ベーシストとエフェクター -6ページ目

■Fender '76 JAZZ BASS プチmodify構想


FENDER_JB_TCT_mod

現在、フレッテッドのメイン機、STATUS GRAPHITE STEALTH-2 6st HEADLESSがリペア中(実は回路解析の結果、プリ交換にあたっての問題が発覚し、対策検討中)で、まだ手元にありませんので、最近はもっぱらStingRayJBを弾く機会が多くなっています。中でも、先日Villex PUを載せたばかりのJBは、良く弾いてます。


Villexを搭載したことによって、以前と比べてパッシブサウンドが格段に良くなったことは以前にもお伝えした通りです。Villex搭載前(普及型 Duncan PU)の場合は、演奏しながらパッシブ/アクティブ(TCT on)の切替をすると、パッシブにした瞬間にちょっとガッカリ(汗)するような印象があり、結果的に常時TCTをonした状態でしか使えなかったのが実情。一方、アンプにつながない状態の生鳴りサウンドは、76年モノらしく、30年に及ぶ生活環境下でのシーズニングを経た、貫禄の枯れ感と芯のあるサウンドであるため、パッシブサウンドが悪いはずもなく(実際に購入の決め手となったのは、プレイアビリティとTCTサウンド、そしてこの生音だった)、これを1つの契機としてPU換装に踏み切った訳です。


ところがPUを換装した後は、弾き込めば弾き込むほど、パッシブサウンドの方が心地よくなり、これをもっと良くするような手立てはないものか、と考え始めています。(アンプ直でTCTをonにすると、逆に今では低域がブーミーな印象になってしまうものの、dbxコンプを間に入れた場合は、TCTのローを上げてあげるとめちゃめちゃ気持ちの良い"例のあのサウンド"になるので、TCTはTCTで捨てがたい。)ベースとなっているFender '76 JBが元々完全なオリジナルではなくTCT modだったこともあり、木部加工は別として、部品交換を中心としたモディファイに対する心理的障壁がとても低くなっている次第です。 とりあえず、オリジナルではない部分、そして、手を入れることによってもっと良くなりそうと思いを馳せている部分を整理すると、こんな感じです。


<ノンオリジナル部分>


・PU(Villex換装)
・プリ(TCT搭載)
・Toneポット&プリ配線(TCT搭載のため)
・ジャック(TCT搭載のためswitchcraftステレオ化)
・サイドジャック化
・ノブ(alco換装)
・ブリッジ(BADDASⅡ換装)


<改善余地のありそうな部分>


・配線
(例えば、手持ちのmid '40s GAVITT単線&撚線やBELDEN #8503を使って、ポット間~ジャックまでを全て再結線。)
・Volポット
(TCTのベースポットのプルスイッチでプリをトゥルーバイパスできるだけではもったいないので、Volポッドもフルテン時にトゥルーバイパスになるタイプのものに換装。)


夢は膨らむばかりです。困ったものです(汗)

■Fender JBにVillexピックアップを載せました

Fender_JB_villex_2


先般手に入れた念願の'76 Fender JB+TCTに、入手当初からの懸案となっていた「パッシブサウンドのショボさ対策」を実施しました。以前はDUNCAN、あるいはxoticなんかも良いかなとは思っていたのですが、楽器店と相談の上、自分の求めるイメージにもっとも近そうだと思って、今回はVillexのPUをチョイスしました。


結論から言うと、Villex、正解も正解、大正解でした! 今回選択したのは Villex JJ4 noiseless。取り付け前に持っていた対策を講じたい問題点は、以下の通りです。


・既設のSJB-1だと、TCT onでもoffでも、ハイがキンキンし過ぎて、耳に痛い。
・ミッド成分が足りず、重みとコシに欠ける。
・TCT offのパッシブ状態だと、ローがショボすぎる。


もちろんSJB-1+TCTでも、十分に及第点に達していたのですが、TCT onでももっと音は良くなるはずだ、という思いと、TCT offした瞬間にガッカリするようなパッシブではないはず、との思いがあり、PU交換を検討していた訳です。


もともとVillexの特徴の1つは、パッシブPUにもかかわらずミッドカットができるという点なのですが、自分はミッドをカットすることはまずないし、そういうドンシャリが欲しければTCT onにすれば良いので、あえてワイアリングがシンプルなミッドカット機能をomitしたモデルにしました。


交換は極めて簡単。TCTの組み込みはいかにもプロの仕事らしい機能美を感じる美しい配線取りまわしですが、PUはそれぞれのボリュームポットにホットとアースがつなげられているだけなので、都合4ヶ所の配線を取り外して、新しいのをハンダ付けするのみです。ハンダは手持ちのヴィンテージKESTERを使いました。仕上がりは、もともとJB互換PUなので、収まり具合も全く問題ありません。



Fender_JB_villex_1


ものの10分程度で交換を済ませ、早速、TCT offのパッシブ状態で音だし。比較をしやいようにと思い、交換前にあえてSJB-1のパッシブの音を耳に覚えさせておきました。いやー、Villexにしたら、まるで別のベース(笑)まさにコレが自分の求めていたパッシブサウンドだと思えるくらい、今まで抱えていた課題が一気に解決されました。


全てパッシブでの評価ですが、まずはハイ。以前は耳にキンキンしていてTCTをonにして若干それが和らぐくらいだったのですが、トゲトゲしさがきれいに取れて、かといって丸くなってダルな感じになることもなく、素直に、ストレートに、このJBのアッシュボディとメイプルネックが持っている特性をナチュラルに引き出してくれます。そして要のミッド。ジャズベ弾きならお分かり頂けるかと思うのですが、特にスラップのサムダウンや強めの指弾きをしてbuzzが出たときなどに感じるgrowl。これがバッチリ素のまま再現されていて、とにかくパッシブ状態で格段に音にコシと張りが出ました。ローは少なすぎず、かつ出すぎず、ブーミー感はまったくない、収まりの良いサウンドになりました。今まで、自分のイメージしていた「最高のパッシブJBサウンド」の更に1つ上を行くもので、コレがこのベースの本当の音なのかと、大げさに言うと感動すら覚えました。


面白いのが、トーンコントロールを完全に絞った状態でTCTをonにした音とパッシブの音が聴感上「同じ」である点。TCTのon/offの音量バランスを揃えるために、もともとゲイン調整ができるようになっているので、音量差ではないんですね。回路も電池を抜いてもTCT off状態なら音が出るトゥルーバイパス構造。以前は、TCT onとパッシブの音は明らかに違うものだったので・・・  相性の問題もあるのでしょうか、この辺も扱いやすさupに一役買ってます。


そんなこんなで、もはやTCTは不要なんじゃないかと思うくらいお気に入りのパッシブサウンドですが、TCT onにしてハイは絞ったままローを僅かに気持ち足してあげると、なんとも言えないファットな音になります。難点を挙げるとすれば、見かけでしょうか。ビジュアル的には、ポールピースが露出している方が無骨な印象があって好きなのですが、ここはサウンド優先、しょうがありません。Villex、大当たりでした。

■ALTER EGO Baby Ego Ballade

baby_ego


さて、一時期はだいぶ落ち着きを見せていた楽器ラインアップですが、何がキッカケという訳でもないのですが、一部で大きな入れ替えをしました。現在はこんな感じになっています。


6st fretted : STATUS STEALTH-2 headless w/Roland GK-3B
6st fretless : WARWICK THUMB BASS FL w/Roland GK-3B
4st : Fender JAZZ BASS '76、Musicman StingRay '79
upright   : ALTER EGO Baby Ego


まだご紹介していないのは ALTER EGO Baby Ego Ballade。Baby Egoの前に自分が使っていたものは、ざっとあげると、Stud-B → CHAKI SB-1+Schertler → NS CR4 → YAMAHA SLB200、そして、このBaby Egoに至ります。


それぞれに個性のある楽器で、SLB200は以前にもご紹介した通り、サウンド・演奏性・価格等、様々な要素をとても高いレベルで満足させる、さすがYAMAHAという感じです。以前の自分のコメントを引用すると ・・・サウンドはスゴくいい、というほどではないとは思いますが、評判通り、なかなかのもので、充分満足できるものです。とても素直な出音で、特徴がないといえば悪く聞こえますが、妙なクセがなく、逆にどんなジャンルでも使いやすい・・・ と書いています。このインプレからも分かりますが、ヘンなクセがない反面、個性と艶に若干欠けるというのも事実。具体的に言うと、ある意味ウッドの一番美味しい部分、高音弦・ハイポジションの出音に若干硬さがあり、良くいうととても洗練された音ですが、ウッド特有の柔らかさ、艶やかさが若干足りない、ということになります。これはこれで、アンサンブルに入ると、類稀なマッチングを見せるので必ずしもウィークポイントとは言えませんが、やはり、この音域を使ってソロをとったり、ちょっとしたオブリガードを入れようとしたときのインパクトや美しさに欠ける印象は否めません。


そこで、このBaby Egoです。大げさに言えば、目を閉じて弾くと、本当のマイク付きのウッドベースを弾いているような感覚に陥ります。弦(多分、スピロコア・ミッテル)のせいか若干エアー感が足りない気もしますが、音の質感はまんまウッドです。メイプルのソリッドボディに、独自の合成素材の指板0(これが結構良い)から、良くこういう音を出すなと思います。弦高調整も、駒の高さを変えるのではなく、六角レンチ1本で、ネックの仕込み角度を変えることによって調整をする仕組みで、とても楽にセッティングを出すことができます。弓と指の演奏スタイルに応じて弦高を本番中に変えたい、なんて芸当も、この機構ならできます。ピックアップはピエゾを2機搭載していて、弓と指のいずれもバランスよく出力できるようになっています。NSアップライトのPolar PUと考え方は同じだと思います。音は、完全にウッド指向で、エレアプに良くあるフレットレスエレキに通ずるような質感は皆無です。逆に言うと、その部分で好みが別れるかも知れませんね。フレットレスエレキはフレットレスエレキ、エレアプはエレアプと使い分けるのであれば、このBaby Egoはかなりコストパフォーマンスが高いアップライトだと思います。


ただ、欠点(というか、これも個性?)もいくつか。ITALYらしいと言えばそれまでですが、まずは仕上げの悪さ。総論で言えばデザインもキレイにまとまってるし、ボディの精度も高いのですが、多少のエクボやスレなんかは気にせずに、そのまま上から塗装をしています。また、塗装ムラや、ご丁寧にハケの抜け毛まで入ってたりして、いかにも手作りという雰囲気が漂ってます。


次に、扱いを誤ると構造的に傷がついてしまう点。2つあるのですが、1つはサポートフレーム。フレームをボディに取り付けた際に、フレームが動かないようにするために、ボディ側にサンドペーパーのようなモノが貼られているため、フレームの取り付け部分付近の裏は傷だらけ。2つ目は、エンドピン。座位で弾こうとして、不用意にエンドピンを短くしすぎると、仕込み角度のせいで、エンドピンのお尻がボディを削ぐようにに鋭角に刺さる、うれしい構造になってます。


最後にもう1つ、指板アールと駒アールがぜんぜん違う。通常、コントラバスは弓での演奏を考慮して、左右非対称の造形になっています。Baby Egoは、それ用の駒をそのままつけてあります。駒そのものはmade in franceのちゃんとしたもの。一方、指板はいわゆる左右対称のカマボコ型(YAMAHA SLB200もそうです)。だから、このままだと1弦側はビビリまくるけど、依然低音弦は弦高が高すぎて弾きにくい、という事態が発生します。ということで、やむを得ず手間隙かけて駒を加工しました。


まあ、クルマを例にとると、交換頻度が比較的高いファンベルトのど真ん中をドライブシャフトが貫通してるために、ベルト交換のためだけにエンジンを下ろさないといけないようなクルマを平気で作るお国柄ですから、サウンド・デザイン・演奏性以外のことで文句を言ってはいけないんでしょうね。そんな欠点もふくめて、このBaby Egoはかわいいです(笑)

■休むか、ちょっとムリしてがんばるか


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先日、ネットで巨人軍キャンプ情報が載ってました。自分は、なんちゃってフットボーラーなので野球はそれほど見ないのですが、なんでも主力の上原、二岡、阿部、高橋由、高橋尚がことごとく戦線を離脱し、別メニュー調整をしていることに対し、指導層が「自己管理不足」ということで不快感を示しているという。これは、なかなか難しい問題。


先々週の週末、自分はフットサルの練習試合中に敵陣ゴール前で倒れこんだ際、相手DFに右手を踏まれました。スパイクではなくトレシュー着用だったのが不幸中の幸いで、そのときはそれほど痛くもなかったが、夜になって真っ赤に腫れ上がってきました。右手人差指が思うように動かず、ベースを弾くところではない程度に痛み出した。特にスラップのプルをやるとハンパではない痛みが走ります。ただ、経験上、いわゆる軽い捻挫や挫傷レベルで冷やせば1-2週で治るケガと、折れちゃって要治療のケガとの区別が、なんとなく分かるので、今回は大丈夫と判断、一晩中冷やしました。ところが、その1週間後にスタジオ練習があったのですが、まだ右手が痛い。ポキっと折れるような骨折ではなく、関節部分がちょっとだけ欠ける、いわゆる剥離骨折があるのかも知れないと思いましたが、これも指を動かすとものすごく痛まない限りは切開して剥離部分を取り出すほどでもないので、ガマンしてそのままスタジオ入り。翌日、やはりまた腫れましたが、それから更に1週間、大事にしてたら、今はもう腫れもひいて痛みもわずか。もう少しで完治です。という訳で、完全なアマチュアプレイヤーの自分ですら、ある程度は自分の体と対話ができています。(もちろん、40を目前にしたボロが来たカラダ故、整形外科にお世話になることもしばしばですが・・・)


プロ、それも一流のプロなら何をかいわんやです。上述したキャンプ離脱組の選手は、どれも一流選手。10代ならともかく、20代後半から30代の選手ですし、自分のカラダが発するメッセージは、誰よりもよく分かっているんだと思います。その上で、自己管理の一環として休む決断をしたと思うわけです。


一方、歳を重ねた指導者の多くが、こうやって大事をとって休むことに対して、不快感を示すことが多いのも事実。腰が痛くたってがんばってるヤツもいるじゃないか、という訳です。それを言えば、フランスW杯の予選で、骨折しても交代せずに試合を続けた中山のような炎のストライカーもいるわけで、やればできるかも知れないし、ムリしてやったら最後、不幸にもそれでカラダを壊して再起不能になるかも知れない。話は逸れますが、仕事の関係でプロスポーツの栄養管理の話を伺ったことがありますが、若手の指導者になればなるほどスポーツ栄養学の重要性を認識している一方、ベテラン指導者のごく一部には、食えればいいじゃないか、栄養管理に払う金があるなら別のことに使え、という方が少なからずおられるそうです。ほんの数年前まで、サッカー日本代表がアウェー遠征の際、摂取する水や食材を現地調達して腹を壊したというんですから、意識としてはそんなものなのかも知れません。


精神論 vs 理論。これには正解はなく、両者のバランスが大事なんだと思います。ただ、スポーツについていろいろなことが科学的に分かってきた現代に於いては、その科学的見地を活用した方が有利であることに間違いはないと思います。同じ体の不調でも、ムリをしても問題ない場合と、ムリをしたら絶対にダメな場合があることも分かります。そういった意味で、自己判断で休むときは休む、そういう判断ができる「勇気」も必要なんだと思います。ただ、そのような判断に基づいて休んだのか、ただただ面倒くさいから不調にかこつけて休んだのか、それは本人のみぞ知ることであり、その自身の判断を周囲に信頼してもらうためには、その信頼関係を醸成する「不断の努力」が何よりも重要なんだと思います。イチローや松井、中田ヒデが休んでも「やつは怠けてる」と思う人はいないでしょうから。自分への戒めも込めつつ・・・

■StingRay と JAZZ BASS

JB_SR

2本並べて写真を撮ってみました。やってみたかったんです、この2ショット。家族の人間に言わせると、なんで同じような小汚いベースを2本も持ってるの?と言われそうですが、自分はこの美しい2ショットに惚れ惚れ、自画自賛してしまいます。


それはさておき、この2本を交互に弾くと、2本とも非常に高いレベルで完成された(良い意味で未完成な部分が残っていることも含めて)ベースであることを痛感すると同時に、サウンドの違いや弾き心地の違いを感じます。


TCT mod JBStingRay(以下SR)、非常に大ざっぱな分類をすると、


・ボディ:同じくアッシュ
・ネック:同じくメイプル、ボルトオン
・回路 :JB=2vo・2tone、SR=1vo、2tone、いずれもactive
・PU  :JB=single×2、SR=hum×1


となります。


個体差や形状、弦の裏通し有無、コンター加工の有無、ボディサイズの違い等々、あらゆるファクターを無視して誤解を恐れずにいうと、ネックもボディもコンストラクションも同じで、違うのはPUのみ(voノブの個数の差もそこから来ているので)ということになります。もっと言えば、PUも、JBはシングル×2がシリアルで位相を変えてハムキャンセルとなるように接続してる一方、SRも見た目はパラ接続のハムっぽく見えますが、実態は2つのシングルをシリアル接続しているようです。ということは、JBとSRの違いは、ボビン形状や線の巻き数なども無視すれば、2つのシングルPUの設置場所のみ、と言うことになります。(かなり、乱暴な物言い、笑ってご容赦ください。)


SRサウンドを語るとき、一般論としてよく使われる言葉が「パワフル」「ゴリゴリ」「暴れる」といったところでしょうか。一方のJBは「トラディショナル」「枯れたミッド」といったところでしょうか。これらのキーワードを紐解いていくと、結局は、倍音成分の違いによる部分が大きいのではないかと推察します。同じアッシュボディに設置されたPUでも、その取り付け位置によって、倍音成分が変わってくるのは当然と言えば当然ですが、そのチューニングの妙が、この2本の名器を名器たらしめている所以のような気がします。


さて、上記の論からすれば、この2本、アンプラグドで弾いた音は基本的に同じになるはずですが、アンプにつながなくても、不思議とJBはJB、SRはSRの音がします。ということになれば、そもそもこのような議論は信憑性がなく全く意味がない訳で・・・ この2本のベースは、そういうつまらないと思えるようなことを一生懸命考えさせる方向に仕向ける魔力を持っていて、また、そんな意味のないことでも考えること自体が楽しいと思わせてしまう、奥の深さを持っている気がします。例えるなら、「恋」に似たような感覚でしょうか。

■Fender USA '76 JAZZ BASS powered by TCT

FENDER_USA_76_JB_TCT_mod

ヴィンテージ、というにはまだ若い楽器で、ネック・フレットに調整が入っていて、PU・ポットも一部を除きオリジナルではありません。またプリアンプ搭載モディファイ物でもあり、ヴィンテージ的な価値はないかも知れませんが、店頭にあったものを一度弾いて、その感触・弾き心地、サウンド、アピアランス・・・ いろんな要素が五感に染み付いてしまって、この1ヶ月ほど、ずっと忘れられず、夢の中に出てくるまでに"病"は進行。ということで、またまた散財してしまいました。ただ、誰が見ても高額と思うような銘木系やハイテク系素材のピカピカの多弦ベースと違い、知らない人にはただの小汚いおんぼろベースにしか見えないので、その辺は別の意味で助かりますが(笑)


シリアルは670xxxで始まり、76年製とのこと。重量はヘルスメーター測定で5.2kg。割と重めな方なのでしょうが、それほどズッシリとはこない、かといて軽すぎもしない、バランスのよい重量感。試奏時に渡されたときに最初に感じたのはその部分。で、持った瞬間感じたのは、ネックの素性のよさ。ビシッとまっすぐでねじれが全く感じられず、弦高も自分の好みそのもののセッティング。ヴィンテージ的な価値を追求すると違うのでしょうが、指板はサテンフィニッシュ仕上げになっており、フレットもばっちり手が入っていて、ネックを握った瞬間、音を出す前に「こりゃ、やばい・・・」と思ってしまいました。昨年手に入れた'79 StingRayもリフレットされていますが、やはりプレイヤーとしてはこの辺にちゃんと手が入っている楽器にはとても大きな魅力と価値を感じます。また、60年代や70年代前半のジャズベに穴を開けたりするのはいささか勇気がいるし、80年代に入って来ると所有欲的な部分で食指が動かなくなる。この個体は、ボディのコンターのかけ具合がやや少なく、艶かしさがいささか足りない気もしますが、総合的には、70年代中~後期にかけてのジャズベというのは、心理的な障壁もそれほど高くなく、とっつきやすいフレンドリーな印象を持っています。


最初の音出しはパッシブ。DUNCAN製(多分SJB-1)のピックアップは、程よく乾いたアッシュボディ+メイプルネックらしいサウンドをストレートに出力してくれます。良い音ではあるのですが、ちょっと線が細い気がするので、現在、同じくDUNCAN製のAntiquityⅡをオーダー中です。より、ミッドに腰のある、男っぽい、パッシブサウンドを狙っています。話はそれましたが、ばっちり調整されたプレイアビリティの高さも手伝い、パッシブサウンドだけでも相応に魅力的なのですが、この個体には、日本国内の工房でbartolini TCT+BADASSⅡが組み込まれています。いわゆるMarcus Modifyというのでしょうか、自分はどちらかというとフュージョン系の育ちでMarcusフリークというほどではないのですが(もちろん、彼の独特の粘りとバネのあるgroove感は大好きです)、MarcusファンならずともFender '70s JB+TCTのサウンドは、幅広く受け入れられるサウンドなんではないかと思います。かく言う自分もこの音は大好きで、なんとも言えない絶妙なバランスと耳あたりの良さ、ベーシストの感性にダイレクトにグッとくる「何か」があると思っています。いわゆる最新のアクティブベースのような澄み渡るクリアさではなく、あくまでもFender JBらしい音の腰と枯れ、ほど良いgrowl感とdirtyさを持つサウンドをプラットフォームにしつつ、TCTがパキっとスパイス的に効いている音です。 StingRayとはまったく違った印象のサウンドですが、広く長く愛される4弦ベースの王道サウンドは、やはり自分がベーシストであることの大いなる幸せを感じさせてくれます。


実は、だいぶ前にも書いたことがことがありますが、ジャパニーズフュージョンにどっぷり浸かって育った自分は、楽器の世界のNo.1はYAMAHAであり、それ以外のベースを手にすることはおよそ考えられなかった時代があります。また、5弦をはじめて手にした頃(85年くらい)は、多弦じゃなければベースじゃないみたいな感じに思っていた時期もあります(恥)。そういうバックグラウンドを持って育つと、おのずFenderは「食わず嫌い」的な感じになってしまいます。「なんで僕は今まで、こんな素晴らしいベースを手に取ることがなかったんだろうか」って、今、素直にそう思いながら、Fender JAZZ BASSを爪弾くシアワセに浸っています。

■STATUS GRAPHITE STEALTH-2: プリアンプ交換


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昨日、STATUS GRAPHITE STEALTH-2をリペアに出しました。目的はプリアンプ交換。オールグラファイトのワンピースボディのSTEALTHのサウンド傾向は、いい意味で無機質でゴリゴリした感じ、STEINBERGER XL-2をもっとハイファイにした印象。ただ以前からずっと気になっていたのがミドル域の不足です。単体使用での存在感とクリーンさでは右に出るものはいないくらいなのですが、ミドルが足りないので如何せん音にアンサンブルでは厚みが不足します。ところが純正のプリアンプはhi/loの2コントロールでミドルコントロールがありません。仕方ないのでローを上げて厚みを付加しようとすると、それなりの対処はできますが、せっかくのSTEALTHのドライでクリーンな印象が若干薄れてしまいます。ということで、今はアンプ側のミッドコントロールでミドルを追加してあげています。


ところが、他のベース(roscoe、StingRay、SLB200など)は全て楽器本体のコントロールの微調整で全く問題ないので、アンプ側のコントロールはオールフラットにしています。この方がライブのライン取りの時も大変便利。ところが、STEALTHを使うときだけはアンプをいじらないといけない、となると、とても厄介です。加えて、本来アクティブ楽器のトーンコントロールは補助的なものであって、ブースト/カットなしの音が一番良いはず、と自分は思っているものですから、こういう感じの調整というのはあまり本意ではありません。ということで、思い切ってプリアンプを交換することにしてみました。


今回も迷うことなく、サムベースにも付けているお気に入りのAGUILAR opb-3をチョイス。obp-3は3コントロール、hi/loをスタックにした2コントロール、ミドルの帯域切替がレバースイッチ式orポットスイッチ式の組み合わせで仕様を選択することができるため、穴あけ加工なしで、ボリューム、バランサーを除いて、2穴~4穴まで対応可能でとても便利。STEALTHはhi/loにハイブーストスイッチ、計3穴仕様なので、hi/loスタックの2コントロールにミドル帯域切替をレバースイッチ行う仕様のものを選択しました。


ただ1つ大きな問題が・・・ 実はSTEALTHのオリジナルプリはwalなどの英国製ベースによくある基板タイプ(TUNEもそうだったと思います)。往々にして基板タイプのものは基板にコントロールポットを直付けにしてあり、直付けモノのポットは一般的にミニポットを使用するので、AGUILAR純正のポットを使おうと思うと穴の径が小さ過ぎて取り付けができないのです。AGUILARプリのポットは50オームなのですが、50オームのミニポットで、しかもスタックタイプなんてのは、まずどこを探しても見当たらない。また、純正ボリュームは10オームという極めてローインピな設定、バランサーは200オームなるもミニポットでしかもセンタークリックのlog&revlogカーブとなると、なかなか入手困難。そうなると、STEALTH本体の穴の径を2mmほど広げてあげないといけない。ところが敵は「ウッド」ではなく「カーボングラファイト」。いろいろと悩んだ挙句、DIYはあきらめ、信頼できる工房にお願いすることにし、昨日持ち込みました。


STEALTH_preamp

完成予定は10日~2週間後。STEALTHのグラファイトボディ+AGUILARプリの組み合わせ、今からとても楽しみです。

■モレリア AS/MORELIA AS

MORELIA_AS


音楽とは全くの畑違いですが、フットサルシューズのお話。


自分の好みに合う人工芝フットサル用の良いシューズはないものかとずっと探していて、最終的にコレにしました。MIZUNO MORELIA AS。モレリアシリーズの特徴は、上質なカンガルーレザー使用で、履けば履くほど足に馴染んでくること、素足感覚でボールを感じ操ることができること、そして、軽量であること。ブラジル人フットボーラーが求める靴を具現化する、というのがモレリアのコンセプトです。


このモレリアASは、基本的にスパイクバージョンのモレリアⅡとアッパー部分は全く同様の作り。トレーニングシューズは、ほとんど全てと言って良いほど、同シリーズのスパイクよりも幅広に作ってあります。長時間使用すると小指の爪あたりが悲鳴を上げるくらいのタイトフィットが好きな自分としては、これがどうしてもイヤだった。で、いろんなものを試した結果たどり着いたのがこのモレリアAS。モレリアの前に、ちょっとだけプーマのメキシコTTという、パラメヒコのトレシューバージョンを試したことがあるのですが、パラメヒコとは似て非なるフィット感と、「made in japan」だったものが、現行版から「made in china」となったことがどうしても許せず、手放してしまいました。


今回買ったモレリアは、1サイズ小さいものを買って、足に馴染ませようと思って週末2時間×2日履きました。ちょっとずつフィット感が増してきましたが、まだ足は相当痛いです。でもまあ、この調子だと来週あたりには、かなり馴染んでくるのでは、と思っています。ただ心配ごとも2つほど。素足感覚を重視する反面、アッパーが相当薄いので、雨天で酷使するとすぐに穴が開きそう。あと人工芝でのグリップが相当なもので、クイックターンでも滑ることはないのではと思うくらいですが、グリップ重視でソールが異常に粘着性の柔らかいゴムで作ってあるため、ほんの2日使っただけでかかとの外側がちょっと減ってしまいました。足に馴染んできたら、それ以降は、ここぞというときだけの使用にとどめないと、すぐにダメになりそうです。トレシューのカテゴリーでは最高級品の一角に入るものなので、大事に使いたいと思っています。


それにしても、「形から入る」、「妙なホンモノ指向」という点は、ベース選びと共通しているような気がします。トレシューは、カンガルーレザー/ローテク系のモレリアと、マイクロファイバー繊維/ハイテク系のプーマ3.06、なんだかStingRayとSTATUS STEALTHに共通するものを感じずにはいられません(笑)

■dbx 160X COMPRESSOR/LIMITER

連続してdbxシリーズです(笑) dbx MC6 Mini-Compの兄貴分と言ってよいのでしょうか、dbx 160Xです。久しぶりの、解剖(フタをあけて眺めるだけですが)


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相変わらず、スカスカな回路でした(ホントは、もっとスカスカなイメージがあったのですが(汗))。よく見ないとわからないかも知れませんが、基盤は2枚で、右側にICが8個乗っている小型の基盤の回線はほぼ全てLED表示のセルに回ってます。従い、音に関わっているのは下の基盤のみのようです。見切れてしまっている左側はがらんどうで電源トランスしかありません。IC以外は、point to point配線に改造できそうにも見えますが、この回路であのdbxサウンドが出てくる訳ですから、やはり基本設計のよさとツボをついたセッティングの妙ということだと思います。


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コントロールはノブ式がthreshold、ratio、gainの3つのみ、on/offスイッチ式は、bypass、slave、overeasyに、インジケーターのinput/output表示の切替のみ。電源のoff/onスイッチもなく、コンセントを差すと即起動します。実質的にthreshold、ratio、gainのみのコントロールで、overeasyでリニアかソフトニーかを選択する、というとても潔いスタイル。ようは「圧縮し始めるレベルと、どのくらい圧縮するかだけオマエが決めろ、あとの細かいことはオレにまかせろ」といった雰囲気むんむんです。アタックとリリースがコントロールできないコンプ/リミッターは、個人的には端からNGなのですが、この160Xの場合は、まかせて正解、的な部分があります。thresholdとratio、それに入力された信号のレベルによってアタックとリリースが自動でセットされるという仕組みで、絶妙な味付けがなされています。かのMarcus Millerdbx 160と、この160Xを愛用していると聞きます。最近はendorseを受けていることもあり、EBS色の強いMarcusですが、レコーディングではどれを使ってるんでしょうかね・・・ 真相を知りたいところです。


話がそれましたが、本機がベース使用を想定して設計されたか否かは不明ですが、ベース用として考えても本当によくできた名器だと思います。ただ個人的には、6:1以上の圧縮に関しては、気持ち程度、もうちょっとアタックタイムが長くてもいいのかなーという気がするのですが・・・ 基盤に4つほど可変式トリムポットがあり、ひょっとするその中の1つでアタックのコントロールができるのかも知れませんが、変なことをしてdbxテイストが薄れるとイヤなので、今ひとつイジる勇気がわきません・・・ ということで、160Xの絶対値としてのクオリティの高さは評価するものの、やはり自分の好みの設定を出せるdbx、ということであれば、設定によってはスムースさに欠けるという難があるものの、MC6の方に部があります。やはり機材は値段ではない、ということでしょうか。

■dbx MC6 Mini-Comp

先週の3連休の初日、天気が悪かったこともあり、家族のケア(?)も終えた夜、自室で機材整理をしました。カード一括払いで買った'79 StingRayの引き落としが迫っていて、そのために底をつきそうな自身の「機材ファンド」を少しでも潤わせる意味も・・・


その際、最近あまり使っていなかった dbx MC6 を箱から引っ張り出して、久しぶりにサウンドチェックをしてみました。裏に「96-mar」と印字されており、もう10年選手かーと思いつつ、そういえばこの中身って見たことなかったなとふと思い、まずはいきなり解剖(笑)


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ご覧の通り、このコンプは基盤が2段重になっています。そういえば世界初のコンパクトディジタルリバーブとして世に出たBOSS RV2もあの筐体にむりやり基盤2段重ねだったなーと思いつつよく見ると、上下の基盤は3ヶ所のコネクタで接続されていて、軽く持ち上げると簡単に上部の基盤がはずれます。これが、上の基盤を外した状態。


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最近のコンパクト系のアナログコンプと比較すると、まあまあ回路長い部類に入るでしょう。特徴的なのは、昨今の少ない部品点数でディスクリート回路を作り上げているハイエンド系のコンパクトコンプとは対極にある、ICを多用(サウンドに関係する基幹部品としては、多分2個ほどですが)している点。完全にノンディスクリートの世界ですが、もともと想定されている用途が異なるでしょうし、これはこれですごく美しく、個人的には機能美を感じるデザイン。ちゃちな真っ黒のプラ筐体で覆い隠してしまうのがもったいないくらい。透明プラ筐体なんかで再販すれば、結構売れるかも知れません。


で、目的は外観チェックではなくサウンドチェックなので、早々にフタを閉じて音出し。最初にびっくりしたのが、圧倒的なノイズの少なさ。直近ではkeeley compTLA-50を使っていて、これらとの比較になりますが、ローノイズと言われるkeeleyと比較しても、驚異的にノイズが少ないです。リアルチューブのTLA-50とは比べるまでもありません。思い切り極端なセッティング(アタックべたべた、スレッショルド下げ下げ、レシオぱんぱん)にしても、バイパス時と比較して聴感上ノイズ増加をほとんど感じさせません。


久しぶりに味わう音は、相変わらず健在なdbxサウンドです。アタック立て気味が好きな自分ですが、このMC6はアタックの可変領域に特徴があり、アタックノブを左端に目一杯(最短)にすると、聴感でいうといわゆるリミッター的な効き方になりますが、ちょっとでもアタックノブを右側にスライドさせてアタックタイムを伸ばしてあげると、ベースらしいアタックが瞬間的に、しかもあまり鋭角的にならずにちゃんと残りつつ、中低域がやや強調されたdbx特有のコンプレッションがかかります。これに、いわゆるソフトニーを演出してくれるovereasyをon、スレッショルドを気持ち高めに設定、レシオを中間よりやや高めにセットすると、まんまあのEBS multicompサウンドを再現できます。なるほど、multicompはこういうところを狙ってたのねと思う一方、dbx、EBSともに巨匠MARCUSに愛されたことに合点が行きます。


他方、EBS multicompはスレッショルド、レシオ、アタック、リリースを全て1つのコンプレッションノブで操作するセミプリセットスタイルですが、dbx MC6は、これらのパラメータを全て個別に操作できます(さらにアタック・リリースを160Xと同様にautoモードにすることも可能で、この点では兄貴分160Xよりも優秀だと思う)。よりナチュラルなコンプレッションにするために、レシオをちょっと下げて、アタックをもう少し遅らせ、リリースは反対にもう少し早めると、multicompのような迫力のあるダイナミック感を残しつつ、ラックコンプっぽいナチュラルさも表現できます。


現在ボードに組み込んでいるsummit audio TLA-50のリアルチューブのナチュラルさが良い音であることは当たり前として、典型的なdbxサウンド、しかもこのMC6の器用さはなかなか捨てがたいものがあり、改めて非常に高く再評価した次第。コンプに限らず、楽器って価格じゃないと改めて痛感。しばらくはMC6もしまい込まずに引っ張り出しておくことにしました。