通訳の仕事を始めてまだ本当に間もない頃のこと。
役員会議の通訳に行きました。
会社では、一番重要な会議です。
副社長(アメリカ人)の英語の発言を、
私が通訳していました。
副社長:
「プロジェクト○○の責任者として
Y部長を指名しました」
(原文英語)
副社長:
" and she accepted it."
(she = Y部長)
新人通訳だった私は、
あろうことか、
この「accept」で詰まってしまいました。
意味は100%分かる!
分かるのに、
日本語が出てこない!!!
「応じた」なんていう簡単な日本語も、
全く思いつきませんでした。
パッと頭に浮かんだのが「承」という漢字。
えっと・・・・・
「承認」じゃないし・・・・・
時間は無情に過ぎていきます。
一刻も早く、日本語を出さなければ!!!
「え~、Y部長は、しょう、しょう・・・・・・・」
しょう、何だっけーーー!!!!
ぎゃーー!!!早く出て来いっ!!!
「しょう・・・・・」
もう、ここは、
「承」はあきらめて、違う言葉だっ!!!
私は必死で自分の日本語の引き出しを探りました。
とにかく、何でもいいから、
早く訳し終えなければ!!!!!
そして、とっさに出てきたのが・・・
「Y部長は・・・・・
オッケーと言いました」
あぁ・・・・・もう、
窓から飛び降りたい・・・・・・
よりによって、副社長のお言葉です。
大事なプロジェクトの話です。
通訳というのは、やっぱり
発言者の立場や態度、言葉の抑揚に合わせた
的確な言葉遣いで訳せてこそ一人前なのです。
発言者が重要な立場にいる人であれば、
通訳もその空気をまとわなければいけないのです。
でも、完全に、
副社長に、ダメ通訳の空気を
まとわせてしまいました
ちなみに、後から思えば
「承」は、「承諾」と言いたかったのです。
そんなわけで、通訳には
「母国語の引き出し」も豊かに保つことが必要。
通訳を目指している方に何かご参考になれば。
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