お久しぶりです
何年振りの投稿でしょうか...
全く更新をしていないのですが、現在もこのブログを読んでくださったり、新規にフォローしてくださる方がいらっしゃること、大変嬉しく思います。
現在、仕事の関係で海外(欧州)に住んでおりまして、縁あって、こちらでも音楽活動をさせて頂いております。
日本を離れた場所で、さすがにバンドメンバー探しは難しいだろうなと思っていたのですが、ご縁とは素晴らしいもので、細い線がたまたま繋がり、さらに先へ先へとつながって、日本で探してもなかなか見つからない管(EWI)奏者までご縁が広がり、音楽のある彩ある生活を楽しませて頂いております。
もう少し時間に余裕が出来たら、またこのブログも定期的に更新したい! と、常々考えています。
長い目で見て頂ければ幸いです!
LIVEのお知らせ!
皆さま
大変ご無沙汰をしています、bassist-kazでございます。
何年何か月ぶりの更新でしょうか。。。
前回の更新から3年ほど経過しているようですが、無事に生きております。
もちろん、ベースも続けてます。
それにしても忙しい3年でした。
まだ忙しさが続いていますが、なんとなく落ち着きを取り戻した感もあります。
ということで早速、LIVE告知でございます。
全編オリジナル4ピースロックバンド編成でのLIVEです。
詳細未定ですが、こんな感じです。
【日時】
2013年11月24日(日) 午後
【会場】
神楽坂EXPLOSION
複数バンド出演のEVENTの一コマですので、出演は正味30min程度ですが、それでも来てやっても良いという方、いらっしゃれば是非お声掛けください。
久しぶりに現在の機材を貼り付けてみましたが、これも昨年末の写真で、既に一部変わってます。
ストラップ デコレーションあれこれ
三寒四温とはよく言ったもので、春分以降、春めいた日があったとおもったら、次は寒波。でも、こう波が大き過ぎると、なかなか体も馴染めませんね。
さて、年初のセッションライブ、浦安ベイシティマラソン(ハーフ)、東京マラソン(フル)、子供の卒業式等など、一通りイベントも終わり、気持ちも新たに
新年度を迎えるべく、仕事は追い込みをかけている、そんな状況です。
今回はちょっと趣向を変えて、ストラップに注目してみたいと思います。ストラップ、というと、まず最初に思い浮かべるのはケータイストラップだと思いますが、ここで取り上げようと思っているのは、「ベース用のストラップ」です。
世代や演奏するジャンルによっては、ストラップに気を遣われる方もいらっしゃると思いますが、少なからずベーシストに限って言えば、「機能最優先」あるいは「気にしたこともない」という方々が多いのではないかと思います。事実、自分もベースを弾き始めて30年近く経ちますが、中高生のときに服とのカラーコーディネートを気にしたくらいで、以降は、完全に機能優先に走っておりました。
これは無理もないことと思います。そもそも30年前というと、今のようにいろんなストラップのチョイスがあった訳ではなく、色も限られており、素材も布地かビニール、革、その程度だったかと思います。また、エレキベースという楽器の性質上、本来的にエレキギターよりも重いことと、多弦化やスケール拡大に伴い、更に重量増に拍車がかかったことが、その理由として挙げられると思います。そんな中、20年数年前、肩に当たるパッド部分に羊革(羊毛付き)を使用したフカフカのKEN SMITHストラップを発見したときは、革命的とさえ思えたのを記憶しております。当時のKEN SMITHストラップは黒と茶しかなかったのですが、当時のベース(TUNE)のハードウェアが黒であったということで、機能優先でずっとこの黒スミスを使っておりました。
ところが、サムベースの6弦だと、重量が6kg近く(ウェンジ仕様の91年製は6kg over)の超重量級。さすがの黒スミスでも、30分も立っていると腰が痛くなります。そこで真っ先に飛びついたのが、評判だった「comfort strapp」です。ネオプレンで作ったストラップで、売り文句の通り、ベースをぶら下げるのではなく、ストラップで引き揚げる感覚。Roger Sadowskyなどが推薦していたことで一気に市場に広がったような感があります。ネオプレンというのは、スポーツ障害の治療やリハビリにも使われる素材で、自分もスポーツで酷使した膝のケアをするときなどに良く使っている、プニプニの素材です。まあ、ネオプレン自体はどうということは無い、もはや世間一般に普及しているものですが、これでストラップを作ってしまおうという発想がすごいなと、当時思いました。
で、それ以降はこのcomfort strappを複数本調達して、ほとんどの楽器に使っていましたが、楽器店に行って、たまたまストラップを見ていたら、なんと最近のストラップは派手になっていて、多種多様なものが売り出されていることに今更ながら気付きました。カラフルなのはもちろんのこと、リベット打ち、樹脂性の鉄条網付き、フェイクファー等々・・・ ストラップメーカーの売り文句は「wear」となっています。この事実に大きな衝撃を受けた次第です。ステージに立つときは、普段着っぽい服であっても、メンバーとテイストを合わせるように事前に話をしたり、もちろん靴やアクセサリーなど、気を遣うわけです。もちろん楽器には、セッティングを含め細心の注意を払います。ところがストラップに対してはなんとまあ無頓着なこと。ストラップメーカーの言う通り、ストラップというのは目に付くものなので、衣装と同様、気を遣うべきものという意識が沸いて来ました。
ところが、その手のストラップというのは、大抵、良くある廉価なストラップにデコレーションを施したもの。要は、見た目がカッコ良くとも、機能的には6kgのベースをぶら下げるには明らかに役不足に映ります。しかも、その割りに何気に高価だったりします。
よし、そういうことなら自分で作ってしまえ、ということで、作ったのが、写真の2本です(笑) ベース素材は、愛用しているcomfort strapp。それに、手芸店で調達したプードル調フェイクファーと、反射の角度で色目が変わるスパンコールを、それぞれ縫い付けました。comfort strappそのものは高価なのですが、デコレーションに使った金額はファーとスパンコールを合せても1,000円ちょっと。豪雨で外を走れず、子供勉強中でベースを弾くと怒られる、そんな状況でやることなかった中、1時間くらいで作ってみましたが、それなりの出来で、いろんな意味で大満足です。
さあ次のステージが楽しみ・・・ と思っていたら、家族から「カッコ悪い」との声が・・・ ''70~'80のファンクムーブメントに通ずるこの「ダサかっこ良さ」が分からないとは(汗)
'99 Spector USA NS-2
バンドでの役割や方向性を考えて、このところベースはサム6弦のフレッテッドとフレットレスの2本に完全に絞っていましたが、やはりロックを豪快に引き倒す4弦ベースへの回帰の思いを捨て切れず、いろいろなベースを試してきました。
今となっては順番をはっきりと覚えている訳ではありませんが、覚えている順に書いてみます。最初は、とても分かりやすく、89製サム4弦。EMG搭載のすばらしいベースでしたが、如何せん6弦とキャラがかぶり過ぎてしまいました。次は、Stingray。これは79年製アッシュと、同じく79年製アルダーを2本。アッシュの方は、物理的重量もかなり重く、オールドStingrayを絵に描いたようなエッジの効いた音。アルダーの方は、オールドStingrayに共通する基本的なキャラクターはアッシュと同様ながらも、もっとミッドが前に出る印象で、特にオーソドクスな2フィンガーで弾くと、とても良い味がありました。あとは、プレギブソン期のSTEINBERGER XL2。さすがのサウンドで、2フィンガー、ピックのサウンドは言わずもがなですが、以外とスラップサウンドがとてもイケるベースです。EMG-SSピックアップとグラファイト樹脂ボディの組み合わせから連想される、らしい感じのシャープな音ですが、以外と中域に枯れ感も持ち合わせていて、個人的にはとても使えるベースだと思いました。なんと言ってもカッコいいですしね。あとは、Atelier ZのJ+H+Jの3PUモデル。本当に良く出来たベースで、JBサウンドもStingrayサウンドも、同時に、高次元で実現している優等生。しかもAtelierセッティングがものすごく精度が高く、弾き易いベースです。
とまあ、様々な4弦ベースを使ってきた訳ですが、ずっと欲しいと思っていながら、手に入れられず仕舞いのベースがあります。高校時代からの20年来の憧れであるSpector NS-2。NS-2には、あの独特のカーブドボディの形は同じであっても、ブランドの歴史的背景もあって、様々なモデルが存在します。乱暴にざっくりと言うと、プリクレ期・クレイマー期、SSD(StuartSpectorDesign)期、現行であり、また製造国もUSA・チェコ・日本・中国・韓国とあり、また同じ期の同じ製造国であっても、搭載プリアンプが違ったりして、どれが自分があこがれた「あのSpectorサウンド」を鳴らしてくれるのか、分からなかった、という部分もあります。自分のあこがれた「あのSpectorサウンド」は、まさにプリクレ時代のSpectorのものですから、状態の良いプリクレを手に入れられれば解決する可能性が高いわけですが、プリクレspectorは玉数が限られており、また、それ故にめちゃめちゃ高価。クレイマー期のSpectorも、もちろんとても良く出来た楽器ではあるのですが、実際に弾いてみて、やはりプリクレとは路線が違う、ロックでの使用にfocusしたような印象を受け、プリクレのような間口の広さは感じませんでした。SSD期のUSA物は、なかなか試す機会に恵まれず。5弦は一度だけ弾いたことがありますが、結構自分のイメージするSpectorに近い音を出してくれる期待がありましたが、探しているのは4弦なので、そのまま彷徨うことに。現行Spectorももちろん数多弾きました。率直な印象としては、個体差によるばらつきが多いと感じました。チェコ製のボルトオンモデルの方が、スルーのUSAよりもグッドサウンドだったり・・・ とまあ、そういうこともありますが、やはり現行USA製のモデルの中に「おっ」と唸るようなものが数本ありました。でも、これもまた、やたらと高価(しかも、音がよいものに限って、この色で塗るか、普通・・・ だったりする)。
そんな状況の中、出会いがありました。欲しいと思っていたspecの、欲しいと思っていた色のSpector USA NS-2。ただし、価格未定。調整後に価格設定をすると言うので、とりあえずお取置き。自分以外にも、相当な数のキャンセル待ちがあったようで、その辺りは流石のSpectorの根強い人気が垣間見れますが、たまたま運良く自分が待ち行列の一番最初に並べたわけです。待つこと1ヶ月ほど。連絡があり、この価格だったら、と思っていたボーダーラインの遥か下。早速、調整が終わったというNS-2を試奏に。調整が終わったということで弾いてみましたが、なんとも弾きづらい。ネックが捩れていたり、ロッドが効かないとか、そいう致命的な問題があるわけではないのですが、どうもベースが風邪をひいてるというか、本調子ではない、という印象を受けました。ただ、根底に流れる「本物のみが放つオーラ」は紛うことないもの。しっかりとしたセッティングを施せば、必ず自分があこがれた「あのSpectorサウンド」を鳴らしくれると確信し、価格とのバランスを考えた結果、購入しました。
帰宅し、1週間ほどいろいろとセッティングを試しましたが、これは素人では無理と判断し、ROSCOEの際にお世話になったインナーウッドさんに調整をお願いしました。
昨年、暮れに差し掛かった忙しい時期にもかかわらず、とても速やかに対応して頂き、戻ってきました。手に取った瞬間、まるで違う楽器である印象を受けました。以前から自分が強く思っていることではありますが、改めて、楽器というのは、セッティング次第でこうも変わるものなんだと驚きを隠せないほどの変わり様。まさに自分があこがれた「あのSpectorサウンド」。また、Aguilarアンプとの相性が良いのか、シールド1本でアンプにつないだ音がなんとも(笑)
この音をさらに自分の理想に近づけるべく、PUをプリクレ期の80年代のものに交換。また、9vだったプリアンプとPUの電圧を18vに。PU交換は目論見通りで、オリジナルの90年代後半製のEMGに比べて、より暴れる感じの音になりました。一方、18v化によりPUが拾ってくれるレンジが広くなり、明らかにクリーン感が増したのですが、それにより、逆に暴れる感じが薄まった気もしますので、これは状況を見ながら9vに戻すかも知れません。
アコースティックユニットの場合は、その構成上どうしても6弦の方が対応力が豊かであるので、ある意味6弦ベースが必然となっていますが、ロックバンドの方は、アレンジを工夫すれば4弦で十分対応可能であり(年始にちょっとしたライブで実践済)、6弦で精緻に弾くよりは、むしろ4弦で豪快に弾いた方がしっくり来たりします。上手く使い分けが出来ればいいなと(汗)。
YAHAMA TRB Custom その②
さて、YAMAHA TRB Customのご紹介です。このベース(及び、特に櫻井モデルTRB-S)は「幻」、「伝説」とか「YAMAHA史上最高値の市販ベース」などと言われることも多い一方、枕詞の割には情報が少なく、どういうベースなのか、何本作られたのか等、全く分かりません。そんな風に思われている方が、自分以外にも結構いらっしゃるんじゃないかと思い、主観と推察を織り交ぜることをお許し頂きながら、1オーナーの立場でご紹介をさせて頂きたいと思います。まずはspecから。
Body Top & Back : Quilted Maple
Body Center : Mahogany(multilayered)
Neck : High Density Laminated Wood
Neck Joint : Through
Fingerboard : Ebonic
Scale : 860mm (34")
pitch : 19mm
Pickups : YAMAHA YLB-S6JZB x2, Piezo P.U. on Bridge
Preamp : YAMAHA Original(substrate)
Controls : Master Volume, Magnet PU Balancer, Bass, Treble, Piezo Balancer, Standby Switch
Bridge : YAMAHA BPZ-6
Weight : 5.0kg
Color : Sunburst、gold hardware、Jim Dunlop Lock-pin
(early '90s、made in Japan)
当時のYAMAHAベースは、どちらかというと塗りつぶし系のカラーが多く、BBシリーズやギターのSGシリーズにはサンバーストの設定もありましたが、「木目を見せる」という発想はあまりなかったように思います。そういう意味で、quiltやtiger stripeなどのexotic柄を見せるベースというのは初めてだったのではないかと思いますし、このCustomやTRB-Sリリース前、'80s後半のワールドツアー近辺で櫻井さんが携えていたナチュラルカラーのプロトモデルはとても新鮮に映りました(この頃はまだ発展途上で、サウンドもBB・櫻井カスタム・TRBの特徴がミックスされたようなものに感じます)。本機は、写真では結構キルトが入ってるように見えますが、光の具合によるものか、実物を手にして見るとそんなに派手というほど柄は出ていません。トップよりバックの柄の方が強く出ていて、本当はleftyを作ろうとしたの?って思ってしまいます。というのも、TRB Customはサムベースと同様、スルーネック構造にもかかわらず表から見るとスルー構造が見えないbookmatch構造になっていて、しかも本機のトップはネックが差し込まれるセンター部分のキルトが薄くウィング部分に柄が集中していることもあり、そんな風に思った次第です。ちなみに、TRB Customのleftyの存在は、今まで見聞きしたことはありません(絶対的本数が少ないのも一因と思いますが)。情報お持ちの方いらっしゃれば、是非ご教示ください。
ボディコアはYAMAHA伝統のマホガニーを使っています。SGシリーズでも使っていましたし、BBシリーズではスルーネックを貫く2本のマホガニーが使われています(ウィングはアルダー)。但し、本機での使い方はやや特殊で、他樹種との多層構造になっています。木目が見えるのがトップとバックのメイプルのみですので、マホガニーの間に挟まれている樹種が何か、判別しかねます。一般論とYAMAHAの過去の材料使い、そのた情報から判断してメイプルかなーとは思いますが、以降のTRBⅡシリーズではアッシュを使ったりしていますので、その可能性も否定できません。何れにしても、マホ+α+マホ+α・・・と、重層的に材を重ねてボディを形成しています。ヴァイオリンフィニッシュカラーで塗装された固体では、その重層ボディの美しさを目の当たりにすることができますが、サンバーストだと良く見ると見えるがパッと見では見えません。もったいない気もしますが、この贅沢さが良いという考えもありますね。BB2000以前では設定のあったナチュラルですが、3000・5000以降は、スルーネックベースを黒・赤・白等でずっと塗りつぶしてきたYAMAHAっぽい色設定のような気がします。いっそのこと、本機もメタリックブラックでリフィニッシュして、PU周りに特注でゴールドのエスカッションでも付けたら、「正統なるBB後継者」のような雰囲気が出そうです。それはそれでカッコいいかもと思ってて、こんなこと言ってると、本当にやってしまいそうな自分の性格もあるので、これ以上は突っ込まないようにしたいと思います(笑)
スルー構造のネックは、TRB Customのハイライトの1つ。High Density Laminated Woodは、100プライ多層ラミネートネック等と表記されることもあるようで、(バカだなーと思いながらも)週末、プライ数を数えてみました。検算はしてませんが、多分90ちょっとで100プライはなかったような気がします(どうでもよいですが)。何れにしても、メイプルとマホガニーをそれぞれ束で積層、その積層材を更にメイプル+マホ+メイプル+マホ+メイプルの5プライのスルーとしています。積層材というのは、住宅に用いる場合もそうなのですが、樹脂接着しているのでその樹脂の性格を反映している要素も大きいと思います。「強さ」という部分で言うと、TRBも含めてYAMAHAは相対的にネックが弱いと言われますが、それはソリ(順・逆)に対してのことであるとの理解です。本機も結構動くようですのでまめな調整が必要です。トラスロッドは2本仕込まれており、十分効くので問題ありません。一方、積層材の性質上、積層面に対して上下に、楽器ボディ面に対して水平に左右に動くことは先ずないと思います。この動きに順ゾリ・逆ゾリの動きが加わると、いわゆるねじれが発生し厄介なことになりますが、そういう意味で言うとTRB Customは積極的にセッティングを追い込んで行けるベースで、自分にとってはとても好都合。もう1つの樹脂の性格が、おそらく「音」に反映されているのではないかと思っています。100層の材を張り合わせたとなると、99層の接着剤層がある訳で、これにEbonic樹脂指板(材料は何かは分かりませんが、自分が学生時代に愛用していたTUNEもフェノール樹脂基材の指板でした)を組み合わせているので、ことネックに関して言えば、木材の特性を活かすというよりも、黎明期の6弦ベースであることもあってか、強度と剛性を追求したことにより、結果的にそれがサウンドにも影響を与えている、というように解釈します。ならば、グラファイト樹脂などのモールディング材で作ってしまった方が工業的には効率が良いのではと思いますが、そうしないところが木材に拘りを見せる日本メーカーならでは、というところでしょうか(事実、moonも同様の重層プライネックを持つ6弦ベースMBCをリリース)。この多層ラミネートは遠目で見ると、それこそ杉の正目のように見えますが、近くで見るとその仕事に結構圧倒される迫力があります。
スケールは、現行TRBが35ですが、TRB Customは34インチを採用しています。これは、ジャパンメイドであることからあえて35インチを採用しなかったという見方も出来るかと思いますが、個人的には、一部のカスタムを除き、当時35インチ以上を作ろうという発想そのものが少なかったように思います。BBは34インチだし、当たり前のようにTRBも、という感じで(中学時代、ルイスジョンソンがFenderベースよりも長いスケールのベースを使っていると噂で聞いたことがあり、さすがブラザーは○ン○ンもベースもスーパーロング、スケールが違う(失礼)と驚愕した記憶あり)。
但し、弦間ピッチ19mmを採用した点については、YAMAHAならではの拘りがあると思います。BB3000の弦間ピッチは20mm程、TRB Customは19mm。1mmの差というのは同じ弦数のベースであればかなり違うのですが、ネックの幅や握り、演奏上の指の弦間距離の捉え方といったような様々な要素の影響もあってか、4弦の20mmと6弦の19mmというのは体感的には同じに感じます。要は4弦のフィーリングを6弦で表現しようとした結果の19mmなのではないかと思っています。フィーリングというのは、奏法も同じで、チョッパー(スラップ)、サムアップダウン、ピック、もちろん指弾きに至るまで、4弦の感覚で6弦の可能性を獲得する、というのがコンセプトなのではないかと理解しています。なぜそのように思うかというと、前身のフラッグシップモデル、BB5000がその対極にあったから。BB5000の弦間ピッチは15mm。要はBB3000と同じネック幅に、5本の弦を張ったことになります。ネックの握りが同じということで一部ピック弾きプレイヤーからは好評を博したようですが、当時のBBユーザーに多かったフュージョン系でスラップを多用するベーシストにとってはどうだったのでしょうか。櫻井氏は、BB5000の使用にあたって音楽誌のインタビューで「弦間は狭いが、慣れの問題」とコメントしていました。それを真に受けてリリース間もないBB5000を試奏もせずにオーダーした自分(汗)、慣れれは確かに出来ないことはないですが、決して演奏性が高い、ましてや、4弦と同じフィーリングで演奏表現ができ、そこにLow-Bの可能性が加わったとは必ずしも言い切れない部分があると思うのです。そういう意味で、この19mmピッチという弦間は、YAHAMAにとって意味のあるセッティングであると思う次第です。ちなみにサムベース6弦の弦間は16.5mm。これまた、なかなか微妙な弦間で、スラップがしやすいかと言えば、必ずしも・・・ まあ、慣れの問題です(笑)
次に電装系。これは全てYAMAHAオリジナル。工房系ベースではPU、プリアンプは外部調達が今でも当たり前の世界ですが、電装系も全て自前で作ってしまうところが総合楽器メーカーYAMAHAの特徴だと思います。餅は餅屋、という考え方もあるので、一概にこれが良いとは必ずしも言い切れませんが、少なくともTRB Customのように、技術があり、資金もあり(バブル経済の影?)、最高の1本を作りたい、という明確な意図があるコンセプトモデルの場合は、何でも内製できるというのは大きな強みになります。そういう意味では、このYLB-S6JZBというオリジナルピックアップは、本当に良く出来ていると思います。このベースの材的な特徴(多層スルーネック、多層ボディ、樹脂指板等・・・)を見事に音として出力し、かつ「YAMAHAらしさ」があります。一聴すると、TRB Customの音というのはBBシリーズと全く連続性を持たないパラダイムシフト的な印象を受けます。ところが弾き込んでいくうちに、このベースはBBシリーズが持っていた「YAMAHAらしさ」を受け継ぎしっかりと根底に根付いているYAMAHAベースの正常進化版であることが分かってきます。文面で表現することがとても難しいのですが、指弾きで指を軽く引っ掛けたとき、スラップで特にサムピングをしたときの基音と倍音に、BBと同じ匂いを強く感じます。BBを一度でも愛用されたことのある方なら、この感覚は良くご理解を頂けると思います。最初はなんだかどえらい変態ベースだなー、なんて自分も思っていたのですが、弾き進むうちに懐かしさに変わる感覚がありました。改めてベースという楽器の奥深さと魅力を感じます。
プリアンプは、これもYAMAHAの伝統なのでしょうか、正直申し上げると、大したことない(失礼!)。でもこれはこのベースに関して言えば全くの褒め言葉です。ベース本体、そしてその性格をvividに再生するピックアップを全く邪魔しない、bass/trebleの2バンドのみのもの。あくまでも演奏の状況や音場に合わせてハイの出方やローエンドの回り方を調整することが目的であり、プリアンプで積極的に音を作り込んで行こうという思想は感じません。生のベースとしての良さを究極的に突き詰め、それで勝負するTRB Customですので、このプリアンプがベストマッチと言えるのではないかと思います。何でもかんでも、Aguilar OBP-3をぶち込んでしまえと考える自分も、さすがにこのベースにaguilarプリを搭載しようとは思いません(笑)
ブリッジは、駒の1つずつにピエゾピックアップが埋め込まれ、1本ずつ丁寧に結線されています。見てみると、これまた日本製らしく、とても丁寧な仕上げです。ピエゾというと、カチカチと甲高い固めの音のみを出力するイメージがあるのですが、このTRB Customに搭載されているものは、とても素直な音で、実用に堪えるものです。例えば、コード弾きの完全なソロをとる、といったような状態の場合は特に有効で、絶妙な箱鳴り感を表現できます。ピエゾ単体でもちゃんと使える音です。一方、このようなアコースティックなプレイでの実用性に振ったセッティングのため、マグネットをメインにしてエッジを利かせるためにピエゾのカチカチとした雰囲気を追加したい、というような使い方には向きません。このベースの総合的なデザインから考えると、これもプリアンプと同じで、このベースの特徴にあわせたピエゾのセッティングになっていると思います。
重さは、そりゃまー、結構重いです。最近6弦でも4kg前半台が結構見受けられる状況にあって、5kgを超える重量は重い部類に入るかも知れません。特に前フラッグシップBB5000の後継という見方をすると、軽量なアルダーウィングを使ったBBと比べると明らかにズッシリときます。が、この作りであれば、ある程度の重量は致し方ないと思います。自分の場合はメインの'91サム6弦が6kg超なので、逆に軽く感じたりしますが(汗)
製品としての仕上げですが、これはコメントするまでもなく、made in Japanそのままの仕上げです。加工精度に問題が・・・ などという箇所は皆目見当たりません。部品の組み付け、ブリッジのセンター出し、果てはエンドピンの取り付け位置に至るまで、パーフェクトです。但し、最近は以前と比べると良くなってきているとは言われますが、最高レベルを突き詰めた製品であると考えると、塗装についてはまだ及第点レベルで頂点には到達していないような気がします。ここは惜しいところです。
肝心の音ですが、以前にも書いた通り、'80s後半から'90sにかけての櫻井さんの音そのまんまの音です。後期カシオペアでもその音は確認できますが、おそらくこのベースの特徴を一番分かりやすく確認できるのはJIMSAKU時代のライブ音源ではないかと思います。神保さんとのduoでのライブなどは、このベースの音の生々しさが良く出ています。この作品の音は、エフェクトを含めてソロ~デュオを意識した音作りであるため、この音のままバンドサウンドに馴染むかどうかは疑問が残るところですが、PUバランスをほんの僅かフロントPUに寄せ、マグ9:ピエゾ1の割合で軽くピエゾミックス、僅かにハイを落としてローを上げる、このセッティングが一番気持ち良く、本機の持ち味が出るような気がします(環境は、Aguilar DB750+epifani T210UL+MOGAMIケーブル)。弦はニッケルよりはステンレス系でちょっと細めのゲージの方が相性が良いかと思います。
ベースの中にはATELIER-ZやG&Lのようにジャズベからプレベ、スティングレイまで、あらゆる音が出るというベースも増えてきて、しかもとてもリーズナブル。自分はプレイヤーの立場で、こういうベースの利便性の高さも非常に高く評価しており、魅力も感じる一方、当時の日本製としては舶来品と比肩する破格の高値でリリースされながらも、不器用な一本調子のサウンドで、全身これ「YAMAHA」という感じで「らしさ」を体現するベースという存在にとても魅力を感じます。まさにこのようなサウンドを唯一無二というのではないでしょうか。もちろん音には好みはありますし、癖があるので、自分もそのうち辟易としてくる可能性もない訳ではありません。それでも、このベースは、日本を代表するベースの1本だと思うし、そのベースが20年近くも前に、YAMAHAからリリースされたという事実も見過ごせません。90年前後、世の中全体が浮かれに浮かれた不思議な時代ですが、だからこそ実現した、当時の技術者とプレイヤーの夢が本当に形になった、時代の寵児のようなベースです。
YAHAMA TRB Custom その①
TRB Customについては、いろいろと思い入れもあることから、もう少し詳細のご紹介をしてみたいと思います。
80年代後半だったと記憶していますが、普通の地上波TV(当時はBSなど全く普及していなかった)でMusic Partyという番組が放映されました(youtubeでも見ることができると思います)。その番組中、カシオペアの櫻井さんがこのTRBのプロトタイプと思われるモデルを使っていたのを見たのが、TRB Customとの出会いだったと思います。この番組は今思えば結構凄くて、カシオペアと久保田利伸、土岐英史が参加。番組自体の話をすると、これはこれで長くなってしまいそうなので止めておくことにしまが、動画でカシオペアの演奏を目にする機会に当時はあまり恵まれていなかったこともあり、このようなコンテンツの放映自体が新鮮だったこともありますが、とにもかくにも、櫻井さんの使用楽器が強く印象に残ったのを記憶しています。
さて、その番組中、カシオペアがオリジナル曲「CONJUNCTION」を演奏しています。テレビらしい演出ですが、アコースティック楽器を携えるタキシードを着込んだフォーマルなカシオペアと、エレキ楽器やデジタル楽器を手にするラフに着崩したカシオペアが、画面の左右に別れてセッションをするという企画がありました。櫻井さんはその中で、TRBプロトを使ってベキベキスラップと、見たこともない竿のような楽器(のちにそれがエレクトリックアップライトstud-Bであることを知る)を操り、1人2役で競演しています。
かねてよりYAMAHAユーザーであり、デビュー当時こそFender JB(黒PG、ナチュラル)を使っていたものの、それ以降はずっとBBや同氏オリジナルモデルを使用。そのような流れもあり、このベースも当然YAMAHAであろうと推察。一方、80年代はEMGピックアップが発売、SpectorやSTEINBERGERの台頭もあり、自分自身もBB5000からTUNEのダブルプリアンプ搭載機種に持ち替えた時代、まさにアクティブ全盛。そんな中、パッシブ路線を貫くYAMAHAも本格的にアクティブ路線へ参入するだろうとの憶測ある中で目に(耳に)したTRBの音は、自分にとってはかなり衝撃的でした。
ベキベキというか、ガシガシと表現したほうが良いのかも知れませんが、誤解を恐れずに言えば、従来のパッシブ路線から普通一般的なアクティブを飛び越えて、BBシリーズに代表されるYAMAHAベースサウンドの面影を上手く残しながらもハイパーアクティブとでも言うべきサウンドを確立したような印象です。当時のTRBプロトの詳細specは知る由もありませんが、音を聞く限りに於いては市販モデルTRB Customと全く同系統の音。当時、TUNEが圧電素子をつかったピエゾPUのみを搭載したフレットレスベースを市場に投入していたこともあり、おそらくはピエゾも搭載されていたのではないかと思います。
そんな強い印象を受けたものの、90年代に入り自分も社会人になり、音楽ベッタリの生活からやや距離を置くようになったこともあって、国産ベースとしては破格の値段で市販されたTRBを買おうとは、よもや当時は考えもしませんでした。
時が流れ、仕事やビジネススクールでのハードな日々が落ち着いてバンド活動を再開したとき、自分は迷わずもう1つの心残りであったWARWICK THUMB BASSを手にしました。今でもTHUMBは自分の不動のメインであり続けていますが、TRBへの思いもあったことから、並行して楽器店で現行TRB(輸出仕様の6PⅡ)を試してみますが、どうもしっくりこないという印象を受けたのを覚えています。決して楽器として悪いものではなく、むしろTRBプロトとは異なる、よりオールラウンドな使用に堪えるセッティングを施されたベースであったとの印象ですが、直感的にグッとくる、10年以上前に強い印象を受けたTRBとはどうも別物に感じて、今までずっと手を伸ばさずにいた経緯があります。なのでオークションでTRB CustomやTRB-Sなどを見かけても、凄いなーとは思うものの食指は伸びませんでした。
そんな中、今手元にあるTRB Customを試奏する機会に恵まれ、爪弾いた瞬間、冒頭にご紹介したTV番組を見たときの衝撃が一気に蘇りました。すげー、あのときに聴いた、そのまんまの音だ・・・ 物は試しで試奏させて頂こうと思っただけなのですが、即買。だいぶ前にもお話をさせて頂いたかと思います、自分だけかも知れませんが、人間の「味」と「音」の記憶とは凄いものだなと改めて思いました。
そんなこんなで、TRB Customのご紹介をしようと思ったら前振りだけでこんなに長くなってしまいましたので、本機のご紹介はまた次に譲りたいと思います(汗)
YAMAHA TRB Customなどなど
皆様、またまた大変ご無沙汰をいたしております。重い腰を上げて、近況の御報告などをさせて頂きたいと思います。さて、先般はどこまでお話をしましたっけ?
まあ、よく分からないので、とりあえず現状の機材のご紹介から。
<ベース類>
・'91 WARWICK THUMB BASS TN 6st
・'03 WARWICK THUMB BASS TN 6st Fretless
・YAMAHA TRB Custom
・'79 Musicman Stingray
・YAMAHA BX-5
・ATELIER-Z JINO-4
<アンプ類>
・Aguilar DB750
・epifani T210UL
・SWR workingman's 10
<エフェクター類>
・ZOOM B2
・Roland GR-20
・Digitech WHAMMY WH-1
・BOSS SYB5
・BOSS GEB7
・Raven Labs MDB-1
他にもいろいろとありますが、とりあえずボードに載せているもの。
<その他>
・Roland HPD15(Handsonic)
特徴的なところからご説明を申し上げると、まずはベースですが、不動の地位にあるサムベース2本に加えて、孤高の変態ベースとして未だに根強い人気を誇るYAMAHA TRB Customを入手しました。中学生の頃からのヒーローである櫻井氏の影響による、ずっと欲しくて探していたものの、試奏する機会にすら恵まれなかったのですが、運良く入手する機会に恵まれました。店頭で試奏した際は、思わず笑ってしまうほど、まんま後期カシオペアの櫻井さんの音です。BBシリーズからの流れを汲む新ラインということで登場したTRBと記憶していますが、マホボディを大胆にキルトメイプルで挟んだり、100プライの多層構造ネック(材自体はBBと同じメイプル+マホと思いますが)の採用、BB5000からすると、ここまで広げるかというほど広い弦間ピッチ、あえてエボニーを使わず樹脂を使った指板、ピエゾピックアップ搭載など、バブルの影が思い切り垣間見れるベースです。面白いのが、あの独特のドライでソリッドなエッジの立った音は絶対ピエゾによるものだと思っていたのですが、実はそう
ではなく、ピエゾを完全にoffにしても、基本キャラは全く変わりません。アンプにつながずに弾いても、実は同じカチカチのソリッドな音がします。よって、あのサウンドの源泉は実はあのベースの材構成が紡ぎ出すなのだということを今更ながら知って、ベースって奥が深いなと思ったと同時に、原始的な弦楽器であるベースのますますの可能性に思いを馳せた次第です。
あとはStingray(アルダーでとにかくミッドが出る)等々ありますが、後日時間が許す限り順にご説明をしたいと思います。
エフェクト関係で大きいのは、思い切ってコンプを抜いてしまったことですね。以前はコンプでスラップの味付けをすることを前提としていたので(ツーフィンガーでは基本offです)コンプを抜くことはありえなかったのですが、この遠因はアンプの入れ替えにあります。WALTER WOODSはとにかくタイトで音をそのまま出力する一方、Aguilarはいわゆる「ベースアンプ」であり、Aguilarの味をつけてくれます。コンプ回路ではないのにコンプを通したようなまとまりを感じるということで人気を博しているエフェクターもありますが、Aguilarアンプも、まさにそのような印象です。クリーンでありながら、どこかブンと唸るような感じがあり、音自体ですごいグループ感を出してくれます。なのに、6弦ベースのハイフレットやコード弾きでもキレイな音の分離を見せてくれます。そんなAguilarですので、逆にコンプを入れるとそのAguilarの良さが薄まってしまう部分があり、結局はコンプを外すことにした次第です。
その煽りを受けたのがBOSS GT-10B(笑) マルチではピカイチの秀逸なコンプ機能を誇っていたのですが、コンプをoffった瞬間、ただの大きな置物になってしまい、空間系・モジュレーション系・歪系だけマルチに任せる、ということで元のZOOM B2に戻した、という次第です。
この辺は、機材の組み合わせや相性の妙というのでしょうか、なかなか面白いものです。
あとは、ベースとは直接無関係ですが、アコースティックユニットで、曲によってはベースよりもむしろパーカッションが会ったほうが良いという曲もあったことから、ハンドパーカッションを導入してみました。マジメに取り組むと、パーカッションというのも奥が深い世界で、思わず生コンガとかにも走りそうになってしまいましたが、グッと踏み止まって、何とかベーシストを続けています(笑)
今度は極力あまり間を空けずに個々の機材について細かいご紹介をしていきたいと思います。引き続きよろしくお願いします。
■コンボベースアンプ :SWR workingman's 10 epifani仕様
先日、ヘビー級アンプ、Aguilar DB750を購入したこともあり、アコースティックユニットで小規模なハコでライブを行う場合は、なかなかこのアンプを持ち込むことも出来ないので・・・ ということで、スモールコンボならコレ、と決めていた、SWR workingman's 10を調達いたしました。
物自体はかなり古いもので、おそらく10年近く前のものだと思います。この当時のSWRは、Fender傘下に入る以前であり、チューブ・トランジスタに限らず、品質の良さを高く評価されていた時代(その職人気質故に、会社の経営・運営という面では苦しい事情もあったのではと推察しますが)。その時代のものを探していたということもあり、なかなか玉がなく、だいぶ時間がかかってしまいましたが、ようやく手に入れることが出来ました。
スペックはこんな感じ。スピーカー:10"×1、ピエゾ・ツィーター×1、サイズ : W413 × D356 × H368 mm、重量 : 14.1kg、コントロール:マスターボリューム、ベース、ミッドレンジ、トレブル、オーラル・エンハンサー、3ウェイ・セレクター・スイッチ(Full Range、Headphone、Horn Off)、チューナー・アウト、エクステンション・スピーカー・アウト(8オーム)、ヘッドフォン・アウト、エフェクトセンド・リターン。
いわゆる10インチスピーカーキャビのサイズで、とても取り回しのしやすいサイズにもかかわらず、アコースティックユニットでのライブを想定すると十分な80wの出力。12インチコンボを探すと結構あるのですが、10インチサイズ(大き過ぎてもいけないし、逆に小さ過ぎても量感が出ない)で、このパワーのもの探すと、実はなかなかない。そういう意味で、自分にとってこのコンボはとても貴重な存在。加えて、SWRのお家芸、Aural Enhancerがついているのも大変魅力的。
ということで、オリジナルのままでも十分に存在価値のあるコンボアンプなのですが、実は、入手したら是非トライしたいと思っていたことがありました。それは、スピーカー交換。SWRスピーカーは、個人的には、中域に谷があり、ドンシャリ傾向の割には、トップはカリカリするくらい出るが、ボトムは浅い、という印象があります(性能の問題ではなく、仕様の好みに関わることと理解しています)。従い、このコンボの潜在能力を自分の好みの方向に最大限引き出すためには、是非スピーカーを交換してみたい、と思っていました。で、交換してみたいスピーカーとしてストックしてあったのが、epifaniの非ウルトラライトの10インチ・8オームのスピーカー。
ということで早速交換作業をしました。半田付け等の面倒な作業は一切不要。ドライバー1本でできます。アンプのグリルを外して、4本のボルトで止められているスピーカーを外し、2本のコネクターをオリジナルスピーカーから抜いて、epifaniのスピーカー端子に差すだけ。あとは、スピーカーをネジ止めし直し、グリルを付け直して終わり。5分で完了(笑)
で、スピーカー交換の効果ですが、正直、自分の思った以上の仕上がりです。スピーカー1つ換えるだけで、ここまで劇的に音が変わるものか、と思いました。それもそのはず、ですが、workingman's 10のサイズは、epifani 110ULと比較すると、workingman's 10の方が横幅が3cm弱短いだけで、それ以外はほぼ同サイズ。しかも完全密閉ではなく、フロントローディング型バスレフと、スモールキャビとして至れり尽くせりの仕様。SWRアンプ部の素性の良さもあると思いますが、とにかく圧巻のワイドレンジ。ナチュラルで、低域に深みがあり、高域は出過ぎるくらい出ます。出ないものはどうがんばっても出ませんが、出過ぎるものは削れば良いので問題なし。そうは言っても、量産品であることもあり、オペアンプの問題なのか、ややトップエンドのノイズが目立ちますが、音出ししてしまえば目立ちません。見た目の風貌も堂々としていい感じです。Aguilarと上手く使い分けが出来そうです。
■ベースアンプ :Aguilar DB750
先日、新しいアンプを手にしました。Aguilar DB750。4本の真空管を使用するプリアンプセクションと、MOSFETによるパワーアンプセクションによるハイブリッドタイプのアンプです。元々自分は真空管搭載の機材が好きであることもあり、ブログの前段を読むとお分かりと思いますが、この2年ほど使っているWALTER WOODS M-300を使い始める前は、同じくAguilarのフルチューブアンプ(プリもパワーも真空管)、DB359を使っていました。ただ、重さ(ケース込みで34kg・・・、まあ、このDB750も大して変わりませんが)と、ハンドリングの難しさ(フルチューブ故のメンテ面での神経質さ)により、継続使用を断念し、WWにスイッチした経緯があります。
そんな訳で、この2年程は全く不満を持つこともなく、むしろ今でもとても気に入ってこのWW M-300を使っていますが、ふとしたキッカケ(これは、いつも通り都合よく「運命」ということで理解をしています)があり、DB750を改めて使うことにいたしました。
ふとしたキッカケといっても、素直に申し上げれば、1つはとても単純なお話しなのですが、年初に観た櫻井哲夫さんとJINOさんのユニット"TETSUJINO"のライブで、お二人ともこのAguilar DB750を使っておられて、とにかく抜群に艶やかでパワーのあるお二人のサウンドに痺れてしまった、というものです。もちろんベースサウンドはアンプのみならず、むしろ決定的にベース本体がそのキャラクターを左右するものですが、MOTION BLUE YOKOHAMAという小さいハコで、櫻井さんのFODERAと、JINOさんのAtelier-Zという、ある意味、生音のキャラクターを想像しやすい2本のベースサウンドを、いずれも物凄く艶やかに再生するこのアンプの再生能力を目の当たりにし、是非自分も、と思ってしまった次第です(笑)
もう1つのキッカケは、そんな思いを持つに至ったタイミングと同じくして、現在のAGUILAR輸入代理店であるKORGによる正規フルOHを経たピカピカのDB750中古品を手に入れる機会に恵まれたこともあり、眠っていた真空管へのこだわりに火がつき、購入してしまった次第です。以前使っていたDB359と比べると、フルチューブではなく、プリのみが真空管×4本、パワーアンプはトランジスタ(とは言え、かなり絶品のMOSFETで、何よりも長時間使用でも、とにかく動作が安定している)という、極めて合理的なアーキテクチャー、DB359の重量:約34kg、出力:200wに対して、重量:20kg(裸で、ですが)、出力:750w(@4オーム、2オームだとなんと975w)と、出力/重量レシオで言っても、かなりのアドバンテージがあります。
探しているものは、目に付きやすいというか、なぜか普段はあまり立ち寄らない楽器店に行って、新品でも滅多に見ることのないレアなDB750が、入手しやすい中古で、しかも無料でOHしてくれるというのですから、面白いものです。OH自体は、真空管やその他の部品交換等もあり1ヶ月強かかってしまいましたが、その分、OH明けでの試奏はすごくワクワクしました。
店頭で、試奏用に於いてあるボロボロの廉価JBタイプのバッシブベースで試しましたが(スピーカーは幸いSWR GOLIATHの10インチ×4)、結果は想像を上回るものでした。それこそ、その廉価JBの良いところも悪いところも、明瞭に白日の下に晒し出す印象です。弦がヘタっていてボソボソと鳴るものの、年季が入って使い倒されているせいか、ボディ・ネックが絶妙な枯れ感を醸し出していて、しっかりと鳴ってくれます。また、真空管のおいしいポイントを良く分かってる設計というのでしょうか、クリーンサウンドにしても、ちょっとオーバードライブさせた状態にしても、ゴリっとした適度な芯を残しつつも、真空管らしい、本当にとてもクリーミーな音で、カタログ標記の謳い文句が決してオーバーでは無いことを実感させられます。また、クリーミーなだけではなく、スラップをした際のパキンとしたクリスピーなドライブ感も持ち合わせていて、全ての要素が絶妙なバランスの上に成り立っている、そんなアンプです。
イコライザーの仕様は、DB359のフェンダーアンプ系のバッシブタイプとは違い、基本はセンタークリックのない、アクティブタイプと見受けられます(チューブシェルビングとありますが)。それにbright switchとdeep switchがあり、ブライトの方がパッシブ(onで生音)、ディープはアクティブ(offで生音)のようです。Walter Woodsアンプと並列で鳴らしながら確認をしていくと、highとmidをわずかに持ち上げ、bassフラット、bright switchをon、deepをoff、のセッティングがフラット状態。これを基本として、midをもうちょっと足してあげて、gainをやや高めにしてあげると、真空管らしい、というか、おそらくAguilarが設計上意図したであろう「Aguilarらしさ」に、体全体が包まれます。epifani T210ULとの相性もよく、音像がぼやけることも全くありません。
家で、調子に乗って結構デカい音を出していたら、かみさんに「うるさい」と言われてしまいましたが、やはりチューブアンプはある程度デカい音で鳴らしてナンボ。そういう意味では、2オーム約1000w、というとんでもないパワーは、家での使用においてはややフラストレーションを蓄積させる要因になります。また、その大パワーに振ったセッティングのせいか、ボリュームを絞っても、高めに設定しても、ほとんどレベルが変わらないノイズ(許容範囲内ですが)、それに、Bカーブなんでしょうか、小音量のボリューム調節がやたらと難しく、ちょっと手元が狂っただけでとんでもない大音量で鳴ってしまうボリュームノブが悩みのタネ(gainを下げればよいのですが、それだとドライブしないですからね)。元々、小音量で鳴らすことを想定していないシロモノだと思うので、しょうがないですが。自動車教習所で600psオーバーのレーシングマシンを与えれたような、クラッチすらつなげられないという・・・(笑) でも、このアンプ、全体的にはとても使いやすく、大満足です。質の良いシールドケーブル1本でダイレクトイン、というシチュエーションがよく似合う、「ベース」アンプ。サムベースやAtelier-Z #245+を、MOGAMIやBELDENのケーブルでアンプ直、たまりません(笑)
■久々ですが、いきなり ~ Atelier-Z M#245+(plus)
皆さま、本当にご無沙汰をいたしております。
昨年の春に仕事が変わり、それ以来、以前にも増してどっぷりと仕事に浸かる日々を過ごしておりました。今でも、その状況自体はそれ程変わらないのですが、精神的に余裕ができたというか、まあ、これ以上楽になることはないし、このままではブログが終わってしまう、という思い、あとは、2008~2009年にかけて、結構機材が入れ替わった、あるいは入れ替わりつつある近況です。1つ1つご報告をしたいと思いますが、まずは、ベース本体から。
従来通り、'91 WARWICK THUMB BASS 6st、'03 THUMB BASS 6st Fretlessがメインに鎮座する状態に変わりありませんが、練習用にコインロッカーに入るコンパクトなベースということで、かねてより名機YAMAHA BX-5(初期の日本製)が仲間入りしたことに加え、このブログのコンセプトからするとイメージしにくいかも知れませんが、経緯があって、Atelier-Z M#245+(plus)という、'70s JBスタイルの青木智仁さんのシグネチャーモデルに、J+H+Jという3ピックアップを搭載したモデルを最近購入しました。これは一部楽器店さんのショップオーダー的なモデルという建付けで作られているもののようですが、limited modelという但書は付いているものの、カタログにも掲載されています。
4弦ベースについては、やはり自分のメインが6弦であり4弦は使途がないという理由から、THUMB BASS b.o.、同'89スルーネック、'76 Fender JB、'79 Musicman Stingray等、一度全て手放した経緯があります。それにも拘らず、4弦のAtelier-Zを選択しました。基準は、理性ではなく、感性に従った結果、と説明すれば良いでしょうか。そんなところです。
2月1日、第18回東京ベイ浦安シティマラソンに参加、21.1kmを走ったのち(タイムはあまり芳しくはなかったのですが、まあ及第点・・・汗)、11歳になり、いろいろと分かり難いことも多くなっている一番上の息子を連れ出すという名目で、MOTION BLUE YOKOHAMAに行ってまいりました。演目は、櫻井哲夫×日野賢二=TETSUJINOライブ。
一義的な自分のお目当ては、当然のことながら往年のヒーロー、櫻井哲夫さんのプレイを間近で観ること。午前中にハーフマラソン出場後、一旦家に帰って息子をピックアップして横浜へ、という強行軍でしたので、会場入りが少し遅くなり、前から2列目の好ポジションだったものの、櫻井さんからは一番遠い場所。まあ、それでも5mも離れていないので、まあ言いか、と言う具合で、開演を待ちます。
最初にサンプリングパターンが流れ、drとkeyが入場し、しばらくすると櫻井さんとJINOさんがベースをもってステージに上がります。櫻井さんは、いつものFodera Emperor、JINOさんは自身のシグネチャーモデル、赤いAtelier-Z JINO-4を担いでの登場。客席が多いに湧きます。
1曲目から、スラップ応酬ベースバトル。櫻井さんは、いつも通り、Fender系の腰のある枯れた感じのベーシックなサウンドにちょっとだけハイファイさを加えたような感じの音。一方、JINOさんのサウンドは、僕の今までの国産ベースの概念を完全に覆すものでした。WARWICK、FODERA、ROSCOE等、今までYAMAHA以外はほとんど国産ベースを触ったことがないのですが、「こんなベースを作ってるんだAtelier-Zは・・・」と思い、聞き惚れてしまいました。もちろん、JINOさんのなんとも言えない歌うようなフレージングの洪水にやられたこともありますが・・・
いずれにしても、そんなこんなで、すっかりAtelier-Zのベースが欲しくなり、居ても立っても居られない状態に。ライブの翌日、早速楽器店へ。さすがにシグネチャーモデルを持つというのは若干照れる部分もあり、ほぼ同仕様のショップカスタムモデル、Atelier-Z M#265+という5弦モデルを持って試奏室に(M#を冠するMagnitudeシリーズも、元々は青木智仁さんのシグネチャーモデルではありますが、素性の良さから、もはやAtelierのスタンダード化していることもあり、これを選択)。
・・・ なんかちょっと違うな。やっぱりシグネチャーモデルトンズバじゃないとあの音は出ないのかな?色違いの別の5弦モデルを持って、また試奏。うーん、やっぱり違う。4弦はどうなんだろう、と持って、全く買う気がなかった4弦モデルのM#245+を持って音出しをしたところ、「これだ!!!」と思った。結局2時間くらい試奏室を占拠して、5弦/4弦をとっかえひっかえ。アクティブ/パッシブの切り替えも行いながら、差は明らかなのですが、これが5弦/4弦の差によるものなのか、あるいは、個体差によるものなのか、お店の人と話をした限りにおいては「個体差ではないだろうか」との結論に至りましたが、結局原因不明のわからず仕舞いでしたが、少なくとも目の前にあるこのM#245+が最高の音を出すことだけはしっかりと確認、多弦でないことのデメリットをカバーして余りある音だったので、後先考えずに即ご購入。いやー、4弦買うなんて思いもしなかった。
家に帰って違う環境で弾いても、やっぱりあのつややかで歌うように主張するサウンドに変わりはなく、良い買い物をした、と思った次第です。ちなみに後日、別の店で同モデルを試奏した際、必ずしもしっくりこなかったということもあり、やはり個体差なのかな、と今でも思っています。
あと、このM#245+の最大のポイントは通常のアクティブJBの音と、いわゆるStingray、しかも最近のものではなく、ヴィンテージに近い印象のStingrayサウンドを、非常に高いレベルで同時に実現している点。中途半端なところは微塵もなく、JBサウンドとStingrayサウンドを別々に評価しても、文句なしの最高レベルの音を実現しています。もちろんeqのセッティングはおいしいポイントがそれぞれに違うのでスイッチ1つで瞬時に、というわけには行きませんが、それでも、同時にこの2つの音が出せる、というメリットは、JBサウンドもStingrayサウンドも大好きな自分にとっては、極めて魅力的。
また、もう1つさすがだな、と思うのは、その優れたセッティングの妙です。'70s JBスタイルをとりつつ、トコトン高いプレイアビリティ、かなり弦高を下げても、精度の悪さにによるビリ付きなどといった不具合は皆無で、日本製らしい精度の高い仕上げはさすが。フレット処理なども、一部高級を謳う海外メーカーにお見せしたいと思う丁寧な仕上げです。改めて、made in japanの底力を目の当たりにした感じです。
そんなことで、手に入れたこのAtelier-Z M#245+、最近はこの4弦でバンド曲の練習もしています。つまり、今まで6弦でやっていたこと、あるいは6弦でしかできないと思っていたことを、4弦でやってみようか、という思いで練習をしています。上手く使い分けられれば良いな、なんて思っています。