「癒しの五語展」 ~ とんだペペロンチーノ ~
「そういう気分やねんね」「うん、そういう気分やねん」どう思われようと譲れない気持ち* * *浜田食堂 水曜日のランチはペペロンチーノだ。「え、ペペロンチーノが癒し? オリーブオイルとニンニクと唐辛子が?」知らない人のために解説すると、ペペロンチーノというのは、パスタ料理の名前だ。イタリア語で「アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ」といって、それぞれの意味はアーリオ … にんにく オーリオ … オイル(特にオリーブオイル) ペペロンチーノ … 唐辛子正式には 一番最初に、パスタの種類を冠して、「○○○○・アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ」というふうに呼ぶのだそうだ。日本でいうと、「讃岐うどんのすうどん(トッピング七味唐辛子)」「稲庭うどんのすうどん」「もちもちうどんのすうどん」「細麺のすうどん」みたいな感じなのだろうか? でも、専門的なイタリア料理店をのぞいて、日本では「ペペロンチーノ」とだけ記され、パスタの種類は省略されている。直訳すると、ただの「唐辛子」だから、そんなものだけがお皿にのせられてきたら、びっくりするけれど、そういえば、日本のうどん屋さんでも、メニューの表示に「わかめ」「きつね」「てんぷら」など、トッピングしか書かれていないものもある。というわけで、「ペペロンチーノ」というのは、オリーブオイルとニンニクと鷹の爪だけの、シンプルなスパゲティだ。 「なぜ、ペペロンチーノが癒しアイテムなんだろう?」どのようにしてペペロンチーノが導きだされ、なぜペペロンチーノなのか? ぜひ、ボダイジュカフェで、味わってみてください。って、まだできてないのだった(汗)おいしく食べてもらうために、料理人にできることを、昨日のブログから引用する。月曜日の定食のメインに、「ぶたみそステーキ」と書いてあったら。どの産地のブタを使うのか。部位はどこなのか。どんなふうにカットするのか。味噌はどんなものなのか。焼き加減はどうするのか。どんな器に入れるのか。そういうことに、ひとつひとつこだわって、納得しながら仕上げていくのが、物語を創る過程だ。「納得したい」ので、まずは自分で作ってみようと思い、レシピを検索していった。なんという、こだわりの数々! 世の中にはパスタを好きな人がこんなにいるんだー とびっくりした。実は、わたしは、うどんの食べすぎで気持ちが悪くなった幼児体験から、麺類全般が得意ではない。自分から麺類オンリーの店に入ることはないし、作らないし、ほとんど食べない。だから、ウンチクも持っていないし、おいしい作り方なども知らない。想像だけで物語を書くことほど危険なものはないから、可能なものは、体験するし実地検証する。 書いたものに「嘘」が混じると、読み手の気持ちは、一瞬で離れてしまう。虚構の中の「リアル」が崩れてしまう。登場人物の気持ちだけは、想像するしかないので、その「リアル」を、「わたしの真実」として伝えるために、それ以外の部分に嘘はぜったいに混じってはいけない。という持論があるので、実行可能なことは何でもする。今は、インターネットで調理の映像も見ることができるから、本当に勉強になる。こんなことをやっているから時間がないんだ… と思いつつ、一行も書かずに、ネットサーフィンで終わる日々(苦笑)。参考になるものもあるし、素人の私が見ても「それ、マチガイだろー」と思うものもある。こんなにあふれる情報の中で、正しいもの、自分に必要なものを瞬時にかぎとる本能は、運だし、才能だし、死活問題だとさえ思う。どんどん話がそれるけれど、めっちゃ日本語のうまいイタリアンシェフが、女性アナウンサーと一緒にペペロンチーノを作っている動画があって、その会話がおもしろかった。ニンニクと鷹の爪の成分がオイルに充分にうつったところで、パスタのゆで汁を加えると、ペペロンチーノの「肝」であるオイルソースができる。そこに、ゆであがったパスタを投入して、まんべんなくからめる。このとき、フライパンの火はどうなっているか? 「麺を火にあてない」と、シェフはきっぱり言う。「ペペロンチーノというと、火をつけたまま、炒めようとする人がいっぱいいるけど、我々はチュウカやってるわけじゃなくて、イタリアン料理だから」と、ちょっとやんちゃ系のシェフが、ややクセのある日本語で力説するのが、すっごい可笑しかった。確かにチュウカは、ジャンジャン炒めている! なるほどなあと、得した気分で大満足。作り方がしっかり頭に入ったところで、やっぱり、職人ワザのペペロンチーノを食べておかないと。いざ、ペペロンチーノ!レシピに書いてあることや、調理理論から、導いたものが、本当なのかどうか、舌で確認する。五感で体感する。ペペロンチーノを食べると、本当に幸せな気持ちになるのか?どんなハーモニーが口のなかいっぱいに広がるのか?食べるシーンを挿入するかどうかはわからないけれど、書くのなら、こう書こうと考えながら、味わって食べた。見た目。香り。少し食べたらどうか。口いっぱいほおばったらどうか。使用するパスタの種類によっても、食感は変わるだろうから、別の店では、ちがう感じになるかもしれないけれど、選んだ店のパスタは、考えていた自分のイメージにジャストフィットしたので、わたしの書く「ペペロンチーノのリアル」が決まった。……のだけれど、(うぴー)パスタにからんでいたのは、スライスではなく、大量のみじん切りニンニク! どんなにおいしくても、職場のランチタイムには、タブーだろう。なのに、オーダーを訊かれて「ペペロンチーノ」と、きっぱり宣言したときの、ぎょっとしたようなKちゃんの視線! あちゃ。「…そういう気分やねんね」と、やさしく言われたので、「うん。そういう気分やねん」(そういう気分やねん。どうしても食べへんとあかんねん。もう時間がないねん。間に合わへんねん)どう思われようと譲れないのだという気持ちで食べた。食べたけれど(やっぱ、タブーやんな) がはー職場に戻り、二回ハミガキしても、まだ、口の中はニンニクだらけだったので、(フラボノ効果!!)を求めて、濃いめに出した緑茶を口の中に可能な限りとどめて、モゴモゴするのを繰りかえし、(お願い、誰もわたしに話しかけんといて)と思っているのに、こういうときに限って「窓口にお客さんですー」いつもは、バイトさんもいるし、担当の若い職員もいるのに、今日に限って、どうしていないの??(がーん)と思いながら、ニコニコ。なるべく会話しないように、手続きをすませ、ニッコリ笑ってお辞儀をして、顔をあげたら、(まだ、目の前に立っている!)「あのー」別の申請についての質問を、新たに受けてしまった。それも説明するのに時間のかかるやつ!!(おーまいがー)と思いながら、懇切丁寧にご説明申し上げました。ニンニクまみれで。どんな息、してますか?……しばらくガマンをしていたけれど、どう考えても臭いので、近くのコンビニにガムを買いに行った。フラボノガムみたいなものがあると思ったのに、久々に眺めるガムの棚は、見たことのないパッケージばかり。その中でも、ひときわ目を引いたのが「Fit’s LINK NO LIMIT MINT」「Fit’s LINK ORIGINAL MINT」ノーリミットミント と オリジナルミント どっちがすごいと思います?英語はぜんぜんわからない。(ノーリミットってなんだ?)なぜか、このとき、とっさに、「待ったなし」だと思ったのだ。ミントに「消臭」などという意味はないのに、ニンニクの匂いを消すことしか頭になかったので、「お口の匂いを改善」するものだと思いこんでしまった。勝手に、「臭い匂いを瞬時に改善」という超意訳のもと、「ノーリミットミント」を手に入れたのだった。席に戻って、よくよく考えてみれば、ただのミントガム。(がっくし)ただ、このガム、箱から引きだしたら、すでに包み紙が取り出しやすいように外されているという仕掛けがあったので、驚いた。最近の板ガムはこうなのか? 至れりつくせりー。紙くらい自分でむくぞと思ったけれど、出してそのまま口に入れられるスピーディさとスマートさは確かにすごい。フラボノ効果があったかどうかは別にして、一枚噛んだら、ニンニク臭さも落ちついた。(慣れただけか?)取材とはいえ、とんだペペロンチーノ(笑) 先週の金曜日(十月二十八日)のことだ。さあ、ノーリミットで爆走できるかー? あと一週間。浜田えみな ムリ……