『ジュラシック・パークⅢ』を観ました。
ジュラシック・パークから帰還したグラントは、その後も化石の発掘や研究を続けているものの、資金繰りに頭を抱えていた。
そんな折、グラントの前に現れた夫妻。大会社を営むポールは妻のアマンダ共々冒険好きで、次に目指す場所としてサイトBの名を挙げ、グラントに案内役を依頼する。
研究費に充てるべく高額の報酬と引き換えに、グラントは助手のビリーやポールの部下らと共に島に向かう。
到着早々、恐竜の襲撃に遭い飛行機は大破。ポールとアマンダは富豪でなければ冒険好きでもない元夫婦で、真の目的はサイトBで行方不明になった息子エリックの救出だった。
エリックを発見した一行の喜びも束の間、襲い掛かる恐竜から逃げつつ島からの脱出を図るが……といったお話。
監督はスティーブン・スピルバーグさんからジョー・ジョンストンさんに交代。
スピルバーグさんも撮影現場には顔を出していたようですが、順調に続いて来たシリーズ3作目にして、グレードダウン感が否めません。
94分と尺も短くなったし(1作目は127分、2作目は129分)、登場キャラも激減したあたり、超1級エンタメ作品から1.5級作品に格落ちしちゃった感じ。
…に思えますが、前々&前作は見せ場満載でゲップが出そうな、観終えて面白かったと感じると同時に疲労感すら残るような、味付け濃厚な特盛りのような作品だったんですよね。
それらに比べれば、中だるみする間もなく、矢継ぎ早に次のイベントが起こるような、味付けは濃厚ながら普通盛りの、食べ疲れをする事がない作品だと思います。
シリーズ3作目ともなれば、そろそろやる事がなくなってきてトンデモ路線に走りそうなものですが、人間と恐竜との距離感が一貫していたのは良かったですね。
生まれた直後に見た物を親だと思い込む習性だの(1作目)、子供を助けてもらった親ティラノサウルスだの(2作目)、人間と恐竜の間に情みたいなものが芽生えて、人間のピンチを救う……とかやりそうだと思ってたんだよなぁ(笑)。
凶暴な恐竜は凶暴なまま、温厚な恐竜も人間に懐いたりはせず、あくまで恐竜側から人間に歩みる事はしないというスタンスが不変だったのは良かったです。天然から生まれた命と人為的に作られた命は、決して相容れられないとかね。
冒頭で親子(ではないけど)が、サイトB近海でパラセイリングを楽しんでいますが、ボートを貸している現地人は、この島の噂を少なからず知っている様子。
前作の冒頭でもサイトBでバカンスを楽しむ親子が登場しましたが、現実にもいるじゃないですか、わざわざ危険が潜む場所に遊びに行った挙げ句、やっぱり救出される連中。本作を観ても身につまされる思いはしないんだろうな。
そんな危機感に欠けた無知な金持ちの尻拭いにグラントが担ぎ出されるわけですが、ポールが大会社の社長というのは実はフカシで、内装工事を請け負う個人事業主(かつ作業員)と知った時点で、それまでの富豪感は一気に消え去ります。
グラント1人だけでなく、その他数人を雇ったり、必要な備品を揃えたり、飛行機をチャーターしたりでもすれば、この先に待っているのは借金地獄でしょう。飛行機1機を全損させた時点で卒倒モノですよ(笑)。
お金の工面だけでなく、離婚=お互いに不満を持っていたであろう夫婦が力を合わせて、そこまでして息子のエリックを助けたいという強い気持ちが行動原理になっているのは胸を打ちます。
前作には登場しなかったグラントとエリ―ですが、今作で復活です。
第1作=前々作では仲睦まじく見えた2人ですが結婚にまでは至らず、エリーは別の人と結婚をしています。その後も、あくまで友人として最上の好意を向け合っている関係が大人ですよね。
“○○と××は結ばれるべきだ!”とか強弁しちゃう若い人は、こういう点を駄作の要素としちゃうんだろうけど(笑)。
友人として心が通じ合っているものだから、グラントはたった1回しか使えない通話の相手にエリーを選び、エリーも僅かな情報だけでグラントの危機を察する事ができたんでしょうね。
にしても、サイトBに向かった救助隊の規模(!)を鑑みると、グラントの世間的な知名度が高い以上に、エリーの発言力がどれほど強かったんだろう…。
ジュラシック・パークシリーズは今作で一旦、終了。
そんなシリーズの最後を飾るラストカットは、ちょっと賛否が分かれそうですね。
“もしかしたら君たちの住んでいる町に恐竜がやって来るかもね?と、子供に夢を感じさせるファンタジックな終わり方にも見えますが、この後に世界は恐怖に包まれると捉える事もできそうですね、『鳥』みたいな。
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Blu-ray版はメイキング等の映像特典満載です。
当時を振り返るインタビューは2010年頃に撮ったものかな? 本シリーズにはズバ抜けてブレイクした人もいないので、メインキャストの方々がほぼ揃って出演しているのは良いですね。
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