間違われやすい「肌をていねいに洗う」の意味 | 子肌育Blog アトピーに負けない生活。

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間違われやすい「肌をていねいに洗う」の意味


こんにちは。橋本です。


つくづく、言葉って難しいなって思います。


「スキンケアを考えると、ていねいに洗うのが大事」


これは、アトピーのケアにおいても、本当にそのとおりです。


が、「肌をていねいに洗う」の意味。


この意味が、間違って解釈されていることがあります。


肌をていねいに洗う


一般的な「ていねい」とは


同じ「ていねいに洗う」でも、人によって受け取りかたが違います。


たとえば、こういう解釈。


「ていねいに洗う」

  → じっくり、時間をかけて、隅々まで洗う


たしかに、言葉の受け取り方として、何も間違っていません。


「ていねいに」という言葉をストレートに受け取ると、一般的には、「ゆっくりと」というニュアンスがあるのも、たしかです。


しかし、肌のしくみ、石けんや洗浄剤のしくみを知っていると、「ていねいに洗う」の意味が、まるで正反対になってきます。


肌のしくみ、洗浄剤のしくみを考えると


スキンケアを考えると、


「ていねいに洗う」

  → すみずみまで、ソフトに手早く洗う


というようなニュアンスがベストかな、と思います。


「じっくり」と「手早く」。まるで違いますよね。


肌を石けんなどの洗浄剤で洗うと、汚れが落ちます。


アトピーでは、肌についた様々な汚れが、刺激やアレルギーになってしまうこともあるので、汚れを落とすことは大切です。


しかし、洗浄剤の成分である界面活性剤は、汚れをスムーズに落とすと同時に、肌の重要な成分も外に流出させてしまいます。


肌の重要な成分とは、皮脂膜天然保湿因子(NMF)セラミドなど。


肌の中にある、これらの成分は、皮膚のバリア機能を支えています。


なかでもセラミドは、バリア機能にとくに大きな役割をになっていることが、だんだんわかってきています。


「過剰に肌を洗う」ということは、これらの成分を外に流出させることにもつながり、皮膚のバリア機能を弱めてしまうことにもなりかねません。


バリア機能が弱まれば、肌の水分は失われやすくなり、外からの刺激やアレルゲンが肌に入ってきやすくなります。


つまり、「洗いすぎ」の積み重ねは、炎症のおきやすい肌にしてしまうことになる危険性があるわけです。


洗うことの矛盾


肌の洗い方は、「あまり洗わないほうがいい」「しっかり洗ったほうがいい」といったような、わかりやすい話ではありません。


スキンケアは、バランスが大事です。


汚れをきちんと落とさない

洗いすぎ


アトピーにとっては、どちらも症状悪化のリスクになる。


このバランスをきちんと考えるのが、「ていねいに洗う」の本当の意味なんですね。


洗うということは、肌をケアすることと、痛めることの「矛盾」を、常にかかえています。


じっくり時間をかけて洗うということは、それだけ肌に洗浄剤がのっている時間も長くなるので、セラミドなども溶け出しやすくなります。


「肌をていねいに洗う」とは


ですから、スキンケアを考えると、


1)すみずみまで

2)ソフトに

3)手早く洗う

4)しっかりすすぐ


この4点を心がけてほしいな、と思います。


「ていねいに洗う」は、「ゆっくりじっくり洗う」とは、ある意味正反対の「手早く洗う」が、スキンケアにとっては正解に近いんですね。