FP考察:離婚後スムーズに生活保護を受給する方法
※はじめに本ブログの情報は、2024年11月末時点のものですので、ご注意ください。
「離婚後スムーズに生活保護を受給する方法が無いのか?」
「生活保護ってどんな制度ですか?」
などご質問を頂くので、この点についてお金の専門家であるFPが考察してみました。
今回は、その記事(ブログ)になります。
(はじめに関門があります)
・離婚して財産分与で少しでも資産を得た
→生活保護受給し難いので、別の方法で生計を立てることを検討しましょう
・離婚して財産分与で資産を得ず、負債が残った。
→生活保護受給の可能性有り
理由:無資産要件があるため
離婚後財産分与で資産を得ず、寧ろ負債だけが残った。しかも僅かな収入見込み。
そのような貴方に贈ります。
最後のセーフティーネット生活保護について学んでいきましょう。
生活保護制度とは、ズバリ「生存権を保障する制度の一つ」です。
日本国憲法 第25条
1 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
第2項の記載の通り、義務でなく、「努めなければならない」という表記に留まり、ここに国の支援の限界が示されています。よって、自分の生活は、国等に頼らず、基本は独力で成立させなければなりません。
制度の目的は、何かしらの事情により真に生活に困った場合、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、最低限の生活を保障するとともに、その自立を助長することとなっています。給付種類は、8種(生活扶助、住宅扶助、教育扶助、介護扶助、医療扶助、出産扶助、生業扶助)有り、事情等に応じ、給付されます。
相談・申請窓口は、一般的にお住まいがある最寄りの福祉事務所です。
支給要件は、「真に生活に困窮している事実」が必要で一般的に次の通りです。
A 親族の援助が得られない
B 事情がありしっかり働けない
C わずかの収入しかなく生計が成り立たない
D 資産も無い(=無資産要件)
A~Dの要件を満たしていくには、以下のような状況が必要です。
1 預貯金に関して
保護費受給は前述の通り、無資産要件があります。
完全に預貯金が0円又はマイナスでないといけない訳ではありませんが、各市区町村にもよりますが、一般的に30万超の場合、生活保護受給困難と言われています。(できたとしてもその預貯金を一定使用した後からの決定となる。)現時点の預貯金額を確認しましょう。なお、受給に際し、すべての金融機関に調査を掛けます。入出金履歴も確認可能ですので、直近に高額を引き出した場合、確認されることがあります。
調査に際し、仮に事前に金融機関の口座から引き出し「新生活費使った」と言い訳したうえで、タンス預金とし、一時はしのいだとしても、所得を隠し、受給したことが発覚した場合、不正受給とされ、返還せねばなりません(強制徴収)。また、ペナルティとして罰金もしくは保護費の打ち切りとなります。最悪、刑事告訴される場合もあります。
2 借金返済に関して
離婚時に(負債>資産)の場合、残念ながら負債を背負うこととなります。
生活保護を受給し、その保護費から返済をお考えの貴方、残念ながら、保護費から借金返済は禁じられています。
よって、離婚後借金返済の目途が立たない場合は、速やかに債務整理を行いましょう。遅かれ早かれ、受給前にその手続きを行うように言われます。
具体には、受給前に以下の3種の中のいずれかの債務整理を行う必要があります。
1 任意整理 将来の利息や遅延損害金を免除してもらう
2 個人再生 裁判所に申し立てを行い、借金を大幅に減額する手続
3 自己破産 裁判所に申し立てを行い、借金を全額免除してもらう手続
これらは、弁護士など専門家に相談しましょう。なお、法テラスの制度を利用することで支援が受けられます。
更に残念ながら保護費受給後は、以下のような制限がかかります。
・預貯金の金額に制限がかかります
・新たに借金はできません
・基本的に資産(車や不動産など)を持てません
・一部の生命保険(貯蓄性があるもの)に加入できません
・住む場所も限定されます
・病院の受診に制限がかかります(病院を選べません)
など
皆さんの税金から保護費が支給され、それを基に生活を成り立たせる以上、保護受給の間は、自由が制限される形となります。また、永遠に支給されるわけでもなく、突如打ち切りや支給額の減額も予想されます。よって、あくまで生活保護を頼った離婚でなく、もしものときは、頼るような感じで今後の準備を進めていくことをお勧めします。
なお、現在103万の壁の見直しが議論されています。実現すると様々な福祉・医療制度に設定されている所得基準等にもきっと大きな影響を及ぼします。児童扶養手当も然り、、、、今後大幅な変更も予想されますのでご注意ください。
最後にまとめをお送りします。
結びに
「離婚後、資産は無く、借金だけが残った。現在、債務整理を行っている。また、子供が幼い又は(本人または子が)病のため、まともに働けず、収入は僅か。残された蓄えも尽きそう、、、、おまけに経済的に頼れる親族もいない。」そのような方に国は、(有限で)支援の手を差し伸べてくれることでしょう。
いかがでしたか?
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
お力になれれば、幸いです。
また良ければ、次回お会いしましょう。
なお、今回も「離婚マネーアドバイザーFP.Daiki」のX(旧Twitter)(リンク有)の補足です。
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【執筆者】離婚マネーアドバイザーFP.Daiki
・AFP
・社会保険労務士有資格者
・年金アドバイザー2級
・離婚カウンセラー
産後クライシスを乗り切れず、離婚。離婚を機に「同じ苦しみを味わう人を救いたい」という思いで再起。
現在は、家計診断・勉強会・個別サポートでお客様の離婚×お金の問題を二人三脚で解決しています。