『琉神マブヤー THE MOVIE 七つのマブイ』を観ました。
昔より沖縄では人々の魂=マブイの星に祈りを捧げた時、選ばれた若者は琉神マブヤーとなり、悪の軍団マジムンを退治するという言い伝えがあった。
そして現代。
沖縄でヒーローショーを催すアクションクラブに所属する気弱なウルマは、今日もリハーサルで失敗続き。主役を演じる先輩サイオンや幼馴染みのアイリに叱咤される有様だ。
そんな中、現代に復活したマジムン軍団によって気を失ったウルマに琉神マブヤーのマブイが宿る。
マジムン軍団は海のマジムンであるジンベーダーを呼び寄せ、沖縄人の魂である7つのマブイを奪い取ろうとする。
龍神ガナシーとなったサイオンと共にマジムン軍団を敗退させるも、自分の弱さを克服できないウルマはマブヤーとなって戦う事を恐れてしまい……といったお話。
本作が公開された頃は、いわゆる変身ヒーローをパロディ化したような、いわゆるご当地ヒーローが多々誕生していました。
そんなブームの中に生まれたご当地ヒーローの1人が沖縄県の琉神マブヤー。
沖縄ではずいぶん盛り上がっていたようで、琉神マブヤーが『琉神マブヤー』として映像作品も作られたほど。
古くはデパートの屋上、昨今ではショッピングモール等で催されるヒーローショーのようなノリで、テレビでやってる変身ヒーロードラマの足元にも及ばないものだろうとタカを括って観てみたところ、足元どころか胸元くらいに追いついているほどのクオリティに驚いた記憶があります。CGにお金を掛けているのが分かる反面、マジムン側の着ぐるみが昭和感たっぷりなのがいい味出してるんですよ(笑)。
変身ヒーローものでありながら殺伐さが皆無で、どこかほっこりするお話もいいんですよね。
そんな『琉神マブヤー』がまさかの映画化。久々に観るといいですね~。
テレビ版に愛着がある人にとっては、映画化に際してキャストが大幅に変更されている点にガッカリしたんじゃないかな?
ただ、映画という規模に昇華する以上、ある程度は知名度のある俳優どころかスターを起用せざるを得ないのはエンタメとして仕方のない事ではあるけど、沖縄出身の人たちばかりでキャスティングする配慮に地元愛を感じます。
もちろん出演する側の人に関しても同様で、何の情報もなしに見ていれば、ウルマに道を教える女性に驚いただろうなぁ(分かりやすいヒントは先に出てるけど)。
あんなタイトルや内容の割には、埼玉県にゆかりのある人があまり出演していないあの作品との違いです。
基本的にはマブヤーとマジムンとの戦いですが、イコール正義と悪との戦いではないのが、特に映画版である本作では顕著です。
人間とマジムンのどちらにも言い分があり、そのどちらが善か悪でもないという、深く考え始めたら永遠に解決しない問題を謳っています。
大人はもちろんの事、子供でも考えが及ぶ題材だし、万人が理解できるという意味で、立派にエンタメしてる作品なのです。アクションあり、コメディあり、そして泣ける見せ場もあるしね。
マジムンだって神様の子供であり、沖縄の宝でもあるという言葉は染みる…!
マブヤーと言えば沖縄のご当地ヒーローですが、“ご当地ヒーロー”という言葉が普及したのは、おそらく秋田県の超神ネイガーに始まったものだと思います。
そんなネイガー=アキタ・ケンが登場するのも本作の見どころの一つ。
東映風に例えるなら、”琉神マブヤーVS超神ネイガー”って感じでしょうか? 対立→和解ってパターンも踏襲してるし(笑)。
キリタンソードだのブリコガンだの、秋田の名産品をもじったネーミングは地元愛から来るものだったんですね(後付けだろうけど)。メーゴーサーだのヤーチューだの、他県の人にはサッパリ意味不明なネーミングにもなるほどって感じ。
ウルマはマブヤー=ヒーローになる力を得ても戦いを拒絶するような、キャラが変わらずに気弱なままってのがいいですね。
恐怖や非力を自覚してなかなか変身しない、しかも主人公がそんなキャラってのは変身ヒーローものでは稀有な存在です。ウルマとは対極的に、積極的に前へ出たがるサイオンとのバランスも絶妙。
余談ながら、サイオンを演じるISSAさん(!)、たまにはどこかで『龍神ガナシー~ニライカナイの勇者~』歌ってくんないかな……ないな…。
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Blu-rayの映像特典はテレビ番組のようなトーク系映像やインタビュー。まさか、友情出演のあの人まで出てくるとは…。
ちなみに、ケースを開くと、
ジャケット裏にはキャラ紹介があるのも好印象。
ところで、映像作品の展開は終わっていますが、マブヤー自体はイベント等で未だ活躍中のようです。