面白いと思ったことを、あなたにおすそ分け。
あけましておめでとうございます!最近の関心事は専ら卒業研究のこと…楽しいけれどなかなか辛い毎日です(笑)口頭発表会まであと24日。精一杯頑張ります。さて、今年は大学院に進学しますが、実はまだ同じ研究室のメンバーを知りません(笑) とても気さくな方だと聞いているので楽しみです。いよいよ本格的に研究生活が始まるのが楽しみです。一生懸命取り組みたいと思います。あとは宇宙関係の一般書を沢山読んで、このブログに面白い記事を沢山書けたら良いと思います。楽しみにしていてください!そして今年は旅行に沢山行きたい…。行きたい場所は去年と変わりなく、彦根城(今年は直虎の影響で混みそうですね)や上田城址です。戌年なので、「ワンちゃんす」を逃さないように頑張っていきたいと思います。2018年が皆さんにとって素晴らしい1年になりますように。本年もどうぞよろしくお願いします!
再びこんにちは。2017年の振り返り〜下半期編です。早速いってみましょー!8月〜9月上旬8月末には大学院の入学試験がありました。筆記試験、面接ともにとても緊張しました。院試の結果、来年度はEQUULEUSという月探査機やひさきという惑星観測衛星をやっている研究室に所属し、装置開発とデータ解析の勉強をすることになりました!研究テーマはまだ決まっていませんが、月の大気の研究を通して地球以外の天体に生命が存在できる条件を探る可能性が高いです。「え?月に大気があるんですか?」いい質問ですね。実はほんの少しだけあります。月の表面には月の地面から染み出した、ナトリウムやカリウムを主成分とする薄〜い大気があるんですよ!そして、院試の直後には学科のメンバーと現実逃避会と称して恐竜博に行きました(笑) お互い地球や宇宙に興味がある人たちなので展示を見ながら議論が絶えない絶えない。怖いですね。新しい知見、新しい視点を色々もらえたのでとても楽しかったです。惑星観測衛星 ひさき (©JAXA)9月下旬三鷹にある国立天文台のすばる秋の学校に参加してきました。これは学部生対象の学校で、4日連続で天文台に通って研究体験をさせてもらうことができます。私は「小惑星のスペクトル解析」のグループに所属し、ハワイのすばる望遠鏡が観測した小惑星の色のデータを解析し、初期の太陽系で起こった惑星大移動という大イベントに関する研究を行いました。今回解析したのはカイパーベルト天体(太陽系外縁天体)と呼ばれる、海王星よりも外側にいる小惑星たちです。実は私の卒業研究も「小惑星のスペクトル解析」なのですが、対象とする小惑星(卒業研究でやっているのはメインベルトと呼ばれる火星と木星の間にいる天体がほとんど)やデータの種類が異なるため、似たような解析をしているのにそこから分かる事柄が大きく異なる、というのが面白いと思いました。3月の宇宙線研スプリングスクールに引き続き、ここでも同じような分野に興味を持つ友達が増え、とても楽しかったです。カイパーベルト天体(太陽系外縁天体)の位置冥王星も太陽系外縁天体の1つです。10月〜12月10月3日、日本に大事件が起こります。私が再びブログを書き始めたのです!昨年ブログを一旦始めたものの忙しくて全く更新ができませんでしたが、「忙しくても少し時間をとってブログを頑張ってみよう」と決意しました。かなり手探りでやっているので、「今回の記事面白かったよ」「今回の記事は難しかった」「もっとイラストが欲しい」などなど、感想・意見をいただけると嬉しいです!(ブログ見てるよ、と言われるだけでも嬉しいです!)4年冬学期になり、卒業研究(とレポート)に追われる日々ですが、卒業研究はとても楽しいです。まだ成果はあまり出ていませんが、そのうち卒業研究の内容についても記事にしたいと思います。お楽しみに!まとめ2017年は色々なことにひたすら追われる1年でした。旅行に行けなかったのが悔いですが、この1年で貴重な経験を沢山することができたと思います。…旅行は来年沢山行きたいと思います(笑)長くなりましたがこれで今年の記事は全ておしまいです。毎回読んでくださりありがとうございました。来年も引き続き頑張っていこうと思うのでどうぞよろしくお願いします。それでは皆様、良いお年を!!関連記事:2017年の振り返り〜上半期編
こんにちは。1年が経つのは早いもので、今年最後の投稿です ^^今回は自分の2017年をザーッと振り返りたいと思います。1月〜2月試験&レポートとひたすら戦う毎日...この学期はとにかくレポートが多いので大変でした。一番気に入った講義は「宇宙惑星物質進化学」という講義です。この講義では宇宙初期に元素が誕生するところから地球ができるまでをいくつかのステップに分けて詳しく解説するもので、私は特に月の内部の進化に興味を持ちました。実は月の「表側」と「裏側」では内部の様子も異なるんですよ!ちなみに月の自転周期と公転周期についての記事は「地球力学」という講義で習った内容をもとに書きました。この議論を応用することにより月が地球からだんだん遠ざかっていることも説明できるので、是非考えてみてください。3月春休みには宇宙線研究所のスプリングスクールに参加してきました。これは学部3年生限定の学校で、柏にある宇宙線研究所(所長は一昨年ノーベル物理学賞を受賞された梶田先生です!)に5日間泊まり、研究体験をさせてもらいました。私は専門とは異なる「重力波」のグループに所属し、LIGOが実際に観測したデータを用いて原始ブラックホール(ビッグバン直後にできたとされる、地球よりも軽いブラックホール)探しを行いました。昼はデータ解析をし、夜は他の班の人と語らい、寝るのも忘れるほど楽しい4日間でした(笑)参加している学生は皆同期なので非常に話しやすく、仲良くなりやすいのが特徴だと思います。この学校の1週間後にこの時知り合ったメンバーで花見に行きましたし、つい最近もまた飲みに行きました。今年度の募集は終了してしまったようですが、非常に良い経験になるので学部2年生の人は来年度の募集をお見逃しなく!4月〜5月5月に行われる大学の学園祭「五月祭」に向けた準備で大忙しでした。学科の学術展示では対流と雲の形成、地震波を用いた地球内部構造の推定、小惑星帯の構造形成、太陽風・太陽フレアについての展示を行いました。このうち、私は太陽フレアについての展示を作りました。実は前回のフレアの記事×2はこの時の展示の焼き直しです。手抜きですみません(笑) 私たちにとって非常に身近な太陽で起こっているフレアという現象を知ってもらうと同時に、それが生命誕生とも繋がっているかもしれないという意外な面白さも伝えることができたかなと思います。私は学科の学術展示の責任者を務め、色々な新しい試みを取り入れました。一部、提案したのに準備が間に合わなくて結局実現できなかった企画もあるので来年後輩たちが実現してくれたら嬉しいですね。Twitterもありますので是非フォローしてください!(今は冬眠中ですが、春くらいから動き出すと思います。)©NASA/SDO6月〜7月試験&レポート再び...。とはいえ、先学期までは地球や宇宙の謎を解くために必要な物理に重きをおいた講義が多かったですが、今学期からはそれらを実際に地球や宇宙に応用していく講義が多くなり、とても楽しかったです。一番面白かった講義は「惑星地質学」です。中でも、「調べたい天体の周りに探査機を飛ばして重力を測るだけで、その天体の内部の様子が分かる」という話が興味深かったです。実はこの事実自体は先学期の「地球力学」という講義で出てきていたのですが、実際の探査の文脈で登場することで具体的なイメージが湧きました。この話もそのうち記事にしようと思っていますが、気になる方は重力異常(フリーエア重力異常・ブーゲ重力異常)で調べてみてください。また、「特別演習」という、研究室に仮所属して英語の教科書や論文を講読する授業もありました。全く違う分野から2テーマを選ぶことになっているので、私は「沿岸湧昇(海洋分野)」と「プラズマ物理(宇宙分野)」を選択しました。沿岸湧昇は偏西風などの風と地球の自転の影響により沿岸で海流が深いところから上昇してくる現象です。ペルー沖やカリフォルニア沖が良い漁場となっているのはこの沿岸湧昇のおかげです。一方、プラズマ物理の方では電子や陽子などの電気を帯びた粒子の集団の振る舞いを分厚い教科書を用いて広く学び、最後には「磁気回転不安定(MRI)」と呼ばれる現象に関する論文を読みました。このMRI(核磁気共鳴とは無関係です)は太陽系の形成初期の鍵となる現象だと言われています。長くなってきたので今回の記事は一旦ここまでで終わりにします。続きは「2017年の振り返り〜下半期編」にて!ではでは、また後ほど!関連記事:2017年の振り返り〜下半期編
本日2度目のこんにちは。今回も前回に引き続き、フレアについて書きたいと思います。先程はフレアのメカニズムやフレアによる被害、宇宙天気予報について紹介しました。フレアは恐ろしいものだ、と思った方も多いことでしょう。しかし、実はフレアが私たちの生みの親かもしれない、という説もあるのです。今回はその説について紹介します。現在、生命の誕生については次の2つの大きな問題が言われています。 過去の太陽は現在よりも活動が弱かったため、地球の海はほぼ全てが凍っており、とても生命の誕生できるような環境ではない(暗い太陽のパラドクス)。 窒素分子は非常に安定なため、初期の地球の状態では生命の基礎となるDNAやRNAを作ることができない。これら2つの謎を解く鍵がフレアにあるのではないか、という論文が昨年(2016年)に出ました。若い頃の太陽は現在ほどエネルギーを放出していないものの、現在よりもはるかに大きなフレアをしばしば起こしており、これによって大量のプラズマ粒子が放出され、地球大気中の窒素と以下のような様々な化学反応を起こしたとする説です。正直に言うと私はこの図にある1つ1つの化学反応までは詳しく知らないのですが、とりあえず注目すべき点はN2OとHCNという2つの物質が生成されていることです。N2Oは一酸化二窒素(亜酸化窒素)と呼ばれる化合物で、二酸化炭素の300倍という強烈な温室効果を持ちます。従って、太陽から届くエネルギーが小さい初期の地球でも、この強烈な温室効果ガスが存在すれば海が凍る心配がなくなります。HCNはシアン化水素と呼ばれる化合物で、重合することによってアミノ酸やタンパク質を生み出すことができます。これをきっかけに生命の素となる物質を次々と生み出すことができるのです。確かに、太陽フレアが生命誕生に大きく関わっていそうな感じがしますね。以上の説はまだ仮説に過ぎませんが、現在の文明社会にとって大きな脅威である巨大フレアが実は私たちの“母”であったとしたら、非常に面白いことだと思います。今後の検証に期待しましょう!ではでは今回はこの辺で!Reference:V.S. Airapetian et al. Prebiotic chemistry and atmospheric warming of early Earth by an active young Sun. Nature Geosci. 9, 452-456 (2016).関連記事:太陽フレアってなんだ!?〜Part1
今年の9月、太陽で強力なフレアと呼ばれる現象が発生していたのをご存知でしょうか?結局この時は地球に大きな被害はなかったものの、時としてフレアは私たちの生活に甚大な被害を与えかねないため、多くの研究者たちが太陽を注意深く観測していました。今日はその「フレア」のお話です。©NASA/SDOまず、フレアとは一体何でしょうか?簡単に言うなら「太陽表面で起こる大規模な爆発現象」です。もう少し詳しく説明しましょう。太陽の表面には非常に強力な磁場があります。磁束密度はフェライト磁石と同じくらいです、と言うと大したことないようにも思えますが、半径7億kmの球の表面に磁石がびっしりと並んでいる様子を想像すると…なかなか怖いですよね。そして、太陽の表面は「差動回転」と呼ばれる自転の仕方をしています。差動回転とは、緯度によって自転周期が異なるような自転様式のことで、実際太陽の赤道域の自転周期は約25日、極域の自転周期は約30日です。この差動回転によって、太陽表面では磁力線が引き伸ばされ、ところどころ磁力線同士が接触して磁気リコネクションと呼ばれる爆発現象が発生します。このときに様々な物質が放出されるのがフレアと呼ばれる現象なのです。フレアが発生すると、まず太陽からX線が放出されます。下の図は今年の9月10日に太陽から放出されたX線の量を示したものです。16:00UT(UT≒旧グリニッジ天文台の時刻)頃にX線の量が急増しているのが分かりますね。X線が太陽を出てから地球に到達するまでに8分かかるので、フレア自体はこのX線の急増の8分前に起こっていたことになります。©NICTフレアの際にはX線以外にも大量のプラズマ粒子が放出されます。プラズマとは、陽子や電子などの荷電粒子がビュンビュン飛んでいるような状態のことです。放出されたプラズマ粒子は約2日かけて地球へ到達し、地球に様々な影響を及ぼします。まず、低緯度帯でもオーロラが見えることがあります。江戸時代には本居宣長が松坂でオーロラを目撃したという話もあります。2003年に起こった巨大フレアの際には北海道など北日本でオーロラが観測されました。オーロラが見えるだけなら良いのですが、プラズマ粒子は私たちの生活に甚大な被害を及ぼすことがあります。プラズマ粒子は電気を帯びているので、電磁石と同じような感じで磁場を作り出し、地球の磁場を大きくかき乱します(磁気嵐)。すると今度は電磁石の逆の電磁誘導により、地上の電線に大電流が生じることがあります。カナダのケベック州では変電所の変圧器が過電流で破壊されたこともあるそうです。また、磁気嵐によってインターネット回線やGPSに必要な人工衛星が機能しなくなってしまうこともあります。以上、かなり不安を煽るようなことを書きましたが、実際はフレアが起こってもX線やプラズマが地球とは異なる方向に飛んでいく確率の方が高いですし、地球に到達したとしても大きな被害が出ることは稀です。とはいえ、このようなことが起こる可能性がある以上、何らかの対策はしなければなりません。天気に天気予報があるように、宇宙に対しては「宇宙天気予報」というものがあります。NASAのSOHOやSDOなど、宇宙天気予報を担う人工衛星がいくつかあります。©NASA/SOHO, ©NASA/SDO例えば、X線はフレア発生後、地球に到達するまで8分程度ですが、一方でより大きな被害を及ぼすプラズマ粒子は到達に2日程度かかります。従って、太陽から放出されるX線の量を観測すればフレアによるプラズマ粒子の到来を予測することが可能なのです。ちょうど緊急地震速報がP波とS波の時間差を利用しているのと同じことです。個人で対策することは難しいですが、さらに早い段階でフレアの発生を予測できるようにしようという研究が現在進んでいます。ではでは、今日はこの辺で!関連記事:太陽フレアってなんだ!?〜Part2
こんにちは。大学の冬学期も後半戦に入りました。卒業研究や中間レポートに追われてなかなかブログを更新できていません…汗どうにか時間を見つけて頑張ります!さて、今日は “ORIGAMI” シリーズPart3「ハニカム折り」です。早速、折り方をご紹介します。今回はカッターとノリが必要です。紙は長方形でも大丈夫です。破線は谷折り、一点鎖線は山折り、実線はハサミで切る場所を表します。また、黒い実線はハサミで切った場所、青い破線・一点鎖線はそれまでの工程で入れてある折り目を表します。折り方自体はそこまで難しくはないのですが、カッターで切る場所やノリをつける場所を間違えないように注意してください!① 4等分に折り目をつける。② 山・谷・谷・山・山・谷・谷・山…の順に、等間隔に折り目をつける。③ 図をよく見て、赤い実線に該当する折り目にカッターで切れ込みを入れる。④ 図の黄色い部分は紙の裏側、赤い部分は紙の表側にノリを塗り、①でつけた折り目で折ってそれぞれの真下のマスと貼り合わせる。⑤ ②の折り目を使って形を整えて完成!ハニカム折りには主に2つのメリットがあります。1つ目は「力持ち」ということです。今回の折り紙のように六角形を集めた形を「ハニカム構造」と言います。これについては後日実験を行って記事にできたらと思っています。ハニカム構造は少ない材料でかなりの強度を出すことができるため、航空機や自動車等の部材などに応用されています。ハニカム構造を利用すれば強度も保ちつつ、コストが削減&軽量化もできるのです。ハニカム(honeycomb)とは蜂の巣のことなのですが、蜂も少ない材料で壊れにくい巣を作るために色々な巣の形を研究した結果、今の「ハニカム」に至ったのでしょうね。このように重宝されているハニカム構造ですが、最初から立体的に作ろうとすると結構な手間がかかります。そこで、初めに「ハニカム折り」の折り目の位置にミシン目を入れたシートを作り、それを折ってハニカム構造を作ることで、ハニカム構造を作るのにかかる手間を減らすことができます。ハニカム構造のメリットの2つ目は「紙が非常によく広がる」ということです。例えば、下の画像を見てください。これは少し前に買ったワインの包み紙なのですが、この包み紙の両端を持って引っ張ると…下の左のもののように1.5倍くらいに広がります!ある程度小さな紙でも、ハニカム折りをうまく利用することで大きなワインを包むことができる、というわけですね!それでは今回はこの辺で。最後までお読みいただき、ありがとうございました!関連記事:あらゆる分野で大活躍!日本の“ORIGAMI"〜Part1:ミウラ折りあらゆる分野で大活躍!日本の“ORIGAMI"〜Part2:なまこ折り
こんにちは。今日はTwitter等で度々話題になる算数のお話です。突然ですが皆さん、以下の問題の答えはなんでしょう?模範解答は「皿が4枚あります。1皿にイチゴを5個乗せます。イチゴは全部で何個ですか?」です。え?「5枚」「4個」じゃダメなの?と思った方も多いと思います。Twitterでは算数のテストでこの問題に「5枚」「4個」と答えた子どもが先生に❌をつけられた、というツイートに対し、「数学的には一緒なのにどうして❌にならなければならないんだ」という意見が多く寄せられていました。しかし結論から言うと、私もこのお子さんの解答は❌だと思います。まず、なぜ模範解答が「4枚」「5個」なのかから説明しましょう。これはイチゴが「5個」乗った皿が「4枚」あるので計算式は「5×4」になる、ということですね。この模範解答の言い分自体は多くの方に納得していただけると思います。しかし問題は「かけられる数とかける数の順序はそこまで重要なのか?」ということです。5×4も4×5も数学的に一緒なのにどうしてはっきりと区別する必要があるのか?その答えは、今回の状況における「5×4」はただの数式ではなく、実体を伴う数式だからです。例えば物理で必ず出てくる運動方程式「ma=F」を考えてみましょう。これは単にm,a,Fという文字を計算するための数式ではなく、それぞれの文字が質量、加速度、力という意味を持っており、これは物体の運動を記述する式なのです。例えば少し移項を行って「F-ma=0」とするとどうでしょうか?多くの人は「外力Fと慣性力maのつりあいの式」だと感じると思います。もちろん数学的には同じですが、少し式をいじるだけでその式の持つ意味は変わってしまうのです。今回のかけ算についても同じことが言えます。今回の状況では「5×4」という数式は「イチゴが5個乗った皿が4枚ある」という具体的な状況を表しているのです。数学的には同じでも「4×5」という数式とは表している状況が異なるのです。但し、同じ「イチゴが5個乗った皿が4枚ある」状況でも「4枚の皿に順番に1個ずつイチゴを乗せる」という操作を5セット繰り返して完成した状況である場合は計算式は「4×5」の方が適切になるかもしれません。私たちはほどんどの場合、数字(量)が絡む問題を、「現実の状況を一旦数式で表現してからその数式を(現実の設定はあまり気にせず)数学的に解く」という方法で解いています。数式を解く段階では現実の設定を無視して数学的に式変形を行っていけば良いのですが、立式の段階ではしっかりと現実の設定との対応を意識するべきだと思います。数学の抽象的な世界に入っていく前の段階の小学生の時代にこそ、しっかりと意味を考えながら立式する訓練を行ってほしいものです。
昨年書きかけだった「実験の思い出シリーズ」第3弾。今回は分光実験について書きます。分光実験では太陽光等のスペクトルを見ました。スペクトルとは、光の中にどんな波長(≒色)の光が含まれているかを表した図と思っていただければ良いと思います。例えば赤色のLEDのスペクトル図は波長650nm付近がピンと立ったグラフ、緑色のLEDのスペクトル図は波長520nm付近がピンと立ったグラフ、青色のLEDのスペクトル図は波長450nm付近がピンと立ったグラフになります。実験の本題は分光器という装置を用いて空を見て、大気中の酸素濃度やオゾン濃度を測ったりしたのですが、ここでは実験の中で一番分かりやすい、白熱灯や蛍光灯の光のスペクトルについて書きたいと思います。さて、白熱灯や蛍光灯のスペクトルはどのようになっているのでしょうか?答えはこちら。左の白熱灯のグラフはなだらかですが、右の蛍光灯のグラフはなんだか1つピンと立っている部分がありますね。見た目はあまり変わらないこれらの電灯ですが、スペクトルを見ると明らかな違いがあることが分かると思います。これは白熱灯と蛍光灯の仕組みに秘密があります。蛍光灯の仕組みは「実験の思い出2 〜 蛍光灯は点滅している?」でも紹介した通りです。まず、蛍光灯に電気を流すと蛍光灯管内に満たされている水銀ガスに電子が大量に衝突し、水銀ガスが紫外線を発します。そして水銀が発した紫外線によって、管の内側に塗布されている蛍光塗料が発光する、という仕組みです。実は物質はそれぞれの物質ごとに特徴的なピーク(スペクトル図でピンと立っている部分)を持つのですが、上記の理由から蛍光灯のスペクトル図には水銀特有のピークが現れるのです。これが先ほどのスペクトル図においてピンと1つ立っている部分の正体でした。上のスペクトル図の範囲には現れませんが、他にも内側に塗布されている蛍光塗料の色に対応する波長の部分にもピークがいくつか現れます。一方で白熱灯は、電子が電球のフィラメントの中を流れる際の摩擦によって光を放っています。フィラメントの中を流れるスピードは電子によって異なり、それぞれがそれぞれのエネルギーに応じた光を放つため、全体的になだらかなスペクトル(連続スペクトル)になります。スペクトル図のお話だけではピンと来ないと思うので、最後に「回折格子」というものを通して白熱灯と蛍光灯を見た画像をお見せしたいと思います。回折格子は光を通すとその中に含まれている色が分離して見える透明なシートです(高校物理等で聞き覚えのある方もいらっしゃるかもしれませんね。原理は全く異なりますが、今回の話の範囲ではプリズムのようなものだと思っていただければOKです。)。さて、以下の画像は回折格子を通して白熱灯と蛍光灯を見たものです。どちらが白熱灯でどちらが蛍光灯でしょうか?ここまでの話をヒントに考えてみてください。答えは、左が白熱灯、右が蛍光灯です。左の方が色が連続的に見えているのでこちらが白熱灯、右の方は蛍光塗料に対応する色が見えています。回折格子というとなんだか大変な物に聞こえますが、東急ハンズ等で「分光シート」等の名前で照明用器具として販売されています。意外と簡単に入手できる上、結構楽しいのでもし興味があったら買ってみてください(笑)但し、目を痛める可能性があるので太陽を直接見ることのないように気をつけてください。ではでは!
こんにちは。「折り紙」のお話Part2、今回は「なまこ折り」と呼ばれる折り方を紹介します。まずは折り方から紹介します。今回も、正方形の折り紙でなくて大丈夫です。破線は谷折り、一点鎖線は山折りを表します。また、青い線はそれまでの工程で入れてある折り目を表します。① 4等分に折り目をつける。② 8等分に折り目をつける。③ 図をよく見て、折り目をつける。④ ①②でつけた折り目をもう1回つけ直す。⑤ ③④の折り目を使って折り畳んで完成!うまくいかない場合は、もう1度折り目をしっかりつけ直すと良いと思います。それではなまこ折りで遊んでみましょう。下の左の画像のように折り紙を置いて、上下に伸ばしてみてください。右の画像のようによく広がると思います。かなり複雑に折りたたんだのに綺麗にビヨーンと伸びて面白いですね。さて、前回のミウラ折りは人工衛星や地図への応用がありますが、今回のなまこ折りは「ステント」という医療器具への応用が考えられています。ステントは詰まってしまった血管や消化管、気管等に入れて内側からこれらの管を広げるために用いる医療器具です。金属をなまこ折りで折ったものをステントとして用いれば、加工コストが安く済むうえ、血管等に入れた際に簡単に開くことができるため、期待されています。日本の折り紙の技術が人の命を助けるかもしれないと思うと、素晴らしいですね。ではでは、今回はこの辺で。関連記事:あらゆる分野で大活躍!日本の“ORIGAMI"〜Part1:ミウラ折りあらゆる分野で大活躍!日本の“ORIGAMI"〜Part3:ハニカム折り
こんにちは。今回は月のお話です。小学校の理科の授業で「月の公転周期と自転周期はともに27.3日で全く同じで、月はいつも地球に同じ面を向けて回っている」と教わったと思います。なんたる偶然!と私は思いました。ところが、これは偶然ではなく、深〜いワケがあったのです。今回は、月の公転周期と自転周期が同じになった理由について書きたいと思います。今回のキーワードは「潮汐」です。潮汐といえば潮の満ち引きを思い浮かべる人がほとんどだと思いますが、実は地球(の固体部分)や月も潮汐力によって少し歪みます。※今回の主役は月なので、月を大きく描いています。ひとまず月の自転のことを無視すると、月の地球側の面は地球の重力によって、そして地球と反対側の面は公転による遠心力によって、上の図のように膨らみます。月の自転を考慮に入れると話が少し複雑になります。まず、自転が公転よりも遅い場合を考えてみましょう。月は固体なので、上で紹介した潮汐による変形は少し遅れて月の形に反映されます。つまり、ある場所で地球から潮汐力を受けても、それに合わせて変形する間に月は公転をして先へ進んでしまうのです。すると、下の左の図のように潮汐によって膨らむ部位が地球の方向とはずれ、膨らんだ部分は地球から赤い矢印のように引っ張られます。すると、月には反時計回りの力がかかり、自転が速くなります。それでは月の自転が公転よりも速い場合にはどうなるでしょうか。その答えは上の右の図です。自転が速いと、潮汐によって変形している間に月がどんどん自転をしてしまうので、膨らんだ部分が先程とは反対向きにずれ、時計回りの力を受けることになり、自転が遅くなるのです。少々話がややこしくなりましたが、簡単にまとめると、潮汐の効果によって月の自転は速すぎもせず遅すぎもしない速さに調整される、ということです。そしてその「速すぎも遅すぎもしない速さ」というのが「公転と同じ速さ」なのです。以上が月の自転周期と公転周期が同じになった理由です。上記のように潮汐によって自転と公転の周期が等しくなることを「潮汐ロック」と呼びます。潮汐ロックは月に限った現象ではなく、他にも面白い話があるので、また記事にできたらと思います。ではでは!
こんにちは。急に寒くなりましたね。体調を崩さないよう、十分にお気をつけください。さて、今回は大学の友人と話していたら完成した、ちょっとした脳トレゲームを紹介したいと思います。かなり単純なゲームなので、多分私たちが初ということはないと思いますが…。ルールは至って簡単、「ある曲のメロディに合わせて別の曲の歌詞を歌う」だけです。例えば、以下の有名な童謡「どんぐりころころ」の歌詞を、“5時の鐘”でも有名な童謡「ゆうやけこやけ」のメロディに乗せて歌ってみてください。どんぐりころころ どんぶりこお池にはまって さあ大変どじょうが出てきて こんにちは坊ちゃん一緒に 遊びましょう…いかがでしたか?2行目からどんぐりころころのメロディに戻ってしまった方が多いのではないか、と思います。他にも、めだかの学校、富士の山、うさぎと亀(もしもし亀よ亀さんよ...)、仰げば尊し、蛍の光、赤い靴、汽車(今は山中 今は浜...)、あの子はたあれ、荒城の月、ドリフの大爆笑OP曲(隣組の替え歌)、ドリフのズンドコ節(海軍小唄の替え歌)などのメロディでもできますので、是非挑戦してみてください。できれば歌詞を見ないでやってみましょう。私たちが歌を覚えるときは大抵歌詞とメロディをセットで覚えているので、それらを単体で思い出すのは結構難しいんです(歌詞を忘れた時に直前のフレーズから口ずさむとすんなり思い出せるのも、歌詞とメロディをセットで記憶しているからですね)。また、赤い靴や荒城の月、ドリフのズンドコ節などは、どんぐりころころの歌詞とのミスマッチ感がとても面白くて盛り上がりますよ(笑)2つの曲の歌詞の文字数が似ていないといけないので選曲が難しいのですが、童謡は七五調を利用した比較的単純なフレーズの曲が多いのでこのゲームに向いていると思います。他の曲の組み合わせでもできると思うので、面白い組み合わせを見つけたら是非教えてください!ではでは。
こんにちは。今回は太陽系の形成について書きたいと思います。太陽系ができるまでにはいくつものステップがありました。そのステップを順番に紹介していきます。今から約46億年前、現在の太陽系の場所には大量のガスとダスト(塵、小さな粒子)が存在していました(分子雲)。初めはモヤモヤとしていた分子雲ですが、そのうち重力によって一部がギュッと集まり、太陽が誕生します。そして太陽の周りを余ったガスがグルグルと回る状態(原始惑星系円盤)になります。以下の画像はチリにあるALMA望遠鏡が撮影した、おうし座HL星を取り巻く原始惑星系円盤です。しばらくすると原始惑星系円盤中のダストが自身の重力によって集まり始め、直径10kmくらいの惑星の赤ちゃん(微惑星)がたくさんでき始めます。この時にできる微惑星の大きさには若干差があり、大きいものは周りの小さめの微惑星を重力で引きつけ、合体してさらに大きな微惑星へと成長します。こうしてさらに大きさを増した微惑星はさらに周囲の小さな微惑星を取り込み成長してさらに大きくなり...というようにグングン成長していきます(暴走成長)。こうして、巨大化した微惑星(原始惑星)が一定の間隔を保っていくつも並ぶような状態になります。間隔を空けて並んだ原始惑星たちは周囲の微惑星を取り込み続け(寡占的成長)、最終的には直径1,000kmくらい(月と同じくらい)まで成長します。そしていよいよクライマックス。原始惑星同士が衝突・合体を繰り返してさらなる成長を遂げ、惑星になります。この原始惑星同士の衝突をジャイアントインパクトと呼びます。これについては別の記事で詳しく書きたいと思います。惑星ができるまでには様々なステップがあるということがお分かりいただけましたか?以上は現在最有力とされるモデルですが、あくまで「最有力」というだけで、実は誤っている可能性さえあります。今回紹介したモデルの問題点についても今後の記事で紹介したいと思います。ではでは!
こんにちは。映画『関ヶ原』の記事を書いたついでに、私が関ヶ原の戦いに関して面白いと思っている小話を書きたいと思います。(私の歴史の知識は大半がTVなので、誤りがあったら是非指摘してください。)映画『関ヶ原』の感想はコチラ。・関ヶ原の開戦直前、徳川家康は石田三成のいる大垣城の近くを素通りして少し先の関ヶ原に陣取り、三成を大垣城から誘い出して得意の野戦に持ち込みます。この戦法、1572年に家康が武田信玄に大敗した三方ヶ原の戦いで信玄がとった作戦(家康がいる岡崎城を素通りして三方ヶ原に陣取り、家康を誘い出して得意の野戦に持ち込む)にそっくりなんです。天下分け目の戦いに勝利することができたのも、過去の反省をしっかり活かしたお蔭ですね。・西軍の総大将は三成ではなく、家康に次ぐ実力No.2の毛利輝元でしたが、関ヶ原本戦では毛利軍は南宮山から動かず。これは開戦前から東軍の勝利を確信していた吉川広家(きっかわひろいえ、毛利家重臣)が東軍と不戦の密約を交わし、色々理由をつけて毛利軍が戦場へ出るのを阻止し続けたためであると言われています。広家の働きにより関ヶ原の戦い後も毛利家は改易(取り潰し)を免れるのですが、関ヶ原の戦いで毛利軍が南宮山を下りて家康本陣の背後をつくことができていたら天下分け目の戦の結果は変わっていたかもしれませんね。・東軍の先鋒は福島正則になっていたが、井伊直政と松平忠吉が正則に無断で先陣を切ってしまう。豊臣恩顧の大名である正則が功績をあげてしまうと、東軍が勝利したとしても徳川の天下ではなく豊臣系の天下に戻りかねないため、家康の重臣である直政と家康の四男である忠吉が徳川の威信を示すべく抜け駆けをしたと言われています。・小早川秀秋が寝返りそうだと気づいた西軍の大谷吉継は自ら進んで小早川の陣取る松尾山の麓に陣取ったと言われています。小早川が寝返った際も大谷軍は奮戦しますが、周囲の西軍まで小早川に呼応して一気に寝返り、大谷軍は耐えきれず無念の敗北を喫します。・島津軍(西軍)は戦中動かず、自軍の秩序が乱れるのを防ぐため、なだれ込んできた西軍の敗兵にさえ発砲。最後は戦場の真ん中で孤立してしまったため、敵中突破を強行して薩摩へ逃げ帰ります。これは「島津の退き口」と呼ばれていますが、東軍にも島津軍にも多くの犠牲者が出ました。東軍の井伊直政と松平忠吉は徳川の威信を示すべく島津軍を深追いしますが、両者ともこの時に受けた傷が原因で後に亡くなります。以上が私が関ヶ原の戦いで面白いと思っているエピソードです。他にも面白いエピソードがあったら是非教えてください!ではでは〜
こんにちは。今回は「折り紙」のお話です。皆さんも小学生の頃よく遊んだと思います。私は恐竜などを沢山折っていました。古き良き思い出です。そんな折り紙の技術が今、様々な分野で活躍しているんです!今回は「ミウラ折り」と呼ばれる折り方を紹介します。これから数回に渡って紹介する折り方の中では(多分)一番有名だと思います。まずは折り方から紹介します。正方形の折り紙でなくても大丈夫です。破線は谷折り、一点鎖線は山折り、実線は鉛筆で線を描く部分を表します。また、青い線はそれまでの工程で入れてある折り目を表します。① 4等分に折り目をつける。② 図のように同じ大きさ・形の平行四辺形が沢山できるように、鉛筆で線を描く。この作業は丁寧にやってください!③ ②で描いた線に沿って折り目をつける。④ これまでつけた折り目に沿って、図のように折っていく。(谷折りと山折りの場所を間違えないようにしてください。)⑤ うまくいけば図のようになるはずです。これにてミウラ折りの完成!これからの“ORIGAMI"シリーズ全てに言えることなのですが、折り目をしっかりと丁寧につけることが最大のポイントです!それではミウラ折りで遊んでみましょう。まずは折り紙を軽く開いて、対角線の位置(下の図の赤い印の位置)を軽く持ってください。そのまま軽く手を動かしてみると、折り紙が簡単に開いたり閉じたりするはずです。折り目が伸びてしまうとうまくいかなくなるので、開き過ぎないように気をつけてください。かなりラクに開閉ができたことと思います。ミウラ折りの良さは開閉のしやすさだけではありません。通常の折りたたみ方ではたたむ度に山折りと谷折りの場所が入れ替わったりするため折り目が傷みやすいのですが、ミウラ折りでは山折りと谷折りの位置が固定されるため折り目が傷みにくいのです。さらに、折りたたんだ時の厚みが通常よりも薄くなるというメリットもあります。ミウラ折りの応用例は以下の通りです。まず、人工衛星の太陽電池パネルがあります。人工衛星を打ち上げるには一旦ロケットに乗せなければならないのですが、その時に太陽電池パネルが開いたままだと邪魔ですよね。そこで、ロケットに乗せる時はミウラ折りを利用してパネルを折りたたんでおき、宇宙空間に出てからパネルを一気に広げる、という方法が考えられています。恐らく実際にミウラ折りを利用した人工衛星はまだないのですが、今後の実用化に期待です。私たちの身の回りでミウラ折り実用化されているものに、地図があります。広げやすい上、傷みにくいので、何度も開閉する地図にはとても良いですね。ミウラ折りには公式サイトもありますので、是非ご覧ください!ではでは!関連記事:あらゆる分野で大活躍!日本の“ORIGAMI"〜Part2:なまこ折りあらゆる分野で大活躍!日本の“ORIGAMI"〜Part3:ハニカム折り
96 Normal 0 10 pt 0 2 false false false EN-US JA X-NONE /* Style Definitions */table.MsoNormalTable {mso-style-name:標準の表; mso-tstyle-rowband-size:0; mso-tstyle-colband-size:0; mso-style-noshow:yes; mso-style-priority:99; mso-style-parent:""; mso-padding-alt:0mm 5.4pt 0mm 5.4pt; mso-para-margin:0mm; mso-para-margin-bottom:.0001pt; mso-pagination:widow-orphan; font-size:12.0pt; font-family:"Yu Mincho"; mso-ascii-font-family:"Yu Mincho"; mso-ascii-theme-font:minor-latin; mso-fareast-font-family:"Yu Mincho"; mso-fareast-theme-font:minor-fareast; mso-hansi-font-family:"Yu Mincho"; mso-hansi-theme-font:minor-latin; mso-font-kerning:1.0pt;}こんにちは。今回は先日見た映画『関ヶ原』について書きたいと思います。できるだけネタバレにはならないように書いているので、関ヶ原を見るか迷っている人も是非読んでみてください。この映画は司馬遼太郎さんの『関ヶ原』をもとにした映画で、タイトル通り関ヶ原の戦いを扱ったものです。関ヶ原の戦いは1600年に起こったのですが、この映画ではその10年以上前から、石田三成を中心に関ヶ原の戦いに至るまでの経緯を丁寧に書いています。2時間30分の比較的長い映画ですが、関ヶ原の戦い自体は最後の30分間くらいです。私がこの映画で良かったと思う点は次の通りです。まず、戦乱の様子がとてもよく分かる、ということです。戦では情報取集がとにかく大切になります。この映画では伊賀者(忍び)が沢山登場しますが、東西両軍の彼らを利用した諜報合戦の様子もなかなか見ものです。また、戦場の混乱っぷりも非常によく表現されていると思います。小早川秀秋が東西両軍につくべきか迷うシーンをはじめ、各武将の心情(思惑?)も分かりやすく描写されていると思います。キャッチコピーにあるほど「愛」は重要ではない気もしましたが。笑リアリティと迫力という面では素晴らしい作品だと思いました。逆にこの映画であれっ?と思った点は次の通りです。まずはとにかくセリフが早い!映画を見る前にwebで評判をチェックしていたのですが、沢山の人が「セリフが早い上に方言がキツくて聞き取れない」と書かれていました。…その通りでした。方言がキツい件に関しては様々な地方の大名が集まっているので仕方のないことだし(むしろリアルで良い)、重要な情報は意外と聞き取れるのですが、早口については少々しんどかったです。0.8倍速で再生したらちょうど良いかもしれません。そしてもう1つは某ヒロインの存在意義ですね…。ヒロインとして石田三成との愛を思いっきり描くか、或いは単なる1人の伊賀者としての登場にとどめるか、どちらかにした方が良かった気がします(原作を読んでいないのでなんとも言えませんが)。超分厚い原作をぎゅっと詰め込んだ感が否めなかったので、映画用にもう少し取捨選択をしても良かったのかな、と思いました。迫力満点の映像はとても見応えがあります!特に戦国時代が好きな人には一見の価値ありです。是非映画館で見てみてください!
みなさん(このブログ上では)お久しぶりです。いや、このブログ上では初めましての人がほとんどですね。ブログやってたんか〜い!ですよね。そうなんです、やっていたんです。なんとなく「自分が面白いと思ったことを発信できたらいいなぁ…」と軽い気持ちでブログを立ち上げ、軌道に乗ったらTwitterなどで宣伝しようと思っていたのですが、なんやかんや忙しくて全く続かず!でも、忙しいからって言って後回しにしていたらいつまで経ってもやりません。というわけで…やりたいと思ったことはマイペースでもいいからとにかくやる。続ける。自分の専門に関係あることないこと、真面目なこと下らないこと、とにかく面白いと思ったことをなんでも書いていこうと思います。頑張って時間作って更新していくので今後ともよろしくです (^-^)/
実験の思い出第2段です(第1弾はこちら)。今回は電気回路実験について書きます。この実験は前評判通り、実験の全5テーマの中では一番大変でした。他の実験は18時前に帰れることも多かったのに、この実験は7日間連続20時退社でした!研究が始まったらこんなでは済まなそうですが(苦笑)しかし、自分ではんだごてを持ち、いくつかの選択肢の中から好きな回路を選んで作り、好きなデータを測定することができるなど、自由度が高く、とても楽しかったです。7日間セットのうち1〜4日目は第1次フィルター回路と第2次フィルター回路の制作を行いました。ざっくりと言うと、入力信号のうち高周波成分をカットできる回路です(低周波成分を通す回路なのでローパスフィルター、或いはLPF回路と呼ばれています)。家庭の交流電源くらいの周波数(50-60Hz)の電流を入れると出力端子からはだいたい同じような電流が出てきますが、もっと高周波の波(100,000Hzとか)を入れると出力端子からはほとんど電流が出てこない、という回路です。少し組み替えれば低周波成分をカットする回路も作れます。5,6日目には上記のフィルター回路を組み込んだセンサー回路の作成を行いました。私は「フォトダイオード」という、光をあてると電気を流す素子を用いた光センサー回路を作成しました。フォトダイオードというとすごい素子に聞こえるかもしれませんが、実はLEDと大して変わりません。LEDも強い光をあてると少しだけ発電するんですよ!私は、自作した光センサー回路を用いて蛍光灯の光を測定してみました。蛍光灯に電気を流すと蛍光灯管内に満たされている水銀ガスに電子が大量に衝突し、水銀ガスが紫外線を発します。そして水銀が発した紫外線によって、管の内側に塗布されている蛍光塗料が発光します(蛍光ペンにブラックライトをあてると光るのと同じです)。これが蛍光灯の原理です。私はここから「蛍光灯の明かりは電源と同じ周波数で揺れているはずだ!」と予想して、明るさの測定を行いました。測定の結果、蛍光灯は“100Hz周期で” 点滅していることがわかりました。100Hz…電源の周波数の2倍ですね。どうしてでしょう。理由は次の通りです。まず、コンセントから得られる電流は高校の数学でやったY=sinXのグラフのように振動しています。電流値がプラスのときもあればマイナスのときもあるのです。一方で明るさにマイナスというものはなく、電流値がプラスのときもマイナスのときも同じように発光します。だから電流がY=sinXのように振動するなら蛍光灯の明るさはY=|sinX|のように振動することになるのです。以下のグラフのように、Y=|sinX|のグラフの周期はY=sinXのグラフの周期の半分になるので、周波数はその逆数の2倍になります。これが蛍光灯が100Hz周期で点滅している理由です。ここまで読んで、「蛍光灯が周波数100Hzで点滅していたら肉眼でもチラツキがわかるのではないか」と思った方もいらっしゃるかもしれません。人間の目で認知できる点滅周波数の限界(点滅限界といいます)は30Hz程度で、先ほど測定した蛍光灯の点滅(100Hz)はおそらく認知できないと思います。しかし、認知できなくても目にはあまり良くないらしく、近頃では「インバーター」というものを内蔵した蛍光灯もあります。インバーターとは、入力された電流に対して好きな周波数で電流を出力できる素子で、蛍光灯の場合はこのインバーターを用いて蛍光灯にかなり高い周波数の交流電流を流しているそうです。ではインバーター入りの蛍光灯の点滅の様子も調べてみよう、と思い先ほどの光センサー回路で測定してみました。色々条件を変えながらデータを何度もとって結果を比較しました…がどんなにデータたちとにらめっこしても「インバーター入りの蛍光灯も100Hzで点滅しているかもしれない」という結論しか出てきませんでした…。メーカーが嘘をついているとは思えないので、この結論は誤りだと思います。部屋の明かりなどが邪魔になってしまった可能性大…無念。授業でやる実験だと失敗した場合にやり直す時間がないのがつらいですね。。。
あけましておめでとうございます!ブログを始めて1ヶ月足らずですが早速ハマっています。自己満足的で大して面白くもないブログですが、いつもお読みいただきありがとうございます。今年は5月に行われる大学の学園祭に学科で出展をするので、まずはそれを無事成功させたいです。学科では太陽、小惑星、雲の形成、地震についての展示を行います。今もゆっくりと準備を進めていますが、このまま順調に事が進めば…と思っています。専門外の方々にもわかりやすい説明を心がけるのでぜひお越しください!そして、今年も旅行に行きたいです。どこに行くかは全く決めていませんが、景色の綺麗な場所や、城など歴史的に重要な場所に行ってみたいです。琵琶湖&国宝・彦根城とかいいですね。長野の上田城址もいいですが、真田丸放送直後で混みそうなので数年待ったほうがいいかもしれませんね (´・_・`)2017年が皆さんにとって素晴らしい1年になりますように。今年もどうぞよろしくお願いします!
2016年も今日でおしまいです。1年間、あっという間でしたね。2016年振り返りシリーズ第3段。今回は9月に行った兵庫県旅行について書きたいと思います。1日目は淡路島に渡り、一気に南下。渦潮クルーズに行ってきました。時期と時間帯が割と良かったらしく、非常に荒々しい渦潮を間近で見ることができました!2日目はまず慶野松原というところに行きました。海沿いにひたすら松が並んでいました!その中にいくつか特徴的な形の松があると聞き、探して回りました。確かにうさぎとイノシシの形ですね!他にもヘビ松やハート松と呼ばれる松も見つけました。続いて再び渦潮の方へ。大鳴門橋から渦潮を見下ろしたかったのですが、時間帯が悪くてそれらしきものは全く見られませんでした。残念。もし渦潮を見に行く方がいらっしゃいましたら、是非とも渦潮が発生しやすい時間帯を調べてから行ってください!淡路島を一気に北上し、今度は野島断層保存館へ。野島断層は1995年の兵庫県南部地震の際に出現した断層です。この保存館では全体的に「リアルさ」を大事にしている感があり、地震の凄まじさを体感・実感することができました。例えば左の写真はちょうど断層の真上にあった塀(実物)で、右の写真は地震直後のとある民家のリビングを再現したものです。これらの写真だけでも地震の恐ろしさを感じることができますね…。さらに北に行って夜は本州に戻ってきました。こちらはホテルのすぐ近くにある神戸ポートタワーです。鼓のような形をしていますが、この赤い柱は全て直線なんですよ!面白い発想ですよね。最終日は神戸から西に向かいました。まずは明石市立天文科学館へ。この科学館は日本標準時子午線(東経135°)の真上に建っている科学館で、日時計をはじめ、「時」に関わる展示が沢山ありました。左の写真は671年に初めて時報が行われた際に使われた「漏刻」を再現したものです。漏刻は工夫して水の落ちる速さが一定になるようにした装置で、落ちた水の量から時間を推定しています。右の写真は科学館14階の展望室から見た明石海峡大橋と日本標準時子午線のコラボです。余談ですが、私は1階から14階まで全て階段で移動しました。足はつらいですが、階段のステップや周りの壁にも展示があるので楽しいですよ。3日間の旅行もいよいよラスト。最後は姫路城に行きました!姫路城は白鷺城の異名を持つ真っ白なお城で、昨年大改修が終わったばかりの比較的新しい姿を見ることができました。左が姫路城を正面から撮影したものです。確かに真っ白ですね。私の前回の投稿「2016年の振り返り2 〜 サイエンスショー@松本 編」の松本城の写真と見比べてみてください。姫路城がいかに白いかわかると思います。そして右の画像がしゃちほこに対抗意識を燃やすパウワウくんです。奇跡の2ショットですね。淡路島、神戸、明石、姫路、と様々なところを巡ることができ、とても充実した3日間でした。来年もまた旅行へ行きたいです!それではみなさま、よいお年を!
2016年の振り返りシリーズ第2弾。今回は新宿からスーパーあずさに揺られること約2時間半、長野県松本市で7月に行ったサイエンスショーについて書きたいと思います。あずさは「振り子式」という構造を採用しており、よく揺れるので電車酔いをしてしまいました。。。振り子式について少し説明します。電車がカーブを走るときには外側に向かって遠心力がかかるので、大抵の路線では線路に「カント」と呼ばれる傾斜をつけて脱線を防いでいます。しかし、緊急停止などで電車がカーブの途中で停車してしまったときのことを考えると、つけられる傾斜にも限度があります。傾斜があまりつけられないとなるとスピードも出せなくなります。そこでカーブで車体を内側に傾ける振り子式が編み出されました。振り子式車両の場合、車内にいる人は遠心力を感じなくなるので乗り心地は良くなるはずなのですが…逆に酔ってしまう人が少なくないようですね。なんたる皮肉。さてさて、サイエンスショーでは空気をテーマに様々な実験を行いました。例えばブロワーと呼ばれる強烈な風を出す機械でボールや電球を浮かばせたり、さらにはペットボトルを浮かばせたり。ペットボトルも水を少しだけ入れて上下逆さにすればブロワーからの風で浮かばせることができるのですが、これが結構難しく、数回失敗してしまいました。でも逆にこれで難易度が伝わったのか、成功したときはとても大きな拍手をいただけました!サイエンスショーで大きな拍手をもらえたときほど嬉しいときはありません。本当に幸せでした。他にも板に強い風を吹き付けると板が飛んでいく…のではなく逆に吸い付いてくる実験や、2枚の紙を向かい合わせて置いてその間の隙間に息を吹きかけると2枚の紙が吸い付く実験など、予想外のことが起こるオドロキの実験を沢山行いました!特に後者の2枚の紙の実験はご家庭でも簡単に行うことができます。同じ大きさの紙を2枚用意してください。大きさは小さすぎなければだいたいできますが、一応B5の半分サイズ推奨です(手元のB5ルーズリーフ2枚でもできました)。用意した2枚の紙の両手に1枚ずつ持って、間を5cmほど開けて向かい合わせます。持ち方は紙の上の方をつまむ感じで。そして2枚の紙の間を息でフーッと吹きます。うまく行けば2枚の紙がすっと吸い寄せられるはずです。できましたか?結構簡単にできる実験なので是非お友達にも見せてあげてください。サイエンスショーが終わったあとは少しだけですが松本市の観光をしました。もちろん目的地は松本城!帰りの電車の時間が迫っているのでこの日は中に入ることができませんでしたが、なかなかの迫力でした!そして長野といえばお蕎麦。食べログで評価の高かった「みよ田」というお店に無事入ることができました。お蕎麦は意外とお高いお店が多いのですが、みよ田さんは値段もちょうどよく、お蕎麦もとても美味しかったです!次松本に行くときも帰りはここに寄りたい、と思ったほどでした!サイエンスショーに加えて松本市観光も行うことができ、楽しいひと時を過ごすことができました。今回はこの辺で(^o^)/