今日はクリスマス・イブの夜。
そのせいか、男女が一緒に出歩いている姿を多く見掛けました。
…だが君らよ、楽しい&幸せに思えたところで、それは偽りなんだ。虚構の世界の居心地の良さに酔って真実を受け入れようとしないなら、永遠にこの世界に留まっているがいいさ……と、相変わらず寂しいクリぼっちオジさんが訳の分からない事を言っております。…ちっ。
…って事で(?)、『マトリックス レザレクション』を観てきました。
今や世界的なゲームデザイナーとなったトーマス。しかし、製作期間中に精神を病んだトーマスは、アナリストによるセラピーを受ける日々を過ごしていた。
彼の名を有名にしたゲーム『マトリックス』の続編=4作目の開発が始まろうとしていた頃、トーマスはカフェにいた女性に目が留まる。ステファニーと名乗るその女性は、『マトリックス』に登場するトリニティというキャラに瓜二つだったのだ。
現実と虚構の境が付かずに苦しむトーマスは真実を知る事となり、それは同時に『マトリックス』の主人公ネオとなる事でもあった……といったお話。
1999年当時、一世を風靡した『マトリックス』。
特にビジュアルはクールかつ斬新で、確実に後世に影響を与えています。
映像のみならず、作品を深く知ろうと思うほど幅広い見識が必要となるような、知的なSFも増えました(これに関しては『新世紀エヴァンゲリオン』が先駆けているかな?)。
そんな『マトリックス』が20数年の時を超えて、新たに動き出す!
――といった感じで喧伝されるんでしょうがね。
つーかコレ……四半世紀近くのスパンを開けてまで、わざわざやる必要あったんですか?と。
20年も経てば映像技術は飛躍的に向上するんでしょうが、元々前3作のCGのレベルが高かったので、さらなる進化を遂げたと思わせるシーンはほぼ皆無です。
そして20年という時間が長すぎたと感じるのは、一様にキャストの加齢です。せめて15年以内だったよ。
ここで思うのは、男性の加齢=経年を表すには髪やヒゲが有効ですが、女性の場合はシワしかないんですよね。
トリニティを演じるキャリー=アン・モスさんは元から若く見えるようなルックスではありませんでしたが、そこから20数年という時間を与えれば、もうオバサンどころかバアさんですよ(笑)。“トリニティ”ではない“ティフ”としての、3児の母として見れば実にいい役には思いましたがね。
そんなキャリーさんは今年54歳、そしてキアヌさんは57歳ってんだから、残酷な言い方ですが、とっくに賞味期限切れです。
そう思うのも、“未来”とか“希望”というワードが頻出する『マトリックス』(シリーズ)とは、初老を主役に据えてどうにかなる世界観の作品ではないからです。
いくら若者に素養がないからって、アラ還のジイさんを救世主として頼らざるを得ないんだから、この先の未来には期間限定の希望しかないよね(笑)。
今作は大局的に見れば、ディストピア創生のお話なのかもしれません。
そんなキャリーさんが演じるトリニティは本作のキーパーソンであり、今作における隠れ主人公にも思えます。
というのも、ネオとトリニティは愛し合う関係にありましたが、ネオが世界を救う救世主に対し、トリニティはそれを信じる一信者(笑)にすぎなかった点が、前3作でモヤッと感じていたんですよ。
今作ではそんな格差(?)がフラットになるのが良かったなと思いました。ラストカットはちょっとだけ感動しちゃったよ。
…って事で、今作は、前3作を見ていた人たちに向けたファンサービスの一環として捉える程度がいいかもしれません。もちろんキチンと1本の映画にはなっていますがね。もしくは配信サービスのオリジナルコンテンツだと思い込めば、まぁ許せるかもしれません(笑)。
個人的に、今作で一番賢い判断をしたのはローレンス・フィッシュバーンさんだと思います。
エンドクレジット中に帰り出す人も少なくなかったですが、ある意味、正解です。
“エンドクレジット後に1シーンあると知らずに帰っちゃって勿体ない!”と感じる人もいるでしょうが、あの程度のオマケなら見なくても大丈夫です。
…つーか、ホントにやるの?