム勤務でなければ、扶養を過度に気にしなくてもよい状況に。2.住民税基礎控除以外は所得税法改正に準じて横ばい。→ 非課税基準はこれまで通り。「住民税:課税」かつ「所得税:非課税」というケースは普通に起こる。3.社会保険の扶養制度の大きな変更はなし。→ 扶養から外れると保険料負担が一気に増えるため、基準内に収める方が無難。【最後にお伝えしたいことは2つ】1.扶養制度は手厚い。中途半端に働くと世帯の手取りはむしろ減る● 税の扶養(配偶者控除・配偶者特別控除)の要件・法律上の配偶者・生計同一・配偶者の所得58万円以下(給与収入132万円以下)・専従者でないこと● 社会保険の扶養の要件・生計同一・年収130万円未満(※勤務先の健保によっては106万円基準あり)・後期高齢者医療の対象外2.離婚を見据えるなら、まずは「社会保険の扶養内」で働き、次に正社員化を目指す離婚後の生活基盤を整えるには、① 扶養内で保険料負担を抑えつつ収入を確保② その後、正社員化・安定収入へステップアップという順番が最もリスクが少ない。最後までお読みいただき誠にありがとうございます。この記事が、あなたの人生の選択に少しでも役立てば幸いです。次回は、これまでの「100・103・106(・123)・167万円の壁」が新税制でどうなるのかについて考察する予定です。月に一度は、お金の勉強に関する情報を更新予定です。なお、2026年6月6日(土)から当面の間、毎週土曜13時に過去のブログを修正し、公開しています。ブログと共にFP.Daiki【離婚マネーアドバイザー】のX(旧Twitter)もフォローいただけますと今後の励みになります。【執筆者】離婚マネーアドバイザーFP.Daiki・AFP・社会保険労務士有資格者・年金アドバイザー2級・離婚カウンセラー産後クライシスを乗り切れず、離婚。離婚を機に「同じ苦しみを味わう人を救いたい」という思いで再起。現在は、家計診断・勉強会・個別サポートでお客様の離婚×お金の問題を二人三脚で解決しています。