《前編》より
【4つの時間認識法】
「お金は5次元からの贈りもの」と題された第3章を読んでいると、「時間認識」と「お金(経済の変遷)」の関係は、不可分であることに気付く。
上に掲載した『4象限図』の説明
舩井 最初は狩猟的生活で質を求めた反復的な考え方(フェイズⅠ)から、農業的生活になって円環的な考え方になって量が求められていくようになった(フェイズⅡ)。そして、商業的な生活の中で、最初は終末論があって線分的な時間になって質的なものを考えていた(フェイズⅢ)のに、宗教を捨て去る、つまり倫理観を捨て去ることによって量を圧倒的にふやして(フェイズⅣ)、今、ここまで来て、きわまっているという感じですよね。
はせくら そんな感じですね。(p.176)
【マネーの進化の方向性】
舩井 ちょっと先走るけど、3次元で倫理観を捨て去って直線的な時間を極めた瞬間にある意味では、私たちは5次元に上昇したのです。5次元では今度は時間の流れが逆に、Ⅳ(直線的)⇒Ⅲ(線分的)⇒Ⅱ(円環的)⇒Ⅰ(反復的)という流れで進化していくイメージがあります。それがこれからのマネーの進化の方向性だと思います。(p.178)
この進化の方向性を読んで、「えぇ~、違うでしょう」と思ってしまった。
はせくらさんだって、「違う」と思っていたはず。だって、技術の進化に対応するには、人間が次元上昇するしかない、という認識は、船井さんと両者で共通していたのである。万象は、反復的ではなく、螺旋的に生成するものであり、次元上昇という進化もまた螺旋円環的に進むもの。
《参照》 『未来の見える階段』 田坂広志 (サンマーク出版)
【未来の見える階段】
《参照》 『22を超えてゆけ』 辻麻里子 (ナチュラルスピリット)
【宇宙の光】
であれば、1オクターブ上がった処から、Ⅰ⇒Ⅱ⇒Ⅲ⇒Ⅳ を繰り返すと考えるべき。
Ⅰ(反復的)を、Ⅰ(中今的)ないしⅠ(ゼロポイント的)というスピリチュアルな表現に変えて理解すれば、首肯しやすいだろう。
仮に、マネー進化の方向性が、舩井さんの記述通りならば、マックス・ウェーバーが再評価されることになるけれど、おそらくそうはならない。ベーシック・インカムが実施されれば、人間は消費する側で経済を回すことになり、生産は機械やロボットが行うので、宗教的倫理は、科学技術・量子コンピューター技術の中にすっぽり呑み込まれてしまうことになる。経済に関して宗教的倫理を強いて語る必要はなくなるだろう。
むしろ、ウェーバーの天敵ゾンバルトのほうが、正鵠の近傍を射ている。
【ゾンバルト】
【複式簿記という詐欺システム】
舩井 マネー論的に言うと、複式簿記が信用創造をごまかす詐欺のシステムの根本です。
はせくら 芸術の域まで達した詐欺ですね。
舩井 17世紀にメディチ家が発見したみたいですが、信用創造を幾らでもつじつまを合わせられる仕組みが複式簿記です。
周藤 信用創造で詐欺的にお金を作ったら、それを誰かに貸して「資産」にしてしまえばいいのですからね。
舩井 複式簿記というのはバランスシートが合えばいいので、貸し方と借り方の両方に載せたら、それでおしまいなんです。さっきの資産の相対は銀行からみると「負債」である「預金」で問題ありません。
周藤 貸し方と借り方をつくって載せてしまえば、それで終わり。
舩井 大福帳だとおかしくなるけれども、複式簿記にしたから、おかしくなくなってしまって、詐欺が詐欺でなくなってしまったのです。(p.181-182)
財政法の根幹法を破っても屁とも思わない「金融緩和というジャブジャブ供給」は、今や、ありふれたれた金融政策として、世界中でまかり通っているけれど、複式簿記上ではまったく問題ないから、リーマンショックのときも世界金融恐慌へと雪崩れ込まずに済んでいる。
《参照》 『欧米日やらせの景気回復』 副島隆彦 (徳間書店) 《前編》
【こんなものを「問題の解決」と言うのか】
無から信用創造された架空の富を、複式簿記マジックによって正統な富と見做し、定期的に恐慌を演出することで更なる巨利を得てきた国際金融支配者(DS)たちは、今や、敵対勢力たち(BRICs)にも同じ手口を使われ、世界金融恐慌を起こせなくなってしまった。
“欧米(DS)経済圏 vs BRICs経済圏” の決着は今後どうなるのだろう? 少なくとも、BRICs陣営は、金本位制を前提にゴールドを大幅に買い増している。欧米(DS)陣営には、確たる裏付けはない。
【奨学金と自己破産】
はせくら 奨学金という名のサラ金ビジネスみたいなもののためにマイナスからスタートしなくてはいけない若者たちがいるわけですね。新入社員のときに300万円とか借金があったら、会社をやめたくてもやめることができない。社畜という言葉が生まれているくらいですからね。
舩井 でも、現実をちゃんと直視できたら、「僕、借金は払いません」と言って自己破産してしまえばいいんですけどね。仕組みを知れば、手はいろいろあります。
はせくら でも、海外旅行できなくなってしまう。
舩井 そんなことないですよ。クレジットカードを使えないだけの話で、現金をもっていく分には何の問題もない。それも何年間かだけですから。(p.205-206)
世界中の諸国家は、ご随意に紙幣を印刷するだけで借金を帳消しにしているのに、末端の国民や苦学生に対しては「ちゃんと借金を払え」っ🐭(チュー)経済仕様であっても、それに従順であらねばならないと思うような人は、“いろいろある手” を調べようとはしないだろう。
【善意の展開方法】
周藤 1人が3人にいいことをすると何日で70億人全員が幸せになるかという話がありますね。単純に考えると、3の21乗で100億くらいになるので、20日ぐらいでみんなが幸せになるはずだけれども、実際にはそうならないのは、人々の集団というのは、クラスターというか、それぞれ孤立するグループになってしまっていて、なかなか幅広く伝わっていかないからなのです。(p.215-216)
『ペイ・フォワード』にチャチを入れているのではない。現実的なことを語っている。
《参照》 『ヒッチハイク女子 日本列島を行く!』池田知晶(徳間書店)《後編》
【ペイ・フォワード】
《参照》 『ゾーンに入る技術』 辻秀一 (フォレスト出版) 《後編》
【フォワードの法則】
現実の日常世界の中で自分に何かいいことをしてくれた人や応援したい人に渡すだけだったら、このようにどうしても幅広くは広がっていかないので、そこでもインターネットのような、全人類がつながっている環境が必要だと思います。(p.216)
今日では、インターネットを活用したクラウド・ファウンディングで、資金のない個人や組織が救済され発展してゆく事例が少なからずあるけれど、人々の善意を私利私欲のために活用した “日本赤十字社という裏のある組織” によるイケシャアシャアとした悪しき事例を知ってもいるから、クラウド・ファウンディングであっても、二の足を踏んでしまいがちな人々は決して少なくないだろう。
《参照》 『正義という名の洗脳』 苫米地英人 (大和書房) 《前編》
【日本赤十字社】
上記書き出しの例以外にも、「お金の使い方次第で良い社会を作ることができる」という具体例が、いくつも記述されているのだけれど、それらの全部を読んだからこそ、「それは、人類全体の意識が同じレベルで揃ってないと無理でしょう」とますます思ってしまった。
だからこそ、「貧すれば貪するだけのありふれた人々や、貧するがゆえに自殺を思い詰めてしまうような弱者を救済する仕組み ー ベーシック・インカム ー を制度化するのが、何を置いても先だろう」と思ったのが、本書を読んだ上での結論。
🐭ことで、この読書記録を終わってしまうと、著者さんたちの意匠は伝わらないので、もう一つ書き出してクロージングにします。
【今の意識の在り方が、未来を創ってゆく】
周藤 今は、物質的に喜ぶこと、肉体的に喜ぶことが愛というふうに捉えがちですけれども、もっと広い目で見れば、生きている中でいろんな体験をして、いろんなことを考える、そういうことができていること自体が、実は愛を受けているということなのだという認識に行き着くと思います。そういう意味での愛を体現するような仕組みをつくっていくことになるのでしょうね。より高次元から降ろしてくるというのも、たぶんそういう意味だと思う。
・・・(中略)・・・
はせくら お金が循環するというのは、裏の意味があって、愛が循環すること。おカネが循環する社会というのは、イコール、愛が循環する社会なんだという認識に変化していく。まさにその変化そのものの中に、今、私たちはいると認識しています。
周藤 実際にそれを実現することが求められている時代に、私たちは生きているわけですね。
はせくら お題目ではなくて、じゃあ具体的にどうするのかというときに、今まで話してきた1つ1つの取り組み、ビットコインだったり、ベーシックインカムだったり、CRS(企業の社会的責任)だったり、さまざまなことに対して、私たちの認識が変わっていく、パラダイムシフトしていく。その尊いプロセスを歩んでいるのだというふうになったときに、決して未来を悲観したり不安になるのではなくて、今この瞬間の選択行動、意識のあり方が、未来と呼ばれている時空を創っているのだと思います。(p.233-235)
最後に、はせくらさんが言っているのは、“「今」の中に「未来」は織り込まれている” という「スピリチュアル=量子力学」の基本認識を踏まえた内容。
<了>
はせくらみゆき著の読書記録
『数霊に秘められた宇宙の叡智』 ☆☆☆
舩井勝仁著の読書記録
ー 了 ー