《前編》 より

 

【おかいさん】
 和歌山県の人は茶がゆとは呼ばずに「おかいさん」という愛称で茶がゆを呼んでいた。「和歌山県の人は、おかいさん好きですね!!」と私が言うと「私は3食おかいさん食べてるわよ」と茶がゆ大好きのお母さん驚いた。白米よりも茶がゆのほうが体にもよく、梅干しにも合うそうだ。(p.175)
 奈良県も中部・南部は和歌山のような森林地帯で林業が盛んだったのだろう。梅もいっぱい採れる。梅茶漬けは確かにおいしい。でも3食は・・・。茶がゆで思い出したのが下記のリンク。
     《参照》   『すきっ腹ウォーキング』 片岡幸雄 (ベースボール・マガジン社)
              【胃ガン】

 

【置けないおちょこで飲む高知県】
 それにしても高知県の人たちの飲みっぷりはもう、尋常じゃなかった。
 酒飲みの多い地域にふさわしく(?)、高知県では底が三角になっていておくことのできないおちょこや、穴が開いていて手を離すと漏れてしまう奇妙なおちょこなど、不思議な酒器が作られているらしい。(p.196)
 こんな話は初めて聞いた。理科の実験で使うビーカーとラッパの組み合わせみたいなビールクラスの写真も掲載されている。
 この話を読んで、西原さん出身地(高知県)に関する破天荒な男たちの有様の根源が分かったような気がする。
     《参照》   『この世でいちばん大事な「カネ」の話』 西原理恵子 (理論社)

 

【徳島県の善根宿】
 無料で泊めてくれる宿があるのですか?・・・中略・・・。四方八方にお遍路さんのお札が貼られている壁。・・・中略・・・。部屋全体をお札で埋め尽くされた空間に突如現れるエロ写真 (p.198-200)
 この無料宿を主催しているのは、地方の名士である変態キャラの社長さんなのだという。
 I 社長のトークはまじめ3:下ネタ7くらいの割合で構成されていた。
 隣にいる奥さんがもうそんなのには慣れっこといった感じで、適当に流して黙々とご飯を食べているのにも感心した。(p.201)
 このI 社長の話は6頁にわたって書かれているけれど、ウルトラとてもインパクトあります。

 

【桃太郎伝説】
 桃太郎伝説とは、要は「海賊退治」の話だそうだ。犬島、猿王、雉ヶ谷という、それぞれ犬・猿・雉という動物の地名を持つところから集まった有志が、ここら辺で問題を起こしていた海賊のアジトを退治しに挑んだそうだ。
 そのアジトというのがこの鬼ヶ島らしい。(p.205-205)
 この鬼ヶ島は地図では女木島となっている。四国香川県の高松市に近い。
 犬島は豊島を挟んで鬼ヶ島の反対側。岡山県に近い。

 

【人工授精という暴力】
 無理やり受精させるのだから、牛のほうも驚き、ものすごく抵抗するため、ベテランでも蹴られて骨折するらしい。牛も家族の人も糞まみれになって、必死に牛の体内に手を入れて人工授精させる現場は、壮絶で声も出なかった。牝牛は妊娠をするとたくさんミルクが出るから、年間何回も人工的に妊娠をさせられ、無理に乳の出る状態にされ、使えなくなったら食肉として売られていく。交尾という快感も知らずに、一生を家畜として終える牛たちのことを思うと、物凄く切ない気持になった。(p.217)
 人間の都合のため、お金のために、このようなことをされている乳牛さんたち。
 天才!志村どうぶつ園 「牛乳は飲んではいけない」 という動画もショッキングです。

 

【九州】
 ふと「九州は情に厚い」という噂を思い出した。・・・中略・・・。
 この後、何度も九州の人とふれあって、九州の情の厚さが本物だということを身をもって知ることになった。(p.244)

 九州に来てから出会う人、すべていい人しかいなくて、今までの旅の常識が壊されてしまうほどだった。見返りを求めずに、これだけ優しさをぶつけてきてくれる人たちがいるなんて、旅に出る前は信じられなかった。(p.259)
 暖かい熱帯から亜熱帯地域は、食に困るという経験がそれほどないから親切な人が多いのは一般論として言える。逆に寒すぎて食が欠乏すれば、奪い合いが生ずるか共存のための互助が生ずる。それに比べて中途半端な温帯地域は、自立ということを言いやすい。世界中で貨幣経済が発達して世界経済をけん引してきたのはこの地域である。
 寒暖に関係なく、世界中の人々が食に困窮することがなければ、貨幣経済など要らない。
 貨幣経済が無くなれば、世界中の人々は、もっと優しくなれるだろう。

 

【手作りのおにぎり】
 手作りのおにぎりが死ぬほど好きになった。これほど人の思いが伝わる食べ物はないと思った。家庭によって塩加減がまったく違い、それぞれの作った人の癖が出るおにぎりは、食べるたびに毎日その人のことを思い出す食べ物だった。(p.265)
 おにぎは、日本食の原点。作り手の想いがこもる以上の効果がある。
   《参照》  『福禄寿 幸せの暗号(言霊・音霊・色霊・数霊)』 白峰 (明窓出版)
           【お母さんは、子どもにおにぎりをにぎって食べさせよ~~~~】

 

【沖縄人の「飲む」】
 沖縄の人が「飲む」ということは「朝まで飲む」と同じ意味だということを知った。翌朝仕事があろうが、何があろうが気にせず朝まで飲んでしまう、沖縄県の人たちのバイタリティはいったいどこから湧き出ているのだろうか。(p.281)
 日本来ていた台湾人留学生達が、朝まで全くパワーが落ちることなく喋り続けているのを目撃して、呆れたことがある。沖縄~台湾といった海域には、超古代のパワースポットである祭祀宮殿が沈んでいるくらいだから、特殊なエネルギーが流れているんだろう。

 

【頑固者の校長】
 泊めてもらえる場所を探している時のこと。
 そこへ校長と呼ばれているおじさんが現れた。旅の話や、事情を伝えると「人の好意に甘えて旅をするなんて話にならないね。最近の若い人はどうかしているよ。君みたいのなのがいるから、世の中おかしくなってるんだ」
 出会ったばかりの校長に、そこまで言われるとは思っていなかったので「世の中おかしくなるとは、ちょっと言い過ぎではないでしょうか?」と言葉を返すと「いやいや話にならん」としか校長は返してくれなかった。見るからに、頑固そうな60代後半の白髪の校長は、毅然と私の前に立ち尽くしていた。(p.233)
 こんなことを言う校長のような連中が増えてきたから、世の中がおかしくなってるのである。
 人の好意を期待しない自立した人間が構成する社会より、人の好意に甘えて(迷惑をかけて)感謝して生きる人間が構成する社会の方が、より心地よい社会になるはずである。
    《参照》   『悟りは3秒あればいい』 小林正観 大和書房
               【迷惑をかけて感謝して生きる】

 著者は、そのことを以下の記述に込めている。

 

【ペイ・フォワード】
 この旅の最も深い課題は「恩返し」となりました。(p.292)
 映画「ペイ・フォワード」では、厚意を受けた人が、別の新たな3人にその厚意を渡していく。そうすれば無限連鎖して厚意が渡っていくというストーリーでした。その発想をいただき、直接お世話になった人には十分な恩返しが叶わなかったので、今できる範囲で厚意を別な新たな人に返すように努めています。(p.293)
 世界を善化させるために日常生活者としてできる最善は、このペイ・フォワードである。
 ビジネスにおいても本質は全く同様である。
     《参照》   『あなたはクセで生きている』 軽部拓 (文芸社)
               【ビジネスの本質】

 全員がペイ・フォワードを実践するようになれば、いずれ貨幣経済を終わりにすることが出来るだろう。

 

<了>