【奉献酒2】



そんな良さげなお酒にしたい奉献酒

女房殿が言うのには、
ちょっと遠いけど、
前からあっちにある酒屋さんにはいろいろありそうだと思っていた。
というのです。
 

 



そこで、
いっしょにその店に行ってみることにしました。



店に入ると、
古くからある店らしく、
日本酒類に限らずウイスキーやワインなどいろんなお酒がたくさん並んでいます。
よくあるお酒から有名なお酒まで、
種類が非常に多いようで、
なかなか話しには聞いていても見たことのないお酒なんかもあるようです。

奉献酒奉納酒のラッピングの例みたいなのもいっぱい並んでいます。
選び放題です。
 

 



これは良い店を見付けた!



と、
そこで良さげなお酒を選んで奉献酒にお願いします。



店にいたのはおじいちゃん。
はいわかりました。



で、
奉献と書いた印刷の熨斗紙を酒瓶の箱に名前も書かずに直接ぴちょっと貼り始めました。



・・・・・



昔はこういった熨斗紙に書く文字は酒屋の奥さんが手習いで書く、
酒屋さんに嫁入りした奥さんはまず習字を習わされる、
なんて言われたものらしいです。

昨今は熨斗紙に書く文字もほとんどが印刷です。
パソコンのプリンターであっという間に出力します。

 

 




いやいや、
いくらなんでもそんな裸で印刷で名前なしでは格好悪い。
こっちにラッピング例がいっぱい並んでるじゃない。
こんな風に包装して貼ってください。

と、
指さしたのがどんなんだったのか何だったのかはよく覚えていないのですが・・

するとおじいちゃん、
それだと今日は出来ないので明日になりますがいいですか?
お金もかかりますが・・



なんで?
包装するだけじゃない?
なんで明日になるの?

でも、
まあいいかとお願いして帰ります。
まあ、
ようするによくわかっていなかったのです。



で、
翌日の午後取りに行きます。

こんどいたのは息子さん?
たぶん今はこちらが店主さんなのでしょう。

お願いしていた奉献酒とりにきたんですが・・

え、
まだ出来てません。



は?
なんで?
昨日の昼の明日ってのは今日の朝からなんじゃないの?
もう昼過ぎですけど・・

30分くらいなら待ってますけど・・



すると息子さんどこかに電話を掛けます。
すいません、
30分じゃ出来ないそうです。



なんで?
昨日からもう丸1日たちますけど、
なんでそんなにかかるの?
包装するだけじゃない?



しょ~がないので、
じゃあ明日来ます。

明日はうち休みなんです。



なんじゃそりゃあ~!



は~
じゃあ夜来ます。

そうしてもらえますか・・



なんでそんなにかかるのか意味わからん!



で、
そういえばいくらか聞いてなかったと、
包装代おいくらですか?
と聞くと、
1000円です。



せ、せんえ~ん?



本当に女房殿がそう叫びました。
相手もさぞやびっくりしたことでしょう。



でももう頼んじゃってるし、
値段を先に聞かなかったこちらも悪い、
しかたないのでそのまま頼んで、
夜取りに行きました。



いやはや・・
我が事務所至上最高の奉献酒がそこにはありました。



なかなか手に入らないような美味しいお酒に、
和紙みたいな綺麗な紙で包装がされ、
本物の立派な水引が掛けられ、
印刷などではなく綺麗な手書きの毛筆で「奉献 ○○建築設計事務所」と
書かれています。



いや~
ここまでの物をお願いしたかったわけではないんですが・・
ただ裸の酒に印刷の名前なし熨斗紙だけではちょっとと思っただけなんですが。まあ、
間違いなく1000円の価値はあるでしょう。
時間かかったのは本物の水引と綺麗な手書きの毛筆文字をどなたかに頼んでいたのでしょうか?



で、
地鎮祭の際、
ずらっと並んだ奉献酒の中、
ひときわ目を引く立派なうちの奉献酒

 

 

 


まあ、
格好は良いわな。
金かかってるし・・



おかげで、
あまりお酒を飲まれないお施主さんが、
お酒は皆さんでどうぞと言われたのですが、

あまりにも立派なので工務店が気を遣って、
これはお持ちくださいとお施主さんに持って帰って貰うことが出来ました。



いや、
次から奉献酒どうするか?
どこで買うか?
考えどころです。



あ、
写真撮っとけば良かった。

 

 

 

 



Atelier繁建築設計事務所HP
http://ateliershigeru.com
よもやま建築日記~家づくりの現場から~
http://ameblo.jp/ateliershigeru/
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【奉献酒1】



奉献酒ってご存じですか?

奉献酒っていうのは地鎮祭起工式なんかで、
工事の安全などを土地の神様にお願いをする際に神様にお供えするお酒、
日本酒清酒のことです。
 

 



地鎮祭についてはこちらをどうぞ。

 

 

 



地鎮祭では神様に清酒の他にスルメや昆布やお米や塩や野菜なんかをお供えするのですが、
これらはたいていが工務店さんや地鎮祭の祭事業者さんが用意します。

これに対してこの奉献酒だけは列席者が持参してお供えします。



つまり奉献酒は、
我々設計事務所や工務店やお呼ばれした親族さんや不動産屋さんや銀行さんなどの列席者が用意して地鎮祭の際に持参します。

なので地鎮祭を執り行う施主さん、
つまりお客さんは何も用意する必要がありません。
用意するのは神主さんの謝礼だけです。

 

 




この奉献酒というのは日本酒の清酒一升瓶2本を、
紐で縛ったり箱に入れたりして、
熨斗紙に「奉献 持ってきた人の名前」と記して貼り付けた物が一般的です。

銘柄はだいたい縁起の良さげな銘柄の日本酒清酒で、
月○冠とか松○梅とか、
なんてものが選ばれます。



間違えてはいけないのが、
「奉献酒」というのは「奉納酒」「御神酒」とは違います。

奉納酒(ほうのうしゅ)というのは神社などに奉納するお酒のことで、

 

 

 

 

御神酒(おみき)は神前に納めたあと神様からいただくお下がりのお酒のことです。

 

 



たまにいらっしゃるんですよね・・
地鎮祭奉納酒神前酒なんて書かれてるのを持ってこられる方。

酒屋さんで用意して貰えばこんなことはまずないんですけど、
スーパーとかネットとかで用意するとこういう間違えなんかが起きたりします。
知らないんですよね。

 

 

 

ま、
目くじら立てるほどのことでもありませんがね。
 

 

 

お葬式の際に持参する香典袋の表になんて書く?

御香典、御仏前、御霊前?

なんてのと同じような話です。

 

わかんなかったら「供物」なんて書いとくと間違いがないんでしょうけどね。

 




昔は大きな地鎮祭なんかだと樽の奉献酒を用意して、
地鎮行事の後の直会で鏡開きをして皆で飲む。
とか、
そこまではしなくても奉献酒を開けてお下がりにして食事やパーティーしてそこで飲む。

なんてのもよくありましたが、
今ではあんまりやりません。
だって酔っ払っちゃったらその後仕事になりませんし、
ほとんどの人が車で来てますから飲酒運転になっちゃいますので。



直会ではお下がりの御神酒を口だけ付けてあとは流す。
っていうのが普通になってきました。



そんな風に地鎮祭なんかも時代に合わせて変わってきています。
なので奉献酒自体もどんどん変わってきています。



日本酒清酒でも生酒とか吟醸酒とか焼酎なんかも当たり前に、
一升瓶二本ではなくて一本で、
日本酒じゃなくてワインとかビールなんかも見るようになってきました。

なんでかというと、
地鎮祭が終わった後そのお酒は皆で飲みませんから、
お下がりとして施主さんつまりお客さんにお持ち帰りいただくことになるからです。



工務店と設計事務所が持ってきただけでも一升瓶が4本になります。
さらにご親族の方とか不動産屋さんとかが持ってくれば、

一升瓶何本あんねん!
こんなに酒どうすんねん!
だいたい8本も10本もってなると持って帰るだけでえらいことです。

日本酒大好きなのんべの方なら良いのでしょうが、
それにしたって昨今のすっごく美味しい大吟醸とかではありません。
料理酒に使ったって何年分やねん!



ちゅうことになるので、
だったら1本にしてちょっと美味しいお酒にとか、
小瓶にして詰め合わせにとか、
ワインがお好きな方にはワイン、
ビールがお好きな方にはビール、
なんてことになるのです。



お客さんによっては、
うちは日本酒飲まないのでとか、
持ち帰るのが大変なので列席者の方にどうぞ持って行ってください、
なんて方もよくいらっしゃいます。

これを言うと工務店の若者達が色めき立ちます。
まあだいたい飲んべばっかりですから。

逆に言うとそう言ってもらうのを待ってるかもしれません。



うちなどでは最近は、
住宅建築の地鎮祭なんかの場合は、
ちょっと手に入りにくいような美味しいお酒を1本にすることにしています。

ただ、
もったいないので絶対に工務店や業者の若者達には持って行かせません。

おまえらのために用意したんじゃねぇ!
ってね。



日本酒は普段飲まない方でも美味しいって思っていただけるよう、
お酒を飲まれないお客さんの場合などでも誰かお好きな方にあげてください、
喜ばれると思います、
ってね。



実は、
だいぶん前の話しなのですが、
地鎮祭があったのです。

 

 

 


なので奉献酒を買いに行ったわけです。

女房殿がいつもの酒屋さんに行ったのです。
大型のディスカウント酒店とかリカーショップなどではありません。
小さな町の酒屋さんです。

そんな店でしか奉献酒は買えません。
っていうかお酒はありますが奉献酒の作法には出来ません。



今回のお客さんはお酒をあまり飲まれない方なようなので、
ちょっと美味しいお酒にして1本にしようと思い、
女房殿にもいい酒1本にしてね、
と言っておきました。



が、
いつもの酒屋さんには良さげなお酒がない、
と、
女房殿が帰ってきたのです。

普通のしかないと・・



ネットなどでよさげなお酒はたくさんありますが、
奉献酒には出来ません。

奉献酒もあるにはありますが、
普通のお酒で良さげなものではありません。



さて、
どうする?





Atelier繁建築設計事務所HP
http://ateliershigeru.com
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車を変えたって~話を前回させていただきました。
なので休みといえばどこかに行きたい!
のです。

どこ行こう?

残念ながら川はもう禁漁です。
紅葉にはまだ少し早い。



そこで、
そうだ、
あそこ行こう!

で、
行ってきました豊田市美術館です。

 

 

 

まあ、
ドライブには少し近いのですが・・

 

 




もちろん私、絵画鑑賞大好きです。
自分も絵を描く趣味がありますし・・
何しろ大学時代は美術部でしたし。
だからどこかに観光に行けば大抵はそこの美術館に寄ります。

ただ、
それだけではない。
そう、
我々の場合、美術館の建物も見に行くわけです。
どちらかと言えばこっちの方が主です。
美術館の建物はどこも建築家が自身の能力の全てを注ぎ込んで設計します。
何しろ「美」を展示する建物ですから、
建物もその「美」にふさわしいものでなければなりません。

なので、
展示と共に建物を鑑賞したい!
ちゅうわけです。



本当にいつかは私もどこかの美術館の設計をしてみたい!
ってのが今の私の夢でもあります。



そこで、
豊田市美術館です。
1955年に谷口吉生さんの設計で完成したモダニズムの美術館です。

谷口吉生さんはお父さんも谷口吉郎さんという大建築家でその息子さんです。
まだまだ現役のバリバリで私らなんかとは月とすっぽんくらい違う凄い人なんですが多々美術館や博物館なんかの設計をされていて最近ではニューヨークの近代美術館なんかが有名です。

若い頃はお父さんの谷口吉郎さんなんかも憧れの建築家のお一人でしたね。



実はこの美術館完成した当初から何度か見に行ったことがあります。

 

 

 

 

なので、
今回は展示美術や建物を見に行ったわけではありません。


フランク・ロイド・ライト展が始まったので・・

それを見に行きたかったのです。

 

 

 



フランク・ロイド・ライト
建築に興味ない人でも名前くらいは聞いたことある方もいらっしゃるんじゃないでしょうか?

ル・コルビュジエ、
ミース・ファン・デル・ローエ、
フランク・ロイド・ライト、
の3人、
「近代建築の三大巨匠」
と言われる大建築家の一人です。

大きな建築だけでなく住宅建築なんかも素晴らしい業績を残された建築家で、新古典主義というゴテゴテ装飾建築が当たり前の時代に幾何学模様などを取り入れたり・・
まあ、
そんな話はいいか・・

 

フランク・ロイド・ライトって名前なんか知らなくても、

あの窓や柄模様のデザインとかその照明器具の形とかソファーや椅子のデザインとか、

たぶん見たことのない人はいないと思います。


興味ある人は見に行くか、
ちょっと検索してもらえればごまんと出てきます。



有名な建築では、
といっても沢山ありすぎるので、
そう、
彼はしばらく日本にも滞在していくつもの建築を残しています。

日本にある建築で有名なのは、
犬山の明治村に一部移設されている「旧帝国ホテル」

 

 

 

東京豊島区にある「自由学園明日館」

 

 

 

芦屋にあり今はヨドコウ迎賓館になっている「旧山邑邸」

 

 

 

などなど。

「旧帝国ホテル」「旧山邑邸」は見たことあるんですけどね。



特に「旧帝国ホテル」なんかは関東大震災の際に廻りの建物が何もなくなってしまっていても無傷でポツンと建っていたなんていうくらい構造的にも優れた建物だったのに取り壊されてしまって・・

今でも残っていれば間違いなくコルビジェ「国立西洋美術館」同様に世界遺産になっていたことでしょう。
いやいや重要文化財なんかにもなっていたかも?

ただ、
何とか残したいという人々の熱意から玄関部分だけは愛知県犬山の明治村に移設されています。

この明治村って私の実家から近いので学生時代何人も友達を家に泊めて見に連れて行ってやった物です。



私、そんなこんなでこのフランク・ロイド・ライト大好きなのです。

特に私が好きなのは、
「落水荘」

 

著作権の関係でしょうか、残念ながら写真がない。下記からどうぞ。

 

 

 

「グッゲンハイム美術館」

 

 


学生の頃初めて見て知ってスッゲーって感動してました。



いや、
なんと長い前置きになってしまいました。
まあ、
ようするにそのくらい好きなフランク・ロイド・ライト展に行ってきた、
っちゅうわけなのです。

 


 


建築家の展示会っていったって実物を美術館に持ってきてみせるわけにはいきません。
なので、
一部のパーツなんかを見せることが多いようなのですが、
今回はそれも難しかったようです。

何しろ世界の大建築家ですからそのパーツが全て各国の文化財だったりしますし、
まあ、
そうならないのは先進国では日本くらいのもんです。

持ってくるということはその元の建物から取り外すということになってしまいますので。

なのですが、
図面がたくさんありました。
なんかパースが多かったですが、
一般の方がたくさん見にいらっしゃる展示会ですからそのほうがわかりやすいということもあったのでしょう。

私としてはもっと詳細図なんかがディテールなんかが見たかったな、
なんて思いますが。



それでも非常に面白かった。



当時は今みたいにCADとかなかったしドラフターなんていう製図機器なんかもロトリングなんていう製図ペンもなかった時代によくもまあこんだけカラス口で描いたもんだっ!
1枚描くのにどんだけ時間かかったんだろう?
なんて感心してしまいます。

なんか、
それだけものすごい意欲みたいなものを感じます。



図面っていってもそれぞれが小さいので、
いやいや図面自体はA2とかA1とかA0とか図面としては大きいのですが、
美術館のスペースにしたらそれぞれが小さい。

それでか説明文がいっぱい書いてあります。
一生懸命読むのですがね、

なんか良いことしか書いてないね~
まあそうか。



なんかガイドみたいな人もいましたけど、
やっぱり良いことしか言わないのんねって。



なので、
女房殿には私がガイドとしていろいろ教えてあげました。

師匠の仕事勝手にとって出てっちゃったんよ~
とか、
不倫していられんくなって逃げ出したんよ~
でもそのおかげでこれが出来たんよね~
とか。

ま、
いらんこと教えてあげたわけです。



最後にショップで・・

高い!
高すぎる!
なんだこの値段は!
しおりが1枚何千円!

フランク・ロイド・ライト財団はいったいいくらぼったくってんだ?



ま、
仕方ないか、
で、
せっかくなのでグッゲンハイム美術館のエスキス図面ポスター1枚購入して帰ってきました。

今、
事務所に飾ってあります。

 

 

 


見たい人はどうぞお越しください。
いらんことも教えてあげます。

 

 

 

 

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