大好きな、米原万里さんのエッセーを読んでいます。
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特に印象深いところが、
「手持ちの駒しか使えない」というくだり。
米原さんは、
と書いていらっしゃいます。
本当に、その通りなんですよ。
通訳は、辞書を引く暇がないので
その時に頭の中にある単語で
どうにかするしかありません。
たとえば、この本にも書いてありましたが
仮に「輸出」という言葉がわからなければ、
「輸入の反対」と訳すのです。
(もちろん、これは極端な例であって
実際の通訳者は「輸出」を忘れるなんて、許されないけど)
あるいは、
「5歳児にわかる日本語」
にするしかない場合もあるでしょう。
「物を外国に売ること」と。
で、私も、持ち駒が少なくて
たくさん失敗したことがあります。
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本の中では、米原さんが目の当たりにした
「持ち駒」が少ない通訳者の
悲劇のエピソードが描かれていました。
ある環境問題のフォーラムで、
ロシア人日本語通訳者が
ロシア人スピーカーの発言を
日本語に通訳していたときのことです。
ロシア人スピーカー:(ロシア語で)
とりわけ深刻なのは、
工業排水が適切に処理されなかったために、
地中にしみこみ、地下水の汚染を
引き起こしていることです。
ロシア人日本語通訳者:(ロシア語から日本語に)
特別まじめな問題がありますのでございます。
下水は大変汚れて困ってるのでございます。
「ありますのでございます」って・・・・・
ロシア人スピーカー:
地下水に関わるもう一つの問題として、
工業用水として濫用されたため、
その枯渇が懸念されています。
そのため一部地域では地盤沈下の危険性さえ出てきていると、
学者のなかには警告する者もいます。
ロシア人日本語通訳者:
インダストリーで下水たくさん
たくさん使いますのでございます。
だから下水もうないのでありますのでございます。
一定の学者、地球落ちる言いますのでございます。
・・・・・;;:゙;(;゚;ж;゚; )ブッ
「地盤沈下」が
「地球落ちる」ってーーー!!!
;`;:゙;`(;゚;ж;゚; )ゴルバチョフッ
あぁ・・・・・でも、
似たようなことをたくさんやらかして来た身としては、
心から笑えない悲しさよ・・・・・
ほんとーーに面白いので、
通訳を志してなくても、ぜひ読んでみてください!
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