【確認申請って何だ?3】
そうそう、
ここで説明させて頂いている内容というのは、
簡単に大雑把に説明していますので、
その建物などの事情によっては異なることも多々あります。
実際は必ず建築士さんに相談してくださいね。
建築基準法というのは魑魅魍魎が発生するくらいに複雑怪奇ですから、
確認申請も複雑怪奇ですので、
後で文句言われても困ります。
実は、
確認申請というのは、
審査機関の方は受け付けたら必ずおろす、
つまり許可しなければなりません。
受け付けた確認申請を確認して工事する許可をだす、
つまり確認済み証を発行することを、
確認をおろす、
と言います。
建築基準法に確認申請は、
受け付けた日から4号申請という簡易な物は7日以内に、
それ以外は35日以内におろさなければならない、
と定められています。
そう、
審査機関は確認申請を受け付けたら必ずおろして確認済み証を出さなければならないのです。
これは駄目です!
とつっかえすことは出来ない。
35日という日時を引き延ばすことは出来ますが、
絶対におろさなければなりません。
つまり、
建築士が設計した建物は建築基準法に適合しているはずなのだから、
審査機関はその適合していることを確認する、
のであって、
受け付ければ直しなさいという補正は出せますが、
根本的にこれは駄目ですとは言えないのです。
なので、
間違って根本的に問題のある建物の確認申請を受け付けてしまった場合は、
申請した人がその申請を引き下げるまで永遠に補正を出し続ける、
なんてことになってしまったりするのです。
先のおじさんの確認申請も、
図面がなくても、
建築基準法にまるであってなくても、
そもそも建てられなくても、
受け付けてしまったらおろさなければならない。
だから、
受け付けてもらえないわけなのです。
実は、
おじさんのような人もけっこういるようなのですが、
過去には、
確信犯的に法逃れをしようとする建築士なんてのも、
もろもろいたようです。
例の姉歯事件以来、
そういう建築士はかなり淘汰されたようですが・・
姉歯事件がどんな事件だったのか、
あまりご存じない方もいらっしゃるでしょうか?
こちらからどうぞ。
姉歯事件前には、
こんな光景もたまに見かけました。
ある審査機関に行ったときのこと、
担当官と打ち合わせをしていると、
隣に別の事務所の人が確認申請を受け付けに来ました。
けっこうぶ厚いのでそこそこ大きな物件のようです。
その事務所の人は、
しばらく受付担当と話をしていると、
担当が奥に入っていきます。
すると、
何人もの審査官がゾロゾロと出てきました。
そう、10人近くの・・
そして、
申請書の紐閉じをはずして全書類と図面をばらして、
そこいら中に広げて、
かたっぱしから図面や書類を全員でチェックし始めたのです。
そこにいた我々は、
いったいぜんたい何事が起きたんだ?
打ち合わせしていた審査官がそっと教えてくれました。
あれは、
○○設計だね、
ブラックだよ。
申請と出来上がった建物が全然違ったりするからね、
検査通らなくても勝手に営業始めたりするから、
と。
そう、
確認申請を受け付けてしまうと、
必ずおろさなければならないので徹底的に受付前にチェックしている、
ということだったんです。
若かりし頃の私。
世にブラック設計事務所があるなんてことをその時初めて知りました。
いっしょにいた先輩が教えてくれました。
先輩の友人は就職した設計事務所で毎日毎日裏図面、
つまり実際に建てる建物とはまったく違う確認申請を通すためだけの嘘の図面を描かされ続けて、
やめたのだそうです。
まあ、
今ではそんなことがばれればすぐに免許停止ですけどね。
Atelier繁建築設計事務所HP
http://ateliershigeru.com
よもやま建築日記~家づくりの現場から~
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