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子どものアトピー性皮膚炎治療、スキンケアなどについての正しい知識を、わかりやすくまとめています。

アミノ酸系界面活性剤一覧……成分表示でみるには?


こんにちは。橋本です。


ボディーソープには、洗浄成分として、高級脂肪酸塩界面活性剤が、よく配合されています。


高級脂肪酸塩(こうきゅう・しぼうさんえん)というのは、一般的にいう、石鹸です。


石鹸だけを洗浄成分にしているボディーソープも多いですが。


そのほかにラウレス硫酸ナトリウムなどといった、高級アルコール系界面活性剤を合わせて配合しているものもあります。


どこでも売っている、売り場でもメインで大量販売されているボディーソープは、


石鹸のみ

石鹸高級アルコール系界面活性剤


じつは、この2つのタイプで、ほとんどが占められているんですね。


アミノ酸系界面活性剤


で、これらとは別に、肌にとってより低刺激な洗浄成分を使ったものも、ごく一部にあります。


低刺激な洗浄成分というのは、アミノ酸系界面活性剤といわれるものです。


低刺激であるがゆえに、赤ちゃん用のボディーソープでは、普及が進んでいます。


アミノ酸系界面活性剤ってなんだよ?という方は、以下の記事を読んでみてくださいね。


  ⇒ 「アミノ酸系界面活性剤」ってなに?


じゃあ、実際のアミノ酸系界面活性剤には、どんなものがあるのか?


アミノ酸系界面活性剤として、ボディーソープのパッケージに成分表示されるものには、かなりたくさんの種類があります。


以下にざっと種類を並べます。


実際の表示名を探したい方は、この中から見つけてくださいね。


ただ普通だと、名前の一覧を見ても、何がなんだかわかりません。


なので、成分名の読み方、見かたについても、少し解説したいと思います。


 


アミノ酸系界面活性剤一覧


アミノ酸系界面活性剤を、原料にするアミノ酸の種類でわけると、次のようになります。


 


グルタミン酸系

基本構造

アシルグルタミン酸塩

略称

AGS

表示名

ココイルグルタミン酸Na, ココイルグルタミン酸TEA, ラウロイルグルタミン酸Na, ラウロイルグルタミン酸Na(N-ラウロイル-L-グルタミン酸Na), ラウロイルグルタミン酸TEA,水添タロウグルタミン酸Na, ミリストイルグルタミン酸Na, ステアロイルグルタミン酸Naなど


リン酸系

基本構造

モノアルキルリン酸塩

略称

MAP

表示名

モノアルキルフォスフェイト, ラウリルリン酸Naなど


イセチオン酸系

基本構造

アシルイセチオン酸塩

略称

SCI

表示名

ココイルイセチオン酸Naなど


タウリン系

基本構造

アシルメチルタウリン塩

略称

AMT

表示名

ココイルメチルタウリンNa, ココイルメチルタウリンK, ココイルメチルタウリンMg, ラウロイルメチルタウリンNa, ステアロイルメチルタウリンNa, ミリストイルメチルタウリンNa, オレオイルメチルタウリンNa, パルミトイルメチルタウリンNa, ココイルタウリンNaなど


アラニン系

基本構造

アシルメチルアラニン塩

略称

LBA

表示名

ココイルメチルアラニンNa, ラウロイルメチルアラニンNa, ラウロイルメチルアラニンTEA, ココイルアラニンTEA, ミリストイルメチルアラニンNaなど


グリシン系

基本構造

アシルグリシン塩

略称

-

表示名

ココイルグリシンNa, ココイルグリシンK, ココイルグリシンTEAなど


サルコシン系

基本構造

アシルサルコシン塩

略称

-

表示名

ココイルサルコシンNa, ココイルサルコシンK, ココイルサルコシンTEA, ラウロイルサルコシンNa, ラウロイルサルコシンK, ラウロイルサルコシンTEA, ミリストイルサルコシンNaなど


 


ボディーソープの全成分表示は、読みにくい


ボディーソープなどを含めた化粧品類は、2001年4月、全成分表示が義務付けされて以降、誰でも中身の成分がすべてわかるようになりました。


製品にどんな成分を使っているか、商品パッケージの裏面を見れば、まるわかりというわけですね。


だだ、これには問題点もあって、細かい字でズラズラっと成分が表示されていても、何がどんな成分だか、よくわからないという面もあるのです。


それは、アミノ酸系界面活性剤についても同じで、どれがアミノ酸系界面活性剤だか、よくわかんないです。


そこで、アミノ酸系界面活性剤の成分表示の読み方について、少しだけ解説を加えてみたいと思います。


アミノ酸系界面活性剤:成分表示1


アミノ酸系界面活性剤:成分表示2


 


アミノ酸系界面活性剤:成分名の読み方、見かた


アミノ酸系界面活性剤は、


脂肪酸とアミノ酸を反応させる

     ↓

アルカリ(水酸化ナトリウムなど)で中和させる


おもに、このような過程で作られます。


そのため、基本的なアミノ酸系界面活性剤は、


脂肪酸アミノ酸アルカリ塩


となっています。


構造:アミノ酸系界面活性剤

アミノ酸系界面活性剤の構造



 


塩、アルカリとは何か?


上の「アミノ酸系界面活性剤一覧表」の基本構造に、塩(えん)というのがあるかと思います。


この塩(えん)というのは、一般的にいう塩(しお)ではなく、酸をアルカリで中和させたものを意味しています。


具体的にアミノ酸系界面活性剤として中和される塩(えん)は、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、さらにはトリエタノールアミン(TEA)などです。


 


アミノ酸系界面活性剤に使われる脂肪酸


動物からとった脂、植物からとった油。


そこからグリセリンを取り除くとできるのが、脂肪酸です。


上の一覧をザッとみてもわかるように、アミノ酸系界面活性剤の表示名は、「ココイル」と、頭につくものが多いです。


わかりやすくいうと、「ココイル」というのは、「ココナッツ油(ヤシ油)から取り出した脂肪酸を使ったもの」という意味なんですね。


なので、表示名がココイルではなくて、


ヤシ脂肪酸(ヤシ油脂肪酸)


となっているものもあります。


さらには、脂肪酸として、アブラヤシの油を使った


パーム脂肪酸(パーム油脂肪酸)


のアミノ酸系界面活性剤もあります。


また、ヤシ油脂肪酸は、脂肪酸のうちわけが、ラウリン酸(約50%)、ミリスチン酸(約15~20%)、パルミチン酸(約10%)となっているのですが。


このうちの、単独の脂肪酸を使ったようなタイプの場合。たえば、


ラウロイル


が表示名の頭につくのなら、脂肪酸としてラウリン酸を使っていて、


ミリストイル


なら、脂肪酸としてミリスチン酸を使っている、


パルミトイル


なら、脂肪酸としてパルミチン酸を使っている、というような感じになります。


 


アミノ酸系界面活性剤は天然由来


ここまでみてわかるとおり、アミノ酸系界面活性剤の原料は、すべて天然のものでまかなえます。


脂肪酸は、ココナッツやアブラヤシ。


アミノ酸は、サトウキビを原料に、微生物を使って発酵(はっこう)させる、いわゆるバイオ技術で作ります。


これは、「味の素」の調味料でもおなじみですよね。


そして中和させるアルカリとなるナトリウムなども、塩(しお)から作ることができます。


消費者への受け入れやすさも考えて、アミノ酸系界面活性剤は、天然由来を基本に作られています。


 


 


 


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火に油を注いでいないか?


こんにちは。橋本です。


「ステロイド外用薬をきちんと塗っているのに良くならない」


「ステロイド外用薬が、なんだか前より効かなくなってきたような・・・」


こういったことを感じるときが、どきどきあります。


ステロイドが効かないと感じるのには、いくつかの原因が考えられるのですが。


そのひとつが、「火に油を注いでいる状態になっていないか?」ということです。


アトピー:皮膚の炎症


 


ステロイド外用薬は効くのか?効かないのか?


ステロイド外用薬には、皮膚の炎症をおさえる力があります。


効果・効能では、抗炎症作用(こう・えんしょうさよう)といわれるものですね。


抗炎症作用があるといわれる薬は、植物、食品まで含めると、数限りなくあります。


その中でも、ステロイド外用薬の持つ抗炎症作用は、ただ単に、経験やフィーリングから、「抗炎症作用がありますよー」といっているわけではありません。


もっともらしい説明、メカニズム、理屈をつけて、「だから皮膚の炎症がおさえられます」といっているわけでもありません。


ステロイド外用薬が、皮膚の炎症をおさえる。アトピーの症状を良くする。


それは、薬の効果を厳密にみる方法、ランダム化比較試験というものを、いくつも積み重ねることによって、あきらかになってきたことなんですね。


 


消火活動にたとえると


で、このステロイド外用薬が皮膚の炎症をおさえる作用。


よく「消火活動」なんかに、例えたりします。


アトピーの症状がひどくなっている肌では、炎症がおきている。


つまり、火が燃え盛っているわけですね。


その炎症によって、湿疹強いかゆみがおきてしまう、というのがアトピーを治療する上での大きな問題です。


火が燃え盛っている湿疹。


そこにステロイド外用薬を適切に塗ってあげれば、火が弱まってくる。


きちんと塗り続ければ、うまく火が消えてくれる、かゆみもおさまってくれるわけですね。


だからこそ、「火がきちんと消えるまで塗る」ということも大事です。


にもかかわらず。


火がくすぶっている状態で、「ああ、良くなってきた」と気を許して、すぐに薬を止めてしまう、というケースも実際にはよくありがち。


火がまだ、くすぶっている状態で、薬を塗るのを止めてしまうと、カンタンに湿疹がぶり返すことも多々あります。


症状に合わせたステロイド外用薬を処方してもらう。


そして、火がきっちり消えるまで、十分な期間塗る。


こういった消火活動をきっちりおこなうためにも、診察でのお医者さんとのコミュニケーションが、やはり大切になってくるわけですね。


ただ、お医者さんに言われたとおり、適切にステロイド外用薬を塗っても、なかなか症状が良くならないというケースもあります。


原因はいくつか考えられますが、ひとつが「火に油を注いでいる状態」になっているかもしれない、ということです。


ステロイド:皮膚の炎症をおさえる


 


「火に油を注いでいる状態」とは?


アトピーの治療中でいう「火に油を注いでいる状態」とは、悪化因子(あっかいんし)を放置している状態です。


アトピーは、アレルゲン、刺激、ストレス、ほかの様々な要因で悪化します。


いくら、ステロイドで皮膚の炎症を、適切におさえていても、こういった悪化因子が降り注ぐ状態であれば、まるでステロイドが効いてないように見える。


それが、「火に油を注いでいる状態」です。


 


お医者さんには見えないものだから


しかしながら、診察では、お医者さんは患者さんの生活状況、実際のおうちをのぞくわけにはいきません。


あくまでも、問診のやりとりで想像するしかないわけです。


それでは、現実を把握するには限界がありますよね。


残念ながら、お医者さんには、患者さんが、


どれだけ悪化因子に囲まれた生活をしているか?

どれだけ悪化因子を減らせているか?


実際には、目にすることができないのです。


しかも、何がアレルゲンになっているか、何が刺激になっているか。


こういったことは人によって大きく違う場合もあるし、多くの人は悪化因子が複数に渡ります。


そのため、何かひとつ、悪化原因をなくしたからといって、劇的にアトピーが良くなることが少ないのが、実際のところです。


「これが悪化原因だ」とはっきり特定させるのが難しいものもあります。


だからこそ、生活の負担にならない範囲で、悪化因子を取り除いていくということが大切になってきます。


身の回りにアレルゲンがないか?

日常生活で刺激を与えていないか?


たとえば、「かくこと」「ストレス」などに対しても、できる範囲でケアしていく。


そういったことも、ステロイド外用薬を使う上では、必要なことなんですね。


ただ単に薬を使うだけでもダメ。


必死になってアレルゲンを取り除くだけでもダメ。


スキンケアだけ頑張ってもダメ。


それぞれのケアをほどよいバランスで、根気強く続けるという、ごく当たり前の治療がやはり基本です。


「ステロイド外用薬をきちんと塗っているのに良くならない」


「ステロイド外用薬が、なんだか前より効かなくなってきたような・・・」


そう感じるときには、ぜひもう一度冷静になって、「火に油を注いでいる状態になっていないか?」ということも思い出してくださいね。


「あれがアトピーの原因に違いない」「これで悪化してたんだ、きっと」


そんな過度な思い込みをしないように、普段の生活を冷静になって過ごしていると、見えてくる悪化因子があるかもしれません。


 


 


 


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Chicago - Saturday In The Park


こんにちは。橋本です。


今日は、Chicago(シカゴ)の曲、『Saturday In The Park(サタデイ・イン・ザ・パーク)』を紹介します。


chicago-saturday_in_the_park


 


Chicago(シカゴ)


シカゴ(Chicago)は、アメリカ・イリノイ州シカゴの大学生が中心になって、1967年に結成されたロックバンド。


現在の活動拠点は、ロサンゼルス。


Chicago最大の特徴は、ブラス隊(金管楽器奏者)がいること。


絶妙な押し引きを心得たトロンボーン、トランペットなどの音色、アレンジが、Chicago全体の雰囲気を決定づけている。


バンド初期は、ソウル、ファンクといった音楽を骨組みとした、ゴツゴツした肌触りのロックを前面に押し出していた。


しかし、その後、耳にスムーズに入りやすい、ポップなメロディーを取り入れていくことで、多くのヒット曲を生む。


80年代には、ボーカル、バラードの色合いが、バンドの印象として濃くなっていき、「Hard to Say I'm Sorry(素直になれなくて)」などの曲をヒットさせている。


メンバーチェンジはあったものの、バンド結成から40年以上たった今も、精力的にライブ活動を続けている。


シカゴ:ブラス・ロック


 


Saturday In The Park(サタデイ・イン・ザ・パーク)


Saturday In The Park(サタデイ・イン・ザ・パーク)は、初期 Chicago の代表曲。


1972年に発表された Chicago の5枚目のオリジナルアルバム、『 Chicago V(シカゴ・ファイブ) 』にも収録されている。


明るく軽快なピアノの連打から、さりげなく滑り込むベースライン。


ギターのカッティングに続く、微笑みかけるようなトランペットとトロンボーン・・・。


そして、やさしく語りかけるようにはじまるボーカル。


この時代のポップソングのエッセンスを凝縮したような曲になっている。


「心地よく平和な土曜日の公園」


タイトル通りの雰囲気をかもしだす名曲だが、その裏には反戦のメッセージも隠れている。


当時のアメリカは、反戦運動が盛り上がり、ベトナム戦争終結を迎えようとする時代。


歌詞には、アメリカの独立記念日、7月4日( 4th of July )のフレーズが響く。


 


Saturday in the park, I think it was the Fourth of July
土曜日公園でボクは思う、そういえば独立記念日だったと


Saturday in the park, I think it was the Fourth of July
土曜日公園でボクは思う、そういえば独立記念日だったと


People dancing, people laughing
みんな踊ってる、みんな笑ってる


A man selling ice cream, Singing Italian songs
アイスクリーム売りの男が、イタリアの歌を歌いながら


E qui vare esse nade
(イタリア語のマネで)エ・クイ・バーレ・エッセ・ナーデ


Can you dig it? - yes, I can!
言っている意味わかる? (ああ、わかるよ)


And I've been waiting such a long time
ボクはずっと長いこと待っていたんだ


For Saturday
土曜日を


 


Saturday In The Park

Chicago

サタデイ・イン・ザ・パーク / シカゴ


 


 


 


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コホート研究とは?


こんにちは。橋本です。


健康に関するニュースでは、コホート研究といわれる種類の研究、その結果を伝えるニュースが、たびたび伝えられることがあります。


たとえば、


野菜や果物を多く食べても、糖尿病になるリスクは変わらない 1)


2012年5月9日、日本の研究班が発表した報告より


先日のこんなニュースも、コホート研究でわかったことなんですね。


このニュースの内容。常識的な感覚からすると、「えっ、そうなの?」と感じるニュースかもしれません。


(注:ただし、この結論と反対の結果がみられる論文も、ほかに多くあります 2)


健康に役立つ世の中の情報には、じつはコホート研究による情報が多く含まれています。


にもかかわらず、コホート研究というのは、少し聞き慣れない言葉ですよね。


では、そもそもコホート研究というのは、どういうものなんでしょうか?


コホート研究


 


コホートとは?


まず、聞き慣れないのは、「コホート」という単語。


コホート(cohort)というのは、もともとは古代ローマ軍のひとまとめの歩兵隊をさす言葉で、「特定の集団」のことを意味します。


コホート研究では、特定の地域や条件で選ばれた集団のことをコホートとよんでいます。


 


コホート研究は、大きな集団に関するストーリー


そのコホート(集団)を、長期間をかけて追跡調査することで、生活習慣と病気の関連を解明していくのが、コホート研究です。


コホート研究とは

大規模な特定の集団を長期間追跡する研究。


特定の地域や集団に属する人々を対象に、長期間にわたって健康を調査する。


健康状態の変化から、生活習慣や環境など、様々な要因と病気の関連性を解明するのが目的。


コホート研究は、集団を調査することで、病気の原因、特徴を解明していく疫学の研究方法のひとつでもあります。


数ある疫学の手法の中でも、


現在から未来へ時間の流れ通りにデータを取っていくこと

・ 数万人規模の大規模な集団からデータを取ること

・ 何十年と長期間をかけて集団の変化を測定すること


この3つが、コホート研究ならではの大きな特徴です。


コホート研究:方法


実際に生活する人たちを、長い時間をかけて、ていねいに追い続けていく。


そうすることで、やがて病気の原因、予防法がわかってくる。


社会にとって、多くの人の健康にとって、本当に役立つ情報がわかってくるのが、コホート研究なんですね。


 


コホート研究をやってはじめてわかることが多い


今では当たり前となっている健康の常識。たとえば、


・ 高血圧が心臓の病気や、脳卒中の原因になること

・ 喫煙が肺がんのリスクを上げること

・ 血清コレステロール値と心筋梗塞との関連

・ 大腸がんと飲酒の関連


これらの常識も、じつはコホート研究をおこなうことで、はじめてあきらかにされたことです。


自動車の排気ガスよりも、喫煙の与える影響のほうが、あきらかに肺がんのリスクを上げる。


こんな当たり前なことがわかったのも、コホート研究の積み重ねがあったからこそ。


もともと、あてずっぽうでおこなわれていた健康法も、コホート研究によって正しいことがわかったり。


逆に間違いであることがわかってきたりするんですね。


 


膨大な手間、時間、費用がかかる


病気の原因、予防法を知ることができるようになるコホート研究ですが、そうカンタンに、気軽におこなえるものではありません。


多人数(数万~数十万人)を長期間(5~20年)にわたって追跡調査をしなければならないので、膨大な手間と費用がかかります。


数万~数十万人という膨大な人数が必要なのは、少人数からデータを取ってしまうと、個人差が大きく反映されて、結論が事実と異なってしまう。


いわゆる、バイアスがかかってしまうから。


調査に何十年という期間がかかってしまうのは、病気や健康状態に変化があらわれるのには、やはりそれだけの期間がかかってしまうからです。


定期的にデータをきちんと取り続けなければならないので、大勢の協力も必要です。


途中で多数の脱落者が出ないように、工夫したり努力したりもしなければいけないですし。


調査スタートから、同じ集団を30年、40年。


長いものでは50年以上、何世代にも渡って追跡調査ができているコホート研究もあります。


いかに長く計画されているか、いかに膨大な予算をつぎ込んでいるか。


そのことでも、コホート研究に託された期待の大きさは、わかるかと思います。


 


代表的なコホート研究の例


しかしそのかかる手間、時間、費用を考えても、コホート研究から得られる成果、多くの人の健康に対する貢献は、大きいものがあります。


そのため最近では、世界中で次々と大規模なコホート研究が行われるようになってきています。


実際におこなわれている代表的なコホート研究には、次のような例があります。


フラミンガム研究Framingham Heart Study):

1948年から50年以上、3世代に渡って続く、人口3万人のアメリカの小さな町、フラミンガム市ではじまったコホート研究


ハーバード大学 看護師健康調査Nurses' Health Studyとは):

1976年開始、12万人の女性看護師を対象にしたコホート研究


男性医療従事者 健康調査Health Professional Follow-up Study):

1986年開始、5万人の男性保健専門職を対象にしたコホート研究


EPICEuropean Prospective Investigation into Cancer and Nutrition):

ヨーロッパ8カ国40万人を対象にした栄養とがんに関するコホート研究


日本では、小規模ですが、


久山町研究(ひさやままち)久山町研究とは):

1961年から40年以上続けられている福岡県久山町(ひさやままち)のコホート研究


舟形スタディ(ふながた)

山形県舟形町(ふながたまち)の住民を対象にした糖尿病に関するコホート研究


などが、有名なコホート研究です。


このようなコホート研究で得られた成果、データは、すべて無償で世界に向けて公開されます。


 


コホート研究の成果を、どう取り入れるか?


生活習慣の影響を考えるときは、1つの病気ではなく、ほかの病気への影響も考えなければいけません。


たとえば、「乳製品が前立腺がんのリスクを上げる」というコホート研究が複数出ています。


ですがその一方で、乳製品が骨粗しょう症や大腸がんの予防に働くというコホート研究もあるんですね。


つまり、ひとつの病気のことだけを考えて、極端に食べたり、制限したりということをすると、ほかの身近におこりうる病気のリスクを上げてしまうことにもなりかねないわけです。


そのため、健康ならば、複数のコホート研究によって、「効果がほぼ確実」とされることだけを取り入れるのにとどめる。


たとえば、喫煙を止めたり、飲酒をほどほどに控える、とかですね。


食事についても、バランスが取れていれば、自分や家族の好みを優先してもいいんじゃないのかなあ、と思います。


驚くようなコホート研究の結果がニュースになったとしても、たったひとつのコホート研究の結論を理由に、生活習慣を変えてしまうのは、あまりオススメできません。


 


子どもの健康を守るためにも


とはいっても、これからも続くコホート研究の積み重ねが、数多くの人の健康、命を救うことには間違いなさそうです。


そういう意味でも、大規模な集団をていねいに追跡調査していくことで病気の原因、予防法がわかってくるコホート研究。


その成果が、今後ますます重要になってくると思われます。


だからこそ、どんどんと増えてくる健康に関する情報、ニュース。


たとえば、それらの情報元が、学会発表なのか、コホート研究による論文なのか?


そういうことをきちんと見抜く、確認するのも、大切な子どもの健康を守ることにつながるわけですね。


 


 


 


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参考文献:

1) Kurotani K, et al; the Japan Public Health Center-based Prospective Study GroupVegetable and fruit intake and risk of type 2 diabetes: Japan Public Health Center-based Prospective Study. British Journal of Nutrition: 1-9, 2012.


2) Cooper AJ, et al: A prospective study of the association between quantity and variety of fruit and vegetable intake and incident type 2 diabetes. Diabetes Care 35(6):1293-1300, 2012.


子どもを脅してしかるのはダメだと聞くけど?


こんにちは。橋本です。


困らせることばかり、悪いことばかりする子ども。


落書きしたり、壊したり、散らかしたり・・・。


それで物を粗末にしてはダメだと怒ると、物を投げてきたり、手加減なしに叩いてきたり。


やさしく言っても、なかなか言うことを聞いてくれないことも、多々ありますよね。


口ごたえをする、だだをこねる、泣きぐずる。


今日は、悪いことを止めない子どもには、どういう言い方をしたらいいのか、という話をしますね。


子ども:寝てくれない


脅す(おどす)か、諭す(さとす)か


具体的にいうと


1) 脅して止めさせるのか(きつく言う)


それとも、


2) 諭して止めさせるのか(おだやかに言う)


どちらの方法がいいのか、という問題です。


子ども:だだをこねる


「脅す(おどす)」というのは、「あ、そう。言うこと聞かないと、おいてくよ」というような、きつい感じの言い方。


反対に、「諭す(さとす)」というのは、何がいけないのか、よくわかるように話し聞かせたり、きちんと納得できるように教え導くことです。


たとえば、ゲームばっかりやっていて、ゲームを止めさせたい場合。


1) きつく脅す言い方:

「いい加減にしなさい。ゲームを止めないと、電源切るよ」


という、きつく脅すような言い方ををするのか?


それとも、


2) おだやかに諭す言い方:

「ゲームはどんどん上手になるし面白いよね。でも、ゲームばかりしてると、宿題とか他のことをする時間がなくなっちゃうでしょ。みんなのためも、ゲームの時間は30分だけにしてね」


という、おだやかな言い方をするのか?


おおまかにいうと、そんな違いです。


 


どんなしかり方をしても、子どもは立派に育つんじゃない?


脅して止めさせようが、諭して止めさせようが、何か素晴らしい違いがあるかというと、「特別ないんじゃないの?」と思うかもしれません。


どんなふうに言おうが、子どもは勝手に育つ、と。


それに、子どもの悪さは、下手にやさしく出ると、余計につけあがる。


ストレートに脅して言い聞かせたほうが、確実で早いし。


どうせ、やさしく言っても聞く耳をもたないなら、脅し文句でしかるほうが、よほど楽なような気もする。


お化けが苦手な子には、「そんなことしてるとお化けが来るよ!」といえば、驚くほどピタリと悪さを止める。


かわいそうだけど、子どもには、そんな純粋なところがありますよね。


しつけ:脅す


しかし、本当にどんなしかり方をしても、問題はないんでしょうか?


じつは、「言い方によって、子どもの行動に違いが出るのか?出ないのか?」をまじめに研究した報告があります。


 


比較試験:結局、言い方ひとつでは変わらなかった?


実験は、1965年にアメリカ、スタンフォード大学の社会心理学者、ジョナサン・フリードマンによって、おこなわれました 1)


参加したのは、カリフォルニアの小学生7~10歳の40人。


そして、実験には、5種類のおもちゃが用意されました。


1) 野球グロープ

2) プラスチックの潜水艦

3) おもちゃのライフル銃

4) おもちゃのトラクター

5) 電動式ロボット


5種類の中でも注目は、電動式ロボットです。


1965年当時、電動式ロボットは、まだまだ目新しいおもちゃで、最新式のもの。


あきらかに当時の子どもが興味を持つものでした。


「部屋にいる間、自由に遊んでいいけど、電動式ロボットだけには触らないように」


こう伝えることで、子どもたちが、その後どういう行動をしめすかを見るのが、実験の目的です。


ただし、40人の子どもたちを半数ずつ、2つのグループにわけて、メッセージの伝え方を変えます。


第1グループ(20人):

「ロボットで遊んだらダメだよ。もし遊んだら怒るし罰を与えるからね」


第2グループ(20人):

「ロボットで遊ばないでね。ロボットで遊ぶことはよくないことだから」


つまり、半数の第1グループには、脅すような、きつい言い方。


で、残り半数の第2グループには、諭すような、やさしい言い方で、ロボットで遊ばないようにお願いしたわけです。


このように、ロボットで遊ばないように伝えた後、一人ずつ子どもには自由に遊んでもらいました。


ただ、ロボットにはある仕掛けがしてあったのです。


それは、このロボットを使った場合は、使った時間が記録される仕掛けが取り付けられていたんですね。


子どもたちが帰ったあとに、この記録を見れば、ロボットで遊んでいたかどうかが、はっきりわかる仕掛けです。


その仕掛けからデータを見ると、結果的に、ロボットに触らなかったのは、40人中2人だけ。


子どもだから無理もないですが、誘惑に負けず、言いつけを守ったのは、たった2人だけでした。


しかも、


第1グループ:きつく脅された子どもたち → 1人

第2グループ:おだやかに言われた子どもたち → 1人


と、言い方を変えたところで、結果は何も変わりませんでした。


「なーんだ、やっぱり、言い方ひとつでは、何も変わらないんだね」となりそうですが、実験の本当の目的はこれだけではなかったのです。


 


実験の本当の目的とは?


この実験の大事なポイントは、このあと子どもたちはどうなったのか、という話です。


フリードマンが本当に調べたかったのは、「その場に現れる違い」ではなく、「時間の経過とともに現れる違い」でした。


最初の実験の6週間後。


前回のように子どもを部屋に呼んで、今度はそれぞれに絵を描いてもらうことにしました。


そして部屋には、お絵描き道具と前回の実験と同じおもちゃが置かれていて、


「絵を描き終わったら、今回はどのおもちゃを触ってもいいよ」


という話をしました。


するとどうでしょうか?


前回のちょっとした言い方の違いで、今回の行動に大きな違いが出たのです。 


前回の実験で、「触ってはいけない」と言われたロボットで遊んだ子どもは、


第1グループ:きつく脅された子どもたち → 77%

第2グループ:おだやかに言われた子どもたち → 33%


と、倍以上の差がでたんですね。


つまり、「おだやかに言われたグループ」の方が、最初の言いつけを守る率が、大幅に高かかったわけです。


実際のしつけでは、たしかに、「短期的には脅すほうが効果がある」のですが、実験では長期的には逆の効果があることがわかったのです。


 


脅しは、不愉快な行為を繰り返す引き金


子どもというのは


「禁じれば、禁じるほど、やりたがる」


傾向があります。


強く禁止すれば、するほど、それが魅力的に見えてしまうんですね。


「見ないでください」と言われるほど見たくなるような気持ち。


これは何も子どもだけとは限らず、鶴の恩返しの昔から変わらない人間の習性です。


・ 子どもを脅して止めさせるか?


それとも


・ 子どもを諭して、止めさせるか?


じつは、長期的にみると、自制心(誘惑に負けず自分で我慢する心)の成長に違いが出る可能性もあるんですね。


「いかにセルフコントロールのできる大人に育てるか」は、子育てにとって一番大事な要素といっても過言ではありません。


たとえば、「お片づけが終わるまで、ご飯は食べられないからね」という脅しの繰り返しは、長期的には「片付けられない子ども」にしてしまうことも考えられます。


脅迫的なしかり方は、果たしていいのか?


子どもにとって脅しは、禁じられた行為を繰り返す引き金、誘い言葉にもなります。


口やかましく言うことは、結局は、親を口やかましくさせ、子どもを禁じられた行為の繰り返しに導きかねません。


「子どもなんて、どんなしかり方をしても育つんだから」


それも確かに間違いないと思います。


ですが、長い目で見たときの自制心の成長まで含めて考えると、脅して言い聞かせることは、必ずしもいい方法だとは、言い切れないんですね。


 


 


 


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参考文献:

1) Jonathan Freedman: Long-term Behavioral Effects of Cognitive Dissonance. Journal of Experimental Social Psychology: 145-155, 1965.