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 プロフィールには、「2008年、競争や策略のない時代をつくるという父・船井幸雄の考えに共鳴し船井本社の社長に就任した」と書かれている。父・船井幸雄さんが「地の理⇒天の理」と言っているところを、著者は、「他律⇒自律⇒天律」という御自身の言葉に置き換えて表現している。ビジネスの現場で生きている人々にとっては、かえって分かりやすいだろう。また、時代の変遷過程が分かりやすく記述されているし、新しい時代の生き方を先取りして成功している人々の具体例が、いくつも書かれている。2010年9月初版。

 

 

【経済成長が必要となるカラクリ】
 融資を受けている人は、利子分のお金を誰かから奪わなければなりません。この利子分は実物経済から搾取されるので、利子と言うものがある限り、このお金の回路は、回せば回すほど椅子の数が減っていく椅子取りゲームになっています。そして、利子率が高くなるほど、あるいは発行額が多くなればなるほど椅子に座れない人は多くなります。(p.68)
 利子が存在することの必然として、椅子の数の減少という事態が生ずる。故に破産する者が必ず出てしまう。破産者を出さないためには椅子の数を減らさないことが必要になる。そのためには、市場の拡大が必要。つまり経済成長が必須ということになる。
 利子はバーチャルな数字であって、実体のないお金ですが、この利子を返済しなければならないがために、経済は成長しなければならなくなるのです。「経済成長が強制される」ということです。(p.69)
 近年の日本経済は、殆どゼロ成長のような状況なのだけれど、経済成長率が利子率を下回っているということは、椅子に座れなかった破産者が多数出ていることを意味している。
 ゼロ成長でも破産者を出さない経済システムをつくろうとするなら、利子なき世界を作るしかない。だから、利子のない地域通貨が世界の何箇所かで実用化されているのだけれど、「もっと、もっと」という欲望の火を絶やすことのできない人々にとって、地域通貨というシステムは全然魅力的には映らないらしい。
 欧米型資本主義の根本的な教義(略奪と弱肉強食と欲望の肯定)に対して疑問を抱けない人々なら、当然、社会全体を良くしようとするアイデアは出てこない。それでもって、その先が行き詰まりであることを予感していても、手を拱いたまま、「後は野となれ山となれ」とばかりに時代の流れに身を任せているだけなのである。
 

 

【時代の空気を捉えているからこそ草食系】
 アメリカ人は借金をしてまで消費することのおかしさに気がつき、貯蓄をするようになってきたと言います。デフレ経済が10年以上続いている日本人は、若者達が車を買わず、お酒を飲まなくなり、シェアハウスに住んで、お金を使わなくても楽しく生きていける道を探り始めています。彼らにとって「お金によって多くのものを所有すること」よりも「あえて所有しないシンプルな生活」のほうがおしゃれなライフスタイルなのです。
 昨年は「草食男子」という言葉が流行しましたが、それだけ時代の空気を敏感に捉える若者が多くなってきたということではないでしょうか。(p.82-83)
 近年の若者達は、かつての高度成長期に群れをなして買春ツアーに行っていた脂ぎったオヤジどもとは、発想自体がまったく異なっている。時代は不埒な肉食系から、清らかな草食系へとシフトしつつあるのである。
 しかし、行政にかかわる旧タイプの肉食系オヤジどもの頭領である市長自らは、運転手つきの高級車を当然のように使用し、未だに箱モノ建設や土木工事に貴重な財源を使い続けるというアホ臭いことをやり続けている。
 時代が変わっていることにすら気付けていないから、若者達を招いて行政施策の根本的な方向を変えるというアイデア自体が全くないらしい。というより、自分の利権を崩したくないだろうから旧態依然路線を走らせるだけだろう。単なる老害である。

 

 

【時代の空気を捉えているからこそ自給自足】
 「木の花ファミリー」は1994年にその前身「木の花農園」を20人でスタートさせ、現在は70人弱の人たちが、ほぼ完全な自給自足体制を確立しています。 ・・・(中略)・・・ その自給率は800%(昨年の推定)。耕作面積は16ヘクタール(野菜や穀類などの畑作と稲作がほぼ半々)。農地はほとんどが遊休農地を借り入れたもので、地代はたいてい無料です。こうした地域の遊休農地は増える一方で、今後も耕作面積は自然に増えていくとみられています。(p.83-84)
 遊休農地だけでなく、遊休農機具も格安で手に入るはずである。
 木の花ファミリーのホームページ を見てみれば、孤立生活を送っている今どきの若者たちの多くは、こんな人生に憧れるんじゃないだろうか。
 小規模な農地をもつ人々も、「農家なんて、農協に搾取されるために耕作しているようなものだ」という事実に辟易しているはずだから、そんな農家のおじさんたちこそ、木の花ファミリーのような集団を地元に創設し、自らもそのメンバーになるつもりで組織化すればいいだろうに、と思ってしまう。
 「利子というシステムをもつ経済」と「農協」という搾取構造の外に出てしまえば、自給自足は充分可能である。遠からず、世界の経済構造は大きく変わってゆくのだから、自給自足生活をしている人々は、未来を疑似的に先取りしている人々といえるだろう。
 過去の読書記録の中にも自給自足している「キリパ村」の書き出しがあった。
  《参照》   『フォトン・ベルトの謎』 渡邊延朗 (三五館)
             【キリパ村】

 「キリパ村 – CARRIE 」 というサイトもどうぞ。

 

 

【女性(感性)の時代】
 これからの時代は感性が大事になる「女性の時代」だと言われています。男はつい理屈でものごとを考えてしまいますが、女性は感性で生きることができるようです。ある行動や考えなどが、ある一定数を超えると、接触のない同類の仲間にも伝播するという「百匹目の猿現象」で、最後まで変われないのが年配の男性だという話がありますが、これからは男も感性や直感に従って素直に生きている女性や若者から積極的に学ぶ姿勢が大事になってきます。(p.117-118)
 21世紀の「女性の時代」とは、「感性の時代」のことであって、「女性が男性と競ったり、異性としての権利を主張して社会進出する」ということではない。競ったり主張をぶつけ合うというのなら20世紀と同じことであるから全くの無意味である。男にないものを輝かせるからこそ、女性が時代の主導権を握れるのである。
 女性は、「感性」に秀で、「和力」に秀でているからこそ神に近いのである。
   《参照》   『女神と鳳凰にまもられて』 暁玲華 (アメーバ・ブックス) 《前編》
             【女性の生き方】
             【日本の力 “和” 】

 

 

【「祈りの心」を大事にする】
 シーボンスタッフは毎朝朝礼で、仕事・お客様・会社それぞれに対する感謝の心を確認し、他者のために祈っています。

 私たちは元気に仕事ができることに感謝します
 スタッフ全員が健康で幸せな人生を送れるように祈ります

 私たちはお客様に感謝します
 そしてお客様が美しく輝いていくように祈ります

 私たちは会社に感謝します
 そしてシーボンがお客様に喜ばれる会社として発展していくように祈ります

 この3つの言葉を、最初は声にして唱え、次に心の中で唱えて染み込ませていくのです。そして、これらの言葉が掲げられたボックスの中には、お客様とスタッフの名簿が入れられています。こうした「祈りの心」を大事にするのも、天律経営のカギではないかと思います。(p.175-176)
 まともな宗教団体とまともな経営者は、「祈りの力」を正しく活用している。
 おかしな宗教団体とおかしな経営者は、「政治力」を活用しようとする。
 宇宙の波動が高まっている今日、他者の幸せを祈ることなき後者のやり方は、衰退の一途である。
   《参照》   『人間に強い人が成功する』 中谷彰宏 PHP
             【 “流行る” と “流行らない” 】
             【ビジネスの研究は、結局、人間の研究だ。】

 

 

【父と子】
 「聖書の暗号」のイオン・アルゲインさんから「勝仁さんは前世でも船井先生の息子として生まれています」と言って頂いたことがあります。また、超能力者の方からも「君はお父さんの息子として生まれてくるのが使命だね」と言われたことがあります。
 ・・・(中略)・・・。昨今は、父の思想を基に、新しい社会を作っていくことが自分の使命であるということに気づいてきました。(p.158)
 時空に跨る自分の使命が分かっていて、フォーカスすべき点が明確な人って羨ましい限りである。
 まあ、それが分からない我々でも、時代が進んで行く方向はハッキリしているのだから、せめてその方向に自分の生き方のベクトルを合わせて行けば、大きくズレルことはないはずである。
 アセンションと言われる地球のシフトは明らかに進行しているけれど、高次元の繊細な波動が物質次元の地球上に現れるまでには数年と言う期間が必要である。すでにいろんな分野で、新しい時代を志向する人々が現われていて、そんな彼ら(有意な人々)が先頭になって日本と世界を牽引し変革してゆくことだろう。
 船井総研の二代目社長である小山さんも、ビジネスにおいて世界を救う「共生の志」を下記リンク書籍の中に書いている。
  《参照》  『勉強について、私たちの考え方と方法』 小山政彦・羽生善治 (PHP研究所)
           【共生のマーケティング】

 

 

<了>