アミノ酸系界面活性剤一覧……成分表示でみるには?
こんにちは。橋本です。
ボディーソープには、洗浄成分として、高級脂肪酸塩や界面活性剤が、よく配合されています。
高級脂肪酸塩(こうきゅう・しぼうさんえん)というのは、一般的にいう、石鹸です。
石鹸だけを洗浄成分にしているボディーソープも多いですが。
そのほかにラウレス硫酸ナトリウムなどといった、高級アルコール系界面活性剤を合わせて配合しているものもあります。
どこでも売っている、売り場でもメインで大量販売されているボディーソープは、
・ 石鹸のみ
・ 石鹸 + 高級アルコール系界面活性剤
じつは、この2つのタイプで、ほとんどが占められているんですね。
で、これらとは別に、肌にとってより低刺激な洗浄成分を使ったものも、ごく一部にあります。
低刺激な洗浄成分というのは、アミノ酸系界面活性剤といわれるものです。
低刺激であるがゆえに、赤ちゃん用のボディーソープでは、普及が進んでいます。
アミノ酸系界面活性剤ってなんだよ?という方は、以下の記事を読んでみてくださいね。
じゃあ、実際のアミノ酸系界面活性剤には、どんなものがあるのか?
アミノ酸系界面活性剤として、ボディーソープのパッケージに成分表示されるものには、かなりたくさんの種類があります。
以下にざっと種類を並べます。
実際の表示名を探したい方は、この中から見つけてくださいね。
ただ普通だと、名前の一覧を見ても、何がなんだかわかりません。
なので、成分名の読み方、見かたについても、少し解説したいと思います。
アミノ酸系界面活性剤一覧
アミノ酸系界面活性剤を、原料にするアミノ酸の種類でわけると、次のようになります。
グルタミン酸系 |
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基本構造 |
アシルグルタミン酸塩 |
略称 |
AGS |
表示名 |
ココイルグルタミン酸Na, ココイルグルタミン酸TEA, ラウロイルグルタミン酸Na, ラウロイルグルタミン酸Na(N-ラウロイル-L-グルタミン酸Na), ラウロイルグルタミン酸TEA,水添タロウグルタミン酸Na, ミリストイルグルタミン酸Na, ステアロイルグルタミン酸Naなど |
リン酸系 |
|
---|---|
基本構造 |
モノアルキルリン酸塩 |
略称 |
MAP |
表示名 |
モノアルキルフォスフェイト, ラウリルリン酸Naなど |
イセチオン酸系 |
|
---|---|
基本構造 |
アシルイセチオン酸塩 |
略称 |
SCI |
表示名 |
ココイルイセチオン酸Naなど |
タウリン系 |
|
---|---|
基本構造 |
アシルメチルタウリン塩 |
略称 |
AMT |
表示名 |
ココイルメチルタウリンNa, ココイルメチルタウリンK, ココイルメチルタウリンMg, ラウロイルメチルタウリンNa, ステアロイルメチルタウリンNa, ミリストイルメチルタウリンNa, オレオイルメチルタウリンNa, パルミトイルメチルタウリンNa, ココイルタウリンNaなど |
アラニン系 |
|
---|---|
基本構造 |
アシルメチルアラニン塩 |
略称 |
LBA |
表示名 |
ココイルメチルアラニンNa, ラウロイルメチルアラニンNa, ラウロイルメチルアラニンTEA, ココイルアラニンTEA, ミリストイルメチルアラニンNaなど |
グリシン系 |
|
---|---|
基本構造 |
アシルグリシン塩 |
略称 |
- |
表示名 |
ココイルグリシンNa, ココイルグリシンK, ココイルグリシンTEAなど |
サルコシン系 |
|
---|---|
基本構造 |
アシルサルコシン塩 |
略称 |
- |
表示名 |
ココイルサルコシンNa, ココイルサルコシンK, ココイルサルコシンTEA, ラウロイルサルコシンNa, ラウロイルサルコシンK, ラウロイルサルコシンTEA, ミリストイルサルコシンNaなど |
ボディーソープの全成分表示は、読みにくい
ボディーソープなどを含めた化粧品類は、2001年4月、全成分表示が義務付けされて以降、誰でも中身の成分がすべてわかるようになりました。
製品にどんな成分を使っているか、商品パッケージの裏面を見れば、まるわかりというわけですね。
だだ、これには問題点もあって、細かい字でズラズラっと成分が表示されていても、何がどんな成分だか、よくわからないという面もあるのです。
それは、アミノ酸系界面活性剤についても同じで、どれがアミノ酸系界面活性剤だか、よくわかんないです。
そこで、アミノ酸系界面活性剤の成分表示の読み方について、少しだけ解説を加えてみたいと思います。
アミノ酸系界面活性剤:成分名の読み方、見かた
アミノ酸系界面活性剤は、
脂肪酸とアミノ酸を反応させる
↓
アルカリ(水酸化ナトリウムなど)で中和させる
おもに、このような過程で作られます。
そのため、基本的なアミノ酸系界面活性剤は、
脂肪酸 + アミノ酸 + アルカリ塩
となっています。
![]() |
アミノ酸系界面活性剤の構造 |
---|
塩、アルカリとは何か?
上の「アミノ酸系界面活性剤一覧表」の基本構造に、塩(えん)というのがあるかと思います。
この塩(えん)というのは、一般的にいう塩(しお)ではなく、酸をアルカリで中和させたものを意味しています。
具体的にアミノ酸系界面活性剤として中和される塩(えん)は、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、さらにはトリエタノールアミン(TEA)などです。
アミノ酸系界面活性剤に使われる脂肪酸
動物からとった脂、植物からとった油。
そこからグリセリンを取り除くとできるのが、脂肪酸です。
上の一覧をザッとみてもわかるように、アミノ酸系界面活性剤の表示名は、「ココイル」と、頭につくものが多いです。
わかりやすくいうと、「ココイル」というのは、「ココナッツ油(ヤシ油)から取り出した脂肪酸を使ったもの」という意味なんですね。
なので、表示名がココイルではなくて、
・ ヤシ脂肪酸(ヤシ油脂肪酸)
となっているものもあります。
さらには、脂肪酸として、アブラヤシの油を使った
・ パーム脂肪酸(パーム油脂肪酸)
のアミノ酸系界面活性剤もあります。
また、ヤシ油脂肪酸は、脂肪酸のうちわけが、ラウリン酸(約50%)、ミリスチン酸(約15~20%)、パルミチン酸(約10%)となっているのですが。
このうちの、単独の脂肪酸を使ったようなタイプの場合。たえば、
・ ラウロイル
が表示名の頭につくのなら、脂肪酸としてラウリン酸を使っていて、
・ ミリストイル
なら、脂肪酸としてミリスチン酸を使っている、
・ パルミトイル
なら、脂肪酸としてパルミチン酸を使っている、というような感じになります。
アミノ酸系界面活性剤は天然由来
ここまでみてわかるとおり、アミノ酸系界面活性剤の原料は、すべて天然のものでまかなえます。
脂肪酸は、ココナッツやアブラヤシ。
アミノ酸は、サトウキビを原料に、微生物を使って発酵(はっこう)させる、いわゆるバイオ技術で作ります。
これは、「味の素」の調味料でもおなじみですよね。
そして中和させるアルカリとなるナトリウムなども、塩(しお)から作ることができます。
消費者への受け入れやすさも考えて、アミノ酸系界面活性剤は、天然由来を基本に作られています。