観た、『放射能X』 | Joon's blog

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『放射能X』を観ました。

ニューメキシコ州警察のベンとエドは、独りで砂漠を歩く自失状態の少女を発見する。
近くには内部から破壊されたキャンピングカーがあり、車中からは砂糖が盗まれ、周辺には獣とは似て非なる足跡が残されていた。
現場から一番近い店では店の主人が殺されていて、身体の各所の損傷に加え、20人相当を溶かせるほどの蟻酸が検出された。そして、ここでも大量の砂糖が盗まれていたという。
農務省から派遣された、共に博士であるメドフォード父娘の調査の下、事件を起こしたのは放射線を浴びて巨大化したアリである事が発覚。
巨大アリの巣を発見し駆除に成功したものの、大量の卵を産む女王アリの姿が見当たらず……といったお話。

…これねぇ、ソフトを買ってまで見るつもりではなかったんですよ。
Amazonで『原子怪獣現る』を買おうとした際、関連商品が列挙される中に本作があったんですね。
これもレイ・ハリーハウゼンさんが携わっている作品だったかと、記憶が曖昧なくせにロクに調べもせずに買ったら、しっかり大間違いだったという顛末。
ダイナメーションによる巨大アリがいよいよ登場……したと思ったら、ナンダコリャ状態に陥る事に(笑)。
若い時に培ってきた知識も、所詮は時間と共に薄まってしまうものなんだなぁと、いよいよ老いを感じた出来事でした。

同様の思い込みをしている方に待ったが掛かれば幸いです(笑)。

ってなワケで、本作の陰の主役である巨大アリは操演によるものでした。
もちろん今の目で見ればショボいのひと言で終わってしまいますが、これがアカデミー賞の視覚効果部門にノミネートされていたってんだから、まぁ時代を感じるよね(笑)。
とは言え、2メートル越えの巨大アリを実物大で表現するのは、それなりに迫力を感じます。
さらに言えば、あんなチャチな作り物を相手に大マジで演技する俳優の力量も加わる事で、画的にも説得力が生まれるんですよね。邦画でもそうですが、昭和の特撮作品の俳優の芝居とか、迫真の度が過ぎてるくらいでしょ?

核実験により変異した生物を描いた作品と言えば、日本人なら真っ先に『ゴジラ』を挙げると思います(まぁ半分以上は名前と外観以外については知らないだろうけど)。
本作も核爆発→放射能から生まれた怪物を描いていますが、似たような内容である両作の公開年が1954年という偶然がチト奇跡的ですね。
本作と『ゴジラ』、どっちがどっちをパクッたなんて話も聞こえないし、口裏を合わせるまでもなく日米両国に反核思想が漂っていたタイミングが一致していた表れにも思えます。

正体不明の巨大生物が相手ですからそれなりの武力が必要という事で、軍隊が出動します。
これは『ゴジラ』もそうですが、たかが怪獣映画ごときに本物の軍隊が登場しているんだから、大人の鑑賞も想定している証ですよね。荒唐無稽のお話ながら、こういうところにリアル要素をブッ込む作品は、もっと評価されていいと思うんですよ。

逆に、これこそが怪獣映画の醍醐味であり、怪獣ばかりをフィーチャーしたがる後年の作品がどんどん手を抜いた挙げ句、子供騙しな作風が増えていったのかもしれませんね。

卵を産む女王アリの存在から、本来なら巨大アリの大群と人間との凄絶な戦いを描きたい気持ちがあったのかなぁと勝手な推察。
本作で叶わなかった表現が40数年後、『スターシップトゥルーパーズ』として結実するのです(←気のせい気のせい)。

 

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Blu-ray版にはちょっとしたメイキングを収録。これだけ古い作品でありながら、当時のメイキング映像が残っているのは意外、かつ貴重ですね。