■dbx MC6 Mini-Comp | ベーシストとエフェクター

■dbx MC6 Mini-Comp

先週の3連休の初日、天気が悪かったこともあり、家族のケア(?)も終えた夜、自室で機材整理をしました。カード一括払いで買った'79 StingRayの引き落としが迫っていて、そのために底をつきそうな自身の「機材ファンド」を少しでも潤わせる意味も・・・


その際、最近あまり使っていなかった dbx MC6 を箱から引っ張り出して、久しぶりにサウンドチェックをしてみました。裏に「96-mar」と印字されており、もう10年選手かーと思いつつ、そういえばこの中身って見たことなかったなとふと思い、まずはいきなり解剖(笑)


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ご覧の通り、このコンプは基盤が2段重になっています。そういえば世界初のコンパクトディジタルリバーブとして世に出たBOSS RV2もあの筐体にむりやり基盤2段重ねだったなーと思いつつよく見ると、上下の基盤は3ヶ所のコネクタで接続されていて、軽く持ち上げると簡単に上部の基盤がはずれます。これが、上の基盤を外した状態。


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最近のコンパクト系のアナログコンプと比較すると、まあまあ回路長い部類に入るでしょう。特徴的なのは、昨今の少ない部品点数でディスクリート回路を作り上げているハイエンド系のコンパクトコンプとは対極にある、ICを多用(サウンドに関係する基幹部品としては、多分2個ほどですが)している点。完全にノンディスクリートの世界ですが、もともと想定されている用途が異なるでしょうし、これはこれですごく美しく、個人的には機能美を感じるデザイン。ちゃちな真っ黒のプラ筐体で覆い隠してしまうのがもったいないくらい。透明プラ筐体なんかで再販すれば、結構売れるかも知れません。


で、目的は外観チェックではなくサウンドチェックなので、早々にフタを閉じて音出し。最初にびっくりしたのが、圧倒的なノイズの少なさ。直近ではkeeley compTLA-50を使っていて、これらとの比較になりますが、ローノイズと言われるkeeleyと比較しても、驚異的にノイズが少ないです。リアルチューブのTLA-50とは比べるまでもありません。思い切り極端なセッティング(アタックべたべた、スレッショルド下げ下げ、レシオぱんぱん)にしても、バイパス時と比較して聴感上ノイズ増加をほとんど感じさせません。


久しぶりに味わう音は、相変わらず健在なdbxサウンドです。アタック立て気味が好きな自分ですが、このMC6はアタックの可変領域に特徴があり、アタックノブを左端に目一杯(最短)にすると、聴感でいうといわゆるリミッター的な効き方になりますが、ちょっとでもアタックノブを右側にスライドさせてアタックタイムを伸ばしてあげると、ベースらしいアタックが瞬間的に、しかもあまり鋭角的にならずにちゃんと残りつつ、中低域がやや強調されたdbx特有のコンプレッションがかかります。これに、いわゆるソフトニーを演出してくれるovereasyをon、スレッショルドを気持ち高めに設定、レシオを中間よりやや高めにセットすると、まんまあのEBS multicompサウンドを再現できます。なるほど、multicompはこういうところを狙ってたのねと思う一方、dbx、EBSともに巨匠MARCUSに愛されたことに合点が行きます。


他方、EBS multicompはスレッショルド、レシオ、アタック、リリースを全て1つのコンプレッションノブで操作するセミプリセットスタイルですが、dbx MC6は、これらのパラメータを全て個別に操作できます(さらにアタック・リリースを160Xと同様にautoモードにすることも可能で、この点では兄貴分160Xよりも優秀だと思う)。よりナチュラルなコンプレッションにするために、レシオをちょっと下げて、アタックをもう少し遅らせ、リリースは反対にもう少し早めると、multicompのような迫力のあるダイナミック感を残しつつ、ラックコンプっぽいナチュラルさも表現できます。


現在ボードに組み込んでいるsummit audio TLA-50のリアルチューブのナチュラルさが良い音であることは当たり前として、典型的なdbxサウンド、しかもこのMC6の器用さはなかなか捨てがたいものがあり、改めて非常に高く再評価した次第。コンプに限らず、楽器って価格じゃないと改めて痛感。しばらくはMC6もしまい込まずに引っ張り出しておくことにしました。