【建築の公共性1】
先日のこと、
いつも車で事務所に出勤する私なのですが、
毎日通勤する際に通過する事務所近所の道路にあるとある交差点で交通事故に出会いました。
いや、
事故自体を目撃したわけではないのですが、
事故直後にそこを通りかかったんです。
交差点に車の前がグシャッとひしゃげた軽トラックと転がったバイクが、
その横にバイクから放り出されたと思われる男の人が倒れていました。
まだ救急車も警察も来てはいないようですが、
廻りには彼を助けようと何人もの人が集まってきています。
私は車を止められる場所もなく邪魔になるだけですし、
たくさんの人が救助していましたので、
そのままそこを通り過ぎました。
すぐに救急車の近づく音が聞こえてきましたのですぐ病院に運ばれたことと思います。
彼の無事を祈るばかりです。
毎日通るその道路は事務所のもう目の前で、
裏道ですので車がすれ違うのには気を遣うようなあまり広くない道路です。
それでも幹線道路に近く抜け道になっており、
近くにはお店なんかもたくさんありますのでけっこう車の通りは多いのです。
状況から言って間違いなく信号のない交差点での出会い頭の事故だと思われます。
どっちが悪いとかは見ていないので何とも言えないのですが。
ただ、
実は、
この場所は以前にもちょっと記事にしたことがあった建築ラッシュで1年2年ほど前に建売住宅が建ち並んだ場所、
だったんです。
その交差点の4つの角の敷地のうち3つが新しくここ1年2年のうちに建てられた建売住宅です。
その家のうちの2軒、
敷地の道路際交差点際にそこそこに高い塀があるんです。
それがどうした?
塀はあるだろう!
って思いますか?
でも、
私が設計していたら絶対にそこに高さのある塀は作りません。
実際、
残りのもう1軒の家は道路際の交差点部分は植え込みにして塀は少し下げてつくってあります。
塀が必要なら私でもそうします。
出来なければ何か違う方法を考えます。
見えないんです。
車から左右の道路が、
交差点のどちら側からも、
塀で遮られて。
もう少し広い道路だったら何の問題もなかったんでしょう。
あまり車が通らない道だったら問題なかったのでしょう。
でも、
そうではないのです。
毎日そこを通る私のような人はよく知っていますので、
そこでは完全に一時停止して最注意の上最徐行で通過します。
でも知らない人なら行ってしまうかも?
実際そんな人はたくさんいます。
おかげで、
その交差点はしょっちゅう事故がたえない魔の交差点と化してしまいました。
だって見えないのです。
今時のEV車なんて来ると音も聞こえません。
今までその家々が建つまではよく見えましたのでそんなことはまったくない普通のよくある交差点でした。
その家々が建つことによってそうなってしまったんです。
事務所のすぐ近くですのでしょっちゅう聞こえてきます。
ガシャーンっていう嫌な音、
しばらくするとピーポーピーポーと救急車の音が。
決してその家が悪いのではない、
決して建売住宅だから悪いのでもない、
決して誰が悪いのでもない、
でも、
建築の公共性、
というのはそういうこともあるのではないのかと思っています。
設計者に責任がないとは言い切れないのではないか?
とも思うところです。
結局その交差点には今度点滅信号がつけられるらしいです。
Atelier繁建築設計事務所HP
よもやま建築日記~家づくりの現場から~