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北欧の本格的な夏休みは他の欧州諸国と比べても少し早く、7月に訪れる。

 

7月は通常、町やオフィスはがらーんとしており、8月になると、休暇から人々が戻ってくる。

 

私は6月に一足早く休暇をとったので、7月は、静かなオフィスで今年も働くことにした。

 

自転車通勤も、人がまばらなので気にならないし、オフィスにいても、商いも少なく、バカンス気分である。

 

こんなことを書いたら、会社に怒られるかも。

 

 

7月は、会社の食堂のシェフも2週間休暇をとるというので、代理のシェフがやってきた。

 

彼は、スリランカ人である。

 

夏の仕事はバイトのようなもので、本職は、オスロのとある老舗レストランでシェフをしているらしい。

 

外国人、しかもノルウェーに来た時期がほとんど同じということもあり、彼とはよく話すようになった。

 

こちらに来る前は、ドイツのレストランで働いていたそうだ。

 

その時に、インド人上司の奥さんが日本人でとても優しい人だったということで、同じ日本人の私に親近感を持ってくれたようだ。

 

私も、中東に住んでいた頃に出会ったスリランカ人労働者達がことごとく、真面目で勤勉だったため、スリランカ人に対してとてもいい印象を持っていた。

 

驚いたのが、正規で雇われているノルウェー人シェフと、料理の腕前が雲泥の差であることだ。

 

デコレーションも、料理の味も、作る料理の種類も。

 

同じお金を払うとすれば、きっとお客さんから苦情がくるだろうというレベルだ。

 

会社の他のスタッフ達も、このスリランカ人が作る料理に大満足の様子である。

 

「こんなに上手なら、自分でレストランを始めればいいのに。」と私が言うと、

 

「外国人は難しいよ。」ということ。

 

外国人として海外に住むということの難しさは、私も痛いほどよくわかる。

 

「ノルウェー人に料理を教え込もうとしても、彼らは興味を示さないし根気がない。」というようなニュアンスのことを言っていた。

 

概して、ノルウェーの食卓はシンプルだし、そのバラエティの少なさに、こちらに移住してきた当初は、かなりがっかりさせられたものだが、

 

長い間住んでいると、それも特に気にならなくなった。

 

高いお金を出せば、おしゃれで且つおいしい料理をだすレストランがいくつもできている。

 

味はともかく、おしゃれであれば、それなりに繁盛するというのが、ノルウェーのレストランの特徴だ。

 

でも、日本やアジアにあるような、安くておいしい費用対効果の高いレストランを見つけるのは至難の業である。

 

結局、私自身は、家庭料理に落ち着くという生活を長い間送ってきた。

 

さて、2週間たって、ノルウェー人シェフが戻ってきた。

 

以前はそれほど気にならなかったのだが、ここ数日、彼の味のセンスのなさにがっかりさせられている。

 

せっかく作ってもらって文句を言うのも、なんであるが、それが本音である。

 

「シェフとしての矜持はないのかい?」といいたくなるほど、味にうまみがない。

 

いちおう、昼食代として、額は多くはないが給与から差し引かれているので、どうせ同じお金を払うなら、おいしいものを食べたいという欲求が大きくなってきた。

 

二人の料理の腕の違いを、会社の他の同僚にも宣伝しつつ、このスリランカ人シェフが、わが社の食堂のシェフとして正規に雇われるの密かに願っている。

 

スリランカ人シェフにも、「みんながあなたの料理をほめているから、是非、また来てほしい。」と言っておいた。

 

彼も、まんざらでもなく、今の忙しいレストランで働くよりは、この小さな食堂で気楽に働きたいということだ。

 

ノルウェー人シェフには申し訳ないが、どうせなら美味しいものを食べたいと思うのは贅沢なのだろうか?

 

サービス業はスウェーデン人、建設業はポーランド人を初めとする東欧の人々が、職を凌駕しているのが現状だ。

 

雇用主や消費者はシビアである。