Joon's blog -24ページ目

Joon's blog

どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

『帰ってきた あぶない刑事』を観てきました。

 

ニュージーランドで探偵業を始めたタカとユージが、8年ぶりに横浜に帰ってきた。

帰国した二人の最初の依頼人は、横浜にいるという母を捜して欲しいという彩夏。彩夏の身の上を、そして母である夏子の名を聞いたタカとユージは、彩夏が自分の娘である可能性に心中複雑だ。

その頃、ベンチャー企業の若き社長である海堂が、横浜へのカジノ誘致を推し進めていた。裏の顔を持つ海堂は、かつて横浜を縄張りにした暴力団、銀星会会長の息子であり、カジノ誘致の裏である計画を進めていた。

夏子の調査を続けるうちに海堂に行き着いたタカとユージ。今や捜査課課長となった透は、二人が警察時代の頃の”あぶない”捜査をしないか内心ヒヤヒヤで……といったお話。

 

「また『あぶない刑事』やるの? よく頑張るね~」

…と、『あぶない刑事』=『あぶデカ』に関して、それまでの俺ッチは他人事くらいにしか思っていませんでしたが、再放送でハマッてしまった今となっては新作の公開は青天の霹靂のようなもの。

できれば、せめて劇場版だけでも全作を予習しておきたかったけど間に合わず、『あぶデカ』の作風として、作品間に連続的な繋がりはあまりないだろうとタカを括って、まさか初日に観に行っちゃったよね(笑)。

 

で、実際に観てみると、やっぱり過去作を観といた方が良かったかなと思わせるシーンも随所にありました。夏子というキャラがまぁまぁなキーパーソンになっていて、『またまたあぶない刑事』=2作目までしか見ていない身としては置いてけぼりな気分になり……と思いきや、どうやら夏子は過去作に登場したキャラではないようですね。

だって、クラブで夏子が歌うシーンとか、過去作から引用したように見えるじゃない? “ナガミネ”という苗字も、第2作=『またまた〜』に登場する長峰と関連があるのか?とも思ったし。

…が、そんな心配はご無用、過去作に登場したゲストキャラは皆無、つまり予備知識のない一見さんが見ても何も問題ありません。劇場版やテレビ版を2編くらい見て、空気や世界観を知っておけば、より楽しめるだろうけどね。

 

本作の予告編やキービジュアルを見て、多くの人が抱く第一印象は「タカもユージも老けたなぁ…」だろうし、もちろん否定もできません。実際に本編を見てみても、白髪だらけでシワッシワのお爺ちゃんだしね。

けど、そこでソッポを向くのは勿体ない話で、これらの要素は前振りに過ぎず、むしろそう思う方が後の展開を楽しめるかもしれません。

本編を観進めているうちに、序盤に感じていた第一印象が少しづつ払拭され、クライマックスの頃にはそんな事は1ミリも感じず、一件落着した頃に、そういえばこの人たちがとっくにジイさんだった事を思い出して改めて驚くのです。危険なアクションでの吹き替えがなくはないものの、本人がやっていると分かるシーンもかなり多いしね。

バイク(もちろんハーレー)とショットガンが画面に映れば、その後に”タカのショータイム”があるのもお約束だし、どんだけ歳を取ってもお約束を守るんだから、さすがですよ舘さん! カタルシスMAXすぎて震えたよね……タカにハーレーとショットガンを与えれば、大抵の悪は滅びるんだぜ!

 

アクション以外でも、お二人とも70過ぎの割には声や喋りにゆとりがあるんですよね。声が老けた上に呂律も回らず早口で喋れなくなっている声優が割と多いのを知っていると、まだまだ若さを感じさせるお二人です。

あの痛いくらいのテンションを未だに持続させていられる薫=浅野温子さんも同様ね(笑)。

 

久々の続編という事で前作にあった要素=“あるある”やお約束を出す作戦を、最近ではあざといものだと感じるようになりましたが、そう思ってはいても、まんまと熱くなっちゃうんだよね(笑)。

特にそう思うのは音楽面で、『トップガン マーヴェリック』同様、お馴染みの曲が流れるだけで開巻から2秒で前のめりになってしまいます。近頃は減りつつあるというオープニングクレジットは、ああやって上手く使えるものなんだよな。ちなみにあの曲、舘ひろしさんが作曲してたってのはエンドクレジットで初めて知った…!

そしてクドいようだけど、また言わせてくれ……やっぱり挿入歌は『RUNNING SHOT』一択なんだよ! オーケー……カモン!

 

そういえば、昨今では珍しいかな画面サイズがシネマスコープなので、これから観に行く人はやや後ろ気味に座った方が良さげかも。

 

当ブログでは、劇場で観る際には劇場プログラムの購入を推奨しています。

レギュラー4人のグラビア、証言や検証を中心にページも多めで、1000円という価格はまぁ妥当かな。

余談ながら、劇場で販売している冊子はプログラム、配布しているチラシはパンフレットと呼びます。これ、年寄りが『スクリーン』で覚えた豆知識ね。

 

ところで、現在BS日テレでテレビ版『あぶない刑事』が放送中ですが、後番組として『もっとあぶない刑事』も放送するみたいですね、ナイス!

劇場版も連続放送してくれていますが、『〜FOREVER』のテレビスペシャル版もなにとぞ…。

『またまたあぶない刑事』を観ました。

 

タカとユージが捕らえた麻薬の売人である緒方が釈放される。実業家としての顔を持ちながら、裏では非合法な取引で力を付けている長峰の手引きによるものだ。

しかし、緒方は爆破に関する言葉を残して殺されてしまう。タカとユージは長峰を犯人として目星を付ける中、長峰を取材する記者の博美と知り合い、手を組む。

その後、幼稚園バスがジャックされる事件が発生。園児の中には国家機密法案に反対する沢口の娘もいた。犯人の要求通り身代金は支払われるが、犯人ではない何者かが身代金を強奪。これを食い止めようとするタカとユージは長峰の配下である佐久間の罠に落ち、身代金の一部を二人に分け与える事を引き換えに、事件から手を引くよう迫られ……といったお話。

 

今作のちょっとしたトピックは、テレビ版でタカ&ユージが愛用(?)する覆面パトカー、レパードの復活です。

国産車に疎い俺ッチですが、こういうドラマ等で使われているのを見ると僅かながらも思い入れが湧いてくるんだよね。

そうそう、これこれ。劇中に登場するキャラクターの一種としての側面がなければ、大してカッコ良い車とも思えないんだけど(笑)。

何故か前作には登場しなかったレパードですが、オープニングから大活躍。

まさか片輪走行なんて今さら感は否めないし、1ミリも意味のないパフォーマンスに過ぎないんだけど(笑)、こういう活躍があるからこそカッコ良く見えちゃうんですよね。

そんなレパード君、銃撃戦に巻き込まれてしまって可哀想…。

 

前作で危険なバイクアクションを見せ付けたタカ、というより舘ひろしさん。

今作でもまた、いつの間に&どこからか調達したバイクに乗って参上しますが(笑)、手放し運転でショットガンを撃つ姿はふふふ震える~!

走ると言えば、強奪された身代金を乗せた車をユージ=柴田恭兵さんが全速力で追いかける姿もカッコ良い、というか速い! 逃げる車を自分の足で追いかけようとする発想もなかなかですが(笑)、あの猛ダッシュを見るとまさか追い付けるんじゃないか?と思っちゃいますね。

 

映画の中で使われる銃の描写について、「その銃にはどんだけ弾が入ってるんだよ?」と思う事は多々あります。

が、これはテレビ版の頃からそうでしたが、『あぶデカ』って随分と銃の弾数を気にしているのが見て取れます。

タカとユージはリボルバー式の拳銃を愛用していますが、5〜6発以上撃った後には必ず装弾するカットをマメに入れてるんですよね(いちいちカウントはしてないけど)。

ドラマには大した影響も出ないであろう、こういう小さな演出に大きなこだわりを感じます。

 

*****************

*****************

*****************

『あぶない刑事』を観ました。

▲このポップなタイトルロゴは未だに違和感…

 

横浜の港署に勤めるタカとユージは、型破りな操作で犯人を追い詰める刑事。

ある晩、中光製薬で殺人事件が発生。研究者が殺されただけでなく、新薬に関する資料も破壊されていた。この事件を受けて中光製薬の株は暴落し、競合メーカーであるコスモ製薬の株で30億もの利を得た鳴海に目を付けるタカとユージ。

二人は鳴海の秘書である緑の身柄を預かるが、そこを傭兵の豹藤が襲撃、緑を奪われてしまう。

豹藤の居場所を突き止めながらも、緑の身に迫る危機について口論するタカとユージは単独で行動する事に。豹藤を発見し銃撃戦が始まるが、その中でタカが重傷を負ってしまい……といったお話。

 

当時、『あぶない刑事』=あぶデカの話題性は知っていましたが、まるで興味のなかった俺ッチ。

近々新作の映画が作られる話が聞こえ始めた頃、BS日テレで再放送が始まるとの事で、遅まきながら話のタネに見てみる気になったんですが、これがけっこう面白い。

令和の今や”刑事(警察)モノ”と呼ばれるジャンルは絶滅寸前、捜査や推理は不可欠ながら、使うのは頭ばっかりで身体をほとんど使わない印象です。

そんな頭デッカチな作風より、銃や車で容赦なく犯人を追い詰める方が刑事モノとして、痛快劇としても面白いと思うんだよね。

 

あぶデカの大きな魅力は、タカとユージのコンビ。

ベッタベタな相棒である事が常ではない距離感が良いんですよ。コミカルなシーンも多く、これが要らないと思う人もいそうですが、オチャラケをやれるくらいの余裕があるという表れなんじゃないかと。他で例えればジェームズ・ボンドとかコブラみたいなね。

どうでもいい話ですが、テレビ版では柴田恭兵さんが最初&舘ひろしさんが最後というキャスティングの並びが、劇場版になると逆転するのが興味深いですね。

 

タカはその辺にあるバイクを拝借しがちというテレビ版あるあるの一つは本作にもあります。

多くは舘ひろしさんが運転していますが、本作=劇場版という事で、かなり危険なスタントをこなしています。並走するバイクからダンプカーの荷台に乗り移るシーンは確実に大きな見どころです(走行中に乗り手を失ったバイクがどんな動きをするのかを知るにもいい)。

放送前、劇中には暴走行為があるけど製作者の意思を尊重して以下略といった断りがありますが、そんな心配はご無用、あんなの舘さんじゃなきゃやらないから!

 

ラスト、タカとユージに迫る危機(?)には爆笑しました。

ああいうのを使うとCGが使えない時代云々とか言い出す人もいるでしょうが、使える時代だったとしても、あんな所でCGなんか使う方が不粋ですよね。ああいう大らかさというか、コミカル要素が強めなあぶデカだからこそ許されるシーンです。

 

テレビ版人気が高じて作られた劇場版とは、テレビ版を見ていた人に向けてのご褒美のような側面もありますからね、いわゆる”あるある”的な要素が散りばめられていると嬉しいものです。

個人的に気になったのは劇伴。そもそもテレビ版は劇伴の曲数が本当に少ないので、この劇場版で新曲が書き起こされるかと思いきや、まさかのテレビ版の使い回し、かつ主題歌&挿入歌もテレビ版そのまんまという、ここまで来ればもはやファンサービスですよ(笑)。

同意しか求めませんが、やっぱ挿入歌は『RUNNING SHOT』だよな! 行くぜっ、ハッ!

 

***********

***********

***********

 

…って事で、かなり乗り遅れましたが、最新作『帰ってきたあぶない刑事』に向けた予習も順調です。

できれば劇場版全作を観てから行きたいけど……間に合わないからいっか!

先日、BS11で『八つ墓村』が放送されていたんですよ。

「『八つ墓村』ねぇ……で、どの『八つ墓村』なんだい?」と、博識な人、正確にはメンドくせー人はそこが一番気になるところでしょう。

今回、放送していたのは古谷一行さんが主演のテレビスペシャル版(古谷さん主演の連ドラ版もあったらしい)です。

 

そういえば前に映画版='77年版と'96年版を録画していた事を思い出し、今回のテレビスペシャル版を加えた3作を見比べてみようと思い立ったわけです。

…ええ、ええ、我ながらヒマ人の発想ですよ(笑)。

 

東京で暮らす寺田辰弥は、祖父の言葉に従い故郷である八つ墓村に帰る事になる。

腹違いの父の実家である多治見家にやって来て早々、兄である久弥の急死に始まり、辰弥の周辺の人々が次々と殺される。

これらが何者の仕業なのか、八つ墓村の言い伝えにある落武者の祟りなのか? 金田一は謎多き連続殺人事件に臨み……といったお話。

 

…とまぁ、粗筋としてはこんなところですが、ディテールに関しては各作品により大なり小なりの差異があります。

公開形態や製作年の時代背景もありますから、これは仕方がない事であると同時に、どうせ新たな作品を作るなら”オリジナル要素”というより“アイデンティティ要素”を入れたいだろうし、あってもいいものだと個人的に考えます。

何しろ俺ッチは「原作改変は悪行だ!」とか大騒ぎしている連中を冷ややかに見下しているクチなのでね(笑)。映像化する事で原作が消滅するわけでもないのに、何をそこまでムキになれるんだろうな、あいつら(特に漫画&アニメバカたち)。

 

そんな各作品における手っ取り早いアイデンティティとしては、金田一耕助を誰が演じているかにあります。“石坂版金田一”だの”古谷版金田一”だのという一言を添えておくと話がスムーズでしょ?

今回観た3作では、お馴染みの古谷一行さん、渥美清さん、豊川悦治さんらが金田一を演じていますが……まぁ渥美さんはないよね(笑)。物腰を柔らかくして区別化を図っているのは見て取れるけど、どうしてもあのフーテンのキャラが染み付きすぎているのがね。

“横溝正史さん原作の角川映画”と聞くと、直感的に監督は市川崑さん、主演は石坂浩二さんという布陣を思い付くけど、『八つ墓村』に関しては石坂版金田一というのがないんですよね。『犬神家の一族』を市川監督でセルフリメイクするくらいなら、'96年版『八つ墓村』で金田一を石坂さんに演じてもらっても良かったんじゃない?

 

知名度の高さから、どうしても金田一は出ているだけで主役だと曲解しそうですが、1本の映画として見てみれば真の主役は辰弥です。

'77年版の辰弥って喋って欲しいところで喋らないし、モノローグすらないのがモヤッとします。あんまペラペラ喋らせない方が良いとは言え、そこまで言われてるんだから少しくらい言い返せよ!と思わせる箇所が多々あるんですよね。

ついでに言えば、もう少し若い人をキャスティングした方が良かったんじゃないかな。

 

ストーリーとして誰がどこでどう動くかが決まっているものですが、各作品を比較してみると、それぞれで動機や理由がバラバラなのが面白いですね。誰が誰をどう思っているとか、キャラの人間関係も各作品で異なります。

それが最も顕著なのが真犯人キャラで、あっちの作品ではああ思ってたのに、こっちではそんな風に思ってたの?みたいなね。

それを思うと、最も原作に忠実なのはどれなんだろう?

 

タイトルにもなっている通り、八つ墓村の景観は本作の世界観を表す重要な要素。周りを山に囲まれた盆地とか、よくあんな土地を探せたなと。

ちなみに、映画版2作で使われている多治見家は同一のものなんですね。'77年版のラストを考えると、どう撮ってたんだろうと…。

 

にしても、3作に共通する見せ場の一つでもある、多治見要蔵の乱心シーンはどの作品とも強烈ですね。

頭には一対の懐中電灯、日本刀だけでなく体に弾帯を提げ猟銃まで持っている姿は一見するとギャグっぽく見えますが、誰彼構わず&情け容赦なく村人を虐殺しようという表れに見えてゾッとします。

****************

****************

こういうオモチャを買う層には、ああいう鬼気迫るシーンに寒気を感じないんだろうね。だって、本気で恐怖を感じるなら、こんな物騒な物は家に置けないだろう?

 

****************

****************

****************

さすがに古谷さん版のテレビスペシャルはありませんね。興味のある人はBS11の再放送を待ちましょう。

『トラペジウム』を観てきました。

 

東高校に通うゆうは、とある計画を立てていた。
城州の東西南北に位置する高校のうち、東高校を除く3つの高校に通う生徒と友達になる事。そして、東西南北として集まった4人でアイドルになる事が究極の目的だ。
小さなイレギュラーがありつつも、ゆうの計画は予定通りに進み、ついに4人はアイドルグループ”東西南北”としてデビューを果たす。
しかし、夢に見ていたアイドルとして過ごす楽しく幸せな時間も束の間、ゆうの計画は徐々に綻びを見せ始め……といったお話。

 

原作は高山一実さん。まだ乃木坂46に在籍中、つまりバリバリの現役アイドル時代に発表した作品です。

『トラペジウム』という作品がどんな作品なのかサッパリ知らなかった=予備知識なしに読んでみたい気持ちから情報をシャットアウトしていたので、本作(=映画版)を観てみて、かなりダーク&ハードな事やってんなぁと思ったものです。

アイドルが描いた小説って事で、ハッピーでフワフワしたお話を想像している諸君(←昔の俺ッチも含む)、そんな風にタカを括ったまま観てみると面食らいます。

かずみん、やるじゃん!

 

アイドルに強い憧れを抱く、ゆう。
アイドルから得た感動を与える側になりたいという夢を抱き、3人の友達と共にアイドルデビューを果たします。
ゆうが理想としていた“人間が輝く瞬間”を体感する時間も束の間、それぞれのモチベーションの差から生じた軋轢によりグループは崩壊状態に陥ります。
何しろ、打算だらけで始まった友達作りだし、そもそも、ゆうは3人に対し”友情”という感情すら湧いていなかったでしょう。美嘉に指摘されてもピンと来てなかったし。
ゆうは自身の理想や野望のためなら1ミリも空気を読まず、ズバズバと思った事を言っちゃうタイプですからね、感情移入しにくいどころか共感しにくいキャラです。蘭子や美嘉にアイドルのあるべき姿を強弁するゆうには狂気すら感じます(余談ながら、ここのシーンは作画が残念だった印象)。
けど、言い換えれば、夢への執着が強すぎるというか、そうまでして叶えたい夢だったんじゃないかと。自分の夢や理想にド本気になるのは結構だけど、そのために誰かを追い詰めてしまえば、終わりが始まるのも自然な流れです。

そこから再び4人の心が一つになり、東西南北がリスタートを切れるかどうかが後半の見せどころになりますが、大どんでん返しや衝撃的な展開もなく、ただ4人を客観視するような淡々とした描き方が良かったですね。

 

近年の邦画にしては珍しいなと思ったのは、オープニングクレジットがある点ですね。「ふーん」どころか「はぁ」とすら言ってもらえないような話ですが(笑)。

褒められて頬を赤らめるという、とっくにカビが生えたような演出がなかったのも良かったです。しょーもない笑わせシーンもないしね。

あまりアニメアニメしていないというか、ああいうアニメ特有の媚びた感がなく(スゲー偏見)、実写に変換しても問題なさそうな雰囲気があるように思えました。

アニメ映画としては良い方だったと思うけど、個人的にはやっぱり実写で、かつnot乃木坂46のメンバーでやって欲しかったかな…。

 

**************

**************

原作を買おうと本屋に行ってみたんだけど、映画のキービジュアルが表紙になったやつしか売ってないんだよね。↑のバージョンの表紙のものは今では売ってないのかなぁ。

映画版を観てしまうと、わざわざ原作を読む気にはならないんだけど、これに関してはキチンと読んでみようと思っています。

『理由なき反抗』を観ました。

 

酔い潰れて警察署に連れ込まれた高校生ジム。ジムのひがみっぽい態度は家庭内の、母の尻に敷かれっぱなしである父の不甲斐なさが理由の一つだった。署にはジム同様に補導された、家庭環境に馴染めないジュディやジョンの姿もあった。

釈放されたジムは、翌朝にジュディに声を掛ける。ジュディは不良グループの一員で、ジムはリーダー格であるバズに目を付けられる。

バズの挑発に乗せられたジムは決闘を申し込まれる。崖っぷちに向かって車を走らせ、先に飛び降りた方が負けというチキンレースだ。

そんな危険な挑戦を受けるかどうか、曖昧な答えばかりで相談に乗ってくれない父を尻目に、ジムは決闘の場に向かい……といったお話。

 

子供の反抗とは甘えと同義語であると考える大人は少なくありません。一般的な大人が大人になるまでには、誰しもが反抗期を通過していたはずなのに、ガキのワガママと決め付けてしまうのは、そんな時期があった事を忘れている大人の横暴なんでしょうかね。

そんな荒くれる不良少年たちの、粗暴に見えて実は繊細な彼らの苦悩を描いた作品です。

タイトルとして“理由なき反抗”と銘打ってはいるものの、彼らには彼らなりの、そして若かりし頃の我々にも反抗したくなる理由はあるんですよ。


本作はジムを演じるジェームズ・ディーンさん=ジミーの印象を一言で表す作品になっていると思います。

ディーンさんと言えば永遠の不良少年というイメージがありますからね。実際、素行もあまり良くなかったようだし。

優等生でありたい気持ちはあっても、少しワルぶって振る舞いたい欲は、男の子なら誰しもが持っていたはずです。そこから大人になった元不良少年が、過去の過ちや若気の至りを恥じたり反省する事も少なくありません。

そういう意味において、もしジミーが一般的な寿命を全うするくらいに生きていたなら、本作(や当時の素行)を誇りに思ったまま死んで行く事はなかったかもしれません

でも、ジミーは24歳という若さで、年老いて守りに入るような生き方をしないまま亡くなってしまった。それ故、本作やディーンさんの印象が更新される事はなく、反抗期真っ盛りの男の子の永遠の憧れとして生き続けるのです。

…とは言え、今時にジミーに憧れる若者なんていないだろうけどね…。

 

本作の主役はジム、ジュディ、ジョン=プレイトーの3人。

親に厳しくされる者や甘やかされる者、そうしてくれる親すらいない者と、それぞれが家庭環境に問題を抱えています。

そんな共通の悩みを抱く3人が寄り合い、ジムとジュディは愛し合い、プレイトーはジムに父性を見い出します(ジムはプレイトーを弟くらいに見ていたと思いますが)。

中でも、親のいないプレイトーは厳しくも甘やかされもしてもらえず、最も苦しい境遇にあると言っても過言ではありません。

それ故、プレイトーは3人で家族をやりたかったんじゃないかと。ジムとジュディの関係を妬む事もないどころか、むしろ二人の関係を発展する事を願っているようにも見えるしね。

しかし、そんな夢も一瞬。好かれる事はあっても愛される事がなかったプレイトーの結末は哀しすぎますね。

 

不良グループのリーダー格であるバズは、新顔であるジムにしつこく絡みます。

けど、それは目障りから起こる憎悪の感情ではなく、どこか自分と似たようなものを感じ取っていたのかもしれません。リーダーに祭り上げられている以上、面子を潰されるわけにも行かないから仕方ないというか。

対決前の、バズが本心をを吐露するシーンを見てしまうと、二人の関係が途中で終わってしまうのが残念です。

 

スーパー余談ですが、乃木坂46の楽曲に『ごめんねFingers crossed』という曲があります。

「“Fingers crossed”というのは”幸運を祈る”っていう意味がありまして…」と教えられた通り(笑)健気に答えるさくちゃんの言葉を信じないお前らよ、本作のチキンレース直前のシーンを見てみよ!

 

*********************

*********************

*********************

Blu-ray版は映像特典満載。

本作のメイキングというより、ディーンさんに関して考察するドキュメントが多めかな。デニス・ホッパーさんの単独インタビューは驚きました…。

以前、@onefiveというガールズグループについて綴った記事の続きです。

 

特典付きとは言え値段の高さに腰が引けていたものの、何だかんだで買っちゃいましたよ、1stアルバム『CLASSY CRUSH』。

推しは推せる時に推せ!

 

主題歌やサントラと言った、映像に付随していない音楽は聴かない俺ッチなのでね、MVやライブ映像を収録したBlu-rayが付属している方じゃなきゃイヤッ。

 

そんな感じなので、まずは映像の方、2023年の年末にやったライブの模様を観てみました。ちなみに95分くらい。

ここでどーでもいい情報ですが、俺ッチ史において、いわゆるライブビデオを1から10まで観るのは@onefiveちゃんが初めてです。

 

で、彼女らのパフォーマンスですが、んま~圧倒されましてね。

リリイベを遠目に見た程度でもよくやってるなぁと感心したものですが、キチンと正面から見ると印象が一気に変わりますね。

何とまぁ、よく歌い、よく笑い、よく踊る事よ! 

特に、複雑で激しいダンスを踊れるだけでなく、振りの種類と順番をよく覚えていられるものだなと。それを10曲近くも披露するのって、よっぽどの体力と集中力が必要だよね。ただただ拍手!

ついでに言えば、あんな筋肉を感じさせないくらいの細っせー手足で、よくもあれだけ動けるなぁ。

 

俺ッチは『推し武道』新規→『未来図』から入ったクチですが、そこから現在に至るまでビジュアルが二転三転するのってどうなんだろうと。

あんまメイク&ヘアスタイルがコロコロ変わると、どれが誰なのか見分けが付かなくなっちゃうのでね(笑)。

 

*******************

*******************

って事で、高っけー買い物に思えましたが映像ディスク、特にライブ映像を観た後では既に後悔はないどころか、買って良かったです。

ライブとかイベントは若い人に任せて、オッサンにはオッサンなりの分相応な手段で応援し続けようと思います。

@onefiveちゃん、頑張れ!

『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』を観ました。

 

ジュラシック・ワールドから解き放たれ、世界各地に現れるようになった恐竜たち。事態を重く捉えた政府は、大企業バイオシン社に恐竜の保護を一任する。しかし、恐竜の違法飼育や密売は後を絶たず、クレアはそんな組織の摘発に忙しい毎日。

その頃、巨大なイナゴの大群が発生し、農場が食い荒らされるという事件が発生。バイオシン社を怪しむエリーは顔馴染みであるアランとイアンの協力を得て、バイオシン本社に潜り込む。

一方、クレアとオーウェンは祖父を失ったメイジーと共に山奥で暮らしていた。周囲を囲む森にはヴェロキラトプルのブルーと、その子供ベータも棲んでいる。そこへ現れたデラコートの一味がメイジーとベータをさらって行く。バイオシン社がメイジーとベータの秘密を知ろうとしている事を突き止めたオーウェンとクレアはバイオシン本社を目指し…といったお話。

 

ジュラシックシリーズ最新にして最終作です(今のところ)。

最大の見どころは、前シリーズ『ジュラシック・パーク』の主演だったアラン、エリー、イアンらの揃い踏み。もちろん、それぞれを演じるサム・ニールさん、ローラ・ダーンさん、ジェフ・ゴールドブラムさんらが出演は絶対的なお約束。

言ってしまえば本作も近年流行りの同窓会作品で、ウン十年のスパンを空けての続編、かつキャラの復活(=俳優の続投)は一世代前のオジサンがハシャいじゃうような、手っ取り早く人気が取れる商法です。”某レザレクションズ”はビミョーでしたが(“某ミネーター”も?)。

 

とは言え、ただ昔のキャラ&俳優を登場させればいいってものでもなく、ガッツリ老けてはいても当時のキャラを踏襲しているのが巧いんですね。アランとエリ―の距離感やイアンの小ボケは『~パーク』を彷彿とさせます。

アランとエリ―と言えば友情と愛情の狭間ギリギリの関係で、『~Ⅲ』で友情に確定してしまったのが現実的だなーと思わせましたが、長い人生にはいつ二転三転するような出来事があるか分からないという、『~パーク』シリーズ側に思い入れのある世代=年寄りに向けたメッセージを含んでもいるんです。アランの結末にはほっこりしたな。

 

恐竜が海を越えて人間の世界にまでやって来るという、いつかは来るであろう未来がついに実現します。

やっぱりというか、その多くは害獣として見られちゃうよね。山道のど真ん中で道を塞いだり、超高層ビルのてっぺんに翼竜が巣を作ったり(この画はインパクト大)、人間への悪影響は捨て置いたとしても、地球の生態系が狂うのは明らか。

そんな事態に、さすがに政府も介入せざるを得ず、恐竜の保護(やその他一切)をバイオシン社に委託する……というくだりから本作が始まるんですが、これまでシリーズを見続けてきた人は、今作の悪役はここかと予想できるくらいに鍛えられているよね(笑)。バイオシン社が大企業だからって、たった1社にしか権限を与えない時点でもう、ね。

つくづく、ジュラシックシリーズの世界には懐疑の精神がないというか、”もしも”とか”たられば”を唱える人っていないんですか(笑)? ジュラシック・パーク→ワールドになった際も恐竜を管理するためのセキュリティがガバガバだったり、そんな簡単な未来予想もできないのかよ?という事態が多すぎるせいで、事件が起きてからてんわんやしてばかりなんですよね。事件の後も、裁判だか公聴会を開いたところで黒幕や責任者は死んで不在だし(笑)。

そもそも、ジュラシック・パークであんだけの騒ぎを起こしてるのに、今度はちゃんとやるからと言ったところでジュラシック・ワールドの開園を政府が認可しちゃっていいんスか?ってところから始まるんですが…。

…といった低次元なツッコミの余地を残しているのもジュラシックシリーズの魅力です(笑)。

 

恐竜と人間が共存する世界、まさにジュラシック・ワールド!なんていうと聞こえは良いですが、やっぱり難しいよね。

オーウェンとブルーの関係を見るに、人間に依存せずに生きて行けない犬猫のような愛玩動物にはなり得ないし、人間と恐竜は天敵の関係になる予感しかありません。密売や違法飼育も横行しているあたり、警察や軍隊が忙しくなりそう。

 

ジュラシック・パークに関わりのある3人ばかりが目立ちますが、そこにもう一人、ヘンリー・ウーという遺伝子学者も加えてもいいんじゃないかと。

『ジュラシック・パーク(1)』にひっそりと登場、『~ワールド』シリーズでは皆勤賞(!)、恐竜のクローン化に成功したのはこの人のおかげでもあるんだから、陰の功労者です。

かつ、DNA弄りに没頭するあまり周りが見えず、上役の命令に従っていただけとは言え、事件の発端に深く多く関わった、実は最重要人物であり戦犯です。

でありながら、この人が1ミリも罪に問われないのもジュラシックシリーズのお優しい世界観です(笑)。インドミナス・レックスの開発は許されてええんかい…。

 

******************

******************

******************

Blu-ray版は映像特典に加え、劇場公開版より14分長いエクステンデッド版も収録しています。

今回は初見ゆえ劇場公開版を鑑賞しましたが、どこまで差異があるのか、次回鑑賞のための楽しみにしておきます。

 

 

==================

観た、『ジュラシック・パーク』

観た、『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』

観た、『ジュラシック・パークⅢ』

観た、『ジュラシック・ワールド』

観た、『ジュラシック・ワールド/炎の王国』

観た、『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』

『トルク』を観ました。

 

タイから帰国し、かつての恋人シェーンと再会したフォード。

シェーンに黙って高飛びしたのは麻薬絡みのトラブルに巻き込まれたからで、フォードはその原因となったヘンリーと決着を付けようとする。

その頃、暴走族リーパーズのリーダーであるトレイの弟ジュニアが殺され、フォードに嫌疑が掛けられるが、それはヘンリーが仕掛けた罠だった。

怒りに燃えるトレイ、さらにFBIのマクフィアソンに追われるフォードは自らの潔白を証明しようとするが……といったお話。

 

車を題材にした『ワイルド・スピード』(つくづくダッセー邦題!)は割とヒットした、なら今度はバイクだな!と思ったんだろうね(製作は『ワイルド~』と同じくニール・H・モリッツさんという方)。オープニングなんか、露骨にそんな思惑が見て取れるもんね。

…が、残念ながらヒットには恵まれなかったようで、それどころか世間での評価は低いらしく、ワースト作品として挙げられる方が多いようです。

そんな世の中の意見なんか、付和雷同な俗人の意見なんか関係ねぇんだ、個人的にはけっこう好きな作品です。

CMや予告編を見る限り、回を追うごとに失笑モノと化す『ワイルド~』の続編をあれだけ作るくらいなら、こっちの続編を作ってよ!

 

数あるアクションシーンの一つにバイクを使った作品はあるけど、本作はバイクが陰の主役。

バイクってどの視点で見ても人間が操縦しているのが一目瞭然なせいか、体を使ったアクションの延長に見えるのが好きなんですよ。車とか飛行機とかロボットとかを遠目に見れば、人間が中にいるとは限らないように見えるでしょ?

 

そんなバイクでの、場所を選ばないアクション(というかチェイスシーン)も熱いんですよ。

ハイウェイやら森の中やら、挙げ句には列車の屋根や通路まで走りまくるんだから(バイクでですよ?)痛快この上なし。

クライマックス、バカっ速バイクY2K(実在するとか)での超速チェイスはその極みで、もう少し減速して欲しいくらいのブッ飛び映像です。お約束のサービスカットもあるんだから、分かっていらっしゃる!

 

アクションを主とする作品としては、84分という尺が絶妙です。

アクションアクション言うても、映画である以上はある程度のストーリーは必要だけど、これがチト多め&長めなのが評価が低まる要因なのかな? そこまで頭カラッポで楽しめないというか。

キャラの過去エピソードやら主役カップルの濡れ場やら、ダッセー時間稼ぎをしないのも潔いじゃないか!

 

******************

******************

******************

Blu-ray版は映像特典はさておき、キャストによる音声解説が面白いです。数人が集まってウェ~イ!的なノリが楽しそうで良い雰囲気です。

『原子怪獣現わる』を観ました。

 

北極圏にある基地で行われた核実験。その後、レーダーで捉えた巨大な影の調査に向かったトムは巨大な怪獣を目撃する。怪獣が砕いた氷山の下敷きになったトムは重傷を負ってしまう。

本国で治療を受けるトムは怪獣の目撃談をするも、精神的なショックが起こす妄言であると聞き流されてしまう。

その頃、北大西洋を航行していた漁船が沈没する。生き残った船員は海竜に襲われたと証言し、その姿はトムが見た怪獣と同じものだった。

トムは古生物学者のエルソンに助力を求め、怪獣の正体は太古の恐竜レドサウルスである事が判明。目撃地点から察するに、レドサウルスは海流に乗って移動していると推測するエルソン。そして、その行き着く先であるニューヨークにレドサウルスが上陸し……といったお話。

 

この頃の怪獣映画あるあるは、本作で既に確立されているというか、本作が元祖なんじゃないかなと。

核実験により誕生する怪獣、軍隊による攻撃、怪獣の抹殺よりも生け捕りを優先させたがるエゴな科学者などなど、翌年の『放射能X』や『ゴジラ』のストーリーは本作に倣ったものだと言わざるを得ません。

後年に登場する怪獣映画のパターンととなるアイデアを生み出したのは、原作者のレイ・ブラッドベリさんであるという事になるんでしょうかね。

 

ブラッドベリさんと言えば、本作の特撮=モデルアニメーション(この頃はまだ”ダイナメーション”という言葉は生まれていないみたい)を担当するレイ・ハリーハウゼンさんとは旧知の中だったようですね。意外や意外の繋がりです。

本作のもう一人の主役であるレドサウルス(一般的には“リドサウルス”と呼ばれているらしい)は、ハリーハウゼンさんの手腕により実にいい芝居をします。尻尾の滑らかすぎる動きなんて、もはや芸術ですよ。

ただ動くだけじゃなく、芸が細かいのも魅力です。踏み潰した車を引きずるカットとか、別に車のその後なんかなくてもいいのに、わざわざ撮っちゃうあたりがハリーハウゼンさんなんですよね。

少々ツッコまざるを得ないのはレドサウルスの大きさ。ビルの2~3階くらいかと思えば、ローラーコースターのレール構造物とどっこいだったりしますが、そこは1953年という時代に作られたものなので、どうかお見逃しを…(笑)。

 

*****************

*****************

*****************

Blu-ray版の映像特典は、主にハリーハウゼンさんのインタビュー。

中でも、ハリーハウゼンさんとブラッドベリさんの仲睦まじいトークショーが収録されているのはいいですね。