『ジェトロ』 とは、「独立行政法人日本貿易振興機構」(J apan E xternal Tr ade O rganization)の略称であり、経済産業省が所管する独立行政法人である。
・JETRO
ジェトロ(日本貿易振興機構)
ジェトロ世界貿易投資報告
揺らぐ国際経済秩序とグローバルビジネスの今後 ‐世界貿易投資報告2019年版より
ジェトロが発表している「ジェトロ世界貿易投資報告」 というレポート(資料)の中から、今回は、国・地域別の「対内直接投資」 及び「対外直接投資」 に着目して、カネの動きをザックリ追っていく。(あくまでもザックリ)
取り上げる国・地域は、中国、香港、台湾、韓国だ。これらの国・地域を俯瞰的に見ていくと、良くも悪くもカネの動きに特徴がある事がわかってくる。
●中国
中国の国・地域別の「対内直接投資」 及び「対外直接投資」 は、ともに香港がダントツでブッチギリの1位である!
(1)中国の対内直接投資 (他国→中国)
中国の「対内直接投資」 は、「香港→中国」(青枠内 ) の流れに注目だ。
・2016年…871.8億ドル (構成比69.2%)
・2017年…989.2億ドル (構成比75.5%)
・2018年…960.1億ドル (構成比71.1%)
いずれの年も2位以下を大きく引き離す金額と構成比になっているわけだが、「このカネの動きは一体何なんだ?」 となる。あまりに不自然で異常すぎる事がわかる。
(2)中国の対外直接投資 (中国→他国)
中国の「対外直接投資」 は、「中国→香港」(赤枠内 ) の流れに注目だ。
・2015年…897億8978万ドル (構成比61.6%)
・2016年…1142億3259万ドル (構成比58.2%)
・2017年…911億5278万ドル (構成比57.6%)
投資先の香港はタックスヘイブン の地域の一つであり、ペーパーカンパニー を利用した課税逃れや資金調達拠点として活用される事が多いわけだが、中国本土(江沢民派)からのブラックマネー がかなり集められている。
更に、「中国→英領タックスヘイブン」(紫枠内 ) の流れにも注目だ。
・2015年…計120億6203万ドル (構成比8.3%) ※バージン諸島・ケイマン諸島
・2016年…計258億1132万ドル (構成比13.2%) ※バージン諸島・ケイマン諸島
・2017年…193億0117万ドル (構成比12.2%) ※バージン諸島
これまた、「これらのカネの流れは一体何なんだ?」 となる。
なお、2017年において、ケイマン諸島 への流れはトップ10圏外となったようだ。
また、スイス、シンガポールもタックスヘイブン である。
●香港
香港の国・地域別の「対内直接投資」 及び「対外直接投資」 は、非常に怪しい動きが目立ち、主に英領タックスヘイブン との結び付きが強い事がわかる。香港もまたタックスヘイブン の地域の一つである。
(1)香港の対内直接投資 (他国→香港)
(2)香港の対外直接投資 (香港→他国)
香港の「対内直接投資」 は、「英領タックスヘイブン→香港」(青枠内 ) の流れに注目だ。
・2015年…計9012億香港ドル (構成比計66.7%)
・2016年…計3916億香港ドル (構成比計42.9%)
・2017年…計5093億香港ドル (構成比計59.0%)
※英領タックスヘイブン …バージン諸島・ケイマン諸島・バミューダ諸島
香港の「対外直接投資」 は、まず、「香港→中国」(水枠内 ) の流れに注目だ。
・2015年…3066億香港ドル (構成比55.1%)
・2016年…2349億香港ドル (構成比50.7%)
・2017年…2433億香港ドル (構成比36.0%)
更に、「香港→英領タックスヘイブン」(赤枠内 ) の流れにも注目だ。
・2015年…計2485億香港ドル (構成比計44.6%)
・2016年…計2229億香港ドル (構成比計48.1%)
・2017年…計1325億香港ドル (構成比計19.7%)
※
英領タックスヘイブン …バージン諸島・バミューダ諸島・ケイマン諸島
また、オランダ、シンガポール、ルクセンブルクもタックスヘイブン である。
それにしても、「香港の直接対外投資は一体どうなっているんだ???」 という話よ。そこには、課税逃れ や資金洗浄 が深く影響している。
(3)香港の業種別対内直接投資 (他国→香港)
(4)香港の業種別対外直接投資 (香港→他国)
香港の「対内直接投資」 の大半は、「投資持ち株会社・不動産・商業サービス」 に投資されている。
・2015年…1兆1444億香港ドル (構成比84.7%)
・2016年…5092億香港ドル (構成比55.9%)
・2017年…5379億香港ドル (構成比62.4%)
香港の「対外直接投資」 の大半は、「投資持ち株会社・不動産・商業サービス」 に投資されている。
・2015年…4917億香港ドル (構成比88.3%)
・2016年…3724億香港ドル (構成比80.4%)
・2017年…4800億香港ドル (構成比71.0%)
そして、これらの投資の大半は、ペーパーカンパニー を利用したM&A(合併・買収) が目的である。
香港や英領タックスヘイブン にあるペーパーカンパニー に不正資金を混ぜて M&A(合併・買収) をして資金洗浄 しているかがわかってくる。
それにしても、異常なまでの構成比の高さだ。だから、タックスヘイブン である香港にはペーパーカンパニー が多いのだろう。
そして何より、香港を取り巻くチャイナマネー(=香港ドル)の流れは、1992年10月5日にアメリカ・ブッシュ政権時に成立し、1997年7月1日より施行された「香港政策法」(Hong Kong Policy Act/合衆国法典第22編第66条)による優遇措置の影響が非常に大きい。
・Office of the Law Revision Counsel UNITED STATES CODE
CHAPTER 66—UNITED STATES-HONG KONG POLICY
●台湾
台湾の国・地域別の「対内直接投資」 及び「対外直接投資」 も、香港と同様、タックスヘイブン との結び付きが大きいようだ。
(1)台湾の対内直接投資 (他国→台湾)
(2)台湾の対外直接投資 (台湾→他国)
台湾の「対内直接投資」 は、「オランダ→台湾」(青枠内 ) の流れに注目だ。
・2016年…67.08億ドル (構成比60.8%)
・2017年…18.95億ドル (構成比25.2%)
・2018年…34.96億ドル (構成比30.6%)
2016年から2017年にかけて大幅減少なのは、大型投資案件の急増による反動の影響が大きい。
また、2018年になってルクセンブルクから、17.73億ドル(15.5%)の伸び率2894.0%と一気に流れてきた。
そして、英領中南米地域という名の英領タックスヘイブン からも多くが流れてきている。
台湾の「対外直接投資」 は、「台湾→英領中南米地域という名の英領タックスヘイブン 」(紫枠内 ) の流れに注目だ。
・2016年…27.19億ドル (構成比22.4%)
・2017年…59.20億ドル (構成比51.2%)
・2018年…59.14億ドル (構成比41.4%)
これは、「台湾積体電路製造」(TSMC)の経営投資会社への大型増資と、テリーゴウ率いる「鴻海精密工業」の間接増資によるところが大きい。(対外直接投資案件より)
また、2016年から2017年にかけて、日本が激減しているのが興味深い。反動減の可能性もあるが、2018年もそれほど多くなかった。
逆に、2017年から2018年にかけて、アメリカは倍増している。
(3)台湾の業種別対内直接投資 (他国→台湾)
(4)台湾の業種別対外直接投資 (台湾→他国)
台湾の「対内直接投資」 は、「電気・電子」 がメインだ。そこはさすが台湾といったところか。
・2016年…37.32億ドル (構成比33.8%)
・2017年…23.25億ドル (構成比30.9%)
・2018年…38.80億ドル (構成比33.9%)
しかし、2018年になって、「金融・保険」 の勢いがかなり増し、「化学・薬品」 もそこそこ伸びてきた。
台湾の「対外直接投資」 は、「金融・保険」 がメインだ。
・2016年…33.94億ドル (構成比28.0%)
・2017年…80.15億ドル (構成比69.3%)
・2018年…88.65億ドル (構成比62.0%)
2017年と2018年は、他業種を寄せ付けないほどの高さである。
(5)台湾の主な対内直接投資案件 (他国→台湾)
台湾の「対内直接投資案件」 は、登記がタックスヘイブン の企業が多数を占めるが、2017年と2018年で企業の顔ぶれが変わっている。また、日本企業もある。
対内直接投資でオランダの割合が多いのは、「德州儀器工業」や「マイクロン・テクノロジー」の影響が大きい。
(6)台湾の主な対外直接投資案件 (台湾→他国)
台湾の「対外直接投資案件」 は、登記がタックスヘイブン の企業が大半であるが、「台湾積体電路製造」(TSMC)と、テリーゴウ率いる「鴻海精密工業」を除けば、これまた2017年と2018年で企業の顔ぶれがかなり変わっている。日本企業はない。
●韓国
韓国の国・地域別の「対内直接投資」 及び「対外直接投資」 は、ともにアメリカが1位である。
(1)韓国の対内直接投資 (他国→韓国)
(2)韓国の対外直接投資 (韓国→他国)
韓国の「対内直接投資」 は、「アメリカ→韓国」(青枠内 ) の流れに注目だ。
・2016年…38.73億ドル (構成比18.2%)
・2017年…47.10億ドル (構成比20.5%)
・2018年…58.79億ドル (構成比21.9%)
また、2018年になってスペインから、14.20億ドル(5.3%)の伸び率2447.6%と一気に流れてきた。
英領中南米地域という名の英領タックスヘイブン からはさほど流れてこないが、マルタやオランダなどからはそれなりに流れてくるようだ。
なお、日本から韓国へは、5~8%程度しか動いていないwww
韓国の「対外直接投資」 は、「韓国→アメリカ」(赤枠内 ) の流れに注目だ。
・2016年…135.55億ドル (構成比34.7%)
・2017年…151.52億ドル (構成比35.0%)
・2018年…108.09億ドル (構成比21.7%)
英領タックスヘイブン (バージン諸島・ケイマン諸島)へもかなり流れていった。オーストラリアへの流れも急増しているようだ。
韓国から中国の大半は、「サムスン電子」「LG化学」「SKハイニックス」によるもの。
なお、韓国から日本へは、2~3%程度しか動いていないwww
(3)韓国の業種別対内直接投資 (他国→韓国)
(4)韓国の業種別対外直接投資 (韓国→他国)
韓国の「対内直接投資」 は、「金融・保険」 がメインである。
・2016年…65.56億ドル (構成比30.8%)
・2017年…42.93億ドル (構成比18.7%)
・2018年…48.85億ドル (構成比14.4%)
「金融・保険」に匹敵しているのが「不動産」 である。
そして、2018年になって「輸送用機械」 が、51.10億ドル(19.0%)と一気に増して「金融・保険」を上回った。
韓国の「対外直接投資」 は、「金融・保険」 がメインである。
・2016年…93.67億ドル(構成比24.0%)
・2017年…134.11億ドル(構成比31.2%)
・2018年…162.33億ドル(構成比32.6%)
そして、2018年になって、前から高めだった「製造業」 がほぼ倍増して「金融・保険」を上回った。これは、「サムスン電子」「LG化学」「SKハイニックス」による影響が大きい。
銀行や大手財閥企業の大半を、米国金融資本やIMFに支配され、経済植民地と化した韓国で、この動きはかなりキナ臭いと見たほうがよいのか。韓国市場の怪しい動きも要チェックや!
●ジェトロのレポートでわかる事
ジェトロの世界貿易投資報告を見てみると、なかなか面白くて奥深い。今まで自分が知らなかった事が、このレポートで初めて知った事も多かった。
何より、レポートの質も量も膨大で、しかも纏めるのが非常に上手く、私みたいな者にもわかりやすいレポートとなっている。
今回、取り上げた「対内直接投資」 及び「対外直接投資」 は、膨大な資料の一部にすぎないが、これを少し理解するだけでも、貿易・通商の見方が変わってくるし、金融や経済も少しは分かってくる。これに、輸出入や政治的国際情勢なども織り交ぜていけば、更に視野は広がっていくだろう。
金融・投資・経済・貿易の視点でカネの流れを追うなら「ジェトロ」が一番だろう。
中には、明らかに怪しいとしか思えないカネの流れまで追う事ができる。ジェトロのレポートこそ、金融企業らによる資金洗浄 や課税逃れ のルートを解くカギがあると思う。
ジェトロは超有能の【ネ申】 であり、【宝】 である!
マスメディアなんぞのくだらないネタばかりに反応していないで、もっと現場の現実に注視するべきである。
●結局、世の中はカネで動く!
そんなジェトロのレポートの前では、反中嫌韓恐露バカの大好きな「歴史」「思想」「感情」なんぞは無に等しく、そんなものでは世の中は動いていないという事を思い知らされるだろう。
共産主義? そんなもの、ねーよwwwww
どこかの宗教や日本共産党にしても、結局はカネで動いているだけでしょw
反中嫌韓恐露バカの大っ嫌いな中国や韓国は資本主義だ。
「世の中カネ!」 というのは、良くも悪くも、この世の真理 なのである。
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