■ALTER EGO Baby Ego Ballade | ベーシストとエフェクター

■ALTER EGO Baby Ego Ballade

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さて、一時期はだいぶ落ち着きを見せていた楽器ラインアップですが、何がキッカケという訳でもないのですが、一部で大きな入れ替えをしました。現在はこんな感じになっています。


6st fretted : STATUS STEALTH-2 headless w/Roland GK-3B
6st fretless : WARWICK THUMB BASS FL w/Roland GK-3B
4st : Fender JAZZ BASS '76、Musicman StingRay '79
upright   : ALTER EGO Baby Ego


まだご紹介していないのは ALTER EGO Baby Ego Ballade。Baby Egoの前に自分が使っていたものは、ざっとあげると、Stud-B → CHAKI SB-1+Schertler → NS CR4 → YAMAHA SLB200、そして、このBaby Egoに至ります。


それぞれに個性のある楽器で、SLB200は以前にもご紹介した通り、サウンド・演奏性・価格等、様々な要素をとても高いレベルで満足させる、さすがYAMAHAという感じです。以前の自分のコメントを引用すると ・・・サウンドはスゴくいい、というほどではないとは思いますが、評判通り、なかなかのもので、充分満足できるものです。とても素直な出音で、特徴がないといえば悪く聞こえますが、妙なクセがなく、逆にどんなジャンルでも使いやすい・・・ と書いています。このインプレからも分かりますが、ヘンなクセがない反面、個性と艶に若干欠けるというのも事実。具体的に言うと、ある意味ウッドの一番美味しい部分、高音弦・ハイポジションの出音に若干硬さがあり、良くいうととても洗練された音ですが、ウッド特有の柔らかさ、艶やかさが若干足りない、ということになります。これはこれで、アンサンブルに入ると、類稀なマッチングを見せるので必ずしもウィークポイントとは言えませんが、やはり、この音域を使ってソロをとったり、ちょっとしたオブリガードを入れようとしたときのインパクトや美しさに欠ける印象は否めません。


そこで、このBaby Egoです。大げさに言えば、目を閉じて弾くと、本当のマイク付きのウッドベースを弾いているような感覚に陥ります。弦(多分、スピロコア・ミッテル)のせいか若干エアー感が足りない気もしますが、音の質感はまんまウッドです。メイプルのソリッドボディに、独自の合成素材の指板0(これが結構良い)から、良くこういう音を出すなと思います。弦高調整も、駒の高さを変えるのではなく、六角レンチ1本で、ネックの仕込み角度を変えることによって調整をする仕組みで、とても楽にセッティングを出すことができます。弓と指の演奏スタイルに応じて弦高を本番中に変えたい、なんて芸当も、この機構ならできます。ピックアップはピエゾを2機搭載していて、弓と指のいずれもバランスよく出力できるようになっています。NSアップライトのPolar PUと考え方は同じだと思います。音は、完全にウッド指向で、エレアプに良くあるフレットレスエレキに通ずるような質感は皆無です。逆に言うと、その部分で好みが別れるかも知れませんね。フレットレスエレキはフレットレスエレキ、エレアプはエレアプと使い分けるのであれば、このBaby Egoはかなりコストパフォーマンスが高いアップライトだと思います。


ただ、欠点(というか、これも個性?)もいくつか。ITALYらしいと言えばそれまでですが、まずは仕上げの悪さ。総論で言えばデザインもキレイにまとまってるし、ボディの精度も高いのですが、多少のエクボやスレなんかは気にせずに、そのまま上から塗装をしています。また、塗装ムラや、ご丁寧にハケの抜け毛まで入ってたりして、いかにも手作りという雰囲気が漂ってます。


次に、扱いを誤ると構造的に傷がついてしまう点。2つあるのですが、1つはサポートフレーム。フレームをボディに取り付けた際に、フレームが動かないようにするために、ボディ側にサンドペーパーのようなモノが貼られているため、フレームの取り付け部分付近の裏は傷だらけ。2つ目は、エンドピン。座位で弾こうとして、不用意にエンドピンを短くしすぎると、仕込み角度のせいで、エンドピンのお尻がボディを削ぐようにに鋭角に刺さる、うれしい構造になってます。


最後にもう1つ、指板アールと駒アールがぜんぜん違う。通常、コントラバスは弓での演奏を考慮して、左右非対称の造形になっています。Baby Egoは、それ用の駒をそのままつけてあります。駒そのものはmade in franceのちゃんとしたもの。一方、指板はいわゆる左右対称のカマボコ型(YAMAHA SLB200もそうです)。だから、このままだと1弦側はビビリまくるけど、依然低音弦は弦高が高すぎて弾きにくい、という事態が発生します。ということで、やむを得ず手間隙かけて駒を加工しました。


まあ、クルマを例にとると、交換頻度が比較的高いファンベルトのど真ん中をドライブシャフトが貫通してるために、ベルト交換のためだけにエンジンを下ろさないといけないようなクルマを平気で作るお国柄ですから、サウンド・デザイン・演奏性以外のことで文句を言ってはいけないんでしょうね。そんな欠点もふくめて、このBaby Egoはかわいいです(笑)