ノルウェーの年金制度について
今日もご訪問ありがとうございます。今回は、ノルウェー在住者なら気になる年金について書きたいと思います。重要かな?と思われる部分は、マークを付けました。私の場合は、日本で働いた年数よりも、こちらで働いた年数の方が既に上回ってしまったため、正直、日本での年金は期待しておりません。又、日本では海外在住者であっても任意で年金を積み立てることが可能ですが、それも行っておりません。知り合いを見回すと、いつ母国に帰るかわからないということで、日本で年金を払い続けている人も多いですね。私の場合、こちらで働いている期間も短いため、大した金額はもらえないかもしれませんが、年金は気になるテーマなので、ちょっと勉強してみました。もし、他にも情報をお持ちの方がいれば是非、コメントをお願いします。他の北欧諸国も同じような制度なのかもしれませんので、情報交換ができればうれしいです。以下、ノルウェー語表記も含めてまとめてみました。←かなり長くなります公的年金を運用する基金 Pensjonfond①Statens pensjonsfond utlandと②Folketrygdfondetがあり、①はノルウェー中央銀行の傘下にあるノルウェー中央銀行投資管理部門(NBIM)が財務省の決定方針に従い運用を行っていて、超長期の視点で国外にのみ投資されます。②は、国民保険基金が運用を行っており、北欧諸国の企業のみ投資される形になっています。現在支払われている年金の余剰金の運用が主です。賦課方式Betale mens du jobbe あるいはPay as you go system現役世代の税金が財源となります。これは日本と同様ですね。年金受給資格 Hvem kan få alderspensjonノルウェーに住んでいる期間が社会保険制度加入期間となり16歳から66歳の間で3年以上ある人は、最低保障年金を受け取る権利を得ます。40年以上住んでいれば、満額をもらえますが、それよりも加入期間が短い場合は滞在年数の比例分となります。年金受給開始年齢Når kan du ta ut alderspensjon通常は67歳からですが、新しい制度により、62から75歳の間で選ぶことが可能となりました。仕事をしながら年金を受け取ることも可能です。年金の種類 老齢年金には①インカム年金と②最低保障年金があり、①は給与所得額に応じて積み立てられ、②は所得額に関係なくもらえる年金です。社会保険料Trygdeavgift就労者は、給与所得の約8%が社会保険料として差し引かれ、それが年金準備金になります。自営業者、事業者、年金受給者などに対しては違う保険料率が適用されます。遺族年金、障害者年金もあります。年間所得が54,650クローネ以下の場合は、支払いを免除されます。ノルウェー労働福祉局 NAV -Ny arbeids og velferdsforvaltning職業安定所、社会福祉、年金管理などノルウェーの社会福祉サービスを統括する行政機関であり、事業主および労働者向けにサービスを行っています。個人認証を行って、サイトにログインすれば、自分が今まで積み立てた年金準備額を見たり、年金額のシュミレーションをすることが可能です。失業した際の失業手当の給付や求職活動のアドバイスなども請け負っています。G(基礎額)について Grunnbeløpノルウェーの社会保険制度に使われる概念としてG(基礎額)があり、給与水準や年金額などを表す際に使われます。Gは、物価や賃金水準に応じて毎年調整され、NAVのウェブサイト上にも公表されています。老齢年金 Alderspensjon大きく分けて、①公的年金としてのインカム年金および最低保障年金、②AFPを含む企業年金、③個人年金(IPS)の3種類があります。①インカム年金Inntektspensjon給与所得はGという基礎額を元に評価されます。2018年における1Gは約98,000クローネ(約130万円)であり、7.1Gとなる約690,000クローネ(約980万円)までの所得に対して、年金準備金が累積されます。従って、上限が設定されています。目安として7.1Gは平均所得の120%。逆算すると、2018年度の平均所得は、約580,000クローネ(810万円)となります。え?そんなに高いのと驚きますが、これはあくまで税引前です。手取り額は、所得税、社会保険料が差し引かれるので、この6割ほどになるのではないでしょうか?所得の18.1%に、毎年の物価・賃金上昇率から0.75%差し引いた数値をかけあわせた数値が年金準備金として加算されていきます。「自分が積み立てた年金準備金」を「受給者の61歳時点における平均余命を用いた支払開始年齢の年金原価」で割り引くことで、「毎年の受給額」が計算されます。この辺の計算式は複雑ですが、個人が積み立てた年金準備金、物価上昇、平均余命、支払い開始年齢に応じて調整されるということですね。①最低保障年金Garantipensjon所得が低いあるいは、所得のない人が最低限の暮らしをできるように、最低保障年金があります。これもGをもとに計算され、個人の場合は2G、夫婦の場合は1.85Gの金額がもらえます。2018年であれば、196,000クローネ(約260万円)ですね。さて、最低保障年金はどういう形でインカム年金と組み合わせてもらえるかということですが、インカム年金の8割にあたる数値が、保障年金額よりも少ない場合、最低保障年金+インカム年金の2割の合計額が支払われます。最低保障年金は、平均所得の約33%です。これは、年金制度加入期間によって、金額が変わります。最低保障年金の125%以上のインカム年金がある人(すなわち、インカム年金の8割が最低保証金よりも多い人)は、最低保障年金がもらえませんが、インカム年金の100%がもらえます。ちょっとややこしいですね。②企業年金とAFPTjenestepensjon新制度により給与所得に対して2%を積み立てる事が事業主の義務となりました。同等の金額を雇用主が年金積立金として負担する必要があります。ちなみに、私の会社では、今年からこの企業年金は、確定給付制度から、確定拠出制度に変更となり、年金積立金はファンドの運用成績によって、受給額がかわることになりました。他にAFPという早期退職者向けの協約年金もありますが、これは制度変更により、67歳以上の上乗せ年金に再編されたそうです。④個人年金Individuell pensjonssparingIPSとも呼ばれます。2017年11月に個人年金の新たな制度としてスタートしました。←それまでも個人年金の商品はありました。これは、日本のIdecoに似た制度で、公的年金、企業年金以外に、積み立てる個人年金です。特徴としては、①積み立て額は課税所得から控除されます。②支払い開始は67歳以降であり、③期間は10年以上、80歳まで受給可能です。④年金受給時に課税され、⑤積立額も自分で選ぶことができます。⑥節税効果がある反面、受給開始までは自由に引き出せないなどのデメリットもあります。運用するファンドについては、手数料が安いものを選ぶということも重要ですね。富裕税を支払っている場合は、税制面での恩恵がありますが、住宅ローンなどの残債がある場合はまずローンを支払ってから購入した方が良さそうです。これについては、もっと勉強する必要ありです。所得がない場合疾病手当や失業手当を受給中、あるいは育児や介護で働けない場合も、国民保険加入期間として認められ、年金準備金への加算があります。私もノルウェーに来た当初はしばらく失業者でしたが、年金加算の通知をもらっていました。海外で年金を受け取る場合海外に在住する日本人にとっては、これが一番気がかりな点だと思います。EEAやEU域内の国など、在住する国によっては、ノルウェーと相互契約を締結している場合、その国の年金制度にスライドさせることが可能ですが、日本については、それがまだできません。←と思います。①1年のうち6ヶ月以上ノルウェーに住んでいれば、住民登録がどこであろうが、ノルウェーの国民社会保険制度に加入でき、年金も受給できます。②12ヶ月以上海外に住んでいる場合、あるいは、1年のうち6ヶ月以上海外に住み、それが2年以上続いた場合は、国民保険制度の規定により、保険への加入から外されますが、年金を受給することは可能となります。逆に、日本で積み立てた年金も申請すれば、日本国外に住んでいても申請すれば、受給が可能なようです。③国民社会保険制度への加入から外された場合でも、20年以上国民保険への加入期間があれば、インカム年金および最低保障年金を受け取ることが可能です。新制度への移行2009年に年金制度が改正され、2011年より施行、上記の条件は主に1963年以降に生まれた人に適用されますので、それ以前に生まれた方については、旧制度との組み合わせになることを明記したいと思います。まとめ ノルウェーで住民登録を3年以上しており、年金受給時もノルウェーに住んでいれば年金がもらえる。 20年以上保険制度に加入し続ければ、どこに住んでいても年金がもらえるが、海外に住んでいれば、社会保険は受けられない。 最低金額は平均所得の3割。 給与所得があれば、少なくとも公的年金と企業年金は自動的に天引きにより積み立てられる。 自営業の場合は、保険料率(税率)が高い上、企業年金がないので、私的年金にはいるなど自衛策を練る必要がある。 日本でも任意による年金加入は可能であるが、将来どこに住みたいかなどの計画も必要。 上記は、2018年時点の情報です!!「違うんじゃない?」「これはどうなってるの?」などご意見があればお待ちしております。過去記事ノルウェー生活を理解するために書いています。よろしかったらこちらもご覧ください。「将来を支える頼もしい味方」「ノルウェーの税金について」オリーブオイルと海塩味の新製品?帰宅途中に試供品を配ってました!